
着物でお出かけする仲間がいるのですが、今回は上野の東京都美術館の刺繍展に行きました。私はクリスマスカラーのコーデで行きましたが、仲間の1人は刺繍が飛び柄の羽織で登場。各々のそういう気遣いも楽しい外出です。
さて、刺繍展はそれほどの混雑でもなく、ゴッホ展に行った際のチケットを見せたら入場無料でした。ありがたい。
会場には平野利太郎、尾上雅野、イルゼブラッシ・・・そうそうたる作家の作品がずらり。新しい作家さんたちの作品も、立体の難しいものから(自分が理解できないだけ、技術はすごい!)、キュートなものまで見ごたえがありました。
刺繍といっても本当に様々。日本刺繍の風炉先屏風(ふろさきびょうぶ:茶道のお点前の時にお道具の向こう側に置きます)では余白も十分生かされていましたが、欧風刺繍やインドの刺繍の作品では生地をすべて刺し埋めていたものが多かったです。それらは点描画のようでもあるし、印象派の絵画のようにも見えました。また刺すだけではなく、ビーズや生地を載せたり、染色したもの、映写した画面と組み合わせたものなどもあり、とにかく多種多様な技法を見ることができました。
昭和初期の刺繍科の学生さんの卒業作品も展示されていましたが、日本刺繍で刺された鳥の羽はピッカピカ!筆書きの自分の名前もすべて刺されていて、その技術にまた驚きました。こんなに才能のある女性たちはその後どんな道に進んだのでしょう。刺繍職人として働いたのか、それとも専業主婦になったのか・・・。
また千人針も展示されていました。そっか、これも刺繍なのか・・・。
私は昔、祖母のタンスから千人針の現物を見せてもらったことがあります。血の跡がついていて(茶色く変色していましたが)、子ども心にドキリとしたものです。
私自身、大学を卒業して勤務したのが刺繍と編み物の研究室で、刺繍を教える教授の助手として毎日毎日ひたすら刺して(時には編んで)いた4年間をおくりました。教授は日本刺繍と欧風刺繍をマスターされていらして、先生が刺した帯を見せていただいたこともあります。そんなわけで、一緒に行った友人よりは少しだけ知識があるので、ちょっと解説したりもしました。
50歳から刺繍を始めたという作家さんが80歳になっても精力的に海外に行って研鑽しているという展示もあったので、自分もまだ当分は裁縫をしていられるかなと勇気をもらえた展示でもありました。