
去年の10月にミツメの実質解散*1記事を書いたばかりな気がしてたのにthe pillowsまで解散してしまうのか…35年以上の長きに渡る活動、お疲れ様でした。
なんとなく40周年とかのタイミングで束の間の再結成とかを少し期待込みで予想してもしまうけども、しかし解散したことで、ディスコグラフィが一応の完結を見た、と考えることも出来なくはないし、まあそう考えて振り返ってみると、個人的な思い入れも混じりつつ、やはりとても格好いいバンドだったなあ、と思われて、それを残すことが、せめてものバンドへの手向になると思えたので、書きます。全部で22枚のオリジナルアルバム+カップリング曲集2枚から8枚の簡単なレビューと、彼らが強力に独自の存在感を発揮し始める1997年以降に積み上げていった膨大な楽曲群から35曲をチョイスして見ていく、という、構造の時点で文量がある程度長くなることが約束された構成で行きます。まずは前半。
バンドの来歴なんかはWikipediaでも見てもらえればいいと思います。書きたい部分があれば適宜以下の文章に盛り込みます。リリースが2019年を最後に停滞しそのまま解散に至ってしまったやるせない部分に関する安易な憶測なんかも含めて。
アルバム8選
22枚中8枚を勢いで選んだわけですが、まあキングレコード時代に偏ります…この辺はリアルタイムでどのあたりから聴き始めたかで左右される部分もあるかもですが。「フリクリから入ったにわか」なる概念ははるか昔になりにけり。
①『Please Mr. Lostman』1997年1月リリース

解散した今となっては見え方が少々変わってしまったジャケット。Moonridersにはならなかったんだな彼らは。
スウィート気味で売れることを目指した路線だった第2期から日本のオルタナティブロック第一人者な第3期への変わり目となる作品と評されることが多いけども、ことはそんなにシンプルじゃない。明確にUSオルタナしてるのは冒頭の『STALKER』くらいのもので、2曲目から早速UK的なジュクジュクと潤んだギターが聞こえてきて、その後のサウンドの基本もそっち。ギターはリフよりもアルペジオ、って感じ。曲調の緊張感や歌詞の雰囲気は明確に第2期と違ってるけども、しかし音の感じは『ハイブリッド レインボウ』あたりで確立された乾いたドライブ感とはまるで異なる潤みを帯び、リズム的にもthe pillows節な荒涼とした平坦さよりももっとバウンド感がある。
総じて、“過渡期”と呼ぶのも少し躊躇われる、彼らのディスコグラフィの中で突出してUKロック的な煌めきとドロっとした感覚を併せ持った孤独な存在感の作品、という印象*2。4枚も切られたシングル曲はどれも強力かつうち3曲は重厚長大な作りでもあり、その3曲が連続する中盤の凄まじさは彼らの全キャリアを通しても特殊な情緒が吹き荒れている。曲順的にもアルバムの中心的な位置に『ストレンジ カメレオン』という記念碑が置かれているところはさりげなくコンセプチュアル。シングル曲以外はどこか牧歌的な感触の曲も並び、そういえばこのバンド名は1982年のネオアココンピ『Pillows and Prayers』から取られたものだったというのを思い出させる。末尾のタイトル曲はアルバム曲中で最も気合の入っていただろう曲で、アルバムタイトル曲に名曲を持ってくる彼らのスタンスが表れていて、「最終曲に軽い曲を持ってくる」というthe pillows定番のアルバム構成はもう少し先の話。
本作に圧倒的に込められたUKロック要素は、しかし典型的the pillowsなスタイルになって以降も時折顔を出すことがあり、またこの頃までに特徴的な素直で朴訥としてナイーヴな歌い方も、なんか第4期あたりから復活傾向にあった。あと、言うまでもないことですがアルバムタイトルはThe Beatlesのカバーで有名な『Please Mr. Postman』のもじり。このバンド、所々でThe Beatlesへの信仰を差し込んでくる。
あと、歌詞の袋小路に入り込みまくった尖りっぷりは随一。よくファンから引用される、作者人間嫌いなんだなあ、その上でめっちゃ人恋しいんだなあって感じのフレーズがポンポン飛び出してくる面白さが今作にはある。
あの好きだった映画は 今になって流行りだした
懐かしくて嬉しくて きっと寂しくもなるはずさ
僕も 時計も少し狂ってる 進んだり遅れたり
いつも 今より似合う場所が 何処かにあるような気がしてる
プラスチックの涙を砕くアイスピックを持って
『ICE PICK』the pillowsより
勘違いしないでね 別に悲しくはないのさ
抱き合わせなんだろう 孤独と自由はいつも
もしも全てが嘘で ただつじつま合わせで
いつかなついていた猫は お腹すかせていただけで
すぐにパチンと音がして 弾けてしまう幻でも
手の平がまだ暖かい
『ストレンジ カメレオン』the pillowsより
②『RUNNERS HIGH』1999年1月リリース

『ハイブリッド レインボウ』という自身のポテンシャルをUSオルタナ方面に見出す名曲はありつつも、『LITTLE BUSTERS』はまだシングル曲が引っ張ってる感の強いアルバムだった。あのアルバムで掴んだ感覚を強烈にブーストして、色々と極端に振り切って見せ、そしてシングルに変にテンションブチ切れた変な2曲を切ったことでアルバムのバランスが変化したのが『RUNNERS HIGH』というアルバムだと、時系列的に述べれそう。
特にアルバム前半における、そのよりソリッドになった曲構成と、そしてブチギレたような太くファズめいたギターの歪みは特徴的で、次作で完成するthe pillows式の標準オルタナフォーマットよりも勢いが少しばかり極端。変なシングル2曲『インスタント ミュージック』『NO SELF CONTROL』が両方とも違和感なくこの前半の流れに混じってるところ*3からしても、本作の吹っ切れて攻撃的なテンションは窺えるし、本作の大きな特徴。ゴリゴリにグランジな『White Ash』みたいな曲まである。中盤『Wake Up, Frenzy!』あたりから少しノリが変わってきて、かつてのUKロック要素が顔を出しつつ、インスト曲以降は彼らでも珍しい、空間系エフェクトの効いたギターサウンドが頻出する流れが出てくる。ポップな曲も挟みつつ、前半とはまるで異なる奥行きと哀れみを持った楽曲が現れる様は不思議でもある。
総評としては、極端な攻撃性の前半と、シューゲイザー要素さえ少し覗くくらいの空間的サウンドが聴ける後半とが強引に共存する、勢いと実験性を兼ね備えた作品。ジャケットのデタラメな勢いもまた本作の味*4。あと、いかにもライブ演奏ウケを狙ったタイトル曲の拍手から壮大な広がりを見せる最終局の流れはもしかしたら『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のオマージュか。ここでもThe Beatlesか。
無意識のまま歩けばいつも同じトンネルの前で
今入るのか?出たのか?
わからなくなりキミを探した 闇をめくって
きっと一瞬でいいんだ
触れたい マトモでなんか いられなくなった
『Wake up, Frenzy!』the pillowsより
マニュアルライフのアニマル ナビゲートされてハッピー
カウンセラーのささやきはOK
レンタルのセンチメンタル ストレスゼロならハッピー
頭のパイプカットならOK
インスタントミュージック 世界中に溢れ 子供たちは溺れてる
ダイエットミュージック ほら 夢中になって くたばっちまえよ
『インスタント ミュージック』the pillowsより
それにしてもいつ見てもヤケクソにひどいPVだ(笑)尖っとる。
③『HAPPY BIVOUAC』1999年12月リリース

