「マニ」ことゲイリー・マイケル・マウンフィールドが亡くなった。
彼を追悼する投稿に、ベースプレイヤーとしての素晴らしさはもちろんだが、彼の陽性の人柄を称えるものが多かったのが印象的だった。本当に多くの人に愛されていたのだなと再確認させられた。
彼を追悼するために、1989年から2004年まで読者だった雑誌 rockin'on から引用する「ロック問はず語り」をやらせてもらう。
今回取り上げるのは、1990年1月号で、表紙はストーン・ローゼズで、この号はさながら彼らの初来日公演特集号と言える。その中で、リズム隊のレニ&マニで増井修のインタビューを受けている。
●あなた方の生み出すリズムは実に多様性に富んでいてよくここまで複雑なことがやれるなと感心するんですけど、それぞれのルーツは何なんですか?
R(レニ)「マニは実にいろんなものがバックにあるね、ノーザン・ソウルからレゲエ……」
M(マニ)「ファンク、パンク」
R「僕自身も同じようなものが好きだな。ビートルズみたいなポップ、レゲエ、ヒップホップやハウスの中のいいもの」
M「だからリズム・セクションがうまく機能してるんだと思うよ。いろんなものが拮抗し合って、でもうまく溶けあって」
R「バンドの四人ともルーツを挙げればエルヴィスからバルトークまで、実に幅広いな」
M「僕らの音楽をよく聞いてると、もう何でも出てくるって感じだろ?」
バンドへの揺るぎない自信が伝わるが、マニは昔からのダチであるこの四人でないとバンドは成り立たないと強調している。
この二人だとレニのほうが弁が立つのだが、最後の質問に対するマニの回答は、読んでて思わず笑ったのを覚えている。
●では最後に、プレイヤーとしてそれぞれ音楽上のヒーローを挙げて欲しいんですが。
M「えーと……俺」
R「ジョン・ボーナムかな」
●へーえ。ストーン・ローゼズって全員レッド・ツェッペリンが好きなんですか?
M「えーっ!?」
R「こいつは嫌ってるよ。はじめはみんな嫌ってたんだ。でも俺がレコード持ってて、ジョンに聞かせたら最初は厭がってたんだけど、何度か聞くうちに気に入ってきたんだ。イアンも最初に聞かせた時はヘドが出そうな顔してたけどそのうち『でも何かあるな』って思うようになったんだ」
ヒーローを聞かれて「俺」と答えるマニ。でも、それが嫌味にならない稀有な人だった。
文学フリマ東京41の会場でも、TBS ラジオブースにいた長谷川プロデューサーと顔を合わせるなり、自然と「マニが亡くなりましたね」「この世代のミュージシャンも鬼籍に入るのだな、と思いましたよね」とマニの話題になった。そこでも言ったし、何度も書いているが、ストーン・ローゼズの 1st アルバムは、音楽というよりも魔法であり、マニのベースなくしてその魔法はありえなかった。
ありがちだが、彼のベストプレイは、ローゼズでは "She Bangs the Drums"、プライマル・スクリームでは "Kowalski" になるだろうか。