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科学超大国アメリカの終焉?

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ロシアの物理学者ロアルド・サグデエフがキャリアをスタートさせた1955年当時、ソビエト連邦の科学は頂点に近づいていた。それから間もなく、ソビエトは衛星や人間を世界で初めて軌道に打ち上げることに成功して世界を驚かせた。しかし、当時既にサグデエフはソビエトの科学の腐敗に気づいていた。

そもそも危険はソビエト連邦の誕生時から存在していた。1917年に権力を掌握したボリシェヴィキは、科学者を労働収容所に送りたがったし、ヨシフ・スターリンが権力を掌握すると、資金を提供する研究は彼のイデオロギーに合致することを要求された。1973年、サグデエフがソビエト宇宙研究研究所の所長に任命された頃、ソビエトは宇宙進出のリーダーシップを NASA に譲り渡しており、研究所は資金不足に陥っていた。

1985年、サグデエフに運が向いたかに見えた。ミハイル・ゴルバチョフが54歳で書記長に就任し、広範な改革を約束し、サグデエフを顧問に任命したのだ。しかし、1988年、サグデエフはゴルバチョフに手紙を書き、ソビエトのスーパーコンピュータは(ゴルバチョフの耳に入る話と違い)アメリカと肩を並べるどころかはるかに後れをとっており、じきに中国に追い抜かれるだろうと率直に指摘すると、彼は遠ざけられてしまう。

当時、彼のもっとも才能ある同僚たちは一人また一人と国外に流出していた。その多くの移住先はアメリカだった。

この記事の著者は、最近 MIT を訪れたときにサグデエフのことを思い出したと書く。ある科学者は、ドナルド・トランプ大統領が大統領に返り咲いて以来、彼の政権がアメリカの科学を意図的に破壊する恐怖を目の当たりにしたことを(匿名を条件に)語った。彼女は他の多くの研究者たちと同じく、この地に留まるか迷っており、研究室を海外に移転することを考え始めている。

最高の科学者はエリートのバスケットボール選手のようなもので、彼らは世界中からアメリカに集まり、その最盛期をトップクラスの人材とともに研究に捧げてきた。しかし、最近では外国人の研究者は、アメリカで歓迎されていない、それどころか監視され、嫌がらせを受けていると感じている。主要大学は大統領から目をつけられて認定や税制の優遇措置を脅かされ、NSF、NIH、NASA といった機関が深刻な予算削減と大量の職員の解雇を余儀なくされているのはご存じの通り。

最近の Nature の調査に回答したアメリカ人科学者の4分の3が、国外移住を検討していると答えた。中国や EU など、彼らは求職先には事欠かない。現在は赤狩り時代よりも状況は悪く(当時は提供される資金額の上昇を慰めにできた)、これだけの人材流出の可能性は、それこそサグデエフをはじめとするソ連のエリート研究者がモスクワを脱出しようとしたとき以来である。

そこでこの記事のタイトル「あらゆる科学帝国は終焉を迎える」につながる。確かにそうなのだが、帝国の崩壊の速度や理由は同じではない。この記事は、古代シュメール、古代エジプトギリシャ、スペイン、ソビエトナチスドイツ(科学的な自己破壊の才能が最も優れていたのはアドルフ・ヒトラーだった)の事例を説明した後、アメリカの話に戻る。ヨーク大学の科学史家デヴィッド・ウートンによると、今のアメリカはスターリンヒトラーの科学破壊政策と共通する特徴を有するが、英語圏では前例がない「内部からの破壊」だと語る。

もちろんアメリカの科学はまだ完全に失われたわけではない。研究機関は来年も数十億ドルの予算にアクセスできるし、取り消された助成金の一部を裁判で取り戻すなどまだ闘志が残っている。米国政府がアメリカにおける科学研究の唯一の資金提供元ではないし、米国がソ連のような急速な崩壊に直面する可能性は低い。

とはいえ、アメリカが世界の科学技術の超大国でなくなれば、その変化はほぼ確実に悪影響を及ぼす。科学は、19世紀にイギリス、フランス、ドイツが技術的優位を競ったような多極的な秩序へと分散化するかもしれないし、今世紀の中盤までに中国が世界最大の科学大国になるかもしれない。

記事は最後にロアルド・サグデエフの話に戻る。1990年に困難を乗り越えてアメリカに移住したサグデエフは、アメリカの野心的な研究計画、そしてそれを実際に支える資金に圧倒された。科学者が研究機関を自由に移れ、資金を得るために共産党の指導者に媚びる必要がない点もよかった。しかし、現在彼はアメリカの科学の現状に憂いを抱え、自分はまたしても偉大な科学大国が衰退しているのを見ていると考えている。もはや92歳のサグデエフは、アメリカを去ることはない。しかし、アメリカ人として、科学者たちが去っていくのを見るのは痛ましいことなのだ。

アメリカはポイント・オブ・ノーリターンを超えてしまったのだろうか?

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