本当は『ヒットマン』を観たかったのだが、ワタシの生活圏の上映館ではレイトショーをやってくれないため、ちょうど拡大上映となった本作を観た。
タイトルで分かる通り、侍がタイムスリップする話で、なんと安易な企画かと思いきや、これが紛れもない時代劇愛を感じさせる映画だった。
冨家ノリマサくらいしか見覚えのある役者が出ていないのだが、主役である高坂新左衛門を演じる山口馬木也ももちろん良いし、助監督役の沙倉ゆうのという方が特に良かった。
斬られ役の大部屋役者たちが見つめるテレビの脇に並ぶ伊丹十三監督作品のビデオなど、配置に意図があからさまなものも気になるのだけど、本作を観ていると、多くの時代劇スタッフや役者たちが、自腹を切って自主制作した安田淳一監督の意気に感じて協力したのが伝わってくるように思う。
監督自身『カメラを止めるな!』の名前を出しているが、ああしたトリッキーな作りを期待すると違うと思うだろう。時代劇復興という意味で、ちょうどエミー賞で最多受賞を果たした『SHOGUN 将軍』を引き合いに出すのも、作品規模が違い過ぎてやはり適当ではない。
そうした意味で実は難しいところもある作品なのだけど、明らかにコメディーな作りで始まりながら、最後には固唾をのんで見守るしかないまさかのクライマックスに至る脚本はよくできていたと思う。
ただ音響があまり良く感じなかったのは残念。