
現状定番となっているラピッドトリガー機能を搭載したゲーミングキーボードでは、磁気軸を採用したものがメジャーです。
この磁気軸は、見た目こそ一般的なメカニカルスイッチと似ているように見えるのですが、実際には大きく仕様が異なっております。特にメカニカルキーボードでありがちなメンテナンスなんかを行うと、最悪故障する危険性なんかもあったりします。
そこで、この記事では磁気軸のキーボードの豆知識を披露していきたいと思います。
磁気軸ラピッドトリガーキーボードの豆知識
機械的な接点を持たないので高耐久
磁気軸スイッチは一般的なメカニカルスイッチとは違い、機械的な接点を持ちません。磁力で反応してオンオフを切り替えるスイッチなので、摩耗してチャタリングを引き起こすということは限りなく少ないのです。
この仕組みは同じゲーミングデバイスでも、ゲームパッドのスティック部分に採用されています。ホールエフェクトスティックを採用したパッドが現在主流となっていますよね。
実際この磁気軸はホールエフェクトスイッチと称されることもあります。
ルブは絶対にしてはいけない
前述の通り通常の使い方をしたのであれば、磁気軸の耐久性は高いです。しかし磁力による繊細な操作ですので、用途以外の使い方やカスタムを行ってしまうと、結果的にメカニカルスイッチよりも故障しやすいです。
メカニカルキーボードにおいてメジャーな改造にルブというものがあります。これはスイッチ部分に潤滑剤を塗布することで、打鍵感を滑らかにし、擦れ音なんかも軽減するという定番なカスタマイズとなっています。
しかし磁気軸でこれをやってしまうと、磁力の繊細な動作を損ねてしまいRT機能の妨げになるほか、最悪そのままキーが機能しなくなってしまう危険性を孕んでいます。
ラピッドトリガーはそれこそ0.001mmの極めて細やかな差を判定する機能ですので、メーカー側のルブならともかく、素人改造なんてやったら精度が下がってしまうのは当然のことなのです。
ホットスワップ対応でも交換先は少ない
基本的にはメカニカルキーボードの派生という扱いですので、ホットスワップ機能にも対応している機種は非常に多いです。高耐久とはいえ磁気軸にも当たり外れはありますし、交換対応で自力で修理可能なのは利点です。
ただし、豊富な選択肢の存在するメカニカルとは違って、磁気軸スイッチはかなり選択肢が少ないです。
まずそもそもの話として、磁気軸スイッチは一般的なメカニカルスイッチほど種類が存在しません。広く普及しだしたのはそれこそ2025年の春頃なので、通常メカニカルスイッチとは積み重ねてきた歴史が違います。当然種類が少ないということは、安いものも少ないです。
もう一つの理由は、ラピッドトリガー機能は磁気軸への依存度が高いからです。基盤や内部のソフト面なんかも最初に搭載することを想定した磁気軸に合わせて調整されているので、気分転換に他の磁気軸に付け替えようなんてやると、精度が狂う可能性があります。
なので交換するには同じ種類の磁気軸を買うか、メーカー側が公式で対応している別の磁気軸に切り替える必要があります。
ガスケットマウントとは相性が悪い
ラピッドトリガー機能は指を話した距離を感知してオンオフを切り替える機能ですが、これはガスケットマウント機構とは非常に相性が悪いです。
ガスケットマウントはその構造を利用して、タイピング時にキー部分がたわんで沈み込むことで、柔らかで気持ちの良い打鍵感を提供してくれるのですが、たわんだり戻ったりするこの機構があると、結果的にラピッドトリガーの戻った際の、非常に細やかなmm単位を狂わせることになります。
なので市場においてガスケットマウントを採用したラピッドトリガーキーボードは、非常に数が少ないです。両立させたければ相当な設計および製造難度となってしまうでしょうし、そうでなければラピッドトリガー機能自体はおざなりになってしまいますからね。
実際、RTが流行りだした初期の頃に、ATTACK SHARKが両対応のゲーミングキーボードを販売しましたが、精度は0.2mmと市場ではかなり下の方の性能でした。
少なくともプロ仕様レベルで両立するのは至難の業だと思います。
打鍵感が硬い
機械的な接点がなく、結果的に抵抗がバネくらい。
そしてガスケットマウントによる軽減がない。
この2つの要因が合わさった結果、多くの磁気軸スイッチは打鍵感が硬い傾向にあります。勢いよく沈み込んでしまうので底打ちが早く強くなるため、指が痛い打鍵感とされることすらあります。
ものによってはガスケットマウントでこそないものの、複層構造を採用することで結果的に硬い打鍵感を軽減できている機種も存在してはいるのですが、あくまでそれは軽減なので、比較対象がガスケットマウントだと苦しい結果となるでしょう。
打鍵音はカタカタ系になりやすい
磁気軸スイッチの打鍵音は、基本的に高音気味のカタカタ系が多いです。カチャカチャまではいきませんが。
たまに動画なんかで磁気軸なのにこんなにコトコトしているみたいな動画も見かけますが、音を聴いたらどう考えてもカタカタじゃんなんてことも殆どです。
スイッチの違いで音量自体の差は存在しているのですが、それでも音はやはりカタカタ系です。なのでキーボードのタイピング音はコトコトしていないと嫌だって人には合わないでしょう。
まとめ
高耐久で長持ちしやすいが、カスタマイズ性に乏しく、打鍵感打鍵音ではメカニカルに劣るというのが、磁気軸スイッチを採用したラピッドトリガーキーボードの特徴だと思います。
けれど、まだまだ出たばかりの新規格なので、今後大きなブレイクスルーが起きて改善される可能性は多いにあります。
キーボードの進化は留まることを知りませんね!