
★★★★
誇り高い警察官だった祖父をもつ警官が、仲間の、やむにやまれぬ理由による不正を目にする1日
建築家で理想的な生活を送る男が、国を牛耳る権力者の家に突如呼ばれる1日
交通事故で母を亡くし、苦しみを忘れようと海辺のパーティーで薬に溺れる女の1日
イスラム教の教えを過剰に解釈し、それに合わないものを排除しようとして爆弾テロまで手を出す男の1日
やめたはずのギャンブルに舞い戻って過去に取られた腕時計を取り戻そうとする男の1日
これら一見別物のドラマが繋がりをもってラストに向かっていく。 すごく良かった!!
国を牛耳るソニーがまさにインドネシアの父的なものの象徴で、レザラハディアン演じる青年が自分の力で這い上がり手に入れたと思っている「理想的な」人生を最初から操作していたのだというところ、背筋が寒くなった。与え、そしてそれをいつでも奪うことのできる権力。
5つのストーリーを重ねることでその権力は警官に、カジノに、薬の売人に、公から末端まで及び、全ては繋がっていると示される。誰も逃れられず、どの行為も自由意志のみではなされず抑圧があることが感じられる。 でもその中で、ささやかな抵抗が示される。
権力者に成り代わることにNOをいう勇気から、爆弾ではなく友情を手に取る選択、自身の過ちを認め檻に歩いていくこと。大きな権力はそれらを押しつぶすけれど、抵抗したという事実はなくならない。 希望と絶望が糸のように依られた作品でした。
それぞれ独立した話の編み方もうまくて、ここに描かれていないこと、私たちの暮らす社会も映画と地続きであるように感じられる。
個人的にはアビマナさんの役が刺さりましたね……成り代わりたかった男、失えなかった男。 4人の監督で撮ってるのでおそらくパートごとに分けてるし、脚本も監督のようなんだけど、1人で撮ったみたいにまとまりがあった。