道路交通情報通信システムの略語で、渋滞や道路規制などの交通情報を、リアルタイムでカーナビゲーションの画面に表示するためのシステムのこと。FM多重放送を利用して広域中心の情報を提供するFM多重方式と、道路上に設置した送信機から進行方向の道路状況を提供するビーコン方式がある。ビーコン式の送信機は、一般道用の光ビーコンと高速道路用の電波ビーコンに分かれ、FM多重方式よりいっそう細かな情報が得られるのが利点。さらに、渋滞時には迂回ルート探索が可能となる。しかしFM多重ユニットを標準装備したカーナビが多くなりつつあり、ビーコン式を利用するにはほとんどのカーナビにビーコンユニットを追加しなければならなくなった。なお、VICSは1996年1月からサービスを開始。サービスエリアがかなり整備されてきた。
(VICS から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/05 21:40 UTC 版)
道路交通情報通信システム(どうろこうつうじょうほうつうしんシステム、英語: Vehicle Information and Communication System、略称: VICS、ビックス)は、日本国内で一般財団法人道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が収集・処理・編集した道路交通情報を、FM多重放送や路側ビーコンによりリアルタイムでカーナビなどの車載器に提供するシステムである。渋滞回避、交通安全支援、災害対策、環境負荷低減を目的とし、高度道路交通システム(ITS)の中核を担っている[1][2]。
提供される主な情報には、渋滞・所要時間、事故・故障車・工事・規制情報(通行止・車線規制・速度規制・チェーン規制等)、駐車場・SA/PA満空情報、気象警報・大雨エリア情報、イベント規制予告などがある。これらの情報は、日本道路交通情報センター(JARTIC)が警察・道路管理者から収集したデータに加え、車両プローブデータを活用して生成される[3]。
また、2015年より実用化された、専用の760 MHz帯電波を用いて車間および路車間で直接通信を行うITS Connect(アイティーエス・コネクト)とも連携し、より高度な安全運転支援が提供されている。
VICSの情報伝達は以下の3種類のメディアで行われる。かつての2.4 GHz帯電波ビーコンは2022年3月末に終了し、現在は5.8 GHz帯に一本化されている。さらに、VICSを補完する高度安全運転支援メディアとして760 MHz帯通信(ITS Connect)が活用されている。
NHK-FM放送波に多重化され、都道府県単位の広域情報を提供する。データ容量は50KB(5分で100KB)、伝送速度16Kbps。2015年に開始したVICS WIDEにより伝送容量が約2倍に拡大され、一般道の詳細リンク旅行時間、複数ルート所要時間、特別警報(気象・津波・火山噴火等、地震除く)のポップアップ、大雨エリア(50mm/h以上を250mメッシュ単位で表示)、イベント規制予告などが追加された[4]。
2025年4月1日から本格運用された「VICSプローブ活用サービス」により、自動車メーカーから収集した車両プローブデータを感知器情報と組み合わせ、全国の高速道路・国道・主要都道府県道(ほぼ全ての約20万km)で高精度な渋滞・旅行時間情報が提供可能となった。これにより、トンネル・橋梁などの感知器未設置箇所や災害時でも情報継続が可能となっている[5][6]。
主に高速道路に設置(約1,800箇所)。データ容量25KB、伝送速度4Mbps。進行方向前方約1,000 kmの広域情報、簡易図形複数枚、画像・音声による安全運転支援(落下物注意、渋滞末尾注意等)を提供。渋滞回避支援に有効[7]。
主に一般道路に設置(約3万箇所以上)。赤外線通信(下り1Mbps、上り64Kbps)、データ容量10KB。前方約30 km・後方約1 kmの情報を提供。信号情報活用運転支援システム(TSPS:信号通過支援、赤信号減速支援等)にも活用。一部の安全運転支援機能(DSSS:追突防止、出会い頭防止等)は老朽化により2027年3月31日運用終了予定[8]。
ITS Connectは、2015年10月に世界初の商用サービスとして日本で開始されたシステムである。総務省がITS専用に割り当てた760 MHz帯電波を使用し、VICSの広域情報配信を補完する形で、交差点付近等でのリアルタイムな安全運転支援を担う。
ITS Connectの路側装置は、主に事故多発交差点や見通しの悪い交差点を中心に整備。
対応車両数は令和7年(2025年)3月末時点で一般車約56万台、救急車約3割など[9]。
VICS情報はカーナビ上で以下の3形態で表示される(メディアにより提供内容・範囲が異なる)。
従来の感知器依存による情報空白やタイムラグが課題だったが、2025年のVICSプローブ活用サービスにより、全国主要道路で高精度・継続的な情報提供が可能となり、大幅に改善。ITS Connectは地域格差や搭載車両限定が課題だが、官民連携と政府のデジタルインフラ整備により拡大が期待されている。