
AWS re:Invent 2025 の 5大 Keynotes では、様々な新発表やメッセージがありました。
今回は5大 Keynotesを大まかに掴んでおきたい方向けに、簡単にレポートを書きました。
Keynotesまとめ
AWS re:Invent opening keynote with Matt Garman, AWS CEO

AWSの成長とグローバル基盤の強化
AWSは年間売上1,320億ドル、前年比20%増と圧倒的な成長。
S3は500兆オブジェクトに上り、データセンターは38リージョン・120AZに拡大し、世界最大級のネットワークを構築。
今や世界最大規模のクラウド基盤となり、企業・政府・スタートアップまで幅広い顧客が利用。
AIインフラと専用サービスの進化
AI分野ではAmazon Bedrockが10万社以上で利用され、AgentCore SDKは数ヶ月で200万回以上のダウンロード。
顧客データセンター専用AIインフラである「AI Factories」や4.4倍の計算能力・5倍の省電力「Trainium3 UltraServers」など、AIワークロードに最適化した新サービス・新ハードウェアを発表。
実物がステージにも登場しました。

AIモデルとカスタマイズの強化
Amazon Nova 2(Lite/Pro/Sonic/Omni)やMistral Largeなど、最新AIモデルを多数発表。
特にNova Forgeは、企業独自データを組み込んだ専用モデルを作成できる新サービスで、ソニーが既に活用し、登壇して業務効率や精度向上を実現したことを語りました。
日本の企業がre:Inventのキーノートで登壇するのはすごいことです。
エージェント技術による業務自動化
Bedrock AgentCoreでは、Policy機能やEvaluations機能の追加が発表。
そして、「フロンティアエージェント」の概念を発表し、開発・運用・セキュリティの自動化・効率化を推進し、AIエージェントが企業活動の中心になる未来像を語りました。
今回は、Kiro autonomous agent、AWS Security Agent、AWS DevOps Agentの3つが登場しました。

基盤サービスの拡充と顧客事例
最後には10分間で25個のアップデートを一気に発表。
S3最大オブジェクトサイズが50TBに増加、RDS容量拡大、Database Savings Plansなど、クラウド基盤の利便性・コスト効率を大幅に向上しました。
The Future of Agentic AI is Here
Swami Sivasubramanian
VP, Agentic AI, AWS
エージェントAIの進化と普及
AIエージェントは従来のチャットボットを超え、実際にデータを収集・分析し、課題解決や自動化まで実行できる存在へと進化。
Strands Agent SDKやBedrock AgentCoreなどのツールにより、開発者は少ないコードで高機能なエージェントを構築可能となり、多様な業界で導入が進んでいます。
エージェントの生産性・信頼性向上
AgentCoreは、エピソードを記憶する機能「Amazon AgentCore Memory Episodic Functionality」が追加され、ユーザーの過去の行動や状況を学習し、よりパーソナライズされた対応が可能にまりました。
講演では、Swami氏自身の体験として、エージェントの「エピソード記憶」機能を家族旅行の例で紹介しました。
一人で出張する際、ギリギリに空港へ到着するよう手配するが、家族旅行の際は過去の混乱した経験を学習し、荷物や子ども連れの状況を考慮して2時間前に空港到着するよう調整します。
このような、ユーザーの状況や目的に応じて、過去の記憶と現在のコンテキストを用いた最適な提案が必章であることを語りました。
モデルカスタマイズ技術の拡充
BedrockやSageMakerでは、強化学習によるファインチューニングやサーバレスモデルカスタマイズが容易になりました。
専門分野や業務特化型のAIモデルを短期間・低コストで構築できるようになり、Dhan(インド金融)、Blue Origin(宇宙開発)などが活用。Nova Forgeにより、独自データを組み込んだ基盤モデルの作成も可能になります。
Nova Actによる業務自動化と高信頼性
新サービス「Amazon Nova Act」は、エージェントによるUI操作や業務自動化を高い信頼性で実現。 Nova Actは、モデル・オーケストレーター・アクチュエーター・SDKが統合されており、企業のブラウザ業務やワークフローを簡単な言語コマンドで自動化できます。
The Partnership Advantage
Dr. Ruba Borno
VP, Global Specialists and Partners, AWS
パートナーと共創するAI活用
AWSはパートナーと共に、エージェントAIや自律システムを活用した顧客変革を推進。
AI・データ基盤の拡充と、AWSパートナーネットワーク(APN)の専門性を掛け合わせることで、業界ごとの課題解決や新たな価値創出を実現しています。
AIコンピテンシー認定パートナーは300社を超え、AI導入の生産性・スピードを大幅に向上させています。
AWS Marketplaceと新しいソリューション調達体験
AWS Marketplaceは、AIエージェントやSaaS、プロフェッショナルサービスを一括調達・導入できるプラットフォームへ進化しています。
今回の新発表では、エージェントモードによるAI活用型ソリューション検索、マルチプロダクト購入、ローカル通貨・請求対応、Express Private Offersによる即時見積もりなど、グローバルな調達・導入を大幅に簡素化したことが語られました。
新しいパートナー向けプログラム・認定
「Agentic AIコンピテンシー」がアプリケーション・ツール・コンサルティングサービスの3カテゴリで新設。
認定パートナーにはマーケティング支援やMarketplaceでのバッジ付与など特典を拡充。
Infrastructure Innovations
Peter DeSantis
SVP, Utility Computing, AWS
クラウドの本質的価値とAI時代の基盤強化
AWSは「セキュリティ」「可用性」「弾力性」「コスト効率」「アジリティ」というクラウドの本質的価値を、AI時代にも徹底して追求。
AIワークロードの増加に対応しつつ、これらの価値を損なわないために、長期的かつ深い技術投資を継続しています。
Graviton5プロセッサとM9gインスタンスの発表
AWS独自設計のGravitonシリーズ最新世代「Graviton5」を発表。
192コア・大容量L3キャッシュを1パッケージに集約し、前世代比で最大25%の性能向上を実現。
また、M9gインスタンスとしてプレビュー提供開始。
Lambda Managed Instances:サーバレスの新たな進化
LambdaのシンプルさとEC2の柔軟なハードウェア選択を両立する「Lambda Managed Instances」を発表。
既存のLambdaコードを変更せず、EC2インスタンス上で自動運用・スケーリングが可能になりました。
動画処理やML前処理など、従来サーバレスが苦手だった高負荷ワークロードにも対応できます。
S3 Vectorsの本格展開
S3のスケール・コスト効率を活かし、数十億ベクトル規模でも100ms未満の高速検索を実現。
また、Vectorsの保存や検索にかかる総コストを大幅に削減し、メディア・エンタメ分野でも新たな知見創出を加速できるようになります。
A Special Closing Keynote with Dr. Werner Vogels

