JAS39 "Gripen".
スウェーデンのサーブ社が中心となって結成されたJASグループにより、ドラケン及びビゲンの後継として設計されたマルチロールファイター。
スウェーデンの国防状況を考慮して造られた機体は、同世代の戦闘機と比較すると比較的保守的な設計と小型なサイズゆえに搭載能力・航続距離こそ少ないが、高いSTOL能力と整備性を持ち、補強なしの高速道路からでも離着陸できるようになっている。また、初期・運用経費などが他の戦闘機のおよそ1/2~3/4程度に抑えられるとしている。
上記の特徴により、グリペンに興味を寄せている国は非常に多く、売り込みも活発に行われており、いくつかの国が採用を決定している。
最近ではプローブアンドドローグ式空中給油装置の追加やデータリンクおよびIFFなどを換装したNATO標準仕様のJAS39C/Dが実用化されており、さらには推力を増したF414エンジンや、アビオニクスを強化した「グリペンNG」の開発も行われている。
過去にはアクティブフェイズドアレイレーダー、IRST、曳航式デコイ、コンフォーマルタンクなどを追加し、殆ど別の機と言っても過言では無い"SUPER-GRIPEN"が計画されていた。
| 乗員 | 1名/2名(B/D型) |
| 全長 | 14.1m/14.8m(B型) |
| 全高 | 4.5m |
| 全幅 | 8.4m |
| 主翼面積 | 56.5㎡ |
| 空虚重量 | 6,620kg |
| 最大離陸重量 | 8,500kg(クリーン時)/13,000kg(兵装最大時) |
| エンジン | ボルボ・フリーグモーター RM12 ターボファン×1基 |
| 推力 | 54kN/80.5kN(A/B使用時) |
| 最高速度 | Mach2.0 |
| 実用上昇限度 | 20,000m |
| 航続距離 | 1,620nm(増槽使用時) |
| 戦闘行動半径 | 432nm |
| 武装 | 固定武装: マウザーBK27 27mm機関砲×1門 兵装: 翼端にRb74AAM2発、翼下4箇所の武装搭載点にRb99、Rbs15FASM、Rb75、 DWS39ディスペンサー兵器、通常爆弾、ロケット弾ポッド等、最大5,300kgの兵装を搭載可能。 |
南アフリカ共和国(チーターC/Dの代替。28機を購入。)
ハンガリー(MiG-29A/UBの代替として14機リース。)
チェコ(MiG-21MF/MFN/UMの代替で24機購入。2005年8月に機体納入完了。)
タイ王国(F-5の代替として12機購入。2011年から配備開始。)
イギリス(テスト・パイロット学校での練習機として採用。)
スイス(F-5E/Fの代替で30機前後の導入を検討中。)
(JAS39 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/21 04:46 UTC 版)
SAAB JAS 39 Gripen
SAAB 39(JAS 39、JASの原音に忠実な日本語表記は「ヤース」)は、スウェーデンのサーブ社を中心として開発された多用途戦闘機。愛称のグリペン(スウェーデン語: Gripen)はグリフォン(有翼獅子)の意味。メーカーでは『The smart fighter』というキャッチコピーを用いている[2]。
機体のサイズからの分類は軽戦闘機、用途からの分類はマルチロール機(多目的戦闘機)である機体で、スウェーデン語のJakt(戦闘)、Attack(攻撃)、Spaning(偵察)の略称に始まるJAS 39の機種番号通り、制空戦闘・対地攻撃・偵察などを過不足なくこなす。また、多目的機にありがちな機体の大型化・開発費上昇と相反して、スウェーデンの国防ニーズと予算の兼ね合いから航続距離やステルス性などの一部性能を妥協することにより、運用体系における高いコストパフォーマンスを実現している。
公式サイトではネットワーク中心の戦い、多彩な作戦に対応する能力、低いライフサイクルコストをバランス良くまとめた機体であるとしている。
冷戦期のスウェーデンでは、ノルディックバランスに則った軍事的中立政策路線を採っており、国防には専守防衛かつスウェーデン単独で防衛するという前提条件が課せられていた。
戦闘機には地理的に近接しているソ連軍などの仮想敵からの先制攻撃への高い抗堪性[3] が必要とされた。国内各地の山をえぐり貫いて作ったシェルターへ分散配備し、北ヨーロッパのような寒冷地の冬期の作戦にも対応できるよう、最終的な要求としては、雪に覆われた長さ800 m、幅17 mの高速道路の直線区間に離着陸できることが求められた[4]。このため短距離で離着陸(STOL)できる能力と狭いシェルターや高速道路脇の臨時作業場などの充分な設備のない場所での整備、そこから短時間で再出撃を実現する高い整備性が最重要とされた。一方で、同世代を上回る格闘戦能力、長大な航続距離、当時すでに主流だったステルス性の考慮などは予算の兼ね合いで妥協、ネットワーク中心の戦いへの対応は後のアップデートにより実現させることになった。
