今週のお題 「冬の楽しみ」
昭和三十年代、グランパは小学生。
生まれ故郷は、まだ雪が積もる時代だった。
「地球温暖化」現象の進んだ現代と比べると、あり得ない風景が家の周りには広がっていた。
屋根には雪が厚めの布団のように被さり、緩んでくると滑り落ち、直撃を食らうと命にかかわる。
雨どいには氷柱が垂れ下がり、先は錐のように尖っている。
田んぼも一面白一色の雪に覆われていた。
正月前には、家でお餅つきが行われ、日頃では食べられないご馳走も用意された。
子供心に、ワクワクする季節の到来だ。
加えて、正月十五日には、トンド焼きという冬の楽しみが待っていた。
トンド焼きには、孟宗竹という太い竹が使われた。
トンド焼きとは、田んぼの真ん中に、竹を数十束ねて空高く立ち上げ、荒縄で縛り上げておく。
竹の先には、グランパ達が書いた書初めもつけられる。
段取りは、村の若衆が担った。
グランパの隣の家の若衆もその一人だったと記憶している。
先日、故郷の幼なじみと話す機会があり、その若衆が存命であることを知った。
齢九十を超えておられる。
空白の時の長いことをしみじみと思った。
村の若衆は、アッという間に村から姿を消した。
さておき、グランパの家の後背地に孟宗竹の竹藪があり、村の若衆が切り出して、トンドを建てる田んぼまで運んだ。
雪が数十センチ積もっているので、竹を突き刺し立てる良い土台となった。
昼までには、大体の作業を終えていたように思う。
さて、完成したトンドは、夕方まで、田んぼに取り残された。
あたりが少し暗くなって来た頃、また、トンドが主役として登場する。
早い夕食を済ませた子供と若衆と父兄達が集まって来た。
竹の周りには、着火助剤となる燃えやすい小枝が積まれる。
若衆によって火が点けられる。
またたく間に、激しく竹が燃え上がる。
パチパチという弾ける音が冬の静かな谷間にこだまする。
トンドは、焼けあがり、書初めなども火の粉とともに大空高く舞い上がっていった。
冬の早い夜の帳が辺りを深くつつむ。

竹の燃え上がる勢いが増した頃、グランパ達の楽しみである、竹に差した餅を焼く時が来た。
太く長い竹を途中まで半分に割り、その間に、餅をはさむ。
燃え盛る炎に餅をはさんだ竹が数多くかざされる。
孟宗竹の焼ける匂いが餅に移る。
頃合いを見計らって、手元に手繰り寄せ、餅を取り外す。
砂糖醤油を垂らした皿に、餅を付けて、甘辛味と孟宗竹の香り高い餅を口にほうばる。
グランパの冬の楽しみだった、その味と香りがいまだに忘れられない。
COPILOTより
どんど焼き(とんど焼き)は小正月(主に1月15日前後)に行う伝統的な火祭りで、正月飾りや書き初めを焚いて年神様を天へ送り、無病息災・五穀豊穣・家内安全を祈る行事です。
概要
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何をするか: 門松・しめ縄・お札・書き初めなどを集めてやぐらや小屋を組み、火で焚き上げる。
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いつ行うか: 小正月(1月15日)前後に各地で実施されるのが一般的だが、地域差がある。
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目的: 正月に迎えた年神を「送り」、飾りを火で浄化して一年の災厄を祓うことが主旨。
由来と意味
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書き初めを燃やすと字が上達するといった民間信仰や、灰をまく・火の粉を浴びることで厄除けになるという習俗もある。
地域差・呼び名
参加時の実務的注意
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安全第一: 火の扱いに注意、子どもは保護者同伴で参加。燃やして良い物は神社の案内に従うこと。
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参加前に: 近隣の神社・自治体の開催情報や持ち込み可否を確認するのが確実。
一般に「青竹(主に真竹・マダケを指す)」は節に二重の輪があり節間が長くて細め、加工や竹細工に向く。一方孟宗竹(もうそうちく)は節が一重の輪で節間が短く太く、建材や大物に使われる。孟宗竹は中国原産で江戸期以降に導入された点が異なる。**
見分け方と主要差異
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節の輪:真竹は二重の輪、孟宗竹は一重の輪で判別しやすい。
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節間の長さ:真竹は節間が長め、孟宗竹は短めで節が密になる。
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太さ・高さ:孟宗竹は太く高く(直径~18cm、高さ20m級)、真竹は細めでしなやか。
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たけのこ(旬・味):孟宗竹は早春に出て市場に早く出回る。真竹の筍はやや遅く、風味が異なるとされる。
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用途:真竹は竹細工・茶道具・竹垣向き、孟宗竹は建材・農漁業資材・大物加工向き。
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原産地:孟宗竹は中国原産で日本へ導入された種である点が特徴。
比較表
| 項目 | 青竹(真竹) | 孟宗竹(もうそうちく) |
|---|---|---|
| 節の輪 | 二重 | 一重 |
| 節間 | 長め | 短め |
| 太さ/高さ | 細め・中高 | 太く高い |
| たけのこ旬 | やや遅め(味に特徴) | 早春(市場に早く出回る) |
| 主な用途 | 竹細工・茶道具・竹垣 | 建材・大物資材・農漁業用 |
| 原産 | 在来種が多い | 中国原産(導入種) |