出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/25 07:51 UTC 版)
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| 別名 | Paintbrush (1985–1995) |
|---|---|
| 開発元 | マイクロソフト |
| 対応OS | Windows 1.0 以降 |
| プラットフォーム | IA-32, x64, ARM |
| 種別 | グラフィックソフトウェア |
| ライセンス | プロプライエタリ・ライセンス |
| 公式サイト | microsoft |
Microsoft Paint(マイクロソフト ペイント)は、Microsoft Windowsに附属するグラフィックソフトウェアの名称。Windows 2.x以前および95/NT4.0以降に附属する。通称ペイントまたはMSペイント(前者が多い)。本稿ではWindows 3.x/NT3.xxに附属の「ペイントブラシ (Microsoft Paintbrush)」や、Windows 10/11で利用できたペイント3Dについても触れる。
Windowsペイントは、かつてZsoft Corporationの開発した「PCペイントブラシ」というドローソフトをWindows 1.0のバンドルソフトとして採用したことが始まりである。なお「PCペイントブラシ」は、Appleの「Macペイント」の影響を受けてマウス・システムズのマウスにバンドルされた「PCペイント」のクローンとされており、それらがルーツとなっている。[1]
ペイントはペイントツールの一種で、白紙の状態からペンツールや塗りつぶしツールを利用して図形描画を行う。1枚の紙に絵を描くことを前提としているため、レイヤー機能・インデックスカラーパレット・画像の補正などはWindows 11で高機能化するまで一切利用できず複雑な作業を行うには不向きだったが、操作性が極めてシンプルなので主に落書きや地図の作成など、幅広い使われ方がある。
初期のペイントはMSPというモノクロ用の画像形式しか扱えなかった。ペイントブラシ以降のファイルフォーマットはWindows bitmap (BMP) が標準設定となった。PCX形式も扱えたが、Windows 95でPCX形式のセーブができなくなり、Windows 98以降ではPCX形式を読み込むこともできなくなった。Windows XPからはこの他にもJPEG形式やGIF、PNG、TIFFが利用できる[注釈 1]。ただし、これらのファイルフォーマットは保存時に画質の調整や変換アルゴリズムの指定などの詳細な設定ができないため、調整を要する場合、一度ビットマップ形式で書き出した後で再度別のグラフィックソフトウェアで保存する必要がある。なお、Windowsビットマップに関しては24ビット(1677万色)、256色、16色もしくはモノクロのいずれかを選択できるようになっている。逆にそれらのファイルを通常通り読み込むことは可能である。また、対応したフォーマットであれば拡張子が偽装されていても読み込みが可能となっている。
Windows 10 Enterprise LTSBを除くWindows 10 Insider PreviewのBuild 14971以降は、ペイントのショートカットが3Dコンテンツの制作に対応するUWP版ペイント3Dに置き換えられ、従来のWin32版ペイントのショートカットは提供されなくなった。これはmspaintコマンドでもペイント3Dが起動するようになるもので、従来のWin32版ペイントに戻す方法も残されているが、3Dコンテンツの利用を推進するために事実上ペイント3Dが推奨された形となった[2]。その後のWindows 10 Creators Update ではペイントとペイント3Dが両方搭載されており、両者を切り替えて使用できるようになった。mspaintコマンドも従来と同様にペイントを起動するように戻された。その後はペイント3Dが非推奨となりストアからも削除されたことに伴い、再びペイント(やフォト)が推奨されるようになった[3]。
Windows 10 Enterprise LTSBではMicrosoft Storeが提供されないため、引き続きWin32版ペイントが提供される。また、電卓(calc.exe)も同様である。
Windows 11ではAI技術を利用した新機能が多く追加され、高機能化した。
Windows 1.0から2.xまでは、マイクロソフト ウィンドウズ ペイント (Microsoft Windows Paint) という名前で附属していた。MS-DOS ウィンドウからPAINT.EXEというファイルを直接クリックすることで立ち上がる。
各種ツールパレットのアイコンはウィンドウの上部に並ぶ。ツールパレットの左はステータスボックスになっており、使用中のツール・模様・ブラシ(ペン先)の形・線の幅(太さ)が表示される。画像形式はMSPという独自のフォーマットで、モノクロ画像のみ扱える。色の代わりに模様を編集して利用することができた。マウスのほかにカーソルキーとスペースキーで描画することもできた。「3Dツール」は後のペイント3Dとは異なり、クォータービューを描くためのツールで、60°ずつ離れた6方向に限定した直線を引く機能しか持たない。ドット単位で編集する拡大ツール(ズームイン)に対して縮小表示(ズームアウト)もあったが、縮小状態での編集はできなかった。取り消し (Undo) は1回のみ可能で、2回行うと取り消し自体が取り消され、元に戻る仕様だった (後のペイントブラシでも同様) 。点が四角に、線が二重線になるような「縁取り」という機能もあった。ドラッグ&ドロップで画面をスクロールできる「スクロール」というツールもあった。ズームインしない場合でも直線を引く補助として、画面に見えない格子を表示することができた。キャンバスのサイズを指定する場合は新規作成時にスクリーン用か印刷用かを指定しなければならなかった。印刷用の場合はインストールされているプリンタに合わせてキャンバスのサイズが変更可能になる。スクリーン用の場合はWindowsのフルスクリーン(画面解像度)が適用される。作画ウィンドウ(キャンバス)内のマウスカーソルは、ポインタと呼ばれていた。
