Microsoftが2019年5月6日に開催された開発者向けの年次定例会「Build 2019」で、Windows 10のデフォルトブラウザであるMicrosoft Edgeの新機能を公開しました。その中には、macOS版Edgeの登場やIEモードの追加も含まれています。

Microsoft Edge – All the news from Build 2019 - Microsoft Edge Blog
https://blogs.windows.com/msedgedev/2019/05/06/edge-chromium-build-2019-pwa-ie-mode-devtools

以下のムービーを見ると、実際に新しいEdgeを操作しつつ新機能をプレビューしている様子が確認できます。

The future of Microsoft Edge - YouTube


Microsoftは2018年12月に、これまでEdgeに搭載してきた独自のレンダリングエンジン「EdgeHTML」の続投を断念し、オープンソースプロジェクト「Chromium」を採用すると発表。

MicrosoftがChromiumベースのブラウザ開発を正式に認める、MozillaはEdgeに「さよなら」

2019年4月8日には新機能のプレビュー版であるEdgeの「Canary」バージョンと開発者向けの「Dev」バージョンを公開していました。

Chromiumベースの新しいEdgeのプレビュー版をMicrosoftが公開

今回のBuild 2019では、Edgeに追加される新機能について、さらに深く掘り下げています。そのひとつが、IE11との完全な互換性を有する「Internet Explorerモード」です。これは主に企業向けの機能で、Edge内でIE11と全く同様のレンダリングを行うことができるようになるというもの。

Microsoftはかねてから「エンタープライズ モード サイト一覧」を公開し、Edgeでは互換性に問題があるサイトを開くと自動的にIEでそのサイトを開くようにする連携機能を提供していましたが、次期バージョンからはEdge単体でEdgeとIEの互換性をチェックしたり、IE向けのシステムをEdgeでシームレスに利用したりできることになります。

また、Chromiumを採用したことでOSに左右されることなく新機能を拡充することが可能になったとのことで、既に公開されているWindows版・iOS版・Android版に加え、macOS版のEdgeも使用可能になる予定です。ムービー中に登場するmacOSのデスクトップ画面では、Mac DockにDev版のEdgeのアイコンがあり……

クリックするとEdgeが表示されました。

このほか、トラッキング拒否機能を含むプライバシー関連機能の強化が図られる見通しです。実装されれば、2019年1月にリリースされた「Firefox 65」の「コンテンツブロッキング」機能に近い見た目になります。

Edgeの設定画面に表示されたプライバシーツールには「Unrestricted(無制限)」「Balanced(バランス)」「Strict(厳重)」の3段階のモードが用意されています。

例えば、「Balanced(バランス)」が選択された状態では、サイト上の広告などのトラッキングのうち、12個が許可され、117個がブロックされているのが分かります。

さらに、Edge独自の機能である「コレクション」も新たに追加されます。これは、インターネットのサイト上にある画像やテキストなどのデータを半自動的にまとめて、一発でExcelやWordなどにエクスポートする機能です。

例えば、GoProのサイトでEdgeの右側に「コレクション」のウィンドウを表示すると、サイトから抽出したデータが一覧として表示されています。

さらにそこから、「Buying a camera」を選択すると、GoProの価格の一覧が表示されました。メニューを開いて「Export Excel」をクリックすると……

左のウィンドウに、商品名ごとの価格やレーティングなどが表になったExcelシートが出現。

今度は、写真のデータを「コレクション」にドラッグ＆ドロップして……

同様にテキストデータも選択して追加します。

すると、ものの数秒でカメラの画像とその説明文で構成されたWordドキュメントが完成しました。

「コレクション」以外の機能は既に「Canary」バージョンと開発者向けの「Dev」バージョンに追加されており、正式版の公開時期は2019年の後半になる見通しだとのことです。