私がダサピンク現象についてブログに書いてから、今年で10年になる。正確には、Twitterで呟いたのが2013年だったから、11年なのだろうか?ともかく、今でもこの言葉は死語にならず、まだまだ使われているようだ。
「ダサピンク現象」とは、決して「ピンク=ダサイ」という意味ではなくて、「女性ってピンクが好きなんでしょ?」「女性ってかわいいのが好きなんでしょ?」「女性って恋愛要素入ってるのが好きなんでしょ?」という認識で作られたものの出来が残念な結果になる現象のことを言います。
— 宇野ゆうか (@YuhkaUno) 2013年8月28日
yuhka-uno-no-nikki.hatenadiary.jp
残念な結果になった東京オリンピック開閉会式
近年起こった出来事で印象的だったのは、東京オリンピックの開閉会式だ。「プロ」の人たちが締め出され、素人である「偉い人たち」の口出しによって、全体的にしょぼくなってしまった出来事は、ダサピンク現象が起こる仕組みそのものだった。おそらく、パラリンピック開閉会式のほうがずっと良かったのは、「偉い人たち」が、障害者パフォーマーのことを知らなかったので、口出しがなかったからだろうと考えているのは、私だけではないはずだ。
今でも、リオ五輪の引継ぎ式と、パラリンピック開会式はわりと思い出せるのだが、オリンピック開会式は、森山未來の五体投地くらいしか印象に残るものがなかった。良いものができるかどうかは、クライアントの判断能力しだいなのだということが、ありありとわかる仕上がりだった。
資金の「中抜き」問題といい、まるで、日本の社会問題の縮図を見せられているような開閉会式だったので、ある意味、非常に「今の日本」を表していたと言えるかもしれない。
”企業のグッズとかデザインが微妙なものに「これ消費者が喜んで買うと思うのか、デザイナーは無能か」と感じるものが多かったけど、いざ自分がそういう職に就いたら「なるほどデザイナーがダメなんじゃない…企業の偉い人の"こういうのを作りたい"にセンスがないんだ…」という事に気づいてしまって闇”
企業グッズとかの微妙なデザインに「これ消費者が喜んで買うと思うのか…デザイナーは無能か」と思っていたが戦犯は企業の偉い人だった - Togetter [トゥギャッター]
”最初に日系の広告代理店系の仕事をした時に驚いたのは
- そもそも最初にコンセプトの話をしない。
- デザイナーを下請けとみていて「自分のいうことを聞いてくれる人なのか」という上下関係を異常に気にする。
- 途中経過でなにかの書類にサインをすることを嫌がる。なぜ下請けがクライアントの意思決定を限定するのか?と怒り出す人や意思決定するためには材料が足りないという人がいます。
という点でした。広告代理店の人もそうですしクライアントにもそういう人がいます。”
今後「社長、プロに口出しするとオリンピックの開会式みたいになっちゃいますよ」が企画会議などでの定番になってほしい。
— 鷲谷憲樹 (@nwashy) 2021年9月5日
欧米に比べて、日本はデザイナーの地位が低い。欧米では、デザイナーは専門職とみなされ、デザインの良さが売り上げに直結することがよく知られている。おそらく、欧米諸国は、「ものづくりの時代」はとうに終わり、第三次産業中心の国になって長いからだろう。
「ものづくりの時代」を生きてきた日本の上の世代の人たちは、デザインの重要性をあまり理解していない人が多いように思える。よって、クリエイティブな分野に対する「発注リテラシー」がない人が多いのではないだろうか。加えて、この世代の人たちは、概して、自分より上の立場の人の言うことを聞く訓練は受けているが、自分より下の立場の人の言うことを聞く訓練は全く受けていない。
日本のデザイナーや広告業界の人たちは、残業して長時間働いている傾向がある。ならば、日本のデザインや広告は、海外の5時になったら帰るクリエイティブ職の人たちよりも、頭一つ分飛び抜けて優れているのだろうか?しかし、実際はそういうわけではない。これは何が原因なのだろうか?
