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GELAS KACA(2024・ドラマ)

 

★★★★★

 

不動産会社を経営し最近では選挙に出馬も決まったラカは見目も良くセクシーで、誰もが羨むいい夫、いい父親である。最近セックスレスなこと、またビジネスパートナであるカリンのラカへの露骨な態度から、妻ララスはラカの浮気を冗談半分に疑っていた。そんな中、フィットネスクラブのヨガコーチであるハンサムな若者ウィラからララスの方がアプローチを受けるようになる。悪い気はしないララスだったがウィラの振る舞いはエスカレートし、押し倒されているところを家族に見られる。釈明させようとウィラの家に行けば今度は同様の様子を近隣住民から写真に撮られて拡散される。さらにはベッドの中のフェイク画像をラカに見られ、ララスはラカから三度離婚すると告げられる。ラカのビジネスパートナーカリン、親友エルニ、政党の秘書ギラ、ラカを取り巻く女たちの中、誰がララスを嵌め、家族を壊したのか。ララスの孤独な戦いが始まる。

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いや凄かった。凄まじかった。最終話で急激にハンドル切ってアクセルいれてきた。当然ブレーキを入れるシーンで思い切りアクセル踏まれたのでびっくりしてしまった。

ただの不倫ドラマだと思ってたんですよ。例年のリオデワント夢映画枠の。前半はミステリ要素入れつつ、不倫ドラマの顔をしていた。色恋だけではなくて出馬という政治的な要素が入っていることで、結構面白く仕上げているなとは思っていたけど、パンツを脱がせて投げるリオデワントが2話連続で出てきたこともあり、そういうドラマかという目で見ていた。

周りの女全員に性的に見られすぎて途中でラカが可哀想になることもあった。隙だらけで流されすぎではあるものの、それは性別を問わずセクシャルハラスメント(アプローチの域を超えている。性的接触がしたいなら同意をとれ)を受ける理由にはならないわけで、途中までは確かにラカも被害者だった。カリンに「このままじゃ父親の決めた相手と結婚させられるの!」と頼まれたからといって大物財界人の父親の前で偽のプロポーズするのとか流され過ぎだろ、とは思いましたが。少しは自分で考えてほしい。基本的になにひとつ自分では考えることがなかったこの男。でもとにかくスーパーホットなので全員がラカを手に入れたいというところの説得力はめちゃくちゃにあった。

ウィラが金で雇われララスに非はないということが発覚しても、3度の離婚宣誓(イスラム教の教条で、離婚は夫からしかできず、3回申し立てられた場合、復縁することはできなくなる。同じ相手と再婚したい場合は、妻が一度他の男との結婚、離婚を経る必要がある。法的な離婚はまた別)のせいで元の関係に戻ることはできず、エルニからのアプローチや娘の政治利用を巡る対立でララスとラカは何度もすれ違っていくが、ラカだけじゃなく他の女たちに比べてもララスの立場の弱さというのが際立っていた。恐らく(字幕が読み切れず不正確)ララスは婚前妊娠で、そのせいで修学も中途半端でキャリアもない。実母はそのことからラカを嫌っており、ララスに対しても「何もできないんだからせめて完璧な専業主婦でいて夫を繋ぎ留めろ」という。婚前妊娠、という立場は夫のラカも同じはずなのに、ラカは全てを手に入れてララスには夫と娘しかない。この落差。

また不倫と並行して描かれるのがインドネシアの一夫多妻制度で、これは現実としては数は少なく、ハードルも高い。(正式には一番目の妻の承認が必要、どの妻、どの子供にも全ての面で平等な扱いが要求されるため、相当な経済力がないとできない)けれども宗教上の結婚だけを行って法的には手続きしないもぐり一夫多妻もあって、映画等創作物でも一夫多妻問題はよく扱われることから、実態として全然ないわけではないのだと思う。ちなみに宗教結婚だけの場合第二の妻もこどもも立場はものすごい不利です。