この頃から搭載されている機能について以下に列挙する。ツールの名称はバージョンによって異なる場合があるが、ここではWindows 2.11以前の呼称を中心に記している(一部カッコで併記)。
マイクロソフト ペイントブラシ (Microsoft Paintbrush) は、Windows(NT含む)3.x時代に従来のペイントに代わって標準で附属されていたアクセサリ。実行ファイル名はPBRUSH.EXE[注釈 3]だが、プログラムマネージャのアイコンからも実行できるようになった。OLEサーバに対応。
旧ペイントとはツール類の一部やレイアウトが異なっている。カラーが扱えるようになったことで右ボタン操作と左ボタン操作にそれぞれ別の色を割り当てることができるようになり、消しゴムツールは消すというより背景色(色2)で塗りつぶす形になった。標準形式としてBMPの読み書きが行えるようになった。また、ペイントブラシのバンドル元であるZSoft Corporationの開発した画像形式であるPCX形式が読み書きできた。MSP形式も読み出しのみ可能。ツール ボックス類はウィンドウ左側に、カラー パレットは下側に並ぶようになった。左下には線の幅ボックスとカラー選択ボックスが位置する。一方で3Dツールはなくなった。
また、Windows 95以降のペイントとも使い勝手の異なる部分が少なくない。カーソルはキーボードからでも移動でき、Insert/Deleteキーを左クリック/右クリックとして利用できる(ダブルクリックは[F9]と同時押し)。キャンバスをスクロールさせると選択範囲が解除(確定)されてしまう仕様のため、一画面を超える広範囲の編集に対してはキャンバス全体を1画面に縮小表示した際にカット(コピー)アンドペーストできるようになった。後の傾きツールに相当する「傾ける」は水平方向にのみ行うことができ、マウスのドラッグによって左右どちらにも任意の角度で傾けることができた。後の伸縮ツールに相当する「縮小と拡大」は選択範囲を指定したうえでチェックを入れ、その最中に新たな範囲(長方形)を再指定することでその長方形に合わせた形に伸縮した状態で複製できるという仕様だった。このほか消しゴムツールに付随する機能として、BSキーを1回押した後は消しゴムをかける要領で消した編集の一部のみを元の画像に復元できる状態になる。これはAdobe Photoshopで言うところの「ヒストリーブラシツール」に似た機能だが、どんな編集でも戻せるわけではなく、直前に消しゴムツールで消した部分が復元対象である。ただし、この機能は95以降のペイントには継承されなかった。塗りつぶしは「ローラー」ツールと呼ばれ、四角形の範囲指定は「修正切り出し」ツール、任意形状の場合は「はさみ切り出し」ツールと呼ばれていた。また円ツールと楕円ツールは統合され、[Shift]キーを押しながら描けば縦横比の等しい図形として描画できた。これは四角ツールも同様である。
このバージョンから追加された機能には以下のようなものがある。
※ 表の「値」は、16進トリプレット表記。
| 値 | FFFFFF | C0C0C0 | FF0000 | FFFF00 | 00FF00 | 00FFFF | 0000FF | FF00FF | FFFF80 | 00FF80 | 80FFFF | 8080FF | FF0080 | FF8040 |
| 色 | ||||||||||||||
| R G B |
100% 100% 100% |
75% 75% 75% |
100% 0% 0% |
100% 100% 0% |
0% 100% 0% |
0% 100% 100% |
0% 0% 100% |
100% 0% 100% |
100% 100% 50% |
0% 100% 50% |
50% 100% 100% |
50% 50% 100% |
100% 0% 50% |
100% 50% 25% |
| 値 | 000000 | 808080 | 800000 | 808000 | 008000 | 008080 | 000080 | 800080 | 808040 | 004040 | 0080FF | 004080 | 400080 | 804000 |
| 色 | ||||||||||||||
| R G B |
0% 0% 0% |
50% 50% 50% |
50% 0% 0% |
50% 50% 0% |
0% 50% 0% |
0% 50% 50% |
0% 0% 50% |
50% 0% 50% |
50% 50% 25% |
0% 25% 25% |
0% 50% 100% |
0% 25% 50% |
25% 0% 50% |
50% 25% 0% |
Windows 95/NT4.0でのペイントは旧ペイントとペイントブラシの延長上にあり、再びペイントという名前に戻った。実行ファイル名はMSPAINT.EXEになった。標準ではBMPとPCXしか扱えず、PCX画像は読み込み専用となった。しかしMicrosoft Officeなどに含まれるアドオンでGIF画像やJPEG画像なども読み込めるようになる。初代ペイントから使われていたいくつかの機能(キーボードによる操作・縮小(全体)表示)が削除された[注釈 4]。一方でスクロールしても選択範囲が保持されるようになったほか、スポイトツールや90度単位で回転させる機能も備わった。元に戻す (Undo) は3回まで可能になり、これに伴い「繰り返し」が備わった。傾きツールは1°単位の数値入力方式となったほか、垂直方向にも傾けることができるようになった。また右クリックの機能が増えたことで一部ツールの機能や操作法が大きく変わったが、これ以降XPまで基本的な操作やツール類はほぼ共通となる。
