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テンソル(英語: tensor, ドイツ語: Tensor)とは
テンソルは添字の組に対して対応する成分の値を与えるような関数によって表されていると考えることができる。それぞれの添字について何通りの自由度があるかという数は、そのテンソルが定義されているベクトル空間の次元に対応する。例えば、3次元空間(各添字が1, 2, 3の3通りの値をとる)における4階テンソルは、3 × 3 × 3 × 3 = 81 個の成分を持つ。
テンソル場は多様体の各点にテンソルを与えたものである。従って、3次元空間における2階のテンソル場(例えば応力テンソル場)を考えるときは、単に9個の値を考える代わりに、空間内のそれぞれの点が9個の値を付与されることになる。言い方を変えれば、考えている空間を定義域としてテンソルに値を持つ関数を考えることになる。
簡単な例として、水の上の船を考えることにする。目標は力が与えられたときの船の反応を記述することである。力はベクトルで表され、船の反応は速度の変化(加速度)ベクトルとして現れる。船の形状による影響から一般には加速度の方向は力の方向とは異なったものになる。しかし、古典力学的には力と加速度の関係は一次変換で表されることがわかる。そのような関係は (1, 1) 型のテンソルで説明される(つまり、このテンソルによってベクトルが別のベクトルに変換される)。テンソルは行列として表示することもでき、この行列をベクトルにかけることで線型変換が表現される。座標系の取り替えによってベクトルを表示する成分が変化するように、テンソルを表現する行列の成分も座標系の変換に応じて変化する。
工学では剛体や流体内の応力がテンソルによって説明される。実際のところ「テンソル」という言葉はラテン語の「延びる物」、つまり応力を発生するもの、という意味の言葉からきている。物体内の特定の面要素に特に注目して考えれば、面の一方の側にある物質が反対側に対して力をおよぼしていると考えられる。一般にはこの力は面に垂直な向きに働いてはおらず、面の向きに線形的に依存して決まるとしかいえない。したがってこれは(2,0)型のテンソル(正確に言えば、応力は位置によってかわるので、(2,0)型のテンソル場)によって記述される。
幾何におけるテンソルでは二次形式(計量テンソルなど)やリーマン曲率テンソルが有名である。物理学におけるテンソルにはエネルギー・運動量テンソル、慣性能率テンソルや極分解テンソルがある。
幾何学的な量や物理学的な量はその記述について内在的な自由度を考えることによって分類できる。圧力、質量、温度などのスカラー量はただ一つの数によって指定できる。力のようなベクトル量を表示するためには数のリストを用いる必要があるし、二次形式のような量は複数の添字系によって並べられる数の配列を用いて表示される。これらの量はテンソルとして考えなければとらえることができない。
実際のところテンソルの概念はとても一般的なものであり、上の例全てに当てはまっている。つまり、スカラーやベクトルはテンソルの特別なものと見なすことができる。スカラーをベクトルと区別し、これら二つをより一般のテンソルから区別しているのは、その要素の表現にもちいられる配列の添字の組の数、すなわち階数(または位数)である。したがってスカラーは階数 0(添字は必要ない)のテンソルであり、ベクトルは階数 1 のテンソルだということになる。
テンソルの別の例は一般相対性理論におけるリーマン曲率テンソルであり、これは4階のテンソルとして表現される。一般相対性理論では時空(空間3次元と時間1次元)を扱うため、このテンソルは4次元のベクトル空間上で定義される。したがって、各添字は4つの値(例えば 0, 1, 2, 3)をとり、成分の総数は ![]()