誰やこのオッサン!?となってしまう、別に内容とも関係してなさそうなこの変なジャケットのこのアルバムがこのバンドの最高傑作候補だというのはシュールだし、冒頭のゴツゴツしたタイトル曲で「頂上なんてないんだ」と歌うのに本作がひとつの頂上めいた存在なのは皮肉なものだけど、絶好調というのは待ってはくれない。むしろそのタイミングを貪欲に捉えて果敢に1999年2枚目のアルバムとしてこれを作り上げたバンドがえらい。
USインディー趣味を音でも作曲でも歌詞でも様々に発出させつつ、コンプレックス混じりの閉じたまま開けた世界観をカラッと乾いて歯切れのいいポップなメロディとギターサウンドに昇華させるという“the pillowsの典型パターン”を完全に確立した作品。どの曲においても「ゴツゴツして格好いいオルタナなギター鳴らしてえ」感じが伝わってくる音色を手を替え品を替え放ってくる感じがとても良い。冒頭のタイトル曲からして、ベタベタに歪んだギターをユーモラスにうねらせるリフ*5を軸に据え、低音ブリブリなギターにモロDinosaur Jr.なギターロックに、と順番に出た後にとどめの『カーニバル』の荒涼とした感覚でこのバンドのオルタナ性は極まる。本当よくこれをシングルに切ったもんだよ…。その後もPixiesにあやかった曲2連発などあり、その後にしれっと地味な具合に置かれた『Funny Bunny』が後々あんなに広く評価されて代表曲になるなんて思ってもなかったと本人さえ言う。雄大な曲をラスト前に、最後を短くサクッとした曲で占める、というthe pillows鉄板パターンも本作から登場する。
個人的にはここで確立された「これこそthe pillows!」なサウンドをもとに繰り広げられるキングレコード時代の作品群が彼らの全盛期のように感じてるけども、本人的には『Please Mr. Lostman』から本作までがそんな感じらしい。また、一躍バンドの存在を(主に海外において)有名にしたアニメ『フリクリ』において本作からの楽曲が最も多く使用されてるのは、あのアニメの世界観がこのアルバムの雰囲気をそのままキャラクター化・映像化したようなところがあるからか。あの、ナンセンスか否かよく分からんけども、世界を斜め見るはぐれものなりのスカッとした感覚、根拠不明の身勝手な全能感。本作の空気はまさにそんな感じ。そう思うと『Funny Bunny』はやっぱちょっと特殊だよなと。『RUSH』もややそうか。
催眠術の仕業みたいに 唇は動く キミニアイタイ
感傷的な物語には ありがちな孤独 脇役の恋
うまくこすって消せるはずだった
僕はまだ キミの庭に 繋がれてるんだ 犬の様に吠えるだけさ
『Back seat dog』the pillowsより
最後に笑った記憶 思い出せない程 抜け殻みたいな彼女
すっかり変わった街で 育ててる孤独を 僕にわけてくれないか
閉ざされた彼女のドアを 壊れる程 何度もノックした
Come on! こわがらないで ほら キミは自由
このやまない雨に 濡れながら行こう
『RUSH』the pillowsより
④『Thank you, my twilight』2002年10月リリース

同じ構図・色合いでメンバーが女装してるジャケットのカップリング集も同時リリースされて少々ややこしい。この辺の時期は山中さわおの好不調はあれどバンド史的には特に書くことのない安定期が続く。既に大概ベテランじみていながらだいたい毎年コンスタントにアルバムを出すバンドと、この時期既にそうなってたように思う。
ドンシャリ気味なギターサウンドに効果音的なシンセも珍しく割と多く入った人工調味料的・デジタル的な感覚が効いた、サクッとした尺と構成の曲と大曲とのコントラストも明瞭な、ポップでブライトで所々毒も効いた、バンドで最も「スタジオで編集し倒した」感のある作品、といったところか。リリース時はハイファイさを求めてリードギターの真鍋吉明が全てライン録音したことを特徴としてインタビューで挙げてたけども、後年それはスケジュールと予算の都合で、音が悪いから録音し直したかった、と述べている*6。そんなに悪いかな…*7。アルバムは彼らの作品でも屈指の適度にオルタナな軽快なテンポで進行していく。人気の高い『バビロン天使の歌』もサビの熱量の割にかなりダサカッコいいイントロを有してるせいか軽快な流れをそこまで阻害しない。アルバムの重みの部分をシングル曲『白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター』*8とアルバムタイトル曲のみに託した、かなり思い切った構成にも思える。割と暗い内容を歌う『ROBOTMAN』すら軽快なドライブサウンドで流れていく。そして、要所要所に隠し味的に仕込まれたシンセの煌びやかさや宅録感が、楽曲に軽快さだけでない捻くれた奥行きをサラッと付与する。
それにしても、アルバム各曲の軽さの分をもしかしたら1曲だけでも十分にお釣り返せるくらいの“重み”を持ったタイトル曲の素晴らしさ。本作の特徴であるシンセが最もチープな形で、そして最も印象的な形で用いられる瞬間。あのイントロのためだけに本作他の曲でシンセ入れてたんじゃないかとさえ思えるような。この曲のことはずっと後で改めて書こう。
もうやめときなって言われ続けてる キミへの想いは揺るがない
眩しくて触れない夜を 泳いできた彼女
からかっているんだ たぶん
変な気分さ こんな僕に出来る事 ずっと考えているんだ おかしいな
遊園地のうたかたのライトに はしゃいだ恋のシルエット
キミとキスした
『ウィノナ』the pillowsより
バカみたいに深く息吸って 耳ふさいで唾吐いて
夢中だったオモチャの兵隊は もう一歩だって進まない
このスープは すっかり冷めている
特別じゃない 終ってゆくんだな
『白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター』the pillowsより
シングル版はアルバム版で追加された印象的なギターイントロがない。あれは絶対あった方がいい。
⑤『GOOD DREAMS』2004年11月リリース

今回選んだ8枚の中で一番地味なのはこれだってのはよく分かってる。『Please Mr. Lostman』以降のキングレコード時代で一番地味なのは『Smile』かこれだろうから。リアルタイムで新作に最初に触れたのがこれだった、という個人の思い入れもあるのかもしれない。これを入れたくて7選から8選に増やしたくらい。だって、これ以外の7枚はあまりにチョイスが妥当すぎる。もっと書き手の個性を示したいじゃんか。
閑話休題。結成15年のアニバーサリーイヤーで、セルフカバーミニアルバムやトリビュートアルバムが出た後に満を辞して出たアルバムとしては確かに最高に地味だけども、決して無味な地味さではないことは強調したい。多分本作か前作くらいからギターのダビングが減ってきてることも地味さに関係してるのかもだけど、ギターソロでさえ音を埋めすぎないスカスカ加減が、オルタナティブロックのローファイでオフビートな側面を巧妙に描き出す、そんなサウンドで円熟したソングライティングの楽曲を並べた、彼らの作品で最もローファイ的な趣を見出せるアルバム、と言えるんではないか。実際楽曲名に『ローファイボーイ, ファイターガール』*9なんてのもあるくらいだし。
本作もまた、作品中の“重み”を強力なタイトル曲に背負わせた感が色濃くあるけども、確かにそれだけの強力な曲*10だし、その分の他の曲の“軽量さ”が軽快さではなくスカスカな空気感に現れているところが、本作が地味とされる原因でもあるし、そして間違いなく良さでもある。この後の35曲に残念ながら入れられなかったからここで書くけど、『オレンジ・フィルム・ガーデン』はthe pillows的なスカしたポップさをローファイの範疇で鳴らした最良の楽曲だと思う。曲が良ければ伴奏なんてこんくらいスカスカでもどうにかなるし、それでどうにかすることで出てくる面白みは確実にある。そんなことをこの曲は示してる。UKギターポップをローファイで演奏したような『New Year's Eye』の冴えなさも実に魅力的。
もしかしてオルタナ度合いでいけば「動の『HAPPY BIVOUAC』、静の『GOOD DREAMS』」なんじゃないか、という思いをいつの間にか本作に抱くなんて、2004年にリアルタイムで聴いて「地味だ…」って感じた時には思いもしなかったな。本作のそんな魅力のことをもう少し突っ込んで、以下の記事で書いてました。
チャンスを見過ごした 僕の綱渡りは
墜落を待ってるだけみたいだ
キミとバランスとって 揺れていた日々
上手くできたパズル 完成するんだと
信じていたよ 青い空見ながら
『New Year's Eve』the pillowsより
禁断の実を噛って 裸になった風景 夢はもう夢じゃない
熱が下がらなくて 苦い薬も飲んだ
今全部吐き出したい気分 Ah Yeah
『その未来は今』the pillowsより
⑥『MY FOOT』2006年1月リリース

