以下の内容はhttps://gigazine.net/news/20220517-shin-ikkitousen-rion-kujo-interview/より取得しました。



ヤングキングアワーズに連載中の塩崎雄二さんの漫画『真・一騎当千』がアニメ化され、2022年5月17日(火)夜から本放送がスタートします。シリーズ8作目を手がけるのは、シリーズ5作目『』や『』『』『』などで監督を務めた久城りおんさん。「真」になった『一騎当千』をどのように映像化していったのか、話をうかがいました。

TVアニメ『真・一騎当千』公式サイト
http://www.ikkitousen.com/


GIGAZINE(以下、G):
久城監督のところに本作の監督をして欲しいという話が来たのはいつごろのことだったのでしょうか。

久城りおん監督(以下、久城):
しばらく前のことなので詳しくは覚えていないんですが、「このシリーズの監督はきっと持ち回りなんだ」と思っていました(笑)

G:
持ち回り(笑)

久城:
『一騎当千』シリーズはわりとスタッフが共通しているのですが、前作『』の総監督の渡部高志さんはアニメ1作目の監督をしていたので、次は『』などをやった大畑晃一さんかなと。それでスケジュールが合わなかったぐらいの理由で私のところに話が来たのかなと思って(笑) 確か、1年半とか、それぐらい前のことだったと思います。

G:
どのような形でオファーがあるのですか?

久城:
とても普通です。越中プロデューサーから、まるで与太話の1つのように「新作やりませんか?」と声をかけていただきました。

G:
すごく軽いノリだったんですね。

久城:
遊技機などの仕事もやっていて、その仕事の振られ方に近かったので、最初はアニメではなく「次の遊技機の話だな」と思ったぐらいです。今回はタイトルに「真」とついていたので、ご時世的に「おっ!?なんだこれは!?」と思いましたけれど(笑)

G:
久城さんは2012年に発売されたOVA『一騎当千 集鍔闘士血風録』を手がけられていて、こうして10年ぶりに再び『一騎当千』の新作を監督することになったわけですが、10年ぶりの変化や、反対に変わっていない点というのはありましたか?


久城:
「『一騎当千』という作品が」ということではないですが、前回の『集鍔闘士血風録』は内容がオリジナルストーリーで、ワードとして残っていた「卑弥呼」や「関西」というところから、倉田英之さんと一緒に組み立てたものでした。その点、今回は原作があるので、私としてはまずそこから大きく違うなと感じました。「あっ、原作が使えるんだ!」と。

G:
なるほど(笑) 原作がある今回の方がやりやすいものなのでしょうか。

久城:
原作の有無というのは一長一短あるところだと思います。オリジナルストーリーにするなら、守らなければならないところを守りつつも、外すところで大きく外してというメリハリをつけることができます。原作があるなら縛られる部分が出てきますが、絵としての答えはそこにあります。すでに原作を目にしているという方もいるので、もし原作から外れるのであれば「ここからは外れますよ」とはっきりと示さないといけないですしね。ただ、それがやりにくいというわけではないので、私としては、原作の有無でやりやすさがどうこうということはありません。

G:
この『真・一騎当千』の場合に「守らなければならないところ」というのはどういった部分でしたか?

久城:
まっすぐな答えではないかもしれませんが、制作にあたって世に出ていた話まで読んだ範囲だと、シリーズ構成上、まだ結末からの逆算ができる状態ではなかったので、まずは結末を決めて、そこに向けてどのように組み立てていくかということを考えました。ボリュームのある話なので、どこを残さなければならないのか、そしてどこを削いでいくかということですね。

G:
ああー、なるほど。

久城:
あとは表現の部分ですね。服は破けてもよいけれど、たとえば体の切断というのはやってはいけないというのがありますので、そのあたりを考慮しつつ、という感じです。

G:
本作のスタッフの方々は、久城さんが監督になってから選んだ方々なのですか?それとも、すでにスタッフの方々は決まっていたのでしょうか。

久城:
今回、タイトルこそ「真」となっていますが、前作『一騎当千 Western Wolves』の流れを受けていますので、多くのスタッフはそのままです。特に、シリーズ構成・脚本の本田雅也さんは流れが分かっているので、そのままがいいでしょうと。その他のスタッフも、もちろん『一騎当千』を分かってくれている方がいいので、大きく入れ替える考えは最初からありませんでした。


G:
なるほど。

久城:
私は、最初に携わった『一騎当千』がオリジナルの『血風録』だったということもあり、歴代の監督の中で一番『一騎当千』を分かっていないんじゃないかと思うんです(笑)

G:
(笑)

久城:
なので、周りに『一騎当千』を知っている方が多ければ多いほどカバーしていただけるだろうという思いがありました。『血風録』をやる以前もシリーズは見ていたのですが、視聴者視点で見ていましたから、実際に制作現場を知っている人がいた方が助かるなと。

G:
本作の制作を手がけて、「やっぱり過去のシリーズから引き続き担当しているスタッフがいて助かった」というのはありましたか?

