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こんばんは。管理人のuncleゆーさん(@UncleYusan)です。
先日、ブログで紹介した台湾のめんこ「尪仔標(アンアッピョウ)」は、「台湾語」であるということをお伝えしました。
実は、台湾では、現地の人たちは主に「台湾華語」と「台湾語」という2つの言葉が使っています。台湾を訪れる日本人の多くは、あまりこのことを知らないと思います。
今回は、この2つの違いや歴史、そして日本人にとって親しみを感じる「日本由来のフレーズ」までを分かりやすく紹介します。
そもそも何が違う? 2つの言葉の正体
台湾で使われている言葉は、大きく分けて以下の2つです。
| 項目 | 台湾華語(Taiwanese Mandarin) | 台湾語(Taiwanese Hokkien) |
| 系統 | 北京語をベースとした標準中国語 | 中国福建省南部の「閩南語(びんなんご)」 |
| 公用語 | 事実上の公用語(教育・政治・報道) | 郷土言語(家庭や市場、伝統芸能) |
| 文字 | 繁体字(漢字) | 漢字、または注音・ローマ字併記 |
| 声調 | 4つのトーン(+軽声) | 7〜8つのトーン(複雑な連続変調あり) |
※台湾語は地域差が大きく、声調の数や変調の仕組みは話者や分析方法によって7〜8とされます。
私たちが勉強する「中国語(北京語)」をベースとしている方は台湾華語です。簡体字ではなく、繫体字を使う点や、外国地名の表記を中心に「使用する語彙」も若干違ったりしますが、発音などはほぼ同じです。
台湾では、教育・行政・報道など公的な場面で事実上の共通語として使われています。
一方、現地の人々のルーツに深く結びついているのが台湾語です。
北京語・マンダリンと広東語とは、別系統の言語で、日本語と韓国語よりも距離があるということを聞いたことがあります。
北京語がベースとなる「台湾華語」と中国福建省の閩南語(びんなんご)がベースとなる「台湾語」も同じような関係で、語彙、発音、文法(文の語順がSVO〈主語・動詞・目的語〉である点だけは共通)とも全く別物のようです。
一度私が書いた台湾華語を台湾語に直して読み上げてもらったのですが、まったく理解できませんでした。
なぜ2つの言葉が存在しているの?
台湾の多言語社会は、その歩んできた歴史を映し出しています。
台湾語のルーツ(17世紀〜)
17世紀以降、中国大陸の福建省から多くの移民が台湾に渡りました。彼らが持ち込んだ言葉が「台湾語」です。台湾の人口の多数派を占める「本省人」を中心に、長く庶民の間で使われてきた言葉です。
日本統治時代と言語政策(1895年~)
1895年から日本統治時代になりました。同化政策の一環として日本語教育が強力に推進され、特に皇民化運動期以降は、学校など公的な場で台湾語の使用が強く制限されました。一方、家庭内では母語である台湾語が使われていました。
そうした統治時代の間に、多くの日本語が台湾語に取り込まれるという現象も生じました。それに関しては後ほど詳しく説明します。
戦後導入された台湾華語(1945年〜)
第二次世界大戦後、国民党政府が台湾へ移った際、北京語をベースとした「国語(現在の台湾華語)」を公用語として持ち込みました。 かつては学校での台湾語使用が禁止されるなど、厳しい国語政策が行われていた時期もありましたが、民主化を経て、現在はそれぞれの言葉が尊重されるようになっています。
現在では、相手や場面によって言葉を切り替える(コードスイッチング) 独自の言語文化が台湾に根付いています。
なぜ「台湾華語」に一本化されなかったのか
台湾華語の習得に苦労した世代
中華民国政府が台湾に移ったのは、国共内戦で中国共産党に敗れた国民政府が、1949年12月7日に中華人民共和国建国後です。
したがって、1950年代から中華民国政府は、台湾華語を公用語として導入していったわけですが、やはりそんなに簡単に新しい言語が浸透するわけがありません。
子供たちは、学校教育のなかで強制的に台湾華語を勉強させられるので、自然と新しい言語は身に付きます。
しかし、彼らの親たち以上の世代は、勉強する機会も乏しく、台湾華語の習得には大変苦労しました。(我々日本人が英語を勉強してもなかなか聞き取れたり、話せたりできないのを考えれば当然です)
というわけで、結局、家庭内では、親子の会話は、台湾語が使われていました。
すると、子どもたちも小学校に行くまでは、台湾語しか話せない状況になります。
学校での台湾語使用禁止が招いた「言葉の壁」
ところが、子供たちも小学校に行くようになってからも台湾華語の習得に時間がかかったようです。
本来、子供たちなら早く新しい言語を身に着けられそうなものですが、これには訳があります。
当時、台湾の学校での台湾語使用が一切禁止されており、もし破ったら、罰や罰金が科せられました。
