(KPI から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/17 08:47 UTC 版)
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重要業績評価指標(じゅうようぎょうせきひょうかしひょう、英: key performance indicator, KPI)は、組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群である[1]。KPI はビジネスインテリジェンスにおいて、現在のビジネスの状態を示すものとして使われ、今後の対応策でどうなるかを予測するのに使われる。KPI をリアルタイムで監視することを BAM(ビジネスアクティビティ・モニタリング)と言う。KPI は、リーダーシップ育成、雇用、サービス、顧客満足といった定量的計測が難しいものを定量化する場合に使われることが多い。KPI は(例えば、バランスト・スコアカードのような技法を通して)一般に組織の経営戦略と関連している。
実際の KPI は、その組織の特性や戦略によって異なる。組織の目標達成度合いを測る補助となるもので、特に成果を定量化しづらい知識ベースのプロセスに関するものが多い。
KPI は、組織の方向性、ベンチマーク、目標、時系列などの測定対象の重要な一部である。例えば、「顧客毎の平均収入の増加を2008年末までに10ポンドから15ポンドにする」と言った場合、「顧客毎の平均収入」が KPI である。KPI は、主要成功要因(KSF)とは異なる。例えば上記の例では、「顧客毎の平均収入」を増やすという目標を達成するためになすべきこと(例えば、新製品投入)が KSF になる。
業績評価指標は、ビジネスの種類や目的によって異なる。学校では、学生の落第率を KPI とするかもしれない。ビジネスでは、KPI として「再来顧客からの収入の割合」が使われるかもしれない。
組織は少なくとも KPI を特定しておかなければならない。KPI 特定に関わる環境として以下の点が挙げられる。
KPI 特定にあたって、SMART という頭字語がよく使われる。KPI には以下の要素が必要とされる。
KPIは単独で存在するものではなく、組織の最終目標と現場の具体的な活動を結びつける因果関係の連鎖の中に位置づけられる。一般的に、結果を事後的に測定する遅行指標と、将来の結果を予測・制御するための先行指標という階層構造を持つ。この階層構造の管理手法や用語には、日本と欧米で文化的な差異が見られる。
日本のビジネス現場においては、KPIとKGI(重要目標達成指標)を対にして、それぞれの用語としての役割を明確に区別して管理する[2][3][4]。KGIを組織織やプロジェクトの最終指標として設定し、KPIをKGIを達成するために不可欠なプロセスや重要成功要因(CSF/KSF)が順調に推移しているかを計測する中間指標として設定する。この場合、KGIは遅行指標、KPIは先行指標として扱われる[5]。
さらに、これらをロジックツリー形式で分解し、可視化したすることがある。これをKPIツリーと呼ぶ[6]。最上位のKGIを数式で因数分解し、さらに細分化することで、現場レベルでコントロール可能な具体的行動指標まで落とし込むために用いられる。
一方、欧米のマネジメントや文献においては、KGIという略語をKPIと対にして用いるケースは一般的ではない[7]。すべての指標を広義のKPIとして捉え、KPI同士を戦略レベルから現場レベルまで階層化する。これをKPIヒエラルキー(KPI Hierarchy)またはTiered KPIsという概念で管理するのが主流である。KGIに相当するものは、「Top KPI」「Primary KPI」「Main Business Metric」等と呼ぶ[8]。欧米のアプローチでは、用語を厳密に分けることよりも、上位のKPI(戦略)と下位のKPI(戦術・業務)が整合性を持って連動しているかどうかが重視される[9]。
経営者が利用するマーケティングにおけるKPIとしては、以下のものがある。
これら顧客に関する KPI の多くは、顧客関係管理と共に発展してきた。
これらのリストは包括的であり、特定業界に固有なものではない。これらは銀行にも当てはまるし、電話会社やサービス業にも当てはまる。
重要な点は以下の通りである。
ITが未発達な段階ではある期間のデータが得られるまで、1カ月や2カ月の遅延が多く見られた。しかし、ITの利用により、より速くKPI 関連データを集計できるようになった。データを素早く入手することは、多くの企業が重視するようになってきている。たとえば、金融業では情報の早さが重要であり、シティバンクは週単位でKPI関連データを集計しており、場合によっては数値を毎日分析している。
総合設備効率(OEE)は、製造業における財務関連以外の指標として広く受け入れられている。
重要業績評価指標は、測定に使われる値を明確化する。それらの値をシステムに入力することで要約情報としての「指標」が得られる。指標は対象によって以下のように分類できる。
重要業績評価指標は、実用的な意味ではビジネスの価値を最大化するであろう目標設定を意味する。
実際に重要業績評価指標を得ようとしている企業では、特定のビジネスに必要な重要業績評価指標を測定しようとすると、あまりにもコストがかかり、困難もしくは不可能になることある。例をあげると、従業員の勤労意欲は数値化するのが難しい。
KPIを設定するとき、過去の経験や履歴を参照することが多い。この場合、KPIが有効に機能しても正確な測定ではなく、単に大まかな指針にしかならない点を忘れてはならない。別の運用上の問題として、一旦 KPI を決定すると、例えば毎年の傾向の比較をする必要性から、KPIを簡単には変更できない点が挙げられる。また、あまりにも特殊な KPI は、他社との比較に使えないという問題もある。
KPIやBSC(バランスト・スコアカード)などによる数値目標管理の限界が指摘されている。例えば、マーク・ホダックの調査によると、BSCにより業績給を支給している企業は、S&P 500の15 %を占めたが、その他の企業より平均3.5 %業績が低かったことが明らかになっている[10][11]。
経済学者チャールズ・グッドハートによる「尺度が目標になると、それは良い尺度ではなくなる」という法則は、KPI運用における主要なリスクである[12]。従業員がKPIの数値達成のみを目的化し、本来の組織目標を損なう行動をとること(ゲーミング)がしばしば発生する。例えば、コールセンターで「対応時間短縮」をKPIにした結果、顧客の問題が解決していないのに電話を早く切るようになるといった例があげられる。