キングレコード時代最終作。前2作で取り組んだ「ギターを極力2本以上ダビングしない」というスカスカ気味なアレンジをさらにツインギター的に発展させつつ、楽曲はよりポップさに磨きをかけた、the pillows式アレンジのもうひとつの完成形と呼べそうな作品、と言えるか。マンネリの危険をクオリティで回避したとも。
冒頭のタイトル曲の時点でポジティブでポップでかつゆったりと力強く、この曲がアルバムの印象をかなりポジティブ寄りに引き立てている感じはある。そしてこの曲でも「フレーズのリードギターとコードを弾くリズムギター」の関係性ではなく、2本のギターで別のリフを掛け合わせるなどの意欲的な取り組みが見られる。本作のギターアレンジにおける目標は間違いなくそこであり、そしてそれを端的に実現した上で正面切った凛々しいポップさも担保したシングル曲『サード アイ』は彼らにとってひとつの達成だったのかなと思える*11。この曲、ギターソロさえなくて、代わりに2本のリフの掛け合いで間奏終わらすもんな。サクサクと進行させつつも、終盤に『My girl』『さよならユニバース』の連打でアルバムにある程度の重みを残すのも忘れない。最終曲『Gazelle city』がまた、定番の締めの軽い曲にしては、左右交互に出てくるリフの応酬やきっちりと盛り上がるメロディなど完成度が高く、それでいて3分弱に収まる尺という、「the pillowsの締めの軽い曲の最高傑作」めいた、軽いのか軽くないのかどっちやねん、という仕上がり。
リアルタイムで聴いた時も「これはまた新しい名盤をひとつ作ったなあ」とか思ったもので、その後も数年に1回いいやつ出してくれる感じだろうと思ってたけど、この後にavexに移籍して、当時のavexなんて悪い意味で最メジャーどころという悪いイメージがあったから不安がったりして、まあでも彼らほどの熟練の方々がそうそう所属レーベルくらいで変わりもせんだろ、と思ってて…しかし残念なことに、あまり良くなくなってしまう。the pillowsに興味を持たなくなるなんて、本作当時は思わなかったけども。
どこに居てもミスキャスト 独り言が増えたロストマン
誘われないのに断るセリフ覚えて
僕はまだ見てる 進む爪先を
雨も水溜りも気にしないぜ すぐに乾くんだ
いつの日か立ち止まるのなら 冒険家のように進め my foot
道なき道を 踵を鳴らして行こう
『MY FOOT』the pillowsより
雨上がりのブルー 濡れた太陽 いつもの目眩
何にも持ってない 掌だけヒリヒリ痛い 熱を覚えた
明日が来ないような重い空が 捲れる瞬間をその目で見た
消えない幻 全てを奪った
姿を変えては又 僕を連れ出しに来るモンスター
『サード アイ』the pillowsより
⑦『TRIAL』2012年1月リリース

このアルバムが色々といわくつきの作品だったと、解散した今になって色々事情をちゃんと知ったところ。東日本大震災でみんなショックを受けた翌年の作品ということでそういう要素も色濃く出てたし、暗いのはそういうことかなって思ってた。この後に活動休止も入るわけだし、その後のインタビューでも既にバンドが不調に陥って苦しんでたことは本人が話してたのに。
そういう事情を分かって見直すと、曲目がいちいちシリアスでビビる。『Revival』に『Rescue』と、冒頭からもう、苦しい、復活だ、助けて、というのは明らかだし、『ポラリスの輝き 拾わなかった夢幻』というダサくも暗い響きのタイトル、とどめに『持ち主のいないギター』ときた上での『トライアル』なんだから。事情の理解によってまるで聴こえ方が違ってしまえてしまう自分の安易な感覚が少々嫌になる。
そういうのを加味してもしなくても、avex時代で圧倒的に完成度も込められた感情の激しさも明確にこれが突出してる。キングレコード時代とまた異なる凄みさえあるのは上記の事情が絡むんだろうけども。えらくハイをカットされたくすんだギターサウンドの中で、飄々とした曲もあれば、この時期に珍しく絶望的なシャウトを見せる場面さえ登場する、いい具合の曲の幅と心意気、そして混沌とした感情の奔流と拭え切らない暗さが効いた作品。『Please Mr. Lostman』とかの頃の暗さとはまた違う、とはリアルタイムで聴いた時にも思ってたけど、そりゃあ時代が違う以上に、バンドの状況が全然違うのならさもありなん。『Comic Sonic』が浮いてると当時から思ってたけど、そりゃ他があんなに暗かったりヤケクソだったりすりゃ浮くよ…*12。
冒頭『Revival』の段階から、切迫性が違う。“全盛期”の不敵な始まり方とも異なる、何かにせっつかれているような、焦燥感が伝わってくるようなつんのめるビートとハイの切れた詰まったようなギターの音。そして終盤のシャウト。続く『Rescue』で余裕綽々な持ち前のポップセンスを発揮するもののこれも妙にローファイで、彼らの定番のひとつであるNoodlesのコーラスの入るサビも妙にシリアスなコード感で、緊張感は維持される。2曲ほど比較的明るい曲を挟みつつ、もう片方のシングル曲『エネルギヤ』の、彼らのシングルにあるまじき重苦しいエモさで、アルバムはやっぱり暗い方面にまた流れていく。英語詩の短い尺という彼らの得意なやつでもコード感が暗く張り詰めていて、そして7分を超える長尺で虚しさを歌い上げ、ブレイクを多用して虚無感を描き出す『持ち主のいないギター』に至ってそれは頂点。そこから、それでもバンドを動かし続けるという、ポジティブさよりも苦味が効いたタイトル曲へ連なるところは、彼らの全作品通じても最も感傷的な方面のエモさが極まった場面。蛇足気味な最終曲の合唱パーティー曲はファンサービスか、the pillowsのアルバムは苦味で終わってはいけないという意地か*13。
色々なことを考えずに今回のリストを選曲してた頃は、『HAPPY BIVOUAC』と本作からの曲ばっかりになってた。孤独をカラッと歌う『HAPPY BIVOUAC』の頃とは随分違う情緒を、動きが鈍くなったバンドをどうにか起動させてここまでの作品に仕上げた山中さわおという人の意地は、やっぱりとても尊いものだったんだろう。その後の活動再開後の「オルタナ封印」というのは、再開シングル曲がとってもオルタナな『ハッピーバースデー』の時点で「?」だったけども。
それにしても、こうやって選外になった曲の歌詞を適当に並べただけでも暗いな。
マイナス100℃の感情に潜って 進化しなかった 僕だけ
愛想を尽かして皆飛び去った 透明になるなら完璧だな
引き伸ばされた僕の影を 闇は優しく飲み込むだろう
ペンギン達に混じって オーロラを眺めたいな
プリザード身にまとって 眠りたい
『ポラリスの輝き 拾わなかった夢現』the pillowsより
世界で一人だけ生きている そんなペナルティーの最中
忘れたはずの歌 甦って僕を責めるように素晴らしい
無口なビルの向こう 映画館のポスター 風と踊ってる
持ち主のないギター 寒そうだな 友達になれるかい どう思う?
『持ち主のないギター』the pillowsより
まるで何も感じなかった 今や平坦な世界そのものさ
今日 ぼくら 誰かの足跡を見つけた 久々に心が動いた
この残酷な世界を誰しもが通り過ぎていくのかも
ぼくら また新しく始められそう? また新しく始められそう?
R-e-v-i-v-a-l
『Revival』the pillowsより一部訳
⑧『REBROADCAST』2018年9月リリース

