
★★★★
シンガポールで移民として働くマヤとハリスのカップルだが、想像していたような生活ではなく、国を出るために作った借金に追い詰められている。残してきた母親の病気がわかったマヤは稼ぐために体を売ることを選択し、ハリスと別れる。一方のハリスもマヤのために違法な取引に手を染める。
誰にも守られない、頼るものは何もない、自分以外使える手段は何もない移民労働者の選択肢のなさが明白に示されていた。 選んだわけではなくそれしかなかったことなのに、責任は全て自分で負うしかない。選択肢を増やそうとすれば同胞を食うしかない。 2人が働く船の中のように世界の天井は低く、狭い。息ができないほどに。
船内というシチュエーションがすごく生かされていた。ドアをあければもうそこは共有の場所でプライバシーなどなく、部屋の狭さからだけではなく圧迫感がある。どこにでも行けるはずの海が檻になる。
ラスト、とてもよかった。捕まらなかったことも、搾取されることにナイフで否を突きつけることができたのも、マヤがハリスを置いていったことも。 最後のあれは、マヤの「選択」だったから。 Ertanto監督、ジャカルタvsエヴリバディとかアヴェマリアとか、暴力や搾取を描いても淡々と凪いでいる作風、すごく好きなわけではないんだけど惹かれるところがある。