4℃(ヨンドシー)ハートネックレス問題
また、「ダサい」と論争になりがちなジュエリーブランド・4℃(ヨンドシー)が、実はずっと女性客より男性客のほうが多いブランドで、近年になって女性向けに舵を取ったリブランディングにより、初めて女性客が男性客を上回ったことも、ある意味象徴的な出来事だった。
これについては記事を書いてまとめたので、詳しい内容はこちらをお読みください。
このTweetから始まった話題も、かなり注目されていた。
4℃で働いてた女性と話したことあるけど「彼女さんへのプレゼントって聞いたから、ハートや甘すぎるデザインは避けて、シンプルで使いやすいやつをオススメするのに、アイツら(店に来る男性客)は話を聞かないでハートとか選ぶの。マジで話を聞かない」って言ってたのを思い出した😂 https://t.co/DRtpRoJ8Ub
— K🌙*.。⟡. (@euphoria_0426) 2024年12月2日
この「話を聞かない」については、色々な理由が考えられるが、こういう書き込みを見つけた。
”クリスマスになると女性陣からこきおろされるジュエリーブランドで働いてました。
男性はジュエリーデザインのことはよく知らないので、買いにくる男性に「彼女は普段どんな服装ですか?どんな雰囲気のものが似合いそうですか?どんな印象の人ですか?」みたいに、贈る相手のことを想像させます。
すると十中八九「可愛い服で、可愛い子だから可愛いものが似合います!可愛い=ハート!あ、これはハートで限定品なんですね。これにします」となります。
彼女が可愛いから可愛いハートを選んでるんですよ。”
……うん、これはどうやら、店員さんの質問の意図を全く理解していないな。
店員さんは、彼女の普段のファッションの傾向や顔立ちの系統を聞いて、できるだけ彼女に似合うものを選んであげようとしているんだけど、この質問は、「ファッションレベル1」の人にとっては、専門用語なのかもしれない。
「フルーツバスケット」という漫画の一場面を思い出してしまった。幼い娘が行方不明になった時、警察に娘の特徴を聞かれた母親の今日子の答え。「だから!かわいいボンボンつけてかわいい服着てかわいい声でかわいい顔したかわいい女の子だよ!わかったか!」「わかりません。」
大学3回生のときに、男友達が初めてできた彼女にあげるプレゼントにハートのネックレスを選ぼうとしてるのを全力で止めたのに、ハートのネックレスにしたの思い出した。まじで人の話を聞け!!!!!!!!!!!!! https://t.co/ELC97Qo13s
— ほかほか@ 7m🎀(2024.4) ☺︎ (@hokahoka__onsen) 2024年12月4日
ダサピンク現象を提唱した経験から言うと、少なくない男性から「お前がピンク嫌いなだけだろう」って言われるんですよね。ある種の男性は、「男性の頭の中に存在する架空の女性」を大多数の女性だと思い込み、それに異を唱える女性を「少数派の特殊な女性」と認識して、絶対に譲らない。「話を聞かない」には、そういう思考回路が働いている可能性もあるのかな。
例えば、ドラゴン自体が嫌いな男性は少ないけど、「そういうドラゴンが全面にプリントされているようなネクタイは売れないぞ」と言ったら、「あんたがドラゴン嫌いなだけでしょ」って言われて、ドラゴン嫌いな男がドラゴン好きな男を攻撃してると思われるみたいな、そんな感じになってしまう。すごくおかしいけど、どうやら彼らは本気なのだ。
「女性はデザインで判断している」ということ自体がわからない?
さて、最近書かれた記事だが、これもイマイチ的を外しているように思った。
” もともと、4℃はこれまで決してイメージの悪いブランドではなく、現在でもそうであると思う。むしろ、「価格の割に品質が高く、デザインも良い」という良いイメージのほうが強かった。
それが「価格が高くない」=「安っぽい」「学生でも買える」=「大人には向かない」というふうに文脈が変換され、SNSで流通してしまっているのだ。”
確かに、4℃は2000年代頃には「価格の割に品質が高く、デザインも良い」と評価され、勢いがあったようだが、その後は徐々に流行の変化から取り残され、2020年の時点では、ブライダルラインはともかく、一般ジュエリーのほうは、概ね女性からは「価格の割に品質は良いが、デザインは流行遅れ」という評価だったと思う。確かに使えるデザインのものもあるのだが、全体的に現代女性に刺さる商品が少なく、他の国産ジュエリーブランドと比較しても、4℃のデザインが良いとは言えない、という感じだった。
ただ、女性にプレゼントを買う男性たちには選ばれていたので、主に男性客に買い支えられていたということだろう。2019年2月期の売上比率は、女性25.4%/男性46.3%/カップル27.5%である*1。
この記事を書いた人は1971年生まれの男性とのことだが、もしかして、4℃は、その世代の男性たちにとっては、ずっと「価格の割に品質が高く、デザインも良い」というイメージだったのだろうか?