2014年に活動再開し、色々制作上の苦しいところはあったであろうものの、それでもコンスタントに作品リリースは続いた。『ムーンダスト』後には『HAPPY BIVOUAC』以降サポートメンバーとしてバンドを支えたベースの鈴木淳が「長年の素行不良」なるなかなかな事情で解雇されたり、avexから独自レーベル(販売元はキングレコード)に移籍したり。独自レーベル以降のシングルは配信リリースとライブ会場限定リリースとなり、ライブ会場限定リリースの方のみに含まれるカップリング曲は、彼らの最後のオリジナル曲リリースとなった『Blank』共々、サブスク上にはないままだ。
『STROLL AND ROLL』からの3枚のアルバムではまた1年おきのリリース間隔をキープしたけども、随分と作品が軽くなった。オルタナ解禁した『NOOK IN THE BRAIN』にしても、軽い。楽曲が軽い。まあ、もう十分名作を沢山リリースしてきた、偉大なバンドであることは当時からして間違いないし、新作を出してくれるだけでもいい、とは思ってたかもしれない。でも本人たちは、結成35年のアニバーサリーを期限にせめてあともう1枚、いいものを作りたい、と思ったのかもしれない。果たして、最終アルバムとなってしまった「再放送」と題された本作は、それが成し遂げられた。状況はかなり『TRIAL』と被ってたんだろうなと思われる。
しかし、意地が勝った。今一度楽曲のクオリティを取り返しつつ、ポエトリーリーディング的な新機軸もキャッチーなリード曲として昇華し、オルタナ的な分厚い歪みギターと適度な重量感とがアルバムに配置された、充実の最終作。本作リリース後の30年企画終了後に「ロングバケーションに入る」と言ってたりもして、これが最後のアルバムかもという気持ちは当時からあったと本人もバンド存命時から言ってるし。それだけの気合いが本作からは十分に感じられる。冒頭に置かれたタイトル曲のメロディ運びの爽快感は往年の彼らと変わらない。合唱するタイトル曲の系譜を冒頭に置く気合いの入れ方。そして『ニンゲンドモ』という、かつての怪曲『Smile』をいやがおうにも思い起こさずにはいれないタイトルで、ポエトリー要素を実にポップかつオルタナティブロック的に表現し、そして続く『ぼくのともだち』のぶっ飛んだ展開で、「本当の『Smile』枠はこっちかよ!」という驚きをもたらす。尺的にもかつての“大曲”ポジションとして作られてるであろう『眩しい闇のメロディー』は妙に中盤で登場し、どういうことだ…?と思っていると、ラストの2曲前に置かれた4分足らずの『Starry fandango』で、かつての『Thank you, my twilight』と似た電子音イントロが始まって、これが終盤の重みとなっている。じゃああと2曲は両方とも軽いパーティー曲か、と思ったら、最終曲『Before going to bed』がまさかの妙に鈍重な彼ら流のブルーズみたいな曲で、意外さをもって最後のアルバムを締めてみせる。
果たしてこれが本当に最後のオリジナルアルバムとなるのか、なんかの気まぐれで再結成してアルバム出すようなことがあったりしないのか、それともないのか。今のところは無いんだろうけど、それは本人たちでさえ分からない。別にここで要望することもないけど、もし出ることがあるんだったら、その際はきっとそういう状況ならではのネタを挟んで楽しませてくるんだろうなという、そういう信頼だけは今もあり続ける。
雷雨の中で花火を見た事があるかい
この世が終わる時を眺めてる気分だった
『REBROADCAST』the pillowsより
どこへ行く どこへ行くんだっけ 夕闇が降り積もれば
どんな顔してたって良いだろう 泣いていたって良い
拒んでもまとわりつくのさ 手放して置いてきた心
キミの銀河に星を飾りつけたら 星座の名前 決めようぜ
楽しそうだろ
『Starry fandango』the pillowsより
楽曲35選
名盤に込められた曲だけが名曲であるはずもなく、彼らの名曲もまた、様々な作品に結果として散りばめられています。そういうものを拾い集めるのもまたファンの喜びのひとつであり、最初は30曲に収めようとしてたものが、不足を感じて、まあ35年余りのキャリアとなったわけだしと、5曲を追加して35曲。前半のこの記事ではそのうちの10曲目まで見ていきます。残り25曲は後半で。
5曲ごとに一応のテーマも設定してますので、それらも含めて、このバンドの性も業も含んだ魅力の真髄めいたものが何か少し垣間見えたなら幸い。そしてこの35曲のプレイリストは、後編記事の末尾に載せる予定。
なお、彼らのオリジナル曲の最終リリースとなった2024年の『Blank』収録曲が、サブスクにないために以下のリストに入ってないことは事前に申し上げておきます。
1〜5:カップリング曲
ファンには周知の事実として、彼らもまた「シングルのカップリング曲に多くの名曲を有する音楽家」でもあります。なんせキング時代とavex時代両方でカップリング集出していて、両方ともCD2枚組。別に他のセクションでもカップリング曲あるけども、とりあえず冒頭から5曲、これら全部シングルのカップリング曲です。すごいぜ。
1. ワカレノウタ(シングル『サード アイ』2005年)

サブスクが便利なのは、2つのカップリング集から収録が漏れたキングレコード期終盤のシングルのカップリングも普通に聴けること。でなければもう廃盤だろうシングルを手に入れるか20周年時のシングルコレクションを買うかとかしないと聴けない。
軽快な4つ打ちのリズムとポップなメロディで進行する、楽曲の方の『MY FOOT』とちょうど裏表の関係にある、キャッチーながらどこか曲タイトルさながらの寂しさが仄かにある楽曲。今回のこういう記事にお誂え向きな曲がちょうどいい具合にカップリングにあったもんだ。アルバムに入らなかった理由が明らかに「『MY FOOT』と被るから」の1点しか見つからない、実に名曲。
確かに展開やギターの掛け合いをはじめ『MY FOOT』の方が手が込んでる節はあるし、歌詞も実にポジティブだ。だけどこっちは、“典型的なthe pillows”の感じを徹底的にミニマルに注ぎ込んだ、実にあっけらかんとした調子で、別れを深く悲しむでもなく苦しむでもなく、実にさらりとポップに影ひとつなく歌い上げていくところに趣がある。声も典型的なダブルトラック仕様で、感情的なフェイクも何も見当たらず、ひたすら平坦に歌が連なってく。タイトルがこうで歌詞がそういう内容でなければ、きっと誰もこの曲に悲しみなんて感じないだろう。
かなり淡々とした展開ながらメロディは実にキャッチーに書かれていて、また演奏の平板さも時折入るドラムのフィルで程よくほぐされる。ギターソロ時用のコード進行も備えていて、必要十分にセンチメンタルさを含んだフレーズが流麗に連なっていく。最後のサビが終わり、イントロと同じリフの掛け合いがアルペジオに解けていくフレーズが最後の余韻を残して消えていく時、そこには、ひたすら明るいコード感の曲だったはずなのに、なにか寂しさの感覚が残る。はっきりとしないからこそ味わい深いことが音楽には時々ある。これはそういうもののひとつ。
歌詞もまた、“僕”という悲しむべき人格が出てきているにも関わらず、そいつが全然感情を表出させず、どこかぼんやりとした感傷しか言葉にしてくれない。
千切れた愛 ヒラヒラと裏表 今になってよく見える
夜の闇が チクチクと痛む頃 君の声を思い出す
思い出すのさ
この言葉、そっくりそのまま今の筆者みたいなファンの気持ちってことにしとこう。
2. Skeleton Liar(シングル『Ride on shooting star』2000年)