この頃から追加された機能には以下のようなものがある。
| 値 | 000000 | 808080 | 800000 | 808000 | 008000 | 008080 | 000080 | 800080 | 808040 | 004040 | 0080FF | 004080 | 4000FF | 804000 |
| 色 | ||||||||||||||
| R G B |
0% 0% 0% |
50% 50% 50% |
50% 0% 0% |
50% 50% 0% |
0% 50% 0% |
0% 50% 50% |
0% 0% 50% |
50% 0% 50% |
50% 50% 25% |
0% 25% 25% |
0% 50% 100% |
0% 25% 50% |
25% 0% 100% |
50% 25% 0% |
| 値 | FFFFFF | C0C0C0 | FF0000 | FFFF00 | 00FF00 | 00FFFF | 0000FF | FF00FF | FFFF80 | 00FF80 | 80FFFF | 8080FF | FF0080 | FF8040 |
| 色 | ||||||||||||||
| R G B |
100% 100% 100% |
75% 75% 75% |
100% 0% 0% |
100% 100% 0% |
0% 100% 0% |
0% 100% 100% |
0% 0% 100% |
100% 0% 100% |
100% 100% 50% |
0% 100% 50% |
50% 100% 100% |
50% 50% 100% |
100% 0% 50% |
100% 50% 25% |
以下のように、比較的多くの変更があった。
| 値 | 000000 | 464646 | 787878 | 990030 | ED1C24 | FF7E00 | FFC20E | FFF200 | A8E61D | 22B14C | 00B7EF | 4D6DF3 | 2F3699 | 6F3198 |
| 上 段 |
||||||||||||||
| 下 段 |
||||||||||||||
| 値 | FFFFFF | DCDCDC | B4B4B4 | 9C5S3C | FFA3B1 | E5AA7A | F5E49C | FFF9BD | D3F9BC | 9DBB61 | 99D9EA | 709AD1 | 546D8E | B5A5D5 |
Windows 7のペイントは大幅に改良が施された。
| 値 | 000000 | 7F7F7F | 880015 | ED1C24 | FF7F27 | FFF200 | 22B14C | 00A2E8 | 3F48CC | A349A4 |
| 上 段 |
||||||||||
| 中 段 |
||||||||||
| 値 | FFFFFF | C3C3C3 | B97A57 | FFAEC9 | FFC90E | EFE4B0 | B5E61D | 99D9EA | 7092BE | C8BFE7 |
ペイント3Dは一時期のWindows 10において従来のペイントに代わって標準搭載され、Windows 11でも利用可能な、ペイントの後継となるグラフィックソフトウェアとされていた。2017年4月のWindows 10 Creators Updateでリリースされ、ペイントが持つ2次元画像編集機能に加えて、空間内に3次元モデルデータを配置・編集し、キャンバス上の2次元画像と合成する機能を持つ[8][9]。
しかしWindows 11ではペイント3Dが標準アプリに採用されなくなり、利用するにはストアから別途インストールする形になった。さらに2024年8月にはペイント3Dが非推奨となり、2024年11月にストアからも削除された[3]。その後は新規インストールがサポートされなくなり、インストール済のペイント3Dは使い続けられるものの、開発は事実上ストップした。理由は発表されていないものの、恐らくペイント3Dは継続に値するほど利用者が広がらなかったと言われている[10]。
Windows 11のビジュアルデザインに合わせて再設計されており、ウィンドウ・ポップアップメニューの角が丸くなったほか、ウィンドウの重なりを視覚的に表現する「Mica」(雲母)マテリアル効果、アイコンがアップデートされシンプルになったツールバーなどが導入されている[11]。パレットは円形に変わった。新たに画像の透過とレイヤー機能にも対応し[12]、「背景の削除」機能が追加された[13]。背景を削除する被写体は自動で認識され、背景との境界を細かく調整することはできない[注釈 13]。このため、消し残しが発生した場合であれば消しゴムツールで、消えすぎた場合は「元に戻す」で通常編集することになる[14]。またはMicrosoft フォトも利用できる。フォトにもペイントとほぼ同じ背景の削除機能が搭載されたが、そちらで行う場合は自動認識した背景との境界を手動で事前に微調整してから消すことができるという違いがある。
UWPアプリとなり、Microsoft Storeで提供されるようになった。実行ファイルは従来の場所から移動したが、ファイル名を指定して実行やコマンドからは従来通り起動できる。
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