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ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/14393623

ついに二人が接触する場面(p.45)がたまらなく好き。後ろにマグダがついてくるのを感じつつ「この幸せを失うのが怖くて足を速めることもできず、かといってこの幸せが自分を追い越してしまうしまうのが怖くて足を止めることもできない」。その足が赤信号に止められ、マグダが「男を追い越し、あやうく車に轢かれそうになって後ろに飛び退くと、男の手にぎゅっとしがみついた。」「『はじまった』クレッチマーは思った。『ついに狂気の沙汰がはじまったんだ』」。ここだけ抜き出すと馬鹿っぽいけど、これまでの積み重ねがあるから格好いいんだ。


 相当面白く読んだのは間違いないけれど、たとえば「ロリータ」と比べてどっちが好きかと言われるとやっぱり「ロリータ」の方が面白い。「カメラ・オブスクーラ」の方が作中人物の思考なり行動なりが合理的に見えるのは、三人称多元視点と一人称一元視点の差に多少はよるのかもしれない、と思いました。「ロリータ」の方がもっとどうしようもない感じが強いというか。




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