自分はトラペジウム大好きなのですが、その上で物語としては結末に不満はあります。これが悪いというわけではなくて、できたらこうあっても良かったのではという感じ。完全にネタバレです。
良い結末なんだけど綺麗すぎる。抽象的な言い方をするならもう少し文学的な飛躍があっても良かったのではないかと思いました。
前のエントリでも書いたのですが、この話は挫折までは既定路線なのです。これは一般的に起承転結という物語構造において、一度何らかの障害に当たらないと、普通の物語としては成立しないから。
本作はアイドル解散まで行ってしまいますが、普通のアイドルものならそこまで行かなくてもコンテストでの敗北だったりしますよね。重要なのはそこから結末をどうするかなのです。
本作では東ちゃんはかつてのメンバに時間によって赦されて、辛いこともあったけど今ではいい思い出だよね的な結末になっています。
これに対し東ちゃんが処罰を受ける、もしくは罪の償いをする方向を求める結末を求める人がいるのは理解はできます。特に一番の被害者であるくるみときちんと向き合う展開がなかったのは確かに違和感はあるかなと。
これは完全に勝手な想像ですが、くるみは最初から工藤に気がある感じで、ラストは明らかに付き合ってますよね。くるみがメンタル病んでる時期に工藤が親身になってそこから付き合ったんじゃないかな。そうだとするとくるみは東に気がありそうだった工藤を自分が奪ったことで気が済んだのかもしれない。
東が美嘉に「恋愛ってそんなにいいものなの?」って聞いたときに、くるみが内心「こいつは何も知らないんだな」と思ってたとしたら最高じゃないですかね。いや妄想ですけど。
とはいえ自分は東ちゃんがそれでもアイドルになることを諦めない結末は本作として正しいと思いますし、そのためにかつてのメンバから赦されることは必要だったのだと思います。
本作の終盤はとにかくいままで何の関係もなかったと思うものが伏線として出てくることです。本人が特に意識せずにやったことが、東ちゃんが自身と他人と向き合うためのきっかけとなる。この構成は本当に素晴らしいと思います。
とはいえ最も重要なイベントであるラジオのリクエストはやはりわかりにくいとは思いました。車椅子の子とか重要人物と思ってないから名前覚えてなかった。あと東ちゃんに唯一のファンレターを送ったの美嘉ちゃんだよね。2回目観て気が付いた。
しかしそれでもあえてないものねだりをするなら、ラストは本作の中盤までのキレのよさからすると、ちょっとわかりやすすぎる感がある気はしました。もう一段文学的に余韻のある高みを目指すことができたのではないかと。