” 1980年代後半頃から、ジュエリーのギフト需要の高まりとともに、4℃は男性客を取り込む戦略を取ってきた。その「プレゼント用のラインナップなのに価格は高くない」という点が裏目に出てしまったようにも見える。
ブランド価値は、品質よりはイメージによって形成されるものだ。特に、プレゼントは「値打ちがあるものをもらった」ということが重要になるため、コストパフォーマンスのよい4℃のような商品は、必ずしもその価値が評価されるとは限らない。
いっそ、価格を上げてハイブランドとしてのポジションを獲得することを狙えばよいと思ったりもするのだが、価格を上げることはそう容易なことではない。特に、日本では「高級ブランドは海外ブランド」というイメージが強く、特にファッションやジュエリーでのハイブランド戦略はなかなか成功しないというのが実態だ。”
4℃に関しては、2023年の匿名宝飾店より以前と以後では、推し出している商品デザインが明確に女性向けに変化していることを抜きにして語ることはできないと思う。それに女性たちが反応して、女性客の売り上げが上がったのだろう。
前回記事を書いていた時も思ったが、デザインの判断軸がないと、価格やブランドイメージでしか判断できない。多くの男性は、女性のファッションなんてわからないから、価格やブランドイメージで判断するしかない。だからこそ、2020年の、30歳女性がCanal 4℃のハートネックレスをプレゼントされた件での炎上以前と以後で、男性客の売り上げが大きく落ちてしまったのだろう。
4℃について、多くの女性が判断軸にしていたのは、デザインだ。身につけるものに関しては、デザインは最優先事項と言っても良い。どんなに品質が良くても、自分の日頃のファッションに組み込めないデザインは、使えないのだ。
「プレゼントは『値打ちがあるものをもらった』ということが重要になるため」と書いてあるが、4℃ハートネックレスが多くの女性から敬遠されるのは、「使えないものをもらった」からだろう。まぁ、実用性も値打ちのうちではあるが。
”日本では「高級ブランドは海外ブランド」というイメージが強く~”という部分に関しても、どうなんだろうと思う。agete(アガット)、ete(エテ)、AHKAH(アーカー)、MARIHA(マリハ)などの国産ブランドは、実際に女性に人気があるし、プレゼントされたら嬉しいという女性も多いのだから。
コストパフォーマンスの良さは、悪い要素ではないと思う。例えば、ユニクロも、かつては「ユニバレ」と言われて、「ユニクロだとバレたら恥ずかしい」「価格に対して品質は良いけど、デザインがイマイチ」という評価だったが、デザイン性を高めたことで、「ユニバレ」と言われなくなった。これについては過去に記事を書いている。4℃も、「ジュエリー界のユニクロ/GU」みたいな位置を取れたら、強いかもしれない。
以前のデザインのまま価格を上げたところで、女性は欲しがらないと思う。かえって、プレゼントしてくれた男性に対して、「ああ、そんな高いのに使えないもの買っちゃって……」と思うだけだろう。とにかく、以前の4℃に足りなかった要素は、女性に刺さるデザインだ。
例えば、ゲーマーは「ゲームとして面白いかどうか」の判断軸を持っている。「これは面白い」「これはつまらない」「これは自分向きではないけど、人気があるのはわかる」など。大手ゲーム会社のAAAタイトルだからといって、コケる時もあるし、インディーズゲームでも面白いものはある。でも、ゲームをやらない人は、そこの感覚はわからないよね。デザインを判断する感覚も、似たようなものかも。
補足:なぜ4℃名物のラブリー乙女チックハートがダサいと認識されているかというと、単純に現在のトレンドから大幅にはずれているからです。15年以上前のエビちゃんOLや小悪魔アゲハの時代に流行したものなので、「古い」→「ダサい」という方程式。画像は2000年代のエビちゃんと現在のヨンドシー pic.twitter.com/VAiLhxlOlA
— 🍭👙大森さん(旧アカ)👄🍬 (@katsucurryomori) 2021年10月23日
2021年のTweet。まぁ、大多数の大人女性は選ばないデザインですね……
例えば、AHKAH(アーカー)のローラハートネックレス。こういう、非常に小ぶりでシンプルデザインなハートネックレスなら、受け入れやすい女性は多いと思う。様々な服装に合わせやすいし、オフィスでも使えそう。ただ、もっと言うと、「そもそも、自分にとってハート型のネックレスは必要か?」という判断基準もあるけどね。
ete(エテ)のレイヤー クレセントムーン ネックレス。4℃ハートネックレスと同価格帯ながら、大人女性が身につけて遜色ないデザイン。
2020年の、30歳女性がCanal 4℃のハートネックレスをプレゼントされた件では、多くの男性が「ハイブランド好きな女が、もっと高いものを寄越せと言っている」と解釈して、「女叩き」状態になっていた。
薄々思ってはいたが、もしかして、デザインがわからないと、「女性はデザインで判断している」ということ自体が、わからないのかも?
