賭け麻雀に負けたんで(?)まるまるさん(Tweets by canaan18)オススメの「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を読みました。
随分久しぶりに漫画以外の本を読みました。
更にいうと、ラノベじゃない文庫ってホント…何年ぶりなのか。そのくらい小説や文章から縁遠くなりました。更に更に、ミステリはほとんど触れていない人生を送ってまいりましたので…つまり、ほぼド素人がミステリ文庫を読みました。
先入観ありまくりでの感想になりますけども、なんというかラノベっぽい感じで読みやすかったです。心情描写が適度に分かりやすいのも好みでした。
前置きが長くなりましたが、さてそんな作品がどうだったのかというと―
……………(何らかの間)
ヒロイン:城塚翡翠がめちゃくちゃ可愛い。
ですます調。主人公を慕ってくれる。黒髪。
哀しい運命だったり、不条理な現実に抗おうとしたり…悉くがツボ。これは私にかけられた遥か過去からの呪い(と書いて性癖と読む)なのでして…。
そういう個人的好みを差し引いても、探偵役と助手役が事件を解釈し、推理し、犯人を特定するという関係性は古典的に人を惹きつけるものなのではないかなぁ、と。
ミステリとしては超強力なギミックがあるためどうしても倒叙形式にならざるを得ない、と縛りはありますが、だからこその面白さがあると思います。…特に私のように「この登場人物、このセリフ、このシーンが何の意味もなく描かれるわけがない」というメタ読みする輩には逆説的に面白くなるというかー。
そういうわけで「凄く読みやすく、この変則的なスタイルが面白いミステリだな」と思いました。
最終話を読むまでは。
さぁ、準備はいいですか?
ここからがこの作品について語りたいところです。ネタバレします。しなければ語れません。
すでに作品を読んでいますか? 最後まで読みましたか?
あ な た は 裏 切 ら れ ま し た か ?
この先を読んでしまったらもうこの作品を読んでも本質には触れられません。稀有に過ぎる衝撃を受ける経験はできなくなります。
覚悟ができたら、さぁ下へ。
よくも、よくも騙したな!!! こんなヒドい事を、よくも、よくも…!!!!
…いや、ホントにこの作品、ミステリファンはノーダメージで読み終える事が出来たんでしょうか。
倒叙ミステリだと信じて読んでた人、裏表紙等の解説に書かれている「霊媒」、「霊媒探偵」というサブタイトル…。
「あれ?」と思っても「そういうものだ」と信じている主人公・香月史郎に感情移入してしまえば、その「筋書き」から逃げられない。
…そう、そもそも香月史郎は主人公ではなかった!!! 嘘だ!!! …という所はまだなんとか堪えられる。「犯人はヤス」を経た人は「それもあるだろう」と思う。
だが…だが! そもそもがインチキだとは!!! いや、インチキだったことはまだいい。読み返してみて「ホントだ!!」と驚愕すれば済む。だが…心を捉えてしまった「城塚翡翠」が嘘だったなんて! 最初っから騙すつもりだったなんて!!
「してやられた」というにはあまりに大き過ぎるギミック。
一瞬、足元が崩れるような、視界全てにノイズがかかるような。「何もかもを否定される」というのはこれほどのものか、と頭を振りました。
私のような素人ミステリ読みでこれなのだから、ミステリを常読している方はこの容赦なく叩きつけられる衝撃、耐えられたんでしょうか…?
香月が騙された=読者も騙された、という形になるのがホントにヒドイ構成。回避のしようがない。
作中で城塚翡翠が教えてくれていますが、おかしいと思っていても、一度隠されていた秘密を明らかにしてしまうと、その秘密こそが真実だと信じてしまう。まさかその秘密自体が偽りだとは考えもしない…それを読者にも仕掛けているとは!!
正直悔しいですが、全ての謎、解釈が全て2段構えになっているところが「上手い」と思います。
まず「一瞬で謎が解ける状況」と「その推理」を作り、そこから「探偵役を誘導する」脚本を作るという感じなのでしょうか。この作品が出来た経緯というのは。…いやもう悔し紛れにそういう分析に逃げているんですが。
とはいえ。
素直に凄い作品だと思います。衝撃がとんでもない。
…哀しいのはあんなにも好ましいと思っていた「城塚翡翠」がニセモノ(インチキ霊媒師ということではなく)だったというところで。
演技かー…くそうくそう。
と。思わなくはないのだけども。
「解決編」を読みながら違和感を覚えていたのも事実なのです。
具体的には「友達がいないわけがない」のとこ。
自らを「社会不適合者」と言いながら、友達がいる? もちろんそういう演技はできるだろう。でも役は出来ても…という雰囲気が。
エピローグはもしかすると蛇足と見る方がいるかもしれませんが、私は腑に落ちた人です。
知識・演技としては「愛されキャラ」を理解できても、本当の自分が分からない、本当の愛し方・愛され方が分からない…そういう天才なのだな、と。
なんだかんだ言いましたが。凄い、衝撃的な作品でした。はい。好き。
でも、翡翠がショートボブだったら致命傷だったろうな、とか。