『HAPPY BIVOUAC』が頂点かも、なんて上で書いてたかもしれないが、それは間違いで、シングル『Ride on shooting star』がまさしくひとつの頂だったと思う。3曲入りシングルで、どれも4分もいかない尺で、そしてどれもめっちゃいい。絶好調の勢いをさらに煮詰めた3曲という感じ。フリクリ主題歌である表題曲以外の2曲もまあ凄い。
この曲はジェネリック版『ハイブリッド レインボウ』でありつつ、より飄々と物事を歌い、そしてだからこそ、サビで意味不明な勢いを獲得し、その面白半分に激しく突き抜ける感覚が唯一無二な名曲。なんや“ジェネリック版『ハイブリッド レインボウ』”って…と思うかもしれないが、実際そうなんだから仕方がない。イントロのあの、軽快なクランチのカッティングで浮遊感が出る感じ、サビで一気にグランジ的に激しくなる展開、実に清々しく正しく『ハイブリッド レインボウ』の焼き直しで、もしこれが他のバンドの楽曲だったら「おいおいちょっとパクリ気味じゃね?」と思うかもしれないが本人がやってるならしょうがない。静パートがよりワイルドでざっくりした演奏で、動パートがシリアスに血走った感じが薄れてるところも、他のバンドがやってたらフェイク的な要素に見られてたかも。
でも間違いなく本人がやってるからこそ、これは面白い。丁寧に淡々とした感じを積み上げていた『ハイブリッド レインボウ』から、このくらいルーズに崩せる感じになってるんだなとか、それはUSインディの解像度がより上がったからだろうし、同じことはいい具合に真剣さが抜けて意味不明な勢いに満ちたサウンドとシャウトの炸裂になったサビにも感じられる。意味どうこうよりもまず感覚としてブチ抜いてやる〜って感じのジャンクな気概が、この曲のある意味全てであるし、そして他の曲で味わえない価値でもある。圧倒的な自由さと全能感。ロックだなあと思う瞬間。
歌詞の真剣じゃなさの中にちょっとだけいじけてる寂しい感じが見え隠れするのも実に山中さわお、実にthe pillows。
消えない傷を見せびらかせば 少しだけ優しくされるのかい
醒めない夢を窓辺に飾れば 今夜だけ誰かそばにいてくれるかい
3. Subhuman(シングル『Ride on shooting star』2000年)

名作シングルからもう1曲行っとこう。英語詞で歌われるこちらは一転、Neil Young的な荒涼感を思わせるコードやメロディにキラっとしたアルペジオが程よく煌めきと煤けを施す様が絶妙な、歌い方も荒々しくも寂しげな、ハードボイルドさのある曲。こういうの退屈に感じる人もいるだろうけど、個人的にはこういう平坦さはかなり好きだ。
イントロのアルペジオを聴いた段階ではどんなギターポップだろう、と思うのに、その後のメロディのザラザラとした吹き曝しの雰囲気に意表をつく構成。the pillowsは割ときっちりした8ビートを演奏し続けてきたバンドで、サザンロック的なリズムや曲はほぼすることなく、この曲だってリズムはきっちりとした8ビートだけど、その上でNeil Young的な歌心を展開させるとこうなるんだ、という構図はまた彼らの歴史の中でも独特の存在感を持つ。乾いたマイナー調の進行はシックな落ち着きを感じさせ、地味ながらもワイルドさの出たブリッジを挟んでまた元のメロディに戻る。間奏のギターソロもどこか古い西部劇の劇伴めいた情緒。終盤、同じコード進行ながら別のメロディをリフレインとして被せるささやかなセンスとか好き。あと、意外にもベースがかなり動き回るのが密かに面白い。
“subhuman”という語は”人間以下”みたいな意味で、なので自虐的な歌なんだけども、曲調も相まっていい具合のやさぐれ感がタフな頼りなさを感じさせる。何だよ“タフな頼りなさ”って。
また真夜中に目覚めて 次何すべきか分からなかった
把握できないが 感じはする いつだってそう
ねえそう 失うものなんてありはしないんだ
(歌詞の一部を筆者にて抄訳)
4. Beehive(シングル『その未来は今』2004年)

カップリング集未収録からもう1曲。米倉千尋に提供した曲のセルフカバー。存在を知った時にまずそんなことしてたんだって思った。提供曲だけあってしっかりした作りで、Aメロ→Bメロ→サビの構成をオルタナ化して以降のthe pillowsが歌い演奏するとこうなるのか、というひとつのサンプルとなる、キャッチーな歌とザラついたドライブ感が程よく並走していく曲。というか、メロディもギターフレーズもそして歌詞もびっくりするくらいthe pillowsなんだけどこれを女性が歌う曲として提供したのか…特に歌詞。
スネア3発からすぐに立ち上がるイントロのギターリフの実に歯切れのいいこと。Ⅳ絡みのコード回しでしっかりと鳴るギターといい、同時期のアルバムのローファイさからすると意外なほどしっかりとギターが敷き詰められている。この曲にとぼけたローファイなアレンジ付けるのが無理だったんかなとも。こんないい曲ちゃんと自分のアルバムに入れろや、とも思ったりもするけど、この生真面目さは『GOOD DREAMS』の中ではタイトル曲だけでいいような気もしてうーんどんなもんやろ。
少し張り詰めたAメロ→歌謡曲チックに構成で浮遊感を持たせるBメロ→凛々しいサビの構成は単純によく出来ていて、その気になればここまでしっかりした構成で曲書ける人なんだよな元々そういう世界で売れようとしたこともあった人なんだよな、ということを少し思える。Aメロのギターのマッシブさは手堅いし、サビでのフィルインが曲にグイグイと刺さっていく爽快感はロックバンドだなっていう。そして最後のサビ後にさらに新しいメロディが出てくる辺りで、割と一本調子気味な歌と演奏だったものが同じ演奏のままにフワッと新しい展開を見せる手管は実に上手い。
歌詞の主人公のマインドが、あまりに山中さわおすぎるので、性別は曖昧かもだが本当に女性に歌ってもらう歌詞でこれでいいのか、いや、そんなもん意識する方がおかしいのか、と少し分からなくなる。
世界中の窓から笑い声がこぼれて 一人手ブラで帰り道を探してる
誰かの優しい歌 両手で払いのけて
季節はずれの通り雨は何かうれしくて
5. Snoozer(シングル『About a Rock'n Roll Band』2014年)

