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│ 学問的な小咄46:宇宙人の遺伝子&新しい生命 │
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/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 『レベルE』という漫画がある
. | (__人__) 『HUNTER×HUNTER』で有名な冨樫義博氏の作品だ
| ` ⌒´ノ
. | } このレベルEの中で宇宙人が地球生物の遺伝子=DNAを盗もうとする話がある
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
__ ━┓
/ ~\ ┏┛ そこで疑問が発生した
/ ノ (●)\ ・ 「宇宙人ってDNA持ってるの?」
. | (./) ⌒)\
. | (__ノ ̄ \ 調べてみた
\ | ひとつの論文が検索に出てきた
\ /
. \ ⊂ヽ∩ ┌──────────────────────────────────┐
/´ (,_ \. │ │
/ \. \ │ "宇宙人"の遺伝子を作る(2003年) │
./ / |. \ソ │ ttps://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/51/7/51_KJ00007743525/_pdf │
( y' .| │ │
└──────────────────────────────────┘
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 宇宙人も地球人と同じ核酸を持っている可能性はありうる
. | (__人__)
| ` ⌒´) しかし具体的な塩基部分に関しては現状のATCGでなくてもよいかもしれない、
| }
ヽ } という結論だ
> ノ
/ \ /て⊃
| ィ |\ `´ ゞ _三}
. | | | \__/.
※詳しくはPDFを読んでください
■完璧な遺伝システム ┏ ┓
┃ 遺伝子は安定して遺伝情報を保存しないといけない一方、 ┃
○→○→○…… (100億年後) →○→○ ┃ ┃
┃ ある程度のエラーがないと生命は進化しない ┃
単一の生命 ┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
■エラーの起こる遺伝システム ┃ 100%完璧に遺伝情報を保存できる生命がいたならば、 ┃
┃ ┃
○┬→○─→◎…… ┃ 原始的な単細胞が永久に再生産され、 ┃
│ ┃ ┃
└→●┬→▲…… ┃ 現在の地球上の多様な生命はいない ┃
│ ┃ ┃
└→△…… ┃ ┃
┃ ┃
多様性が生じる ┃ かといってエラーが多すぎるとすぐに絶滅しかねない ┃
┗ ┛
.
2/3
/ ̄ ̄\
. /_ノ `⌒ \
__ | (● ) (⌒ ) | かといってエラーが多すぎるとすぐに絶滅しかねない
. | | | (__人___) |
. | | │ ` ⌒ ´ | その安定性とエラー率のバランスが良いのが、
. | | , ┤ | ATCGの4つの塩基からなるDNAなのだと考えられる(ウイルスはAUGC)
,ノ ┴‐v' Λ /
f `二ヽ) i ヽ / アミノ酸は3つの塩基の組み合わせで成立するので、
| ー、〉 / 〉 < 4×4×4=64通りのアミノ酸を識別できる事になる
| r_ノ j / ̄ ´ ̄ ⌒ヽ
| ) //{ ィ } 高校生物でRNAのコドン表を習った人もいるだろう
_ノ / | | | 64の組み合わせで20種類のアミノ酸を作る事ができる
□コドン表
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│ │ 2 │ │
│ ├────────┬─────┬───────┬──────┤ │
│ │ U │ C │ A │ G │ │
├─┬─┼────────┼─────┼───────┼──────┼─┬─┤
│ │ │ フェニルアラニン │セリン │チロシン │システイン │U │ │
│ │ U │ フェニルアラニン │セリン │チロシン │システイン │C │ │
│ │ │ ロイシン │セリン │終止 │終止 │A │ │
│ │ │ ロイシン │セリン │終止 │トリプトファン │G │ │
│ ├─┼────────┼─────┼───────┼──────┼─┤ │
│ │ │ ロイシン │プロリン │ヒスチジン │アルギニン │U │ │
│ │C │ ロイシン │プロリン │ヒスチジン │アルギニン │C │ │
│ │ │ ロイシン │プロリン │グルタミン │アルギニン │A │ │
│1 │ │ ロイシン │プロリン │グルタミン │アルギニン │G │ 3 │
│ ├─┼────────┼─────┼───────┼──────┼─┤ │
│ │ │ イソロイシン │スレオニン │アスパラギン │セリン │U │ │
│ │A │ イソロイシン │スレオニン │アスパラギン │セリン │C │ │
│ │ │ イソロイシン │スレオニン │リシン │アルギニン │A │ │
│ │ │ メチオニン │スレオニン │リシン │アルギニン │G │ │
│ ├─┼────────┼─────┼───────┼──────┼─┤ │
│ │ │ パリン │アラニン │アスパラギン酸 │グリシン │U │ │
│ │G │ パリン │アラニン │アスパラギン酸 │グリシン │C │ │
│ │ │ パリン │アラニン │グルタミン酸 │グリシン │A │ │
│ │ │ パリン │アラニン │グルタミン酸 │グリシン │G │ │
└─┴─┴────────┴─────┴───────┴──────┴─┴─┘
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ もしその種類を増やすことができたらどうだろうか?
| ( ●)(●) それを試したのが次の研究だ
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ ┌─────────────────────────────┐
. | } │ A unified Watson-Crick geometry drives transcription of six-letter │
. ヽ } │ expanded DNA alphabets by E. coli RNA polymerase(2023年) │
ヽ ノ mm │ │
/  ̄ ̄ ̄ つノ │ ttps://www.nature.com/articles/s41467-023-43735-9 │
| | ̄ ̄ ̄ └─────────────────────────────┘
.
