入手した故障品の動作確認
PCエンジンDUOの故障品を入手したので修理してみました。 今回入手したものは外装はなかなかの美品。

動作確認をしてみると、Huカードは起動するものの、音声が片チャンネルしか音が出ないのと、CD-ROM2をセットしてRUNボタンを押すとCDが高速回転して読み込みません。この状態から修理+RGB出力追加を行なっていきます。
フルメンテナンス実施
まずは外装と基板のフルメンテナンスを行います。 フルメンテナンスの詳細については前回の記事を参照のこと。
メンテが終わって電源を入れると、映像は問題無く、音声も両チャンネル出るようになったものの、音声に「ガサガサ」とノイズが乗っています。基板に触ると更に大きい音でノイズが出る感じです。
音声にノイズが乗る不具合の修理
そう言えば、電解コンデンサのパッドの導通チェックをしたとき、1ヶ所だけ最初はテスターが反応しなくて、プローブを強めに当てたら導通したので断線無しと判断した所がある事を思い出しました。もしかしたら、実は断線しかかっていたのかもと思いました。
試しに該当箇所の電解コンデンサを取り外して、パッド周辺の配線を改めて断線チェックしたところ、赤丸の箇所が断線していました。

写真ではどう見ても正常なのですが、テスタで当たると断線しています。メンテ前、ここのコンデンサは派手に液漏れしていました。以前に修理した機体でも同一箇所で断線が見つかったので、結構あるあるなのかも知れません。その時はCDオーディオだけ音声が出ないという不具合で、原因が判るまで半日くらい掛かった💦ので、よく覚えています。
そこで、ビアからパッドにジャンパを飛ばしてみました。パターンのレジストを削ってはんだ付けをすると、少し力を加えただけでパターンごと剥げるリスクがあるので、近傍のビアにジャンパを突っ込んで半田付けするのが安全です。

そして再度電源ON。 Yes! 綺麗に直っていました。
CD-ROMドライブのメンテナンス
そしてお次はCD-ROMドライブの修理。
…と、その前にドライブメカのメンテナンスをします。
古いグリスがはみ出ていると固着する恐れがありますので、拭き取っておきます。


そして、試しに音楽CDセットしてみると、ディスクは回転するものの、「キュルキュル」という音がするだけで読み込みませんでした。そこで、CD-ROMドライブのサーボのゲインとオフセットの調整をします。
オシロスコープを使って調整する方法もあり、最初の頃はアイパターンを見ながら調整していましたが、古いものなのか、完璧には調整できないようです。何回も調整しているうちに勘所が分かってきたので、最近はオシロスコープは使っていません。
フォーカスオフセット(VR102)の調整
まず、フォーカスオフセット(VR102)の調整を行います。いつもだと反時計回りに少しづつ回すと、ある所でディスクを読み込むようになります。そして更に少しづつ回していき、一番安定する所に調整します。安定すると、ディスクを読み込む時に小さな「グググッ」という音がします。ピックアップの動きを見ていると、左右に振動(サーボの初期化動作でしょうか?)をしているようです。
フォーカスゲイン(VR104)の調整
ピックアップを交換した場合は、ここでフォーカスゲイン(VR104)も調整することがあります。それ以外では結局元の位置に落ち着く場合が殆どなので、調整する必要は余り無いように見えます。
E/Fバランス(VR101)の調整
そして次にE/Fバランス(VR101)というパラメータを調整します。サーボの制御強度のようです。
オーディオCDをセットし、プレイヤーの画面が表示された所でディスクは回転している状態になりますが、この時に「コココ...」という小さな音がすると思います。この音が一定間隔でない場合、調整を行います。
時計回り/反時計回りどちらかに少し回すと、音の間隔がはっきりと一定になる箇所(かなり範囲は狭い)があります。
そして、ここまで調整するとオーディオCDは再生できるようになっている筈です。
トラックゲイン(VR103)の調整
ピックアップを交換した場合は、ここでトラックゲイン(VR103)も調整することがあります。それ以外では結局元の位置に落ち着く場合が殆どなので、調整する必要は余り無いように見えます。
負荷テストの準備
そして、最後に負荷を掛けて、テストをします。ここまでの調整が完了していることが前提になります。
まず、CDの最外周まで曲が収録されているプレス盤の音楽CDを探し出してCD-Rに焼いておきます。
負荷テストの実施
CD-Rの最初のトラックの再生を開始し、途中で今度は最終トラックの曲を再生します。IIボタンを押すと、トラックを選ぶ画面が出てきます。
すると、ピックアップは最外周近くまで移動し、曲の再生を始める筈です。この時、ピックアップが何度も往復して迷っているような動作をする場合、E/Fバランス(VR101)の調整を追い込みます。本当に微妙な調整です。
そして、最初のトラックと最後のトラックの再生を3〜4回ほど繰り返してみます。実際に試してみると判ると思いますが、結構ピックアップが迷うことがあります。最終から一つ前のトラックですら再生できない場合を除いて、許容範囲だと思います。
最終確認!
そして、ある程度正常に再生できるようになったら、今度はプレス盤の音楽CDをセットして同じことを試します。殆どの場合、完璧に再生できるようになっている筈です。
最後にゲームCDでも動作確認を行います。私は「らんま1/2」と「GRADIUS II」で動作確認をしています。いつも同じソフトで動作確認をすると、読み込みが遅いと言った機体毎の傾向が判ります。今回の機体は全く問題なく絶好調に動作します。

