完全にファン以外相手にしていないが、その分原作理解が高すぎる。ファンは買うべき。
スタァライトとの特徴は何であるかと一言でいうなら「メタ構造」だと思うんですよ。キャラクターとか百合要素とかレヴュー演出とかいろいろあるけれども、一番の特徴は「メタ構造」だと思うのです。その話は過去にたくさん書いているので省略します。
スタァライトをノベルゲー化するにあたり、普通にキャラクターエピソードみたいな感じにして良かったとは思います。しかし本作の凄いところは、スタアライトとはあくまで「メタ構造」であるということを意識したということです。
そもそもゲームというメディアは物語にインタラクティブに介入できるということで、物語のメタ構造とは相性がいい。一方で演出はどうしてもアニメに勝てないわけで、メディアに合わせた内容が良く考えられていると思いました。
スタァライトのテレビアニメ版については、いろいろ要素は詰め込まれているものの、最終的に起こったのは、原作の再解釈による脚本の変更でしかありません。これ自体が演劇に詳しくない人はわかりにくい。
その意味で本作がキャストの変更による脚本の変化がメインの要素であるということは、アニメ版で起きたことを分かりやすい形で解説している。本文中でもアニメ版のラストについては明示的にそう説明されています。
またスタアライトにおいてはアニメでも映画でもそうなのですが、こいつら真面目に演劇やってるのか感は正直あります。1年もあるのにスタァライト以外の作品何もやってないし。レヴューもいいけどお前ら演技の練習しろよと。
その意味でミュージカルですらない普通のストレートプレイをキリンもレヴューもなく練習して、ちゃんと公演するということ自体がネタとして成立するというのが面白いです。すごい普通の演劇アニメみたい。
何よりアニメや映画では部分的にしか触れられない「遥かなるエルドラド」という劇中劇が全編観られる。しかもそれが普通に脚本として良くできてる。
自分は舞台版追ってなかったので知らなかったのですが、既に朗読劇しては「遥かなるエルドラド」はリアルに公演されてたんですね。なるほど。
また全部クリアした後のエンディングアニメーションは本当に感無量です。私服の日常パートが結構多いのが自分は刺さりました。
不満点をいうなら、正直"表象のレヴュー"は無理にあの形にしなくても良かったのではと思います。あとこれを言うと身も蓋もないのですが、普通に演劇ものになってしまうとちょっと暑苦しい感がある。
個人的にはキャラクター別衣装モードがほしいですね。単にキャラクターの衣装を愛でるだけのモード。イサベルまひるちゃんやカルメンシータまひるちゃんだけ何度も観たい。基本ほぼ男装だから好きなひとはいいんでしょうが、自分は可愛い衣装が観たいんだよ。
あとみんな思うと思いますが、朗読劇ではないフル舞台版の「遥かなるエルドラド」は普通に観たいですよね。
とにかく原作理解度が半端ない作品で満足しました。