久城:
「作風」の点で助かりました。絵の点ではキャラクターデザインの宮澤努さんには、ひたすら絵を整えていただきました。あと、音楽の高梨康治さん。曲がいっぱいありすぎて(笑)、打ち合わせでもそうだったんですが「お任せします」という形でした。そして、役者さんもそうですね。ずっと担当してこられた方が多いので非常に助かりました。過去に担当した『血風録』に出てきたキャラクターはぱっとわかりますが、出ていなかったキャラクターの場合に、役者さんが示してくれたキャラクター像のおかげで「これだ!」と。

たとえば1作目から主人公・孫策役を演じている浅野真澄さんなどは約20年にわたって同じキャラクターを担当しています。


G:
確かに、そうやって考えると、監督が一番外から放り込まれた感じかもしれませんね(笑) なにか、プレッシャーなどはありましたか?

久城:
スタッフに関してはまったく心配していなかったのですが、ただ、タイトルに「真」がついているという点にはちょっとプレッシャーを感じていました。「『真』をカタカナにしようか」なんて冗談も出たのですが、「冗談でもイヤだ!」と思いました(笑)

G:
先ほど宮澤さんの名前が出ましたが、本作において作画で難しいと思われた点はどういったところでしたか?

久城:
まず、『一騎当千』のキャラ表が作られたときと今の塩崎先生の絵が変わっているというところでしょうか。いきなりキャラ表から変えていくというのは、こちらからも恐れたことだったので、宮澤さんに相談しつつやっていきました。宮澤さんからの提案としては、キャラクターの瞳の処理もそうなのですが、初期シリーズを放送していたころから時代が変わり、デジタルのニーズも上がっているので、ブラッシュアップしながら、今の塩崎先生の作風も意識しながら……中間を狙ったというわけではないと思いますが、そういったラインを宮澤さんが守っていってくれました。あと、これは初めて言う気がしますが、私は宮澤さんのファンなので、もう「お任せします」と。

第1期のメインビジュアルと比べると、キャラクターデザインの変化を感じます。


G:
宮澤さんの絵作りの、どういったところのファンなのですか?

久城:
もう普通に、エロいですよね(笑)

G:
どストレートな(笑) 確かに、いろいろな作品を見ていると「ああ、これはいいな」というのに出会うことがありますね。これ、「エロく描けるかどうか」というのは、どういったところで違いが出るものなんでしょうか。


久城:
ほぼフェチの域なのではないかと思いますが、個人的には腰だと思います。雑に言ってしまうと、胸は「大きければいいだろう」という感じで描かれる傾向がありますが、腰に関しては「腰遣い」にエロさが出るのではないかと思います。脚まで降りていくと、そこはそこで好きな方が出てきますが(笑)、バランスを取る上で、腰が重要なのではないかと。

G:
今回実際に作品を見て、改めて原作を見比べると「なるほど、こう構成したのか」と納得するところがありました。今回、シリーズ構成は前作に引き続いて本田さんが担当していますが、この微妙な変化は、どのように決まったのですか?

久城:
『真・一騎当千』の第1巻から始めるとすると孫権のエピソードから始まるのですが、アニメは全3話構成なので、そのままだとちょっと難しくなるんです。そこで「どうしようか、誰を軸にしようか」という話があって、入りは孫権にしないといけないだろうということから、本田さんに話数ごとにフィーチャーするキャラを変えていきましょうという話をしました。そうやって複数のキャラをまたいでいき、原作の本筋のある一定のところまでたどり着こうと。それで、各話ごとにフィーチャーするキャラを決めた上で見やすいように本田さんに整理してもらったのが、この形だったということなんです。

G:
キャラクターにフィーチャーした切り口だったんですね、なるほど。

久城:
メインビジュアルも、それぞれの話数でフィーチャーされている孫権、孫策、呂蒙が目立つものになっています。


G:
スタッフが共通するという話と重なる部分かもしれないのですが、アニメーション制作が会社としてはなくなった「アームス」表記になっているのはなぜなのでしょうか?

