
母に謝った翌日の早朝、我が家の家電(いえでん)が鳴り、夫の話し声が聞こえてきました。
「…はい、わかりました。これから支度をして向かいます。…」
実母か?義母か?どちらの施設からだろうと思い、電話で話している夫の顔を指差し、次に自分を指差したところ、夫はしゃべりながら私を指差しました。
え?私の方?
だって昨日おしゃべりしたよ。
今日は兄貴も来るんだよ・・・。
私とおしゃべりした部屋には、朝の明るい日差しが射し、前日とは全く違う穏やかな顔で静かに、本当に静かに眠っていました。
享年満95歳。身体のあちらこちらに病気やケガを抱えながらも、担当医によれば老衰だそうです。
兄は九州の空港でそれを知り、電話の向こうで絶句していました。
兄は間に合うと楽観的に考えていたようですが、それは私も同じ。昨日の様子を知っているからこそ、久しぶりの母と息子の対面が実現するであろうと思い込んでいたからです。
結局、最期に会話ができた身内は私だけでした。
感傷にひたる間もなく、それからはいわゆる葬儀の相談で、急にあわただしくなりました。
そして、火葬場の予約がこんなにも取れないのかという現実を知るのでした。
※この先、母の内容が続くと思いますが、お読みいただければ幸いです。