
昨日の総絞りの羽織生地の追記です。
解体中、襟の中から絞る前の部分が出てきたと記載しましたが、どうしてもその証拠写真をお見せしたくて掲載します。
羽織の襟は1m以上あるので細長い生地ですが、縫い糸を解いて折りたたまれていた生地を広げたらこのように2分割模様でした。真ん中ではっきり分かれていて、絞る前の生地は紅色に地模様。模様は昨日はペイズリー柄と書きましたが、よくよく見たら紗綾形綸子(さやがたりんず)という紋様でした。
着物を解いていると、内側に折り込まれている部分が身ごろにも袖にもあって、広げてアイロンで伸ばしてみたら結構長い生地だった、ということがよくあります。昔の人は縫い直して着ることが前提なのでそういう風に仕立てられているそうで、ハサミは最小限にしか入れないという文化だったわけですね。
それに当てはめると今回発見した紅色の部分も、将来的には襟が傷んだらその部分が表側に来るようにという設計だったのか?でも平成初期の品物だから、擦り切れるほどこの羽織を着るとは思えないので、伝統的な縫製として仕立てられているのかもしれません。
ちなみにこの色の絞りと紗綾形綸子の組み合わせはメルカリでもいくつか見かけて、羽織だったり帯地だったりですが、絞りの柄はそれぞれ違っていました。
手絞りだということがわかるように、絞った時の糸が2箇所残っていたのに、誤って1つは抜いてしまった私…。残り1箇所はそのままにしてあります。(画像で下から2つ目の白い花びらに、縫い糸と玉留めが見えるでしょうか。)
リサイクルショップに行くと、そもそものお値段に見合わないような価格で売られている和服も見かけます。リサイクル着物を楽しむ方としてはお安く購入できてありがたいのですが、糸を紡ぐところから始まって、染め、織り、刺繍、絞り、そして裁断して縫製することまでを考えると、申し訳ないような、やるせない気持ちにもなります。
昨年秋に近所の悉皆屋(しっかいや)さんに、従姉妹から譲り受けた袷(あわせ、つまり裏地付き)和服4枚のお直しを頼んでいるのですが、半年待ってもまだ完成していません。流石にだんだん暑くなってくると着る機会が少なくなるので、昨日悉皆屋さんに電話で尋ねたところ「夏物を優先しているのと、縫っている人が高齢で仕事がなかなか進まない。」とのことでした。
日本人が縫製してくれるなんてある意味贅沢なこと(和服はベトナム?縫製が多いと聞いています)なので、完成を楽しみに待っていようとは思いますが、これからの着物文化はいったいどうなっていくのやら…です。