スタジオサインポスト 野崎プロデューサー(以下、野崎):
『一騎当千』シリーズのアニメーション制作はずっとアームスという会社で作っておりまして、会社としては名前が変わったのですが、前作からの『一騎当千』スタッフで作っていますよということを社名で安心して見ていただこうと。アニメーション制作のところの名前が変わって「スタッフが総入れ替えになった!?」と思われてしまうよりも、体制を踏襲していることをはっきりわかっていただこうということですね。

G:
なるほど、ブランド名のような形で「アームス」と出しているということなんですね。あと今回、原作者の塩崎さんに意見を聞いたり、あるいは塩崎さんから何かリクエストを受けたりというのはあるのでしょうか。

久城:
これは毎回のことらしいですが、基本的にお任せしてもらっているということです。私は塩崎先生にお会いしたことはないのですが、シナリオをやっているときには、ひたすら「あれはどうなんでしょうか?」と質問を送り、それについてはちゃんとお答えをいただきました。

G:
シナリオをやっていて「これは塩崎さんに聞かなければ」というのは、どういった点でしたか?

久城:
割と細かい部分で、どういう解釈で行くのかいくつか案を出して、選んでもらった覚えがあります。原作上の流れとそぐわない状態にはならないようにしました。

野崎:
そうですね、原作を読んで、こちらの解釈が合っているかどうかをたずねる感じでした。

久城:
毎週のように聞いていた覚えがありますね(笑)

野崎:
本当に細かい漫画の描写について「こういう解釈でいいでしょうか」ということを聞いていました。塩崎先生からは「よほど逸脱していない限りはお任せします」という感じでした。

G:
『一騎当千』の描写といえば、服が破けるようなシーンがよく出てきます。昨今、こうした描写は控えられることもありますが、そのあたりの扱いはどうだったのでしょうか。

久城:
テレビだと放送倫理に合うものかどうかという、オーソドックスなベースラインが存在していて、本作の場合、先ほども言ったような「切断」になってくるとNGだということはわかっていました。一方、服が破ける方向に関しては、『血風録』でもバストトップに光を入れつつもPVに盛り込んだりしていたので「ひるんじゃダメなんだろう」と思っていました。ベースとしてNGなところ以外は『一騎当千』らしくやろうと。いわば「服が破けるのは上等」みたいな感じでしたね。

G:
監督として、どういったところに『一騎当千』らしさを感じますか?

久城:
お尻の方からなめるようなアングルになっていてキャラが誰かわからないような構図でしょうか。「無理矢理すぎるだろう、それ!」と思っていても入っているのが『一騎当千』らしいなと。そしてもちろん「破け」もそうですよね。第1話だと孫権が豪快に破けてましたよね、もう、ほぼほぼ裸だろうという(笑)


G:
(笑) ちょっと作品から離れる話題なのですが、今回、久城さんにお話を伺うにあたっていろいろと資料を拝見したのですが、あまりインターネット上には詳しいインタビューなどがなく、どのようにしてアニメ業界を志されたのだろうかという点が気になりました。どういうきっかけだったのですか?

久城:
きっかけは『機甲戦記ドラグナー』のオープニングでした。大貫健一さんや大張正己さんに憧れて「俺もメカ作監になる!」と思ったのが、高3ぐらいだったかな?

G:
『ドラグナー』には、どのようにたどりついたのですか?

久城:
アニメ雑誌に掲載されていた、新番組の設定画だったと思います。プロポーションを見た感じはバイファムのような印象だったのですが、いざ番組を見てみたらスーパーロボットみたいになっていて「こんなことをやっていいの!?」と驚いた記憶があります。見ていると快感になってきて。ちょうど、洋画の「」が流行した時期も近く、いかにも「トップガン」ばりのオープニングだったので「こんなのやってみたいな」と思って、模写も結構やっていました。

G:
なるほど。そこから、憧れのとおりアニメ業界へと。

久城:
動画をやりたかったのですが、「仕上げに優しい動画とはどういうものか」を学ぶためということで、最初は仕上げをやっていました。その後、動画になったのですが腱鞘炎になってしまって一度業界を離れ、その後、ぴえろで制作を募集していたのを見て「制作なら手は使わないだろう」と再び戻ってきたという感じです。いろいろ転々としていて、PlayStationやセガサターンのころ、ゲーム業界にいたこともあります。