開発に合わせ1980年代前半から「基地90(Bas 90)」と称する飛行場の分散計画が推進され、一部の新規高速道路は代替滑走路を前提として建設された。これらの道路は長さ800 m・幅17 mの直線区間を必ず有しており、直線区間には給油所や駐機場となるスペースが併せて整備された。この種の短距離滑走路は国際的活動に対応するため離着陸訓練にも利用されていたが、このような運用思想がかえってコストを押し上げる要因となってきたことから、2004年に高速道路の使用を廃止したが[5]、2015年からは訓練を再開した[6]。
グリペンはサーブ 37 ビゲンの後継として1980年から開発を開始し、1981年に機体初期提案がまとまった。政府は翌1982年に提案を承認し、試作機5機と量産型30機の開発契約を締結した。
試作初号機は1988年12月9日に初飛行を行った。試作初号機は1989年2月3日の試験飛行中にフライ・バイ・ワイヤを制御するプログラムの欠陥によりパイロット誘導振動 (PIO) を起こして着陸に失敗し、大破した。その穴埋めとして、冷戦終結直後の1992年に初飛行したJAS 39A量産初号機を試験に使用することとなったため、さらに1993年に初飛行した量産2号機が実質量産初号機となったが、この機体も試作初号機と同一原因により8月8日に墜落した。制御プログラムの修正のために生産計画は大幅に遅れ、1995年予定の最初の飛行隊の発足は1年遅れの1996年となった。なお複座型のJAS 39Bは1996年に初飛行を行った。
最新型は基本性能を向上させアビオニクスなどを改良したマルチロール戦闘機「グリペンE」として製品化され、スウェーデン空軍のほかにブラジル空軍が発注しており、2016年5月にロールアウトした[7]。
| 1980年2月 | JAS戦闘機の国内開発を決定 |
| 1982年4月 - 6月 | スウェーデン政府がIG-JASと試作機5機+量産機30機の開発・生産契約を締結 |
| 1982年9月 | JAS戦闘機の制式名称がJAS 39に決定 |
| 1982年12月 | JAS39の愛称が公募でグリペンに決定 |
| 1983年4月 | スウェーデン議会が30機の量産契約を承認 |
| 1985年2月 | 実物大モックアップを公開 |
| 1987年4月26日 | 試作初号機(39-1)ロールアウト |
| 1988年12月9日 | 試作初号機が初飛行、フライト時間51分間 |
| 1989年2月3日 | 試作初号機が6回目の飛行試験中に墜落、機体を損失、飛行制御システムに問題がある事が判明 |
| 1990年5月4日 | 試作2号機が初飛行 |
| 1991年10月23日 | 試作5号機が初飛行 |
| 1992年6月3日 | スウェーデン政府が複座型14機を含む110機を正式に発注 |
| 1992年9月10日 | JAS 39Aの量産初号機(39101)が初飛行 |
| 1993年6月8日 | 量産2号機(39102)がスウェーデン空軍に引き渡される |
| 1993年 | 量産2号機が初飛行 |
| 1993年8月8日 | 量産2号機がストックホルムで公開展示飛行中に墜落、事故原因は飛行制御システムの問題と判明 |
| 1993年12月29日 | 新しい飛行制御システムのソフトウェアを導入し飛行再開 |
| 1994年12月13日 | スウェーデン空軍への引渡しが再開 |
| 1995年6月11日 | サーブ社とBAe社(当時。現・BAEシステムズ)が輸出販売での提携で合意 |
| 1995年9月29日 | B型(39800)がロールアウト |
| 1996年 | 部隊運用開始 |
| 1996年4月29日 | B型が初飛行 |
| 1997年6月26日 | スウェーデン政府が複座型14機を含む64機を正式に発注 |
| 1997年11月1日 | スウェーデン空軍第7航空団所属機が作戦可能状態になる |
| 1998年3月 | AIM-120の発射試験が行われる |
| 1998年11月 | アイルランド海上空で空中給油試験が行われる |
| 1999年 | 王立テストパイロット学校(ETPS)がグリペンを使った評価実習を開始 |
| 2001年9月 | 合弁企業グリペン・インターナショナル設立 |
| 2002年4月29日 | A型から改修されたC型(39-6号機)が初飛行 |
| 2002年8月14日 | 新規製造されたC型が初飛行 |
| 2002年9月6日 | 新規製造されたC型がスウェーデン空軍に引渡される |
| 2004年6月2日 | D型が初飛行 |