ラカの政党の党首には第二夫人がいて、第一夫人には秘密にされている(本来許可が必要でも男にとってやりようはいくらでもあるということ)ため、ラカが手引きして会っいる。ララスは第二夫人であるフォニーに対して「女を傷つける女だ」と責めるが、フォニーも第二夫人であることを望んだわけではなく、また、第一夫人に内緒で二人を引き合わせるラカの行為が責められることもない。ここでもジェンダー上の不均衡がある。ラカは未だ被害者の顔をしているが、だんだんと気づかされる。特権にただ乗りしているのに気が付いていないだけの男であることに。

カリンとの契約を解除し、エルニのポッドキャスト番組を潰し、ララスを思い込みで責め立てるラカは、嵌められた被害者でもある。カリンもエルニもラカにハラスメントを迫ったし、ウィラを雇った犯人だと疑われても仕方がない。でも、被害者面だけをできる立場ではないはずだ。少なくともララスに対しては。事実、全てを失ったララスに対してラカはほとんど何も失っていない。特権によって得たものが少し傷つきそうになっただけで過剰に騒いでいるだけだ。幼いこどもみたいに僕のものは僕のものだと騒いでいる。

そのラカを誰よりも正確に理解していたのがギラだった。

ギラという女のヴィランとしての器のでかさ、肝の太さ、最低最悪なのに理解できてしまう振る舞い、すごいキャラクターでした。女であるという理由で積めないキャリア、後ろ盾がなければ体を使うしかなくそれが誰の目にも明らかなのに見て見ぬふりをされる状況、踏みつけられ、踏みつけられる存在を無視する世界を変えたいからこそギラはあちら側の人間になろうとする。そのために必要な道具としてラカに白羽の矢をたてる。この、目星をつけた瞬間のシーン、ラカの賢く美しく逞しい上辺と空っぽの中身がここまで積み上げられているからこそ、ぞくぞくした。ギラにはひと目でわかったんですよ、ララスも知らなかったラカの空虚さが。

ギラは完璧なラカを完璧な道具にするために、ウィラを雇ってまず家族を壊す。自分の支配下に置いて、再婚するならギラしかいないと思い込むよう状況をコントロールする。アクシデントはあっても計画通りに事が進み、ラカはギラの手に入る。

最終話、動かせない証拠をララスに握られ、ラカも知ることとなり、カリン、エルニとみなで協力してギラの犯した罪を世間に知らしめようとするシーン。もう残り15分を切っていてどう考えてもこれで大団円となるのだろう、あとはララスがラカの元に戻るのか、ここまでを支えてくれた誠実な学生時代の親友を選ぶのかで終わるのだろうと思っていた瞬間、ラカが裏切る。

本当にびっくりした。勧善懲悪エンド以外ないと思ってた。思わず残り時間を確認した。ここからどうやってもう一度ひっくり返すのと思ったらひっくり返らず、ララスたちは負けた。ギラが勝った。

ギラは浮気を繰り返す夫を捨てることにした党首の妻と手を組み、ラカを党の顔にすると約束することで裏切りを翻意させた。誰もが恐れる狼になれると約束してラカを自分のものにした。それでラカは家族を捨てると確信していた。

凄かった。

空虚なマッチョイムズを完全に利用してギラは勝利し、このままきっと妻の立場を利用していずれは自分が政界にうって出るのだろう。

負けた女も勝った女も、相手にしているのはお互いではなく男に支配された世界で、だから結局のところ男の手のひらの内で、どうしようもなく虚しさだけが残る話だった。でもギラの熱を忘れられない。人間ではなく道具になり下がったラカの目が忘れられない。凄いドラマだった。

 

リオデワントの演技も堪能できました。前半のホットさ、後半の気持ちの悪さ、ラスト、ギラに騙されたとわかりララスとの生活を懐かしく思う渾身の哀れを誘う愛らしい被害者面、道具になり下がり、でももう決して抜け出せないのがわかった開いた穴のような顔つき。素晴らしかったですね……可哀想な役をリオデワントにキャスティングするの、インドネシア作品の常ですがそれにこれだけ応えられるとそりゃあね…という気持ちになる。

Woman on Top(最終話サブタイ)素晴らしかったです。




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