「王道」の女って何だ?
はてなで4℃といえば、こちらの記事という気がする。2016年に書かれた時には批判を浴び、例の30歳女性がCanal 4℃のハートネックレスをプレゼントされた2020年に再掲された時は、それほど批判を浴びていない。2024年の今、読み返すと、また違った印象を受けるのだろうか?
2016年は、「ノームコア」という「究極の普通」を体現したファッションが流行っていた時くらいだ。最初に「量産型女子大生」と言われた、茶色く染めた髪をふんわりと巻いて、リズリサのワンピースを着て、サマンサタバサのバッグを持っているガーリーな女子大生の時代は、2013〜2014年頃をピークに過ぎ去っており、スポーティーな恰好や大人系の恰好が女子大生のファッションになっていたという。この時代だと、確かに、4℃名物ラブリー乙女チックハートネックレスが、既に「ダサい」と認識される時代になっていたとしても、おかしくない気はする。
トイアンナ氏の記事では、何度も「王道」という言葉が出てくる。
”何歳になっても4℃で心から喜べる女性はチョロいかもしれない。王道ファッションを好むと分かっているからだ。リッツ・カールトン、ディズニーランド、パリ旅行と喜びそうなものが想像できる。従って男性がプレゼントを考える時間も少なくてすむ。どれもお金さえ払えば手に入るから、彼女の笑顔をたやすく手に入れられる。”
それにしても、「王道」とは何だろうか?確かに、4℃は、長らく男性にとって、女性に贈るジュエリーのブランドとしての王道だったかもしれない。だが、女性にとっては、実はかなり以前から王道ではなくなっていたのではないだろうか。今後、4℃が再び女性にとっての王道になる時が来るかもしれないが、今の時点では、王道とは言えない気がする。
また、昨今はパリ旅行も最早王道ではないかもしれない。最近の女性たちが行きたがるのは、韓国が主流かもしれない。*2
もし女性の「王道」というのが、「男性の頭の中に存在する架空の女性」に合致する女性のことならば、それはあまりにも男性目線なのではないだろうか。女性目線で見た「女性の大多数はだいたいこんな感じ」を「王道」にしてもいいような気がする。
たとえ好みが「王道」でなくても、「予算言ってくれればこっちで考えるよ」という女性は、相手の男性はプレゼントを考える必要もなく、彼女の笑顔を手に入れられるから、チョロいと思う。ただし、こういうタイプの女性は、「女の子ってこういうの好きなんでしょ?」系の男性とは、抜群に相性が悪い。ちゃんと相手の好みに耳を傾けられる男性と付き合う必要がある。
ダサピンクが生み出される発想は、女児の発想とほぼ同じ?
前々から、ダサピンクなデザインは「女児っぽい」と言われてきた。「どうも上司は女児と女性の区別がついていないのでは…」というコメントを頂戴したこともある。*3これは、ダサピンクが生み出される発想が、女児の発想とほぼ同じだからではないだろうか?