以上で修理は完了です。 次にRGB出力追加を行います。
RGB出力追加
今回はPCE用の既製品のビデオアンプモジュールと同期信号セパレートIC(LM1881N)を使ったRGB出力追加を行います。
以前の記事ではTHS7374を使ったRGB出力追加を行いましたが、今回は既製品のRGBアンプモジュールを使いました。
スキャンコンバータとしてODV GBS-Cをターゲットにします。もちろんOSSCでも動作実績がある組み合わせです。
同期信号について
スキャンコンバータをターゲットにする場合は、WEGAなどのRGB映像機器とは異なり、コンポジットビデオ信号を複合同期信号の代わりに使うことはできません。
海外の映像機器でRGB信号に同期信号を乗せるには、RGBS(CSync)か、RGsB(Sync on Green)か、RGBHV(HSync+VSync)が一般的だからです。
どうやら、コンポジットビデオを同期信号として使う機能はオマケ程度に付いていると考えた方が良さそうです。相性が良くなく、画質が著しく低下します。
そのため、LM1881Nという同期信号セパレートICを使って複合同期信号の増幅とインピーダンスの整合を行います。
ちなみに、私がフリマアプリに出品しているSCARTケーブルは、同期信号として複合同期信号(CSync)を使いますが、RGB21ピンケーブルの方は、国内映像機器向けに同期信号としてコンポジットビデオ信号を使っているものを出品しています。購入される時に念のため確認してみましたが、ちゃんと理解された上で購入してくださいました。判っている方には釈迦に説法でした🥶
RGBアンプモジュールの実装
気を取り直して作業を開始します。 AVコネクタの交換までは以前の記事と同様に作業を行います。
PCE(TBG)用のRGBアンプモジュールは、写真のようにHuC6260の上側のスペースに収まるようサイジングされているようです。

HuC6260からRGB+S(CSync)を取り出す方法は前回のRGB出力追加と同じです。見た目は?ですが、ルーペを使って粛々と作業します。

LM1881Nの方は、データシート通りに結線します。負荷抵抗は75Ωです。
そして動作確認し、問題無いことを確認後、シリコンで配線を固定します。

RGB出力追加の効果を実証
スキャンコンバータのHDMI出力をキャプチャした画像を載せておきます。色は鮮明ですし、ピクセルのにじみもありません。




SCARTケーブルについて
今回、PCエンジン本体とスキャンコンバータを接続するSCARTケーブルは、従来の単線ではなく、RGB各ラインがシールドされている高級タイプを使っています。そのため、このような画質を実現できました。ゲーム機というよりはPCと同じ画質です。
修理品の出品決定!
今回修理と、RGB出力を追加した品物は、上の画像をキャプチャしたスキャンコンバータ(ODV GBS-C)やSCARTケーブルも同梱しフルセットでフリマアプリにて出品しています。
もし宜しければご覧いただき、購入を検討して頂けると幸いです(^^)
修理・改造依頼について
PCエンジンの修理、RGB出力追加承ります。その他、RGBアンプの頒布など、以下のお問い合わせフォームからご依頼を受け付けております。是非お気軽にお問い合わせください。