キングレコード時代のカップリング集と比べると、avex時代の方はやっぱちょっと凡庸寄りの曲の割合が多かったり、尖ったパンクみたいなのはなかったりはするけど、いい曲は結構ある。特に『TRIAL』〜『ムーンダスト』の頃のカップリング曲はかなり良いものが揃っていて、また、アルバムに入れづらいのがよく分かるサウンドの遊びの効いたぼんやりした曲が幾つかあるのがいい。これはその1曲。かつてあった某雑誌は多分関係ないはず。
“居眠りする人”というタイトルだけに、どこかぼんやりしたエフェクト処理されたサウンドとボーカルの中を、意外と丁寧にAメロ→Bメロ→サビと繋げて、ぼんやりしたメロディが意外なほど大きく広がるところまで行きつつ、歌い方や歌詞の方でそれこそ『Please Mr. Lostman』とかの頃のような自虐をさらりと滲ませてくる曲。ん?意外とこれ暗い歌だな…と気づくと実に面白い。『TRIAL』の頃の切迫した感じとも異なる、ぼんやりと寂しい感覚。そういうのまだ出せるんだなというか、案外変わってないもんなのかもなというか。
イントロから何とも所在なさげな、的確に象のぼやけた音の響きをベルなども用いて表現する様に、このバンドが本格的にチェンバーポップしようとした場合のポテンシャルの可能性が微かに滲む。ただ、それ以上に、その後出てくる声が典型的the pillowsなクリスピーな声ではなく、かつての朴訥ボイスなのに少し驚く。この、鋭さが消された角の丸い声が余計にこの曲の曖昧さを高める。そりゃあのサッパリした歌い方でこれ歌うとぼやけ方を消し去りかねないものな。実は第4期は結構こっちの声も使ってることを、解散後にあらためて聴きかえすことでようやく知った。この、確信が削げ落ちたようなナイーヴな歌い方は実にこの曲の歌詞に合うし、ボーカルのエコーも実に虚しげな奥行きを産んでて、この歌い方だとそれ自体は結構くっきりしたサビのメロディまで『Please Mr. Lostman』の頃のように不安げな素朴さで聞こえるから不思議だ。ドリームポップと呼ぶには妙に不安に尾を引かれる感じも、この声この歌詞あってのものか。
歌詞の虚しげな様は、収録シングルA面のロックンロールバンドへの信頼を歌ってた力強さはどこ行ったんだ…というくらい根暗で、その根暗さを形作る単語のチョイスが実にあの頃と陸続きで、驚くし笑ってしまう。
燃やし尽くして灰になった 僕の心で砂漠が出来た
風が吹けば跡形も無いな
キミと孤独を分かち合って 揺りかご揺らすうたた寝の日々
カレンダーを捲らなかった僕は
愛と呼ぶには足りない 恋心で満たされていた
醒める夢と気づいても 甘い闇に身をゆだねていたんだ
6〜10:3分ポップの名手
曲の尺を長くしないよう極力努めることは、いつ頃からかの彼らの裏ルールとしてあったんじゃないかとさえ思ってますが、そんな彼らは、3分間という尺に充実した展開やドラマチックな瞬間を封じ込める名手でもあります。その一部をここに。ちなみに疾走するテンポで3分切りなんて当たり前なので、全てミドルテンポ程度のBPMで揃えてます。単に選者が歳なだけ…?
6. ジョニー・ストロボ(アルバム『OOPARTS』2009年)

ラストライブでも演奏されたこの曲は、穏やかなリズムのヴァースからちょっとした爆発展開を見せるサビまでを2回繰り返し、最後に必要十分なエモいギター演奏とその後の儚げなアルペジオの余韻までを詰め込んだ、平坦さ・激しさ・儚さを2:56秒という尺で欲張りに収めた楽曲。サイズ的に“隠れた名曲”然とした装いだけど、ファンからの高い評価を見るに、いうほど隠れては無いのかもしれない。いやいい曲よねこれ。
2音で繰り返すアルペジオと淡々としたアンサンブルのイントロ。そのままAメロに入っていくこの素っ気ない作りは、ある意味ではこの後の展開を約束するような穏やかさがある。それもまたthe pillows王道の展開パターンだけど、この曲の強みはその静と動のプロセスを相当ミニマムに突き詰めたことで全体の構成が3分以内に収まっていること。あまりにキラキラしない、しかし素っ気なさすぎてつまらないということもない絶妙な塩梅に平坦なヴァースのセクションが、僅かにコード進行が変わるとても短いBメロとブレイクを挟んでサビでにわかに激しく捲れ上がる、その激情の凛々しくも儚いバランスこそがこの曲の美学だろう。
その動パートであるサビの、つんのめるような勢いをよく表したリズム*14の上にのるディストーションギターのゴリゴリと鳴る中でボーカルが突き抜けたメロディを歌う、ギターロックの王道ではあるけども、その源流のひとつである彼らだからこその、ある種ドライな切り詰め方で最初のサビをサクッとやり通し、すぐにまた平坦に戻り、同じような平坦さを僅かにBメロにコーラスを被せるだけで変化つけたことにして、さっさと2回目にして最後のサビに飛び込むのはクレバーだ。このメロディの取り回しの良さだったら3回繰り返したくなるだろうに、2回目を繰り返すだけで抑えたから3分未満の尺がある。
この曲の魅力はその最後のサビ以降の僅かな箇所に詰め込まれる。いかにもオルタナ的捻りのあるギターフレーズが追加され、サビメロ2回繰り返した後はリズムパターンがシンコペーションの強い8ビートに切り替わることで、伴奏は同じままなのに、伴奏的だったはずのギターフレーズが一気にギターソロめいた存在感で浮かび上がる。反復を効果的に演出する妙手で演奏が終わった後には、イントロの平坦さが嘘みたいな優しく儚い煌めきのアルペジオを少し残して寂しく終わる。この侘び寂び。僅かな時間に一気に燃焼して、残った灰まで美しい、みたいな。歌詞でもそのようなことを歌っているので、この辺りは徹底的に計算して構成されているんだと思う。
偶然が重なって運命の人 ターミナルはきっと別だとしても
一瞬で燃え尽きる流れ星でも 何かを照らしたんだ
ストロボのように
ラストライブでこの曲が演奏されてたというのはなんだか少しエモい。“少しエモい”という言葉がこの曲にはよく似合う。
7. I think I can(シングル『I think I can』2000年)

