『トップガン マーベリック』を観て思ったんだけど、80年代と今のアメリカって似てる気がする。どちらも「自信を失った国」が「強いリーダー」を求めている時代なんじゃないかって。1980年代はレーガンが「強いアメリカ」を掲げて登場したし、2024年にはトランプが「Make America Great Again」をスローガンに大統領になった。映画の流行を見ても、80年代と今は共通点が多い。
アメリカの自信が揺らいだ80年代
80年代初頭のアメリカは、70年代のベトナム戦争の敗北やイラン人質事件、経済の停滞で国全体が落ち込んでいた。そんなときにレーガンが「強いアメリカ」を掲げて登場し、国民のプライドを取り戻そうとした。ちょうどその頃、映画界でも「夢を掴む」「努力すれば報われる」という作品が次々とヒットしていた。
たとえば**『愛と青春の旅立ち』(1982年)**。リチャード・ギア演じる主人公は、問題を抱えながらも海軍士官学校で成長し、最終的には恋も夢も掴む。これって、アメリカそのものを象徴しているよね。「自信を失っているけど、努力すればまた這い上がれる」というメッセージ。
もうひとつ、**『フラッシュダンス』(1983年)**もそう。工場で働きながらダンサーを目指す女性の話で、「どんな境遇でも夢を諦めなければ成功できる」という、いかにも80年代らしいストーリー。こういう映画が流行ったのは、国全体が「もう一度アメリカンドリームを信じたい」と思っていたからだろう。
そして極めつけは**『トップガン』(1986年)**。戦闘機パイロットたちが活躍し、「アメリカ軍最強!」を全力でアピールする映画だ。主人公マーベリックは腕っぷしだけでなく、精神的な成長も遂げて、最後には勝利を掴む。レーガン時代の「強いアメリカ」を象徴する作品だった。
80年代と今、アメリカは似ている?
さて、時代は進んで2020年代。アメリカはどうなったか? 9.11やイラク戦争、リーマンショック、コロナ禍と、80年代に負けないくらいの困難に直面し、「かつてのアメリカはどこへ行った?」と嘆く人も増えている。そんな中、2022年に公開されたのが**『トップガン マーベリック』**だった。
この映画、まさに80年代の『トップガン』と同じ構造。年老いたマーベリックが後輩たちを指導しながら、最後には自ら戦場に出て勝利する。これって、「昔のアメリカはまだ健在だ!」っていうメッセージにも見える。レーガン時代と同じように、今のアメリカも「強さ」を求めているんだろう。
でも、80年代と今で決定的に違うのは、当時のアメリカには「敵」がはっきりしていたこと。冷戦時代、ソ連が明確なライバルだったから、「アメリカが勝つ!」という映画が受け入れられやすかった。でも今は、中国が台頭しているとはいえ、ソ連ほどの分かりやすい敵ではない。国内も政治的に分断されていて、「誰と戦うべきか?」がはっきりしない時代になっている。
80年代とは違う、繊細なアメリカも
80年代といえば「強さ」が目立つ映画が多かったけど、実は違う側面もあった。その代表が**『普通の人々』(1980年)**。この映画は、戦争でもヒーローでもなく、家族の崩壊を描いたドラマだった。表向きは豊かで「強いアメリカ」を目指していたけど、その裏では人々が抱える精神的な痛みも大きかった。
この構図、今のアメリカにも似てる気がする。表面的には『トップガン マーベリック』のような「アメリカはまだ強い!」という映画がヒットする一方で、『ジョーカー』(2019年)みたいに、社会の闇や個人の孤独を描く映画も人気になっている。80年代が「力強さ」と「繊細さ」の二面性を持っていたように、現代もまた、両方の視点が求められているのかもしれない。
歴史は繰り返すけど…
結局、80年代と2020年代は共通点が多い。どちらもアメリカが自信を失い、強いリーダーやヒーローを求める時代。でも、一つ決定的に違うのは、「アメリカの敵」がはっきりしないこと。そして、単純に「強さ」だけを求めるのではなく、繊細な感情や個人の痛みにもフォーカスが当たるようになったこと。
『トップガン マーベリック』がヒットしたのは、80年代のノスタルジーだけじゃなく、「今のアメリカに必要なメッセージ」があったからだと思う。これからの映画も、その時代に必要な「夢」や「強さ」を描いていくんだろうな。