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舞台班のオタクがサマソニに行った話

かれこれ長いこと某事務所のオタクをしているけれど、わたしは所謂『舞台班』のオタクであると自負している。事務所舞台以外で帝国劇場には縁がないものの、そこそこ大小様々な劇場で好きなアイドルのお芝居を見てきた、と思う。

近年、事務所内のグループが音楽フェスに出演するようになった。活動の場が広がるのはいいことだけど、「該当担は過酷で大変だなあ」だなんて他人事のように思っていた。事実、ほとんど他人事だったので。

今年2月。ひょんなことから好きなアイドルがバンドグループになった。元少年忍者の、B&ZAIでドラムを担当している川﨑星輝くん。

そんなB&ZAIが結成若干5ヶ月、SUMMER SONICに出ると言う。他人事だったことが他人事じゃなくなるのって、本当に一瞬だ。

言わずもがなの晴れ舞台。それでもわたしにとって、フェスのハードルはものすごく高い物だった。

6月のFirst Beatを全ステして、B&ZAIが星輝くんに夢を乗せてくれて、星輝くんがB&ZAIに人生を乗せることをこの目で見た。2日目昼公演の橋本涼くんの咆哮と、夜公演でスネアのヘッドに刻まれていた言葉に、わたしも夢を見た。

夢を、見たいと思った。

 

そうだ、サマソニに行こう

初めてのサマソニは一回だけ。

初めてのフェスはどうしても行けない日程だったから、そういう意味ではめちゃくちゃ大きな意味を持つ現場ではないかもしれないけど、少し行ってみたい気がした。

何か一つ、自分も壁を越えないといけない気がして。

そこからはとんとん拍子で、あれよあれよとチケットを手に入れて、あとは夏現場をこなしながら当日を待つだけ……のはずだった。

自他共に認める舞台班オタク、しかも陰キャを拗らせて早数年。フェスはおろか、クラブにも行ったことがないオタクである。ペンライトもうちわもないライブなんて、最後に行ったのは遥か彼方遠い記憶。

あまりに舞台に慣れすぎて、コンサートでもC&Rはおろかコールもろくにしたことがない。うちわとペンライトは胸の高さまで、を遵守して生きてきた。出せる歓声と言えば、衝撃のあまり横隔膜の反射で出るような悲鳴だけ。シンプルに経験値が足りなさすぎるのだ。

これはどうしたものか。困り果てた私がしたこと。それは、夏の東京ディズニーシーに乗り込むことだった!!(????)

 

まずは、舞浜に行こう

この夏東京ディズニーシーで開催されていたびしょ濡れイベント、「ドックサイド・スプラッシュ・リミックス」。

ミッキーと仲間たち、そしてゲストがノリノリのEDMサウンドに身を任せて踊り狂う、放水あり花火ありのド・パリピ向けエンターテイメントショーである。

陰キャなのに脇目を振らず全力で踊るオタク……それはDオタに他ならない。そんな謎持論から、先達たちの背中から学ぼうという魂胆だった。(褒めてる)

純粋に新しいショーを観たいという気持ちもあったけれど、渡りに船。これはもう行くしかないと猛暑日の中、ディズニーシーに乗り込む限界オタクの姿があった。

1日目

驚くことにこのオタク、数日間に分けてこの奇行とも言える特訓を敢行したのである。

初回は遠くから、そっと眺めることにした。新しい衣装のクラリスがかわいい。最高。数十メートル離れているところからでも、人々がびしょ濡れになっているのが見える。怖い。

しかし、一番恐怖だったのは、今や知らない国民はいないんじゃないかと言われているあの曲が流れた瞬間だった。

そう、「ジャンボリー・ミッキー」である。

重低音と共に聞こえてくるウィスパーボイスは、「ジャンボリー……MIC……ジャンボリー………KEY……」とビートを刻んでいる。そしてそれまで一緒になって遠巻きに眺めていたゲストたちも、テンションが上昇していくのがわかった。

からの、「ジャンボリー・ミッキー!!!!」というお馴染みの掛け声で、ウォーターフロントパークのテンションは一気に最高潮に。

思わず「いやジャンボリやめてこのショーやるんちゃうんかい!?!!?!?」と強めにツッコんでしまった。

そこからはもう、すごかった。異様。

あれはもう新手の宗教に近い。みんな踊っている。我を忘れたようにみんなが踊っている。踊らない人間はその場から締め出されるんじゃないかと思うほどの熱狂ぶりに、免疫のないオタクはヒエエ………と震えることしかできなかった。

そんな感じで初日は終了。シンプルな敗退である。

2日目

初戦敗退から一ヶ月後。

サマソニを1週間後に控えながら、バケーション・パッケージでダッフィー20周年を満喫しようという予定だった日。

友人たちに頼み込んで件のショーにエントリーし、無事にその日の最終公演の参加権を得ることができた。DPAエリアに乗り込む勇気はなかった。パークのびしょ濡れはびしょ濡れではなく、ずぶ濡れなので。