2000年にリリースしたシングル2枚『Ride on shooting star』とこの『I think I can』は両方ともオリジナルアルバム未収録となり、2001年のベスト盤に揃って収録された。アルバム未収録のシングルってだけでなんかいいのに、両方とも3分前後サイズ*15のポップでサッパリとしてざっくりとした良曲だらけで絶好調を感じる*16。
そんなシングルの片方のタイトル曲であるこれは、カラカラに乾いたグダグダなノリを歌と演奏の強引な勢いで強烈にフックさせ、ヴァース→サビ3回繰り返しを3分丁度の尺に収めてみせる、色んな意味でケレン味が溢れそれがちゃんとポップさに繋がっている名曲。こんな曲をシングル表題曲にして、そしてしっかりとシングル表題曲なりのキャッチーさを持たせることができたのが奇跡的。日本のPavementって感じが極まった1曲なのかも。
西部劇のような雰囲気で掻き鳴らされるイントロが、実は実に取って付けたようなものだとすぐに分かる、ドラムのドンドンと2発叩きつけてからすぐに歌の始まる構成。この本当に取って付けただけ、イントロと本編は関係ありません、って感じのテキトーさの絶妙さ。本編での歌のメロディやコード進行と絶妙に関係ないノイジーなフレーズを様々なパターンで弾き倒し続けるところといい、この時期バンドのギターアレンジのオルタナ的センスは絶頂期にあったと言える。ボーカルも得意のダブルトラックではなく、シングルトラックでラフに歌い飛ばしていくのがこの曲には合っている。
楽曲として見ても、メロディがあるようなないようなラフな歌を、ヴァースの真ん中にある強引なフックで引っ張り倒すことで豪快なキャッチーさを獲得していて、その上でタイトル連呼のサビを、本来のキーからすれば入ってこないコードも強引に混ぜ込んで展開していく具合がまたオルタナ性があって、この辺の、計算なのかテキトーにやって上手く行ったのか判然としない具合が、とても理想的にバンドサウンドしてる感じがある。その上で、2回目のヴァースのヘンテコなブレイクやら、間奏でのヴァース進行2回目時の荒野めいたギャグみたいにトレモロなアレンジの付け方、そもそものギターソロ時のリードギターの音の全体的な格好良さ、天然でやっているようで実に魅力的な要素がひしめいていて、本当に充実した上で、最後のサビ後に思い出したように本編と無関係な西部劇イントロを弾いて果てたように終わる、これまでの展開を3分丁度できっちりとやり切る様は、無敵だな、と思える。
この曲含む2枚のシングルの時期から歌詞が、それまでのコンプレックス塗れから脱却して良くも悪くもナンセンスな、語感と言葉の並びのカラフルさ重視みたいになるけども、その不敵なようでちょっとダサいような、でも時折かつての弱さもチラッと覗くような、そんな詩情が結構好きだった。
昼も夜もない 黒い森で
何も言わないで 出ていったキミ
簡単な置き手紙は ドアに刻まれてた 'I・C・A・N'
8. Come on, ghost(アルバム『Thank you, my Twilight』2002年)

このバンドに限らず、キャッチーな曲がひたすら連なっていくアルバムのことを時に「まるでシングル曲しか入ってないみたいなアルバム」と呼ぶことがある(もう死語かもしれないので、”あった”)けども、このバンドだと『HAPPY BIVOUAC』『MY FOOT』とあと『Thank you, my twilight』がそう呼ばれてたかもしれない。『Thank you,〜』は2分台に留まるキャッチーな曲も複数収録されているけど、あえてこの、このバンドでは特殊なキャッチーさが込められたこの曲を。電子音や声のエフェクト加工、スカスカな音から一気にジャリジャリな音圧への変化など、同時期の宅録インディーロック等からの影響が“このバンドにしては珍しく”垣間見られる、それら情報量の多い内容を3分丁度程度の尺にギチギチに詰め込んでコンプを掛けたみたいな楽曲。何気にかなり異色作かも。
素っ気ないスネアフィルの後すぐにいきなり歌も演奏も始まるところから、この曲のギチギチ具合は始まっていく。ミドルテンポの上で、ドラムとベース、そしてダブルトラックかつ低音オミットしたボーカルだけの演奏によってスカスカな音像。伴奏にギターがあんまりないこと自体結構珍しい上に、それがグランジ的なワイルドさの中ではなく、結構コード進行のポップな状況でなされるのは、90年代後半の宅録勢的な要素を感じさせてくる。シンセを添えた短いブリッジで声もよりはっきりしたところで、サビで一気にドンシャリなギターのコード圧を叩きつけていく伴奏で展開されるサビメロの爽快感は、バックでウネウネと動くシンセといい、やはり宅録派的な大胆なポストプロダクション感がある*18。アルバム中のこの曲の次の曲の名前が『ROBOTMAN』だけど、アレンジだけでいうとこの曲の方がずっとロボット的なものを感じさせるのが妙で面白い。えらく重ねられたボーカルもまた、叩きつけられるギターの圧の合間をポップなメロディで飛び越えていく様のトリッキーな勇敢さが魅力的。
シンセが隅でピコピコするスカスカな演奏の中をかなりトレブルの効き方が特殊なギターソロが乱暴に叩きつけられていく間奏もまた、このバンドの他の曲では耳にすることのない特殊な時間。そこから、これまでサラッと流してたブリッジを4回もジリジリと繰り返してから、最後のサビを2回繰り返してからサクッと演奏が終わるザックリ感も込みで、この曲は本当に特殊なところが多く、もしこのバンドがもっと宅録的な方向に可能性を見出していたら…という妄想を抱かせてくれる。この曲だけでサラッと終わらせるのもまた潔いけども。そして、そのザックリした終わり方によって、この曲もきっちりと3分で終わる。流石にこの尺には意図を感じる。ある種の拘り・根性を。
『Thank you,〜』の時期が一番語感任せで歌詞を書いてるかもなところあるけど、この曲もかなりそういう節がある。それで爽快感があるなら全然構わないとも思う。
三倍速で罰ゲーム 四回戦のデスマッチ
百通りのターミナルまで 一騎打ちのドライブ
この辺の語感に任せすぎな感じとか、ここまで来るとかえって清々しいでしょ。
9. Ninny(シングル『インスタント ミュージック』1998年)

多分この曲まで入れてたら『RUNNERS HIGH』がシリアスなアルバムになりすぎるからとかそんな理由でアルバムから外された*19、そうとしか思えない、そんなカップリングの大名曲。『ハイブリッド レインボウ』メソッドをよりナイーブな方面に援用し、かつシューゲイザー寸前な轟音と繊細さも交えて、3分半に満たない尺の中に小さな恋の映画みたいな世界観を作り出した傑作曲。
『ハイブリッド〜』よりももっと煌びやかで湿ったギターの音とテンポで幕を開けるこの曲は、曲全体が薄膜の向こうじみた淡いエコーに包まれている。重ねた上でエコーが効いたボーカルも、かつての朴訥な歌い方を採用し、力強く突き抜けるのではなく、力無く埋もれていくことを美学とする。収録シングルのタイトル曲と真逆のスタンス。この、どこか夢見心地な感触が、サビの轟音パートでも継続し、最後の一声まで貫かれることが、この曲の物語性を完璧なものにしている。そういう美しく閉じた感覚にしても、やっぱりこの曲はシューゲイザーなのかもしれない。シューゲイザーなこのバンドの可能性というのもまた淡いifではある。
最初のヴァースの繰り返しの際に一度だけ、暗いコードでブレイクしてみせる、この翳りこそがこの曲のミソで、その後の演奏が最後のサビまで途切れることなく甘美に連なっていくこととの対比としてよく出来ているし、実はヴァースが最初にしか出てこない曲構成になっていること、そのドラマチックさのための絶妙な楔になっている。
淡々としたヴァースからやや唐突気味に『ハイブリッド〜』メソッドの轟音サビに入るものの、持ち前のナイーヴさは連続するのでそこまで唐突さは感じられない。轟音の勢いの割に歌もメロディも可憐で弱々しく、どこかため息めいた風情があるのがこの曲の特殊さ。やっぱりシューゲイザーじゃないか。最初のサビは実に呆気なく、そのまま雄大な間奏のギターソロに、感傷めいた回想みたいな感覚を覚え、そしてヴァースに戻ることなく最後のサビに傾れ込むことで、尺的にも節約しつつ、この曲のドラマチックさが濃縮されていく。サビのメロディはさらに展開され、それが程よい歌詞の未練がましさと連動し、そしてサビ完結でブレイクした後の名残惜しさを惜しむような演奏の中でやっと、断片化されたヴァースがリフレインされる、この曲構成自体に、実に無駄なくも巧みなセンチメンタルが宿っている。エコーに包まれた最後の呼びかけの、吹っ切れたのか引きずってるのか曖昧な響きが美しくこの名曲を締めてみせる。
Ninny 本当さ キミが誰のものでも たぶん不安じゃない
あの気持ちは色褪せない 思い出して振り向くたびに
震えるほど 恋してたNinny
山中さわおは時々、ドキッとするくらい情けない恋の歌を書く。それは時にスピッツ的な不思議さとはまた違った異空間めいた雰囲気をつくる。このドラマチックさ・エモーショナルさが3分半に満たない尺で余すことなく展開されることに、静かな凄みを覚え続けている。この尺の短さ自体に、世界観の儚さの一端が宿っているような。
キングレコード時代の方のカップリング集でもこれが一番名曲なんじゃないか。そう思うファンは多そう。何気にラストライブでも演奏されていたり。やっぱり尺の短い曲に対する思い入れが異様にあるバンドだったなと。
10. フロンティアーズ(アルバム『GOOD DREAMS』2004年)

