
★★★
敬虔なイスラム教徒である新婚のアンディとマヤは新居で新しい生活をスタートさせる。しかし引っ越した初日から奇妙な出来事が続き、謎の湿疹や止まらない咳などアンディの体にも異変が起き始める。マヤが妊娠した後も状況は変わらず、アンディは自傷や自殺の衝動に襲われるようになる。そんな夫の姿を見かねたマヤは、神以外を信じてはならないという信仰に反して魔術師を頼ることにする。
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冒頭のシーンで誰の仕業かネタバレされているようなものだし、ただただアンディが呪われているだけで特段面白い筋ではないんだけどあんなに信仰深く誠実に見えていたアンディが「実際に不倫していた」というところで、黒魔術一本道かと思った作品のテーマが揺らいでちょっと興味が出た。呪われているのは事実で、その影響でマヤが老婆のように見えてしまうから心が離れてしまうという描写はあるんだけど、でも不倫そのものについてはアンディ自身も呪いのせいなのかどうかよくわかってない。「呪いが」と言い訳するものの本人もそれを本当には信じていない感じがする。臨月の妻を置いて不倫旅行しようとするのは相当なクズ行為だし、単なる呪いの被害者というのではなく、悪魔の誘惑に負けたアンディ自身の弱さを描いてるんだろうな。もっといえば信仰の弱さ。もしかしてこういう言い訳する男が結構いるんだろうか。
ただ、単純にイスラム教礼賛映画、信仰が足りないという映画でもない。呪いのそもそもの元凶は宗教面その他で格が釣り合っている相手でなければ結婚させる気のない両親の圧だという風に描かれている。宗教指導者/父親を明らかに威圧的なキャラクターにしているし。
なのでこの映画での信仰は唯一神には限らない、と読むのがいいのではないかな。呪いを解くのも、本来頼ってはいけないとされている超自然的な力の持ち主だし。敬虔な信者のマヤはあの時だけは彼らを信じるし、彼らにも当然神への信仰はあるし、様々な信仰を忍ばせていたと思う。
呪いを解く儀式、いままでに見たことのないタイプで面白かった。