出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/12 22:54 UTC 版)
Parhelia(パフィリア)は、2002年にカナダのMatrox社が発表したPC用GPU、および同GPUを搭載した同名のビデオカードの名称である。parhelia とは「幻日」という自然現象を意味する英単語である。
本項ではGPUを「Parhelia-512」と呼称し、搭載ビデオカードを「Parhelia」と呼称する。また、同GPUの派生型である「Parhelia-LX」および搭載製品を本項で取り扱う。
Parhelia-512は8,000万個のトランジスタで構成され、台湾UMC社の150nmプロセスルールで製造されるMatrox社のGPUである。
256bitグラフィックスコアと上下で独立した256bitのメモリバスを持ち、ビデオメモリ (VRAM) はDDR-SGRAMを256MBまでサポートする。DirectX (Direct3D) 8.1に対応[1]。マイクロソフトから2002年末にDirectX 9.0が正式リリースされる前に、その機能の一部を先取りする形で実装しており[2]、プログラマブルシェーダーユニットはPixel Shader 1.3(4基)とVertex Shader 2.0(4基)を搭載するが、DirectX 7の固定機能ハードウェアT&Lは搭載せず、Vertex Shaderユニットによるエミュレーションで対応する[3]。またビデオ出力エンコーダと2基のRAMDACと統合し、2基のTMDSトランスミッタと1基の外部RAMDACもサポートする。インターフェースはAGP 4xに対応し、後にAGP 8x対応モデルも発売された。同社製品として初めて動画再生支援機能としてMCに対応している。
1999年のG400シリーズ以来、実に3年ぶりとなる同社の新GPUであることに加え、様々な独自機能と豪華な仕様で大きな話題を呼んだ。しかし実際に登場した製品は、高価な上に期待されたほどの3D処理性能が得られなかった。このため、当初はゲームユーザーを含めたエンドユーザーをターゲットにしていたものが、徐々に独自機能の活かせる産業向けへとシフトしていった。
結果的に現在のバリエーションとしてはAGP版中心の個人用途モデルよりもParheliaの高精度な2D機能を生かしたPCI版中心の産業用途モデルの方が圧倒的に多くなっているなど、MatroxのGPUビジネスが個人用途から産業用途にシフトする転機となったチップともいえる。
Parhelia-512の発表当時、最も注目されたのはVertex Shader 2.0およびハードウェアによるディスプレースメントマッピング (D-Map) といったDirectX 9の一部機能をサポートしている点であり、またMatrox社もその点を積極的にアピールしていた。本来、Vertex ShaderだけでなくPixel Shaderも2.0に対応していなければDirectX 9に完全に対応しているとは言えなかったが、D-Mapをはじめとするジオメトリプロセッシングに力を入れる同社は、トランジスタ個数を抑えるという目的からもParhelia-512のPixel Shaderを1.3で留める選択をした。しかしDirectX 9のリリース後、開発技術のトレンドはピクセルプロセッシングとなり、Parhelia-512は全く対応できなかった。
当初、同社はDirectX 9のリリース後に対応機能を有効化するデバイスドライバを提供すると告知していた。しかし、対応するアプリケーションソフトウェアがないとして徐々に消極的になる。そして、約束されたドライバがユーザーに一度も提供されないまま、今日に至っている。
なお、Microsoft Windows Vistaで採用された3Dグラフィカルユーザインタフェース (GUI) であるWindows Aeroについても、Pixel Shader 2.0が必須であり、Parhelia-512では対応不可能である。
Parhelia-LXはParhelia-512の廉価版として、2003年に発表された。Parhelia-512と比較してほとんど全ての描画ユニットを半減させ、さらにParhelia-512発表時にDirectX 9対応とされていた一部機能を無効化している(CD付属のDirectXは8.1である)。反面、マルチディスプレイ機能に関してはParhelia-512より改良が行なわれている。
Millenniumシリーズには従来のGシリーズに代わりPが冠せられており、その文字はParheliaを意味する。Parhelia-512がPCI版を中心に産業向け高画質の派生版を多く出したのに対し、こちらはPlusシリーズやQIDシリーズなど、主にマルチディスプレイ機能を中心とした派生版がリリースされているのが特徴である。
初期モデルはAGP 8x対応P650とP750の2製品のみだったが、PCI版のリリースを経て、2005年にPCI Express 16x対応版のP650 PCIeとParhelia APVeが発表された。また2007年にP650シリーズの再設計版として消費電力を抑えファンレス化したP690シリーズが発表され、Plusシリーズはビデオメモリを256MBに増強の上でオプションでQuadDisplayにまで対応している。
ParheliaシリーズはG400シリーズで採用されたDual Head機能を拡張したTriple Head機能を搭載する。G400シリーズのDual Headと比較し、DVI出力解像度の向上、セカンダリでもハードウェアアクセラレーション機能が使用可能などの強化がされている。いずれのモードでもセカンダリとしてTV出力を使用可能。
さらに業務用の上位機種であるQIDシリーズ(QIDとは「Quad Information Display」の意味である)ではQuad Display機能により4画面までをサポートしている。
| モード | 機能 | 備考 |
|---|---|---|
| Clone | プライマリと同じ画面をセカンダリに表示する。 | |
| Multi Display | 複数のディスプレイで単一または独立したデスクトップを表示する。 | |
| Zoom | プライマリで指定した任意の箇所をセカンダリに任意の倍率でフルスクリーン表示する。 | アンチエイリアス表示が可能。 |
| DVD MAX | プライマリで表示している動画画像をセカンダリにフルスクリーン出力する。 | 対象となる動画はDVDに限定しない。 |
| インターフェース | メモリ | テクスチャ ユニット数 |
シェーダー数 | 製造 プロセス (nm) |
代表製品 | 備考 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 搭載 | バス幅 (bit) |
最大 容量 (MB) |
ピクセル (v1.3) |
頂点 | ||||||
| Parhelia-512 | AGP4x or 8x | DDR- SGRAM |
256 | 4 | 4 (v2.0) | 150 | Parhelia | PCI版はブリッジチップで対応 | ||
| Parhelia-LX | AGP8x or PCIe1x or 16x |
128 | 2 | 2 (v1.1) | 130 | Millennium P650 Parhelia APVe |
||||
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「Parhelia」の記事における「Parhelia」の解説
初期モデルはAGP4xまでの対応だったが、後にAGP8xに対応したモデルがリテール版のみで発売された。
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