繰り返しになるけども曲の尺を短くコントロールする視点というのは重要で、その意味で筆者は山中さわおをART-SCHOOLの木下理樹などと同じ箱に入れている節がある。こうすれば日本語の歌のミドルテンポでも尺は節約できる、という様々なアイディア、その偉大さ。偉大なんだそれは。分かってほしいとは思わないけども。彼らが時折出すエモーショナルさをバッサリ落とすことで現れるクールなオルタナテイストを、極限までヴァースを演奏込みで短くしたことでコンパクトに抑え、テンションの低いまま不敵に流れていくサビ3回登場させた上で3分以内に収まった、その事実自体にある種のクールさが浮かび上がってくる、この手のセンスが極まった1曲。地味な曲、と思ってるファンも結構あるだろう。これを物凄い曲だと思ってる人もいるんだ、と。彼らでも有数の渇ききったテイストを持つ1曲。
淡々とフロアタム込みで刻まれる8ビートのオルタナな佇まいからしていかにもな出だし。そして、出てくる2本のギターが、一方が鈍い煌めきでフレーズを象ったと思うと、その終わりにもう一方がノイジーな歪みでザリザリと低音の不穏なフレーズを付け足してくる。この応酬の仕方は彼らが『GOOD DREAMS』『MY FOOT』の2枚で求めんとしたダブルギターのコンビネーションの、地味ながらその最良のひとつだろう。その地味に好調な勢いのまま、ヴァースも不機嫌そうな歌がメロディを描くでもなく挿入され、それが2回繰り返された後に、早々にサビに入っていく。凡庸なら4回繰り返した方が良さそうに思うところ、静かに意表を突くくらい早い2回でのサビ突入に、作者の「ちょっと意外かもだが、これのどこがいけないんだ?」という不敵な挑戦の意図が感じられる。実際それによって、間奏の展開を十分にやっても、曲の尺が2:57となっている訳だから、この手管の渋みの効きっぷりは刮目に値する。
流れていくようなサビの、最後にブレイクを設けてわざとらしく感傷っぽさを出してしまうのは、ソングライターのそういう性質。こういうクールに徹した曲でも出してしまう愛嬌めいたもの。2回目のそれ以降に現れる間奏はこれでもオフビートそのものなこの曲で一番テンションの高い場面で、オルタナ世代のカウボーイめいた感覚というものが適度にブレイクを挿入することで的確に表現されているし、その流れのまま最後のサビに入らずに一旦イントロに立ち返るのもまた、この曲のクールさの現れ方。
『GOOD DREAMS』というアルバムにこのバンドでも格別に乾いた印象を受けるのは、タイトル曲とこの曲のせいだと思う。この路線をもっと徹底してたらもっとはっきり傑作だったのかもだけど、サラリとやるのが彼ららしさでもある。
マイノリティーを頷かせるような
標的に相応しい弾を込めて狙う 指は動く
まだ足りないのさ 何色なら気がすむんだ
風は影を持たないで 何かを残していった 奪っていった
・・・・・・・・・・・・・・・
小結
一気に仕上げたかったけど、35曲は長いな…後半へ続きます。
(2025年3月30日追記)
1ヶ月で残り25曲中10曲しか書けませんでした…ということで中編です。
2025.5.6追記
一連の記事の最後の分を書き終わりました。
*1:ミツメもthe pillowsもラストライブとか宣伝せずにサクッと事後報告で解散(活動終了)したとこが共通してるってこれを書いてるどこかで気づいた。
*2:次作『LITTLE BUSTERS』の方が、UKロック路線と典型的the pillows式オルタナ曲が混じった“過渡期”として相応しいと思う。
*3:てかシングルの切り方がヤケクソすぎる…大人しく『Midnight Down』あたり切っとけばもっと売れたのでは…といつも思って少し笑えてしまう。
*4:なお、このジャケットや『インスタントミュージック』PVのイラストを描いたMAYA MAXXは2025年1月9日に逝去していた。
*5:どことなく同年1月のBuilt to Spillのアルバム収録『Center of the Universe』の影響を思わせる。瞬発力!
*6:実際タイトル曲とシングル曲を2019年のフリクリ新作あて新曲含むコンピで再録して満足したと山中本人が言ってる。
*7:しばしば言われる「音楽は中音が豊かなことが大事」という目線だと確かに本作はドンシャリ気味で良くないのかもだけども、でも、本作を聴いてると逆に、ドンシャリも悪くないかもなとも思える。
*8:この曲の「淡々とした同じメロディを、終盤で張り裂けるように歌う」手法は、エイベックス移籍以降の大曲で時折用いられる印象的な手法。
*9:『LITTLE BUSTERS』由来の”バスターズ”みたいにファンの呼称として定着させたかったっぽいけど全然しなかったのがウケる。
*10:The Roostersの同名曲を自分たちがカバーした経緯もあり、そこは相当気合入ってたものと思われる。
*11:えらく曲目がマニアックな解散前最終ライブでもこの曲が演奏されてたことは印象的。
*12:歌詞だけでいけば、前作『HORN AGAIN』の頃から結構暗くなってきてる。楽曲ののっぺりとしたポップさの割に暗い、というか、やむを得ない事情でのっぺりにならざるを得なかったのか。
*13:でもこの曲も最後の語りで「ぼくは動物で 動物は自殺なんて考えもしない。だからぼくは生きていく この事実が素晴らしい」なんてことを言ってる。やっぱり暗いじゃないか…。
*14:こういうリズムパターンもなんか名前ないもんか。
*15:『Scent of sweet』だけ6:50だけど、これはボーナストラックが収録されているためで実際は3分程度。
*16:この辺の曲とベスト盤タイトル曲とを組み合わせてもうひと頑張りしてアルバム作ってれば『HAPPY BIVOUAC』を超えるオルタナアルバムが完成してたかもだけど、実際はこれらの曲を出し切った後に、シングルカットなしでどこかローファイな作りの『Smile』がリリースされた。歴史にifとかないし。
*17:“カメレオン”という某曲を思い出させるワードを入れ込むのはベスト盤リリースが見えてたからなのか。この頃から『ストレンジ カメレオン』『ハイブリッド レインボウ』といった代表曲を思い起こさせるワードを入れ込むファンサービスは始まっていたのか。こういうちょっとファンを囲い込むようで格好悪い動きも許せてしまう愛嬌めいたところがthe pillowsにはあった。
*18:というかこのギターの感じ、かなりそのまま中村一義『1,2,3』だよなあ。
*19:『Brand-New Lovesong』『確かめに行こう』あたりが完成してなけりゃ余裕でアルバムに居場所があっただろう。