3/3
/ ̄ ̄\
. /_ノ `⌒ \
__ | (● ) (⌒ ) |
. | | | (__人___) | ATCGにBとSを追加したらRNAポリメラーゼが問題なく働く、
. | | │ ` ⌒ ´ | という結果を得られた
. | | , ┤ |
,ノ ┴‐v' Λ / 今後、ここから新たなタンパク質を作れたら、
f `二ヽ) i ヽ / 今までと違う全く新しい生命体が作れる可能性が出てくる
| ー、〉 / 〉 <
| r_ノ j / ̄ ´ ̄ ⌒ヽ
| ) //{ ィ }
_ノ / | | |
ゝ>=i}`}'ヽ:.:.、 /::. :. :. :. :. 〃:.:.:./: : : :i:.}: : : :i:::.:. /: : : : : : i
ゞ}、ェ_ノ;:.:.ヽ:.:.:.:〉::.:. :. :.//:::.:./ : : : : '´: : : i:.:.:/ i: : : : : /
;;} Y =/:; :;}:.;,;〃:. :.ィ: : /:.:.:./ : : : : : : : : : i}::.:.:}:.:i: : ./
{;::.:.:.:.:.:i}:.:.:.:i/ : : : : : : /:.:.:.:/‐- .._: : : : : : :i}:.:.:.:.:.:.i/
≧;ヽ、::::.:.:.:}: : : : : : : /:.:.:.:/ : ヘヽ、 `''ヽ、__{i::.:.:.:.:/ ┏ ┓
ヾ:.:.:.:`ヽ、: : ,、: : : : /:.:.:.:/: : : :}ゝ: `ヽ、ヘ:ヽ}::::::/ ┃ ┃
:::`ヾ、:V`ヾy:::i ,..、 {iヽ、:}: : : : :ヽ: : : : : ゝ} : `ヽ、 、 ┃ 現行のATCGでも恐竜のような生命体を作れたので ┃
:::::::::::::ヽ}:::::::ヽ、ト、=:}::::::ヽ: : 、-:.:ゝ{`、{ヾ{ヽ、ハ‐、ゝ{:.ヽ、 ┃ ┃
`≧、_:::::i:::::::::::::_二ニホ、:::::{円ゞk`ー{‐;,:;.コ`≧-、::.:.;;.:.、ヽ,、 ┃ ┃
/ヾノヽ;:.i`ヽ,、==:.:.:.::::::≦"゙‐‐-、`ヽ、:.:.:.>、ニェ:::::,=、ァ/:.:.:`ヽ、 ┃ 新しいタンパク質を使えば、 ┃
ヽ:::}_:.::{⌒{::.:::{'`:.〃>/`>、ィ、: : : ゝ:.:.:y;;-':.:. ̄:.:.:.`":.:ヽ:.:.:.:.:.:.:ヽ ┃ ┃
VyVyVyVyVyVyVyVyV/ ゙`<_:;'=''≧、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ヽ::::::::::,' ┃ ┃
.}:.}:.}:.}i:.}:.}:.}/:.}':.}:.}':.}:.>´ _,,-'''/::::::: `ーゝv-v-、,、,、,、,、ヽ/ ┃ 恐竜が空を飛び、口から火を噴く、 ┃
'-'-'/ゞ、:./:.:':.:.>'''´ _...ィ''´/. /:. :.:: :.ヽ /:::::::::::::::::/ ┃ ┃
/_..<´'イ>マ /'´/´ /i ィ:::イ: : ::.:. :.ヘ i:::::i i::::::i:} ┃ ┃
‐''i /ヽ、 } ', i ./ ヽ、i` ̄ ̄V::.:.:.:.:ヽ: :i::::::i i:::::ノi ┃ というファンタジーに出てくるような生命体が ┃
ゝ}:}:.:.:/` i i { `ヽ、_:.:.:.:.:フ:::i i::::〉:> ┃ ┃
: : ,':.:{ ` ` ヽ:.:.:.:.:フ、 {::/、ヽ ┃ ┃
-‐':::::\ `ヽ:.:.:.:.:ゝーフ ┃ サイエンスでも出来るかもしれない ┃
;;:;;:;;:;;:;;:;;:\ /´{`ヽ、-、 }:;:.:.:.:.:フ:> ┃ ┃
;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:>ゝ、:.ゝ_:: }__ } ⌒}‐-/ ┗ ┛
ヾ;:;:;;:;;:;;:/:.{::.、 ヽ'´ y´ `' i/
ヾ::;:;/::::: : : : :ヽ}ゝ}
ヾ{:::::::::..: : ://
, ── 、
( ( / \
/ _ノ `i
.| (⌒) ここまで読んでくれてありがとう
| (___))
|. ` )
.| }
ヽ /
ゝ _ノ
./ 〈
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おわり
投稿乙です
乙でした
乙
乙ー
しかしそうなるとそういう系統の生物が生まれなかったのはなんでやろ
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