夏の休暇、最後の1日をこの本に費やしてしまった。夏の読書を締めくくるにふさわしい一冊だと思う。
警察に深夜、自販機を蹴っ飛ばしていたおっさんがやってきた。ああ、めんどくさいと思いながら中年警察官が仕方なく取り調べる。そのおっさん、汚い顔にだらしない体、全身から負け犬感がただよっているわけですよ。で、名前を聞くと、「スズキタゴサク」だと。お前、ふざけてんのか、と。で、そのタゴサクの自分語りが長い。人生や社会への不平不満がすごい。その不平不満を自己否定に繋げていて、聞くに耐えない。まいったなあ、と思っていたら、タゴサク、なんと
「私はクズだけど霊感があるんです、もうすぐ爆発が起きそうな気がする…」
バカ言ってんじゃないよ、どこまでふざけりゃ気が済むんだ、と無視する警察官。ところが数分後、爆発するんですよ。扉の向こうから爆弾爆発の知らせを聞いて驚いた。
「現場、関係者、前科、片っ端から調べているが、今のところ、この爆弾事件を匂わせているのは、そのタゴサクだけだ。偶然と言うこともあるが、それなりの注意を払え。」
と言う指示があり、かなり固まる警察官。すると、タゴサク、
「あれ?爆発しました?」
「お前の仕業なのか」
「違いますよ。僕はたまたま降りてきた霊感を話しているだけですよ」
「じゃあそのお得意の霊感で、次の爆弾を教えてくれ」
「次があるかどうかは分かりませんよ。霊感が教えてくれるまで待たないと」
「ふざけるな!」
「怖い言い方されると霊感、降りてこなくなるんですよ。でも、あなたと話していると楽しい気持ちになってきました。もっとお話ししませんか?お互いの話を」
「あ、霊感降りて来ました。◯時に爆弾が…」
「場所は!」
「あまり怖がらせないでくださいよ。僕の話、聞いてなかったんですか?」
すると、その時間の数分後、また扉がノックされ、
「爆発だ。そいつは重要参考人として今から厳重に取り調べる。お前の役目はここまでだ。さあ、ゲームの始まりだ。タゴサクさん、俺にも話を聞かせてくれよ」
「さっきの人、よかったんだよなあ、あなたで霊感降りてくるかな、怖がらせないでくださいよ。何しろ霊感だけが頼みなんですから。え?僕がやったと思っているんですかあ?証拠もないのに酷い話ですよ。刑事さんは僕を疑っているんですかあ?」「疑ってはいない。ただ話をしたいだけさ」
「だったらゲーム、始めませんか?ゲーム」
記憶のみで書いていますが、だいたいこんな感じです。細かいところ、違いますから。興味が湧いたら読んで見てください。感想聞かせてくれると嬉しいです。霊感じゃなくてブクマで。
500ページほどの長編です。このタゴサクが取り調べ室にずっといる。そこに頭の切れる捜査官が来て、頭脳戦がバチバチと。おすすめです。映画化されるみたいですね。タゴサクが佐藤二郎かあ、ピッタリです。