以下の内容はhttps://gigazine.net/news/20210616-airbnb-crisis-safety-team/より取得しました。



民泊サービスのAirbnbは、ホストとなる現地の人とゲストとなる旅行者を仲介するプラットフォームを提供して、「見知らぬ他人同士が部屋を貸し借りする」という新たな宿泊形態を作り出して急成長しました。ところが、既存のホテルや旅館とは違う民泊サービスでは盗撮やレイプ、殺人といった事件も発生しているとのことで、BloombergのジャーナリストであるOlivia Carville氏が「民泊で起きた事件にAirbnbが対処する方法」について報告しています。

Inside Airbnb’s ‘Black Box’ Safety Team: Company Spends Millions on Payouts - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2021-06-15/airbnb-spends-millions-making-nightmares-at-live-anywhere-rentals-go-away

Go read this harrowing story about the team cleaning up Airbnb’s biggest disasters - The Verge
https://www.theverge.com/2021/6/15/22534869/airbnb-crisis-safety-team-bloomberg-report

2015年12月31日、タイムズスクエアから南に数ブロックほど離れたWest 37th Streetにあるアパートの一室に、あるオーストラリア人女性とその友人らが宿泊しました。ニューヨーク市では30日未満の短期賃貸が禁止されていますが、このアパートはAirbnbで宣伝されて人気を集めており、カギは近所の食料雑貨店で身分証明書もなしで受け取ることができたそうです。

女性たちはバーで年越しを祝いましたが、オーストラリア人女性は友人たちをバーに残して1人で部屋に戻りました。ところが、その部屋には女性の他に見知らぬ男がひそんでおり、帰宅した女性を包丁で脅してレイプしたとのこと。男は女性の携帯電話などを奪って逃走しましたが、iPadで連絡を受けた友人経由で警察に連絡が入り、間もなく逮捕されました。男のバックパックからは女性を脅した包丁や奪ったイヤリング、そしてアパートの鍵が見つかったとCarville氏は述べています。


この事件は当時のAirbnbで危機管理責任者を務めていたNick Shapiro氏に伝えられ、Airbnbの「セーフティチーム」が対応に当たりました。セーフティチームは被害女性をホテルに移し、女性の母親がオーストラリアからニューヨークへ来て、2人がオーストラリアの自宅まで帰るための旅費を出したとのこと。また、その後のカウンセリング費用なども提供することを申し出たそうです。

この事件では、男がアパートの合鍵を入手した経路が問題となったはずですが、裁判ではAirbnbについて触れられることはなく、当時のメディアもこの事件について報じませんでした。事件から2年が経過した頃、Airbnbは被害女性に700万ドル(約7億7000万円)の小切手を支払い、Airbnbやホストの責任について話さないことに合意する和解文書を交わしたとのこと。Carville氏は警察や裁判所の記録、関係者の証言などから事件の詳細を再構成しましたが、被害女性はコメントに応じませんでした。

Airbnbの広報担当者であるBen Breit氏は、「我が社にはメディアからAirbnbの名前を締め出すほどの力はなく、被害女性は和解文書に関係なく責任の所在を語ることができます」とCarville氏にコメント。また、事件発生後のAirbnbの対応は被害女性を支援することが目的であり、地元の政治的な問題とは関係ないと付け加えました。


Carville氏は、見知らぬ他人同士がお互いを信頼して部屋を貸し借りするというAirbnbのビジネスにおいて、ホストとゲストの信頼関係が崩れるとユーザー数の減少や訴訟の増加につながると指摘。実際、Airbnbが創業初期に売り込んだベンチャーキャピタリストのクリス・サッカ氏は、Airbnbのビジネスがレイプや殺人につながるだろうと考えて投資しませんでした。結果的にAirbnbは大きな成長を遂げましたが、それには問題の解決に暗躍するセーフティーチームの役割が重要だったとCarville氏は考えています。

一方で、セーフティーチームの詳細な役割は秘密に包まれており、Carville氏が接触したセーフティーチームの元従業員やセーフティーチームに近しい従業員は、機密保持契約に違反することを恐れて詳細を語りませんでした。それでも、匿名を条件に証言した元セーフティーチームの人物は、ゲストやホスト、そしてAirbnbの利益がしばしば相反するため、精神的に苦しい仕事だったと証言しています。「電話を切って泣かなければならない時もありました」と、証言者は述べました。


セーフティーチームはトラブルに巻き込まれた被害者に対し、渡航費やグレードアップしたホテルの宿泊費、医療費、カウンセリング費用などを支払っているとのこと。元Airbnb従業員はこのやり口を「お金の大砲」を撃つようなものだと述べています。ただBloombergが入手した内部文書によると、Airbnbはホストやゲストへの支払いに年間平均で5000万ドル(約55億円)を費やしているそうですが、支払いのほとんどは物的損害の保証に関連しており、数千万円単位の支払いは非常にまれだそうです。

Airbnbのグローバル運営責任者を務めるTara Bunch氏は、民泊サービスは実際の家や現実の人々と取引しているため、AppleやFacebookをはじめとするテクノロジー企業と比較して信頼や安全性を保つのが難しいと主張しています。「人は予測不可能なので、時には本当に悪いことが起きます」「私たちは全てを止めることはできませんが、どのように対応するのかが重要だと知っています。何かが起きた時は正しいことをしなければならず、私たちはいつも正しいことをしようとしています」と、Bunch氏は語りました。

ニューヨークで起きた事件の他にも、Airbnbはホストやゲストが関与したさまざまな事件の対応に追われてきました。ゲストに家を荒らされてしまったという事件や、ホストに酒を飲まされたゲストがレイプされて写真やビデオを撮影されたという事件のほか、Airbnbで宿泊した部屋に隠しカメラが仕掛けられていたという報告もたびたび話題となっています。

Airbnbを利用したカップル、ベッドルームまで映ってしまう隠しカメラを部屋の中で見つける - GIGAZINE


さらに、2018年にはAirbnbの利用者が滞在していた施設の警備員に殺害された事件が起きたほか、2019年にはAirbnbを通じて「パーティー会場」として貸し出されていた住宅で銃撃が発生し、5人が死亡する事件が発生。この問題を受けてAirbnbはパーティー目的で住宅を借りる行為の防止策を強化したほか、24時間体制のホットラインを構築し、リスクの高いユーザーによる予約を禁止するといった対策を実施しました。

しかし、パーティー会場で起きた銃撃事件の被害者遺族であるCynthia Taylor氏は、弁護士のJesse Danoff氏が声明を発表するまで、事件発生から1週間にわたりAirbnbが連絡してこなかったと批判しています。Taylor氏は「Airbnbは何が起こったのかについて責任を問われる必要があります」と述べたほか、Danoff氏はAirbnbが風化した事件を気にしていないと指摘。「ニュースサイクルが進んだので、Airbnbはもう気にしていません。Airbnbを動機づける唯一のものは、悪いPRの潜在的な脅威やマスコミの悪夢だけです」と、Danoff氏はコメントしています。

なお、ニューヨークで起きたレイプ事件は民泊におけるカギの受け渡しについて議論を呼び、当時の危機管理責任者だったShapiro氏はカギ交換プロセスの改善や、店舗にカギを置くシステムの禁止といった対策について話し合ったとのこと。ところが、Shapiro氏がAirbnbを離れた記事作成時点でも、カギの受け渡しに関する明確なルールは設けられていないとのことです。




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