G:
おおっ、すごい。

久城:
ゲーム業界にいた時期もバイトとして原画をやったりしていて、その延長線上で『新世紀エヴァンゲリオン』も1回やりました。「深夜のロボットアニメなら誰も見ていないから大丈夫だろう」ぐらいに思っていたらとんでもなくて、しかも映画の『DEATH&REBIRTH』だったから全スタッフの名前がクレジットされることになって……。

G:
あっ……(笑)

久城:
自分の名前が左から右に流れていくんですよ。ヤバいなと思っていたら、公開から3日後に呼び出されました。ただ、会社がすでに下火でつぶれそうという状態だったので「生計のことを考えるとバイトをするなとはいわないが、せめて名前は変えて欲しい」と。それで「久城りおん」という名前を使うことになったんです。

G:
なんと、そんな経緯が。

久城:
実はこの名前、奥さんの友人の漫画家さんの名前なんです。本家の久城さんも、漫画家として他にも名前を持っていて使い分けをされていて、もし相手の方に絵コンテの依頼があったり、あるいは私の方に漫画の仕事が来たりしたら周りが混乱しているということなので名前を戻そうかと言っていたのですが、その後、特に混乱は起きていないので、そのままにしているという次第です。

G:
それで、調べていると「過去に漫画家をやっていた」というような話が出てくるのですね。お話を伺っていると、もともとは作画の方向から業界に入り実際にやっていたということなのですが、演出をやるようになったのは何かきっかけがあったのですか?

久城:
NARUTO-ナルト-』の伊達勇登監督に出会って演出の面白さを教えてもらって、メカ作監というのはいったん置いておいて、演出をやってみようと思ったという感じです。

G:
「このあたりが演出で面白い部分なのだ」というのは、どういった部分だったのですか?

久城:
基本、編集と録音、つまりダビングです。フィルムが化ける瞬間に携われる点ですね。演出自体は、作品のBGMをずっと聞いているわけではなくて、曲は監督さんと音響監督が決めていて、演出はSEなどが適切なところで鳴っているかというのを確認するのですが、一回通して見たときの印象と、その後「ああじゃないこうじゃない」と直したときの印象が変わることがあるんです。急に……「勝手に盛り上がってくる」というか(笑)。つまり「化ける」んです。そこにいるのが楽しいですね。

G:
おおー。

久城:
余談なんですが、谷口悟朗監督の『スクライド』で第23話の演出をやったのですが、録音作業の時、後にも先にも1回だけ、半泣きになりました。自分の仕事なのに。

G:
半泣き!何があったんですか?

久城:
「お涙頂戴」話ではあるのですが、なんの予備知識も持たずに録音作業に立ち会って通し見したら、「半泣きになってる」と気づいて。これは見られたらまずいと、隠れて目頭を押さえました。

G:
そういった「化け」というのは、どれぐらいあるものなのですか?

久城:
ここまでの大化けは珍しいですが、最初と最後で比べてみると化けているというのはよくあります。音の現場の人たちも乗ってくる感じがあって、そのプラス効果も加わってフィルムが変わっていくのを見られるのが演出だなぁと思います。作画だと録音作業の場所などには行けないですから。

G:
もう1つの編集も、かなり携わっていく感じなのですか?

久城:
これは伊達さんから教わったことなのですが、「間芝居」だと。以前、『旋風の用心棒』という作品を一緒にやらせていただいたとき、私はカットが切り替わったら冒頭からしゃべり出すように絵を作っていたんですけれど、カット頭から2秒黙ってしゃべり出すように変更があって、あとで伊達さんに「なぜ2秒置いたんですか?」と聞いたら「これが男の間よ」。

G:
おお、カッコイイ……。

久城:
何でもかんでもすぐにしゃべったりはしないし、息継ぎも人によって違うし、ブレスしたとき感情が入っていたら次の言葉を発するまではちょっと時間がかかるだろう、と。セリフ1つのあとの間を自分で測ってみなと言われまして、それから、間を考えるようになりましたね。ただ、この『真・一騎当千』に関してはとにかくボリュームが多いので正反対の発想で、とにかく詰め込む方針でした。

G:
なるほど。

久城:
第1話はシナリオ完成の時点で定尺に入らないだろうと言われていて、杉島さんにお願いしたコンテでも思った以上にはみ出していたので、編集に持っていったときに押し込む感じでした。もう「入った」ということにみんなが驚いたぐらいです。これも1つの快感だったりします。現場にいると、こういうことが見られるので、それが私はとにかく楽しいです。

G:
アニメ業界を目指す若者が、なにかこういうことをやっておいた方がよい、知っておいた方がよいということはありますか?

