2020年代の最も正しい日常系アニメ。
日常系アニメのピークは2010年代だったというのは、好きな人ならほとんど同意してもらえるのではないかと思う。けいおん!のヒットが2009年で、そこからブームになっていろんな作品が出てきた。2015年くらいにピークが来て次第に作品も減っていき、2020年代には年に数本という感じ。
2020年代でもゆるキャンやぼざろというヒット作品はあるが、けいおん!では趣味と日常で趣味の方が比重が低いことが特徴になっていたが、ゆるキャンやぼざろは趣味の方が比重が高いように思う。
ひびめしについて食事というコンセプトを聞いたうえで自分が気になっていたのは、この趣味と日常の比重をどのように取るかだった。料理アニメ、グルメアニメはいくらでもあるし間違いなくウケる。むしろそこからどれだけ離れることができるかに注目していた。
結果としてはかなり自分の期待している距離感に近く非常に楽しめた。
理由としてまずはあっと先生のギャグ構築力が高く、コメディ部分だけで十分楽しめたこと。のんのんのなっつんポジのしのんがボケの中心ではあるが、ななも予想以上にボケポジションだった。ギャグだけならのんのんのほうが強烈だが、大学生なのでそこまでアホでも困るしいい塩梅ではないか。
料理は1話に1回は必ず出てはくるが、料理と全く関係ない話も多い。こうなって欲しくないと思っていたパターンは、何か料理と関係なさそうな問題が起きるが、最後は料理で解決的な美味しんぼ的な展開だった。このパターンは全くなかったのは興味深い。
料理の説明が最小限なことも良かった。料理の作り方の説明は簡単にするが、蘊蓄的な話はほどんどない。料理だけでなく外食の場合もあるが、この場合も過剰な背景の説明は全くない。食文化研究会なのに"食文化"の説明が全くないのだ。でもそれでいい。
設定を高校生でなくて大学生にしたことで、話を広げやすくしたのも良かったと思う。大学生ならバイトも普通だし車に乗ることができるのは大きい。高校生なら無理のある遠出展開でも大学生ならそこまで無理はない。
キャラクターも文句なく可愛い。主人公のまこっちはイマドキの女性主人公キャラではない。内気でおっとり系で料理が得意とか"古い男性に都合のいい"キャラクターではある。自分も"古い男性"なので好きなタイプではある。
もちろん"食文化の振興で地域を活性化する女性"みたいな人は素晴らしいし称賛されるべきだと思う。ただそういう話はありふれているし、別でやればよい。日常系アニメはまこっちでいい。
またOPが本当に素晴らしい。自分はOP観ると毎回感動してしまう。自分でもこのOPになぜこんなに感動するのか不思議で考えてみた。
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本作のOPは順に人が増えていく展開になっている。最初はメンバ1人ずつのカットで、その後に2-3人の組になり、サビになると5人そろうカットになっていく。
通常のアニメのOPであればサビでは大きな動きのあるカットにすることが多い。バトルものならバトルシーンだが、日常系であればいわゆるきららジャンプを入れるのは動きを入れる理由もあると思う。
そこを本作は5人がそろう日常カットで詰めていくのだ。自分はもともとイラストでもこういう全員が揃う日常イラストが好きで、これこそが日常系なのだという感覚がある。そこが「あるべき日常系」であるという点に感動するのだと思う。
スタッフが「2020年代の日常系アニメはどうあるべきか」を完璧に理解し、それを実現できた作品だと思う。