「きみの色」を観てきました。
その人の「色」が見える主人公「トツ子」。
美しい青が見える「きみ」に憧れ目で追う日々を追っていたが、ある日きみが学校を辞め、彼女の姿を街で探すように。
そして古本屋でバイトをしているきみを探し当て、その場で偶然出会った「ルイ」の緑色に目を奪われ、熱に浮かれたようにまだ結成してもいないバンドに彼らを誘うのだった…。
…いや説明難しいな、この導入。
もちろん間違ってはいないのだけど、割と突拍子もない展開ではあるのは確か。
とはいえ、その辺の「えぇっ?」って思うところは問題ではないのです。正直、トツ子の特殊能力が無くても話は成立します。全体的に「普通じゃない」事には焦点が当たりません。
では何のためにトツ子の目・視界があるのかと言えば、トツ子の感情やイメージを視聴者に表現するため、といえるでしょうか。おかげで普通の学生生活が非常に幻想的、美しく見えて…素晴らしい。
淡く、透明感のある風景とキャラクター、観てるだけで楽しくなります。
…というのはあるのですが。
その美しいビジュアルで描かれるのは、本当に「普通」の学生の日々。
「トツ子」にも「きみ」にも「ルイ」にも。それぞれ思い悩む事はあるけれど、それは多くの少年少女が思春期に抱くものの範疇を出るものではありません。正直、それほどドラマティックなモノではなく、派手さやインパクトには欠けると言って差し支えないでしょう。
なので、話としては強烈に心を揺さぶるようなアップダウンはありません。…アピールは弱い、かなぁと思ってます(本音)。
さらに。
なんというか…この歳になり、かつ、色んなフィクションを観た者からすると、この世界はあまりにも美しいと思います。善意に満ち過ぎていて、リアルとは思えない。
でもそれで良い、とも。
物凄い不幸の後にそれを解決するカタルシスを否定する気はありません。裏切りや喪失に傷つき、絶望し、そこから立ち上がる姿にしかない栄養素はあります。
しかし、そればかりが傷じゃない。ちょっとしたすれ違いや心配、プレッシャーは「その時の自分」には踏み越えられない断崖に見えたりするもので。
だから、彼ら・彼女らの視点に立てば(感情移入すれば)、それを克服する事は大きなドラマであり、挑戦であり、達成だと感じられるの…だと。
と、細かい事を考えなくても、とにかく安心して観ていられる、それだけでもこの作品の大きな魅力ですね。
トツ子ののんびりした感じ、それでいて人を動かしていく感じが面白いんですよねぇ。
ビジュアル的に「きみ」がメインになりがちなんですが、どうしても彼女は自分で動けない(状況な)ので、話を進められませんし。
突拍子無くても、きみやルイを繋いで動かしてくれる力がトツ子にはある。…美しいものに憧れ、より美しくあってほしいという希望に一生懸命です。
線が細いように見えて自分の行く末に向き合っているルイとのやり取りも微笑ましくも美しい。
3人が音楽を通してチームになっていく様子が…何とも青春って感じです。
むず痒いような…遠い日の憧れのような。もう決して手に入らない輝きを観てますね、これは。
さらに単純に音楽が楽しい。ネタバレ怖いですが、ライブシーン、ホントに楽しいんですよ…。サントラほしい。ホントホント。
基本的にライブとかステージやってるアニメが好きなんだろうなぁ、私。
結論ですが、最後泣いてました。
青春でしたね…あれは。私の憧れる青春でした。
とにかく派手な楽しさ・面白さはありませんが、丁寧に作られた美しく、優しい作品です。
多くの人に観てほしいなぁ。