前回は、社会福祉士として初めて就業した際の、職場環境に恵まれていたエピソードをお話ししました。
今回は対照的に、精神保健福祉士取得後初の転職先で私が経験した「冷たい空気」と「現場のリアル」についてお話しします。
※3月12日に絶対合格ROOM内のVOOMで配信した内容を加筆してお届けしています。
精神保健福祉の現場での「感情労働」
市民の精神保健福祉相談を担う窓口で、私は会計年度任用職員として勤務していました。
寄せられる相談は、10代から70代までと幅広く、統合失調症の当事者やそのご家族、関係機関との調整など、脳をフル稼働させる日々でした。
社会福祉士資格取得後初就業の地域包括支援センターでは、直接支援の業務はほぼなかったため、物足りなさを覚えていましたが、今回はまさに対人援助職でまさに「感情労働」の最前線でした。
私はそこで、業務内容以上に「職場の人間関係」による強いストレスを感じることになります。
「あなたはどう思う?」というプレッシャー
その職場を覆っていたのは、「失敗が許されないような冷たい空気」でした。
私にとって成人期の方への精神保健相談は初めての経験。
一朝一夕では解決できないヘビーな相談も多く、自己判断に迷い、一旦保留にしてベテランの常勤職員にヘルプを求めたことがありました。
すると、返ってきたのは「あなたはどうしたら良いと思うの?」という冷ややかな問い(カウンター)でした。
もちろん、支援者の主体性を育てる意図もあったのかもしれません。
しかし、考えても正解が見えないからこそ、利用者に不利益を与えないために先輩の知恵を借りようとした私にとって、それはさらなるプレッシャーでしかありませんでした。
利用者を待たせている焦りも重なり、しどろもどろで自分の考えを答えましたが、そこからは「説教モード」の始まり。
結局、押し問答のように塞ぎ込まれてしまい、求めていた具体的な対応策は得られず、残ったのは「骨折り損のくたびれもうけ」のような激しい徒労感だけでした。
必要なのは強者のみ。
いかなる場面でも自分の支援方針を見失わずに、論理的に説明できる強かさが求められているようで、精神的な負荷が高まるようになりました。
追い詰められていく専門職たち
こうした空気は、私だけに向けられたものではありませんでした。
次第に職場の全体像が見えてくると、別のグループ席にいた入職1年目の新人精神保健福祉士が、事あるごとに周りからダメ出しされ、追い詰められていく姿を頻繁に目にするようになりました。
その方は日に日に憔悴し、プライベートでも財布を紛失するなど、生活に支障が出るほど精神的に追い込まれていました。
正論で詰め寄り、失敗を許さない暗黙のルール。
これほど支援者のメンタルを蝕むものはないと痛感しました。
8年越しの「答え合わせ」
常に気が張っていたため、職場を出ると疲れが一気に押し寄せる毎日。
「自分がおかしいのか?」「この体制は異常ではないか?」という疑問は、周りに誰も声を上げる人がいなかったため、自分の中に抱え込むしかありませんでした。
私は任期のある会計年度職員だったのでなんとか割り切れましたが、もし常勤職員としてあの場に居続けなければならなかったら、心身が持たなかったでしょう。
それから8年後。
当時一緒に働いていた別の精神保健福祉士と再会する機会がありました。
思い切って当時の環境をどう感じていたか尋ねると、即答で「あの環境は異常だった」という言葉が返ってきました。
民間病院から転職し、その後も複数の部署を経験されたその方の言葉は、私にとって大きな「答え合わせ」になりました。
「自分がおかしかったわけではなかったんだ」と、8年越しに心がふっと軽くなったのを覚えています。
支援者を支える「駆け込み部屋」でありたい
仕事の内容そのものが重く、業務量も多いため、余裕を持てない現場であることは理解できます。
しかし、福祉に携わる人間だからこそ、身近な仲間をないがしろにしてはならない。
私はその苦い経験を、反面教師として深く心に刻みました。
抱えている違和感や心のSOSは、自分が自分らしくいるために抗う内なるサインです。
その環境から一度離れてみて気づくことや、第三者からの指摘で再認識することも多々あります。
もしあなた様が「自分の能力が足りないせいだ」「この感覚、自分だけが変なのか」と自分を責め、職場の冷たい空気の中で孤独を感じているなら、今回の記事を思い出していただければ嬉しいです。
周りに話ができる存在がいらっしゃらない場合でも、私でよければいつでもお話をうかがいます。
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