山本由伸が2025年ポストシーズンで圧倒的な存在感を放てた理由。
その一つが、「どの球でもカウントを取れる」という点にあります。
多くの投手は、ストライクを取りにいくときに“決まった球”を頼ります。
初球ならストレート、追い込んだらフォーク──というように。
しかし山本は、その常識を完全に壊しました。
● フォークでカウントを整えるという発想
山本は、フォークを“決め球”ではなく“カウント球”として使える稀有な投手です。
「0-0」や「2-1」といった中途半端なカウントでも、
ためらわずフォークを投げ込むことができる。
つまり、打者が「次はストレートで入れてくるだろう」と読む場面が一切ない。
ゾーンにかかるような落ち方をするため、
打者は見逃せずに手を出し、結果として凡打や空振りにつながる。
フォークでカウントを取れる=フォークを“誘い球”として使える。
これこそが山本の投球哲学の中核です。
● 「追い込む前に勝負が始まっている」
通常、投手は2ストライクに追い込んでから勝負を仕掛けます。
しかし山本は、最初のストライクを取る瞬間から勝負を始めている。
どんなカウントでもフォーク・カーブ・スライダーを織り交ぜ、
打者の「次はこれだろう」という予測を初回から完全に消してしまう。
だから相手打線は序盤から手が出ない。
試合が進むにつれて、山本のペースに飲み込まれていく。
● リズムを支配するストライクゾーン
山本の真価は、「ストライクゾーンの使い方」にあります。
どの球種もストライクにできるからこそ、捕手は配球の制約を受けず、
試合のテンポを完全に投手側でコントロールできる。
攻めながらストライクを取る。
それができる投手は、どんな相手にも主導権を渡さない。
● 総評:フォークを“決め球”から“戦略球”へ
2025年ポストシーズン、山本由伸が残した数字以上の意味。
それは「フォーク=決め球」という常識を塗り替えたことです。
フォークで追い込むのではなく、
フォークでリズムを作り、試合を支配する。
この発想の転換こそが、山本由伸がPSを躍進した最大の理由のひとつではないでしょうか。