| 輸入、または輸出貨物に対し課税される租税を関税というが、現在、わが国では輸出関税はなく、したがって関税は輸入関税と同義語であり、関税法、関税定率法および関税暫定措置法(いわゆる関税三法)に基づく国税であり、間接消費税の一種である。 関税は、(1) 財政収入を目的とする財政関税、(2) 国内産業の保護を目的とする保護関税に分類されるが、わが国を始め先進諸国においては、主として産業保護を目的としている。石油に対する関税は、戦前から国産原油保護を目的として、輸入原油・石油製品に関税が課せられたが、戦後は、国内石炭産業育成の立場から関税が課されており、さらに昭和 42 年度( 1967 年度)以降は石炭特別会計、47 年度( 1972 年度)以降は石炭・石油特別会計の財源としての役割が大きくなり、次第に財政関税としての性格が強くなった。 関税は、輸入貨物の数量、または価格が課税の基準となるが、輸入貨物の数量、重量、長さ、容積などを課税標準とする税率を従量税、これに対し輸入貨物の価格を課税標準とする場合を従価税と称し、わが国の原油・石油製品関税は、戦前から 1951 年度(昭和 26 年度)までは従量税、1952 年度(昭和 27 年度)から従価税、1961 年度(昭和 36 年度)以降は再び従量税が適用され、現在に至っている。 |
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/11 15:04 UTC 版)
| 課税 |
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| 財政政策のありさまのひとつ |
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関税(かんぜい、英: tariff)とは、広義には国境または国内の特定の地域を通過する物品に対して課される税[1][2]。狭義には国境関税(外部関税)のみを指す[1]。
国内関税がほとんどの国で廃止されている現代社会では、国内産業の保護を目的として又は財政上の理由から輸入貨物に対して課される国境関税を意味することが多い。国境関税は間接消費税に分類され、「間接輸入税」と書かれる場合もある。
関税を納める義務がある者(納税義務者)は、関税関係法令に別段の規定がある場合を除いて「貨物を輸入する者」であると規定されており[3]、「関税コスト」として消費者の購入価格へと転嫁される[4][5][6]。
通常、関税は輸入品のみに対して課せられるが、輸出品に対しても関税を課することもある。
輸出品に対する課税の目的は、一層の収入増大を図る目的、国内への供給を優先する目的、原料品へ課税により国内での加工業を振興する目的がある。特に希土類などの鉱産物で、埋蔵量が特定の国に偏在し、産業に不可欠なものへの輸出関税賦課は、国内経済への悪影響をあまり伴わずに国庫収入を増やす手段となる。この場合でも鉱石のみ課税して国内での精製を振興することがある。国内への供給を優先する目的の課税の例として、インドが2023年8月から導入した玉ねぎに対する40%の輸出関税がある[7]。
日本でも幕末の日蘭通商条約などで輸出関税が設けられた[注釈 1]。
関税の機能は大別すると以下の通りになる。
経済の発展段階が低い開発途上国・後発開発途上国(LDC)においては、国家財政を確保する手段として重要な収入源になっている場合がある。
先進国においては通常、関税収入の国家収入に占める比率は低く、5%以下である。日本では、2%を割り込んでいる[9]。発展途上国では、関税の収入が国家全体の収入の50%を超えている国が多い[10]。しかし、国家間の自由貿易協定や経済連携協定の締結により、関税が廃止される品目が増えている。
国内企業の保護・振興や、海外から国内投資誘致のために特定の品目に関する関税率を(高く)設定する場合がある。
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新古典派経済学の理論家たちは自由貿易にたいする歪みとして関税をみなす傾向がある。関税は消費者の支出において国内生産ならびに政府の利益になる傾向があり、そして輸入国においては関税の正味の厚生効果には否定的であることを、典型的な分析は見出す。規範的な判断はしばしばこれらの知見に従う。すなわちそれは世界市場から人為的に遮断された産業にたいする国にとっての不利益になるかもしれず、また経済的崩壊が生ずるのを許すにはもしかすると良いかもしれない。すべての関税にたいする抵抗は、関税の減税と、そして関税適用時に異なった国々の間を差別することから国を守ることを、目的とする。右図は国内商品において関税を課することの費用と利益を示す[13]。
次の図で示された、テレビ受像機についての仮想的な国内市場における、輸入関税の課税は次の効果を有する:
厚生における全体にわたる変化 = 消費者余剰での変化 + 生産者余剰での変化 + 政府税収での変化 = ( - A - B - C - D ) + A + C = - B - D 。
最初の図でのB とD に対応する、社会的損失(英: societal loss)と名付けられた範囲によって全体の厚生が減少する、関税を課した後の最後の状態は二番目の図で示される。国内消費者に対する損失は、国内生産者ならびに政府に対する利益よりも大きくなる[14]。
なお、以上の分析は部分均衡分析であるが、一般均衡分析により、関税を課した財の生産に関わる厚生は、それ以外のものからの所得の再分配が生ずることが示される[15]。
関税が全体の厚生を減少させることは、経済学者らの間で論争を引き起こす論点ではない。たとえば、シカゴ大学は Imposing new U.S. tariff on steel and aluminum will improve American's welfare(日本語訳:鉄鋼とアルミニウムにおけるアメリカ合衆国の関税を課することはアメリカの厚生を改善する)かどうか尋ねる調査を2018年3月に40人の主導的な経済学者に対して行った。三分の一が合意しなかったのにたいし、三分の二がこの文言に強く合意しなかった、合意または強く合意した者はいなかった。この関税は多数の歳出において少数のアメリカ人の助けになるだろうと多数の者がコメントした[16]。死重損失の結果による、国内生産者ならびに政府よりも重く国内消費者を損失させることである、上記の説明とこれは合致する[14]。