灼熱のディズニーシーに体力を奪われながらもビリーブを堪能し、いざ戦場へ。会場にはすでに、ローテンポながら観客の気分を高潮させるような音楽が静かに流れている。逆に怖い。始まるオープニングアナウンス。周りは普通にFooo!とか言ってる。信じられない、怖い。

なんとも言えない緊張の中で始まったショーだったけれど、序盤は思いのほか和やかだった。流れてくる曲は激しく、周りのゲストたちも体を揺らしているものの、舞台班のオタクにも唯一できることがあった。そう、人一倍大きな手拍子である。手拍子だけは、人並み以上にできる。任せてほしい。

なんて余裕をぶっこいていた私に次に襲い掛かったのは、とんでもない量の水だった。

遠くのステージから高く放射線を描いて飛んでくる水を見て「ばかじゃん!?!!!?!?!」と叫んだ程度には、初手からずぶ濡れだった。びしょ濡れっていうのやめたほうがいい、優良誤認ですよ。だってもうすんごい濡れる。水ももう冷たいとかじゃない。なんならちょっと痛い。いま録音を聞き直してたら、自分の「ア゛ァ~~……!」ってひっくい唸り声が入ってた。ルシファーでももう少しかわいい鳴き声だぞ。

けれど周りを見れば、大の大人たちが大笑いしている。音楽に合わせて水を全身に被りながら、誰もかれもが楽しそうに笑っている。なんかもう色々考えるのバカバカしくなってきたな……と遠い目をし始めた頃、それはやってきた。

「ジャンボリー……MIC……ジャンボリー………KEY……」

ジャンボリー・ミッキー!!!!

噴き出す大量の水と、一心不乱に踊り狂うゲストたち。ホースを人に向けて発射するダンサー、それを見ながらかっこつけて踊るミッキー・マウス。下から照らす赤いライトも相俟って、さながら夏の夜の悪魔のようだった。

そこからはもう、なんか、踊るしかなかった。

あの熱狂の渦のド真ん中に放り込まれたら、さすがの私も無力である。見様見真似で今まで受動喫煙してきたジャンボリの振り付けを踊りながら、水を被るたびに「ァー!」「ワァ~~……!」「ァ゛!!!!」と力なく叫んでいた。

そういえば、初めて見る曲でも振り付けのコピーを強要してくるのが、私の応援しているA.B.C-Zだった。あとSUPER EIGHTの日産スタジアムでも、アホみたいな量の水を頭から被ったことを思い出した。嫌なデジャヴュである。

 ミッキー「みんな~! 楽しかった!?」

 私「ばかじゃん!!!!!!」

ショーが終わるころには、シャワーでも浴びたのかと思うほどずぶ濡れだった。測らずもジャンボリー・ミッキーを踊るという実績解除をした私。あの新興宗教とも思える熱狂の渦中をなんとか生き抜いた私は、「その場の雰囲気に任せておけば、大概のことはどうにかなるんじゃないか」という諦めの境地に達していた。音楽フェスに馴染めるという自信や確信が生まれたわけではない。もう、どうとでもなれ、である。

だがしかし、本家本元のジャンボリー・ミッキーは今後も絶対に見に行きたくない。心からそう思った。

かくして2日目の特訓は、一種の悟りを開く形で幕を閉じた。

3日目

前日の疲れが抜けず、いつパークを離脱するかもわからなかったため、ショーのエントリーはしなかった。が、なんやかんや夜までいたので、初回と同じくステージから離れたウォーターフロントパークから、個人的ドック・サイド・スプラッシュの最終公演を見届けることにした。

濡れないというだけでいささか心は晴れやかで、なんとも軽やかにジャンボリー・ミッキーを手振りで踊ることができた。驚くべき成長。人間、住めば都、郷に入っては郷に従え、なんでも適応するようにできているもんである。でも、本家本元のジャンボリー・ミッキーは本当に行きたくないです。

そんなこんなで私の3日間に渡る東京ディズニーシーでのフェスに向けた特訓は終了したのだった。

 

今度こそ、サマソニに行こう

酷暑のディズニーシーを生き抜いてから数日。

世の中はお盆休みだというのに、私はフルMAXで働いていた。サマソニの前日は、終電での帰宅だった。命を落としたいのか???倒れるようにして眠り、5分おきにけたたましく鳴り響くアラームで目を覚ました。

ついに、SUMMER SONIC 2025 B&ZAI出演日当日である。

余談だけれども、私のサマソニに向けた特訓は何もディズニーシーで踊り狂うだけではなかった。

ビアガーデンで云年振りにビールを飲んでみたり、深夜まで友人たちと飲み歩いたり。最後にはシーシャまでキメた。とりあえずやったことないけど誘われた物全部やってみよう、とした結果だった。迷走すぎる。

というわけで、ここからやっとSUMMER SONIC 2025にお邪魔してきました、という話をします。

ここまではすべて序論であり、導入です。

サマソニ当日の話に辿り着くまでに約4000字を要していて、これ誰が読むの?と途中から思っています。ばかなの?