教師や親から「学校で台湾語を使うな」と厳しく言われていた、多くの子供たちは怖くなり、クラスメイトと話すのもためらったそうです。
自分も含めクラスメイトの多くが無口になり、会話をしないので、当然、新しい言語が身につくはずもありません。
台湾政府が当時採った「台湾語使用禁止」という措置は結果として、児童・生徒たちの台湾華語習得という意味ではまったく裏目に出たわけです。
禁止や制限することでマイナスの政策効果が生じることが度々ありますが、正にその例です。為政者は禁止や制限をかけるときはよくよく考えてやらなければいけません。
実話:台湾華語が分からず2年間「0点」だった小学生時代
私の友人は台南出身の50代ですが、小学校1年~2年生まで学校の試験は社会科を除いて0点だったそうです。台湾華語がなかなか習得できず、授業がまったくわからなかったためです。
台湾華語が話せなかった当時2年間は、毎日学校から逃げ出したくてたまらなかったそうです。
ちなみに社会科だけ得点がとれたのは、担当の先生が0点ばかりとる子供たちを不憫に思ったのか、毎回、絵に線を引くだけ得点をもらえるという簡単な設問をつくってくれていたため0点を免れたそうです。
家庭内での台湾語の伝承
友人の親世代にあたる、70歳を超えるくらいの高齢者の多くは、今でも台湾華語を話すのが苦手で、日常生活では台湾語で話すようです。
そうした高齢者がいる家庭では、息子や娘たちは彼らと会話するときは、当然、台湾華語ではなく、台湾語で話します。また、孫たちの中にはそうした親たちの会話を聞いているので、台湾語が話したり、聞いたりできるようになります。
民主化以降の台湾|母語教育と台湾語復権の動き
台湾では、学校で台湾語の使用禁止が特に強化されたのは、国連を脱退した1970年〜戒厳令が解除される1986年まででした。
その後は、台湾は、国民党による一党独裁制が廃止、民主化されていき、あわせて言語統制も緩やかになりました。
台湾語の学校での使用禁止もなくなりました。それどころか、台湾では、1994年以降「母語教育」が導入され、今では小学校から高校まで週一回、自分の母語を学ぶことが義務付けられるようになりました。
つまり、多く台湾人が学校で台湾語を学べるようになったのです。
実は、台湾では、台湾語(閩南語)以外にも中華系の「客家語」や、16ある先住民族にそれぞれの言葉(母語)が存在します。
そうしたマイノリティの人たちはそれぞれの母語を学ぶのですが、それ以外の人は台湾人として台湾語を学ぶことになります。
また、現在の政権を担っている「民進党」は、台湾語を含む各族群の母語(客家語、原住民語)の保存と教育を積極的に推進しており、頼清徳総統は重要な演説などではあえて台湾語を使ったりします。
こうしたこともあり、現在では、台湾語は、家庭や市場以外でも広く使われるようになりました。
地域差はありますが、特に、台湾の南部(高雄、台南など)では、街中の会話のうち70%以上が台湾語で話しているのではないかと私の友人は言っていました。
日本人なら「あれ?」と思う!台湾語
台湾語の中には、日本統治時代の名残として、 今でも日本語がそのまま使われている単語が数多くあります。
🍴 食べ物編
- サシミ(刺身)
- ワサビ(わさび)
- ベントー(弁当/繁体字:便當)
🛵 乗り物・街角編
- オートバイ(台湾華語では「機車(ジーチャー)」)
- トラック(貨物車)
- ハンドル(車のハンドル)
- カンバン(看板)
- ウンチャン(運転手さん/日語「運ちゃん」由来))
😊 日常生活編
- キモチ(気分・機嫌)
- オジサン/オバサン(親しみを込めた呼びかけ)
- アイサツ(挨拶・お世辞)
今の台湾:若者と「台湾語」の新しい関係
かつては「お年寄りの言葉」という印象もありましたが、 近年では台湾語がアイデンティティの象徴として再評価されています。
若者が華語に台湾語を混ぜて話したり、 台湾語の歌詞を使うロックバンドが人気を集めたりと、 新しい形での継承が進んでいます。
「ありがとう」は、謝謝(シエシエ)だけでなく、 台湾語の多謝(ドォーシァ)を使うと、 現地の人との距離がぐっと縮まります。
まとめ
今回の記事は、いかがでしたでしょうか。
台湾華語は「公の場でみんなとつながる言葉」、 台湾語は「歴史と人情が詰まった温かい言葉」。こうした二つの言語が存在する台湾。
この2つを知ることで、台湾という場所が より立体的で、奥深く見えてくるはずです。
次の台湾旅行では、ぜひ街角の会話にも耳を澄ませてみてください。 「今の、日本語っぽい!」という発見があるかもしれません。それがもしかしたら「台湾語」での会話かもしれません。
今回の記事がお役に立たのなら、うれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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