ごく幼い女児は、ピンクやハートやレースやフリルなど、「女の子向け」とされているものが大好きな子が多い。これは、子どもが「自分は〇〇」というアイデンティティを獲得していく過程で、まず性別が最もわかりやすいものだからだという。
しかし、成長するにつれて、女の子の好みは変化してくる。小学校高学年になると、「ピンクは幼い」という感じがして、大人っぽい白黒のモノトーンを好むようになる女子が増えてくる。
カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんによると、平均的な幼少期の女の子は「かわいく女の子らしい」ピンクを選ぶ傾向があることは確か。「女の子はピンク系、男の子はブルー系という大人の既成概念でカラー展開されている子供服やおもちゃなどを見て『私は女の子だからピンク』という意識が働いているものと思われます」。
しかし、成長して「自我」が目覚めてくるに従い「みんなとは違う色がいい」との意識が芽生え、水色などを選ぶようになると考えられるとのこと。さらに中学生の頃になると「大人っぽいもの」への憧れからモノトーンが増えてくるといいます。
次に、女子の好きな色を学年別にみてみよう(図H-4参照)。特徴的だったのは、以下の3色である。「ピンク」は、学年が上がるにしたがって、好きな者の割合が急激に減る(「ピンク」1年:62.1%→6年:38.8%)。反対に、「黒」と「白」は、好きな者の割合が増えるということである(「黒」1年:5.8%→6年:16.5%、「白」1年:1.0%→6年:13.6%)。高学年の女子に「ピンク」が不人気なのは、彼女たちが「ピンク」を幼い色と捉えているからなのかもしれない。学年によって、好きな色が変化する部分があることがうかがえる。
ただ、大人になると、一周回ってピンクも良いと感じる女性が増えてくる。それは、ピンクという甘い感じがする色も、デザイン次第で子供っぽくならないようにできることに気づくからだ。また、好きな「カラー」より、好きな「テイスト」に比重を置く傾向が強くなる人が多いため、単に「好きな色は?」と聞かれて答える色と、実際に使う色が、一致していないことも多くなる。
ダサピンク現象を観察していると、多くの男性には、この「一周回って、子供っぽくないデザインにすれば、ピンクは大人女性にも使える」という感覚がないのだろうと思う。なので、「女性=ピンク・かわいい」を何のひねりもなく使って、結果、女児向けピンクデザインになってしまうのかもしれない。
女児「ピンクは女の子の色!ピンクかわいい!ハートかわいい!レースかわいい!だからピンクのやつにする!」
男性「ピンクは女の子の色!ピンクかわいい!ハートかわいい!レースかわいい!だから女性用はピンクのやつにする!」
大人の女性「仕事では、『かわいい』よりも、プロフェッショナルに見えるかどうかが大事」「子どもっぽいのは嫌」「流行遅れなのは嫌」「私はナチュラル系が好き」「私はモード系が好き」「私はエレガント系が好き」「私はアンティーク系が好き」……
一方、女性が「大人の男性向け」のものを考える時、ごく幼い男児が好むようなデザインにしてしまうことは、まずないだろう。このTweetだって、「普通、大人の男性にこんなものプレゼントしないでしょ」という前提があるから言えることだ。この非対称性は、一体どこから来ているのだろうか?
「プレゼントにハートのネックレスはダメ」と話題ですが、男性に置き換えるとコレをプレゼントされている感覚に近いと思ってます pic.twitter.com/vikwf4XTqQ
— みーちゃん (@mi_chan_150cm) 2020年12月23日
これは「魔界のドラゴン夜光剣」というそうだ。
ちなみに、女児向けアクセサリーで有名なセボンスターが、2024年で45周年を迎えたとのこと。
大人のセボンスター、1万2千人のファン投票で商品決定!『セボンスター』45周年記念・本物の宝石を使った本格ジュ... https://t.co/j8eTyeczbb pic.twitter.com/ybS8WiauDh
— PR TIMESライフスタイル (@PRTIMES_LIFE) 2024年8月30日
ダサピンク現象について言及されている書籍
ここに載っていないものがあったら、ぜひ教えて下さい。
女の子は本当にピンクが好きなのか(著:堀越英美)
このブログの記事”「ダサピンク現象」から5年~『女の子は本当にピンクが好きなのか』より”でも紹介しているが、堀越氏は、本の冒頭で、ジェンダーを意識せずに育てたつもりの娘さんが、3歳でピンク星人になってしまったことを述べ、ピンクとジェンダーの関わりについて、欧米と日本の事例から解き明かしていく。
「ピンク=女子」は欧米発祥なのだが、その意識が社会に根付いたのは、意外とさほど古くない。日本では「ピンク=女子」より「ピンク=エロ」のほうが歴史が長い。
もっとオシャレな人って思われたい!(著:峰なゆか)
主に、生理用品のパッケージ等のデザインについて言及する際に、「ダサピンク現象」が使われている。
生理用品といえば、私が以前から思っているのは、香りつきパンティーライナー。一時期よりはマシになったけど、やたら「女の子!」って感じでキラキラしてる商品が多いと思う。そんなに香りやパッケージデザインに拘るなら、フレグランスソープのパッケージみたいな感じにしてくれ!