久城:
自分の場合は完全に巡り合わせでしたから、こういうことをやっていたから、知っていたからという感じではないですね……最終的にアニメ業界でどういった部分を目指すかによって変わってきますが、それこそメカ作監を目指していた人間が演出・監督をやっているぐらいですから(笑)

G:
(笑)

久城:
ただ、自分が好きなのはなにか、嫌いなのはなにかということははっきりとわかっていたほうがいいかなと思います。嫌いなら嫌いで、どういうところを自分が嫌っているのかは把握した方がいいですね。どういうものかがわかっていれば、嫌いな表現ではあるけれど使おうという、自分の引き出しになりますから。

G:
長く業界にいると、デジタルへの切り替わりなどで苦労があったのではないかと思うのですが、そこはどのように乗り越えられたのですか?

久城:
ちょうどその業界の転換期は、別の業界にいた時期だったんです。やっていたことは同じくコンテだったのですが、ゲームの会社だったことで「PCを使って映像を作るとき、これはやってOK、これはNG」と、とても平たく言えばPhotoshopベースの話だったりはするのですが、それを覚えて戻ってきたような感じでした。ちょうど戻ってきたらセルからデジタルに変わっていたというタイミングだったので、2~3社で、デジタル部門の立ち上げ時に演出として入って会社を軌道に乗せるというのをしました。

G:
おおー、別業界へ行っていた経験が役に立った。

久城:
そうです。だから、デジタルへの移行に抵抗はなかったのですが、実際問題として、いかに紙をどこまで使うかというところには苦労しました。

G:
どういった点が苦労だったのでしょうか。

久城:
私は今回はこうして監督をやらせてもらっていますが、原画もやるし第二原画もやるというスタイルだったので、「原画をやっているときは鉛筆じゃないと」というのが頭によぎって……。デジタル機材をそろえたときに自分の仕事が網羅できるかというと、できないんじゃないかと。

G:
ふむふむ。

久城:
コンテはデジタルで、原画は鉛筆でという住み分けをしている時期もありました。知識はあっても、周りの環境ができていなかったので、なかなか割り切れなかったというのもあります。デジタルへの移行自体がまだアニメ業界として途中なので、難しいところだなと。

G:
その難しさは、慣れ親しんだ方法からの切り替えの点ですか?それとも、アナログな部分が混ざることの難しさでしょうか?

久城:
両方ありますねえ……。仕上げや撮影は容赦なくデジタルに移行させられた形なのですが、作画や演出はすぐに切り替わらなくてもOKだった時期が続いていたので。一番大変だったのは仕上げさんと撮影さん、あと編集さんだったんじゃないでしょうか。データでやりとりをするとなったときに、自己投資をするのかしないのか。自分で機材を買うのか、会社で買ってもらうのか。仕上げの場合、考える間もなく自分で手を出した人が多かったように思うのですが、作画に関しては、会社がそろえるだろうという意見が多かったですね。

G:
本作、見ているととてもすさまじいアクションで、絵の密度というかきれいさがシリーズを重ねて向上しているように感じます。


久城:
本作は作り方としてはオーソドックスなので、撮影監督の浅川さんたちが、作画さんが出したものが映えるように画面を持っていってくれていて、見栄えが良くなっているというのはあると思います。

G:
「真」を冠する新作に興味を持った方への推しポイントはどういった点ですか?

久城:
作品としては前作『一騎当千 Western Wolves』の続編なのですが、新しく孫権を主軸に据えた形でスタートすることにより、ここからでも見られるようになっていると思います。また、このあとは本筋にも帰っていくので、シリーズの続きを待っているという人も楽しめるものになっていると思いますので、ぜひ見ていただければと思います。

G:
本日はありがとうございました。

『真・一騎当千』は2022年5月17日(火)20時30分から、AT-Xで独占放送開始です。

アニメ『真・一騎当千』PV/5/17(火)放送開始 - YouTube

©2021塩崎雄二・少年画報社/真・一騎当千パートナーズ




以上の内容はhttps://gigazine.net/news/20220517-shin-ikkitousen-rion-kujo-interview/より取得しました。
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