さあ、サマソニに行こう

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その日私が袖を通したのは、通販で買った「B&ZAI LIVE 2025 First Beat」のオリジナルTシャツ。

思い返してみると、こうやってイベントにグッズのTシャツを身に着けていく、というのも初めてだった。うちわもペンライトも持っていないから、せめて少しでもB&ZAI目当てで来たんですよ、ということが周りに伝わればいいと思って。

SUMMER SONICの会場は、幕張メッセ。我が修業の地、舞浜を超えたその先である。

今回B&ZAIが出演したのはPACIFIC STAGEと呼ばれるエリアで、待機中も屋内で待てるというフェス初心者にはめちゃくちゃありがたい場所だった。

無事にドラム前を取ることができて、そこからはひたすら待機。リハまで見られるのはフェスならではで、ワクワクした。マイクテストまで見れるんですね。いつもは見ることのできないステージの下拵えを覗き見するのは新鮮だった。オープニングアクトで出演されていたFYURAさんも、めーちゃくちゃ歌がうまくて素敵だった。またライブで見てみたいな。

B&ZAIのステージ

B&ZAIのステージは、6月のライブで生まれたグループ名のコールから始まった。

あの時よりも、気持ち跳ねた音たち。星輝くんが本当に楽しそうにドラムを叩いている。なんだかそれだけで、思い切って飛び込んでみてよかったなと思った。

一番うれしかったのは、この夏を彩ってくれたオリジナル曲、♪ なつ♡あい をやってくれたこと。


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「僕たち夏のオリジナル曲あります!」っていうMCだけで悲鳴がでた。♪ なつ♡あい はほんと~~~~に星輝くんによく似合う!しなやかなダンスがぴったり!かわいい!この夏一回しか聞けないと思ってたので、めーーーちゃくちゃうれしかった。

『B!&!Z!A!I! Everybody B&ZAI!』

朝から会場に集まったオタクたちが、楽しそうに声を上げる。気づけばそこに、自分の声も混じっていた。星輝くんの「叫べサマソニ!!」という煽りにも大きく手を振っていて、どこか冷静な自分が私ってこういう時に声出るんだなあ~と思っていたのを今でも覚えている。

そこからはアクロあり、ダンスあり。ドラムに戻ってステージを自由に動けなくなってしまっても、そこに駆け寄ってくれるメンバーに愛を感じた。

そして始まる♪ First Beat 。


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B&ZAI初のオリジナル曲。聞けば6月のライブの景色を思い出していたこの曲に、新しい記憶が重なっていく。こうやって一つずつこの曲にいろんな思い出が積もっていくんだろうななんて、B&ZAIの未来を見た。

ステージを終えて

星輝くんがB&ZAIにならなかったら、きっと行くこともなかったサマソニ

仲のいい友人たちには本当に行くの!?と目を剥かれたし、当の本人も前日まで本当に行くのか???と思っていた。

配信だってあったから、無理して現地に行く必要は本当はなかった。でも現地で、この目で眼差したものでしかわからないことって、きっとあって。

汗だくでドラムを叩いていた星輝くんの姿とか、スワンの高さ、上がる歓声。少し痺れる足の裏と、全身で音を浴びる感覚。そういうもの全部をきちんと自分で見て、感じられてよかったなと思う。

本人たちも言っていたように、いつかもっと大きなステージでパフォーマンスが見られる日が来るといいな。

こんなこと言ってるけど、当日はB&ZAIの出番が終わったらご飯を食べて早々に離脱した。見たかったアーティストが全部B&ZAIの裏被りだったのと、翌日からも仕事だと思うと自分の体力が1ミリも信じられなかったので。

そんでもって帰ってから15時間くらい全力で寝た。

 

まとめ

こうして舞台班のオタクが意を決して挑んだサマソニは、無事に終了した。ありがとう舞浜、ありがとうジャンボリー・ミッキー。当人比、結構いろんな殻を破った夏だった。

B&ZAIはきっと、今後も野外・屋内問わず色んなフェスに出演していくんだと思う。

それに大手を振って「全部参加します!」とは正直言えない。今回のサマソニも、WEST担のオタクにめちゃくちゃ背中を押してもらった結果だし、屋内ステージで出番が早いって言うアドバンテージに甘やかされたから何事もなく終えられた自覚がある。それでも私の中に今後のフェスに対して「行かない」以外の選択肢が生まれたのは、喜ばしいことだと思う。ぼんやりしていたバンドグループのファンであるという自我が、少しだけ輪郭を持った気がする。

ドラムって主張が激しいとバンド全体のバランスが崩れるし、ボーカルはめちゃくちゃ歌いづらい。でも星輝くんのドラムはいつだって軽やかで繊細、そして丁寧。アクロバットで重力を感じさせないように高く跳ぶ星輝くんに似ている。私のなかで星輝くんは、いつもそうやって自らに課したハードルも軽々と飛び越えていくように見えている。そんな星輝くんに今まで見たことない世界を見せてもらうのは、眩しくてたのしい。

本当は6月のFirst Beatに橋本涼くんのオタクを引きずっていった話からブログを書くべき。わかる。円盤が届いたら記憶をサルベージしながら書きたいですね。


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とつかくんも星輝くんも現場が多くてひいひい言っていますが、なんやかんや今年の夏もたのしかったです。

 

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