Dr. Werner Vogels
CTO, Amazon.com
最後のre:Inventキーノートとしてのメッセージ
Werner氏は「今回が自身最後のre:Inventキーノート」であることを冒頭で明言しました。
14年間の登壇を振り返り、「AWSには若く新しい声が必要」と語りつつ、開発者コミュニティへの感謝とエールを送りました。
1つの時代の終わりを実感させられましたが、開発者としての現在地と未来を考えさせられる内容でした。
AI時代の開発者像と「ルネサンス・デベロッパー(Renaissance Developer)」の提唱
「AIで開発者は不要になるのか?」という問いに対し、「進化し続ける開発者こそが不可欠」と強調。
現代の開発者「ルネサンス・デベロッパー(Renaissance Developer)」に求められる5つの資質を提唱しました。
- 好奇心(Is curious)
- システム思考(thinks in systems)
- コミュニケーション力(communicates)
- オーナーシップ(is an owner)
- 博学者(is a polymath)


仕様駆動開発とAI時代の品質担保
AIによるコード生成が進む中、曖昧な指示や設計ミス、レビュー不足による品質低下リスクを指摘。
Kiro IDEの「スペック駆動開発」や自動推論、CI/CDによるテスト強化など、品質担保のための仕組みの導入が不可欠としました。
プロフェッショナルプライドと見えない価値
開発者の仕事は多くが「顧客に見えない部分」であり、運用・品質・安定性へのプロフェッショナルプライドこそが真の価値を生む。
最後は「自分が築いたものに誇りを持ってほしい。あなたたちの仕事は、誰も見ていなくても価値がある。私は皆さんのコミットメントを誇りに思う。」というメッセージで講演を締めくくりました。
まとめ
今年も盛りだくさんの発表がされたキーノートでした。
5つのキーノートを通じて、AWSはAIと開発者体験の向上で進化を続けていると感じました。
技術革新だけでなく、社会課題やコミュニティへの貢献、開発者の成長・誇りにも強いメッセージが込められていました。
変化を恐れず学び続けることが、これからの時代のイノベーションの原動力だと改めて実感しました。
技術者としての誇りをもって常に学んでいきたいですね。