
行くまではいつも気乗りがしない、実母との面会。行けば必ず「お前がここに入れた。」と開口一番文句を言われるからです。それでも会える時に会っておかないと何となく後悔してしまいそうで、重い腰を上げて会いに行きます。
今回もお土産は一口羊羹。羊羹なら賞味期限が長いし、室温でも保存できるので、認知症の母の管理下でも、施設の方に迷惑が掛かりにくいと思いますので。
どんな話題で15分間を乗り切ろうかと面談室で待っていたら、いつものように介助されて徒歩で入って来た母。最近はよろけそうになるそうで、まずはしっかりと座ってもらいます。
2人きりになった途端、母が
「あら、素敵なの着てるわね~。」
え~っ!?いきなり褒められちゃったよ。今日はそういう日なの?
「また自分で縫ったんでしょ?」と母。彼女は耳が遠いので、そばに寄って
「うん、20代の子が着るようなワンピースを自分でリメイクしたんだよ。だって私62歳だからさ。(笑)」
すると「え~っ!」と驚く母。
母は毎回、家族の年齢があやふや。自分の年齢は94歳だということはわかっていますが、我が子はだいぶ若いと思っている節があります。
「おまえはもうそんな歳なの?」
そんなって・・・(笑)。ハイ、そんな歳です。
それからいつものように「家に帰りたい。」と言ってきたので、今回は、はぐらかさずに「じゃあ、いつ帰る?」と尋ねたら
「明日!」
「明日はさすがに無理だね、こっちの準備もあるし。」と答えると
「また、お前はそうやって拒否するでしょ!」と憤慨する母。
あ、いつもの雲行き。ヤバい。
そこで「自分で荷物まとめて、トラック手配して帰って来ちゃったら?」と提案。
すると母は不安そうに「ドライバーさんに道案内ができるかどうか。」
「じゃあさ、自宅の住所を紙に書いて見せたらいいんじゃないの?助手席に乗せてもらえば、私の都合なんか関係なく、自分だけで帰れるじゃない。」
すると、「そうね、やってみようかしらね。」とまんざらでもない顔に。
機嫌が戻ってきたので 「家に帰ったら何したいの?」と聞くと
「自分が好きなものを食べたい。」のだそう。ちなみに彼女が食べたいものは。チャーシュー麺、寿司ならイカ、エビ、カニ、マグロ、貝、いくら、すじこ。中華ならシュウマイ、餃子、マーボー豆腐、肉まん。洋風は苦手だそうですが、カレーなら食べるのだとか。
「中華料理はひき肉を使ったメニューが多いね。」と言うと
「良い肉を包丁で細かくたたいてミンチにしたものはとっても美味しいのよ。Hさん、誘って銀座で食べたいなあ。」
昔はしょっちゅうHさんとお出かけしていましたね。母よりも年上のHさん、お元気かな。
楽しい会話を続けていたらあっという間に終わりの時間。母は施設の方と一緒に私を玄関まで見送りに来ました。とっても名残惜しそうに、私の手を握って「また来てね。」
ハイハイ、もちろん、また来ますよ。次回も今回のように楽しい会話ができるといいね。
室内履きがくたびれてきているのも確認したので、今度は新しい靴を持って行くから待っててね。