経済的効率性において、自由貿易を追求することは最善の策 であるが、関税を課すことは次善の策である。
関税賦課国の厚生が最大になる関税は最適関税(英: optimum tariff)と呼ばれる[17]。一般には、それは自国の貿易無差別曲線と、貿易相手国のオッファー曲線との接点で示される税(率)である。この場合、貿易相手国の厚生が同時に悪化する。したがってこの場合の政策は近隣窮乏化型の政策である。もし、相手国のオッファー曲線が原点を通る直線の場合、すなわち自国が小国の仮定を満たしている場合はいかなる関税も自国の厚生を悪化させる[注釈 2][18]。
極めて限られた状況の中で、政治的な政策選択において関税を課すことがありうるし、理論的に最適な関税水準を考えることは無意味ではない[19]。複数の国々が互いに関税報復を行った結果、最終的に、二者の間で自己の財を交換するときに、相互の満足を極大にするような交換量の組み合わせを示すものである、契約曲線上にあることを示す状態に至る可能性が最も高くなる[20]。
関税の経済効果について、ラーナーの対称性定理、ラーナーの逆説、メッツラーの逆説など、様々な定理、逆説がある。
江戸末期の日本の輸入関税率は20%で、江戸幕府の歳入における関税割合は22.8%であったが[8]、開国を求める諸外国の圧力により、1866年(慶応2年)に改税約書が締結され一律5%に引き下げられた[21]。
経済産業省が毎年公表している不公正貿易報告書[22]の第Ⅱ部 WTO協定と主要ケース第5章 関税[23]では、単純平均譲許税率で日本は、非農産品で2.5%であり、米国の3.2%やEUの3.9%を下回っているが香港は0.0%である。また全品目の単純平均譲許税率では、日本4.5%、米国3.4%、EU5.0%である。また単純平均実行税率でみると非農産品で、日本2.5%、米国3.1%、EU4.1%、カナダ2.1%、香港0.0%、シンガポール0.0%であり、全品目の単純平均実行税率では、日本4.0%、米国3.4%、EU5.1%、カナダ4.0%、香港0.0%、シンガポール0.0%とのデータをあげている。
2025年4月2日、アメリカのドナルド・トランプ政権は、日本はアメリカの企業や製品が市場参入するのを妨げていると主張し、日本のコメ関税は「700%」だと発言している[24]。実際の日本のコメの関税率は、ミニマム・アクセス枠を除いて民間商社などの仕入れ価格を基にすると足元で200%ほどになるとみられている[24]。日本の経済産業省の報告書(2024年版)によると、平均の関税率は日本が3.9%で3.3%のアメリカと大差はない[24]。
日本の関税について規定した主な法律は次の通り。
下記リストの後者ほど優先される
財務省の統計[27]を参照(単位:100万円。単位未満切捨て)。決算ベース。平成18年度以前は、原油及び石油製品の関税収入は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(現 エネルギー対策特別会計)石炭勘定へ直接繰り入れとなっていた。下記の数値では、一般会計分とは別に記載している。
欧州共同体(EU)では欧州共同体関税法典(CCC:Community Customs Code)が定められており、度重なる改正が行われた[28]。欧州連合(EU)では欧州共同体関税法典とその度重なる改正をもとに欧州連合関税法典(UCC:Union Customs Code)を制定している[28]。
欧州連合関税法典(UCC)は2020年末までに完全な電子通関システムへの移行を予定していたが、域内でのシステム導入遅延のため、完全移行は2025年末まで延期された[28]。
欧州連合関税法典(UCC)は、すでに支払われた輸入・輸出関税額の払い戻しを意味する還付(repayment)や、いまだ納付されていない輸入・輸出関税の納税義務の免除を意味する減免(remission)、これらの管轄税関に対する申請手続き、税関当局による決定、欧州委員会への通知等について規定している[28]。
アメリカが課す関税は原則として輸入時に国内の企業が負担する仕組みで、中間流通などでコストを負担できなければ、最終的には消費者価格に転嫁されることになる[29]。利益減少を避けるため、企業は値上げし、コストの一部を消費者に転嫁する選択をすることが多いとされている[30]。結局コストの大半を背負うのは消費者になる[31]。
1930年に世界恐慌による経済への影響の緩和を狙って制定されたスムート・ホーリー法によって、アメリカの輸入関税率は平均約20%上昇したと推定されている[32]。結果的には外国政府の報復関税を誘発し、世界貿易の落ち込みと世界恐慌の深刻化、第二次世界大戦につながった。この経験からアメリカ合衆国連邦政府の指導者たちは自由貿易の考え方を受け入れ、1995年に世界貿易機関(WTO)を創設した[32]。
2017-2021年のドナルド・トランプ政権1期目に関税が復活した[32]。自国の製造業を活性化させ、自国が不公正と見なす中国の貿易慣行に対抗するためにトランプは関税に目を向けた[32]。後任のジョー・バイデン大統領もその流れを引き継いだ[32]。
2025年2月1日、トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に25%、中華人民共和国からの輸入品に10%の追加関税をそれぞれ賦課する大統領令に署名した[32]。
2025年4月2日、トランプ大統領は貿易相手国に対し相互関税を課すと発表し、全ての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で、各国の関税や非関税障壁を考慮し、国家・地域別に税率を上乗せするとした[33]。アメリカ合衆国通商代表部(USTR)が公表した関税率の算出方法は、基本的には各国の対米貿易黒字を輸出額で割って半分にしたものである[34]。