峰なゆか氏は、ダサピンクデザインは男性向け風俗のデザインに似ているという。
ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生(著:笛美)
著者は広告企業で働いていた女性なのだが、ダサピンク現象が起こる現場について、すごく生々しい描写がある。
下のサイトで試し読みできる。
「女の子案件」(若い女性向け広告、という意味だろう)としてメンバーに呼ばれているのに、若い女性が言うより、先輩男性が言ったほうが聞いてもらいやすい。だから、あらかじめ男性のクリエイティブ・ディレクターに、「女性はこう考えますよ」と根回ししておくという。若い女性向けの広告を作っているのに、なぜ、当の若い女性の言うことに耳を傾けられないのか?と思うのだが、残念ながら、これはすごく想像がつく光景だ。
「若い女性クリエイター」として仕事に呼ばれているのに、結局は男性が妄想する「女の子が好きそうな企画」になってしまう。一体、何のためにメンバーに呼ばれているのか……?
わたし、いい人やめました(著:カマンベール☆はる坊)
明確に「ダサピンク現象」という言葉は出てこないけど、ダサピンク現象そのもののエピソードが登場する。
「働くクール女子」向けの商品企画で、アンケートや売り上げデータでも「青」「モノトーン」がウケていると出ているのに、クライアント先営業部長のおじさんが「なんで『ピンク』や『ハート』がないんだ!!」「女性は『カワイイ』が好きだろ!!」と言って、全く話を聞かない。
著者たちが、なんとか「ピンク×ハート」でもクールめなデザインにしようとするも、「ピンク×ハート×カワイイ」デザインに拘るおじさん。結局、そのデザインだけ売れてないのに、第二弾でもまた乙女デザインを加えろというおじさん……
Numero TOKYO 2022年9月号
「ダサピンク現象」については、内容的には下のサイトのものと同じ。漫画家の瀧波ユカリさんのイラスト入りで紹介されている。
”女性向け商品が残念なデザインになる謎
女性は「ピンクが好き」「かわいいのが好き」「恋愛要素が入ってるのが好き」という固定概念から、女性をターゲットにしたプロダクトが、当の女性消費者にとっては手に取りたくない、微妙なデザインになる現象のこと。2013年に宇野ゆうかが提唱し、14〜15年にかけてネット上で議論を巻き起こした。女性向けコンテンツにピンクやハートが多用される現状に一石を投じるきっかけになった。「ピンク=ダサい」という意味ではない。”
女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選(著:北村紗衣)
”「キューティ・ブロンド」ダサピンクを脱する映画の、ダサピンクになってしまった日本語タイトル”
「キューティ・ブロンド」の原題は「Legally Blonde」だ。
私の中では、なんとなく「紳士は金髪がお好き」と「キューティ・ブロンド」がセットみたいになっている。どちらも、欧米における「おバカなブロンドの女の子」というステレオタイプを扱っているし、どちらの女性もピンクのドレスを着ているから。
「紳士は金髪がお好き」は、マリリン・モンロー演じる、結婚相手は金持ちであることが重要だと考えている、おバカでお気楽なローレライと、ジェーン・ラッセル演じる、姉御肌でイケメン好きなドロシーのコンビの物語。最後のほうのセリフで「えっ⁉」と思わされる。ある意味、「男性の頭の中に存在する架空の女性像」の物語だ。
「紳士は金髪がお好き」の象徴的なシーン。マリリン・モンローが「Diamonds Are a Girl's Best Friend(ダイヤモンドは女性の親友)」を歌うシーンの、有名なピンクのドレス。
Pink dress of Marilyn Monroe - Wikipedia