| 2007年10月3日 | BAEシステムズ社のHMDコブラを採用 |
| 2007年10月10日 | グリペンNGのデモンストレーターグリペンDemoの製造が承認される |
| 2007年10月17日 | A/B型31機がC/D型にアップグレードされる |
| 2008年2月15日 | 王立テストパイロット学校(ETPS)がグリペンの使用継続を決定 |
| 2008年4月23日 | グリペンDemoロールアウト |
| 2008年5月27日 | グリペンDemo初飛行 |
| 2009年3月26日 | サーブ社とSELEXガリレオ社がAESAレーダーの共同開発を開始 |
| 2010年3月12日 | グリペンDemoが117の試験プログラムをクリア |
| 2010年4月1日 | 新型偵察装置の開発を開始 |
| 2010年7月17-18日 | グリペンDemoがロイヤルインターナショナル・エアタトゥーに参加 |
| 2010年7月19-23日 | グリペンDemoがファーンボロ国際航空ショーに参加 |
| 2010年9月8日 | ミーティアBVRAAMの採用を決定 |
| 2010年9月21日 | グリペンDemoが新型450ガロン(1,703 L)増槽を搭載して飛行 |
| 2010年10月10日 | 南アフリカ空軍で初めて女性のグリペン・パイロットが誕生 |
| 2010年10月20日 | ミーティアBVRAAMを初めて発射 |
| 2010年11月9日 | 南アフリカ空軍基地で世界初の女性グリペン・パイロットが単独飛行を実施 |
| 2010年12月1日 | サーブ社が南アフリカ空軍用のタレスデジタル統合偵察ポッドの評価試験を実施 |
| 2011年2月11日 | エアロインディア2011に参加。この時開催されたグリペントップガンコンテストで優勝したインド バンガロール工学大学の学生が2月13日にグリペンに搭乗した |
| 2011年2月22日 | タイ王国空軍(RTAF)が最初のグリペンC/D 6機を受領 |
| 2011年3月 | タイ王国空軍(RTAF)のF-16パイロット6名がグリペンの訓練の為にスウェーデンに到着 |
| 2011年3月15日 | タイ王国空軍(RTAF)のグリペンDがタイ南部スラタニで初飛行 |
| 2011年4月1日 | スウェーデン議会が任務を飛行禁止空域のパトロールに限定しながらも初の実戦投入となるリビアへの派遣を決定。海外紛争への戦闘機派遣は1961年以来約半世紀ぶりとなる。 |
| 2011年4月2日 | ロンネビ基地F17所属のJAS39C 3機が中継地ハンガリーのケチュメート基地に向け離陸 |
| 2011年4月3日 | ロンネビ基地F17所属のJAS39C 5機が中継地イタリアのシチリア島シゴネラ基地に到着、作戦参加は全8機 |
| 2011年 | シゴネラ基地に海軍規格のジェット燃料JP-5しかなかった為にJP-5をJET A1規格に変える機材と添加剤の到着まで運用を延期 |
| 2011年4月13日 | JAS39C 2機がリビア上空で飛行禁止空域のパトロールを実施 |
| 2011年4月21日 | スウェーデン空軍初の女性グリペン・パイロットが初めての単独飛行 |
| 2011年5月 | チェコ空軍のグリペンがNATOタイガーミートに参加 |
| 2011年5月24日 | サーブとMoDが英国で艦載型グリペンNGの開発を発表 |
| 2011年7月8日 | ロイヤルタイ空軍(RTAF)が正式にグリペンC/Dとサーブ340AEWで構成される航空団の運用を開始し7つの基地で式典が開催された |
| 2011年9月 | ブルガリア国際航空祭BIAF 2011年にグリペンが参加 |
| 2011年9月7日 | ハンガリー空軍のグリペンが6,000飛行時間を達成 |
| 2011年9月16-18日 | スイスのシオンで開催されるブライトリングシオン航空ショーに参加 |
| 2011年9月20日 | 南アフリカ空軍が世界で初めてグリペンでコブラHMDを運用を開始 |
| 2011年9月 | チェコ空軍パイロットがグリペン搭乗1,000飛行時間を達成。チェコ空軍のグリペン総飛行時間は12,600時間以上となった |
| 2011年10月14日 | スウェーデンの防衛・安全保障輸出庁(FXM)がクロアチア政府にグリペンC/Dの販売を含むプランを提出 |
| 2011年10月26日 | リビアでの作戦に参加していたグリペンが任務を終えて帰還。650回の任務を行い、飛行時間は約2,000時間に及んだ |
| 2011年11月30日 | スイス政府が空軍の次期多目的戦闘機としてグリペンを選定 |
| 2011年12月31日 | 年次業績報告書によりチェコへの2011年12月までのリース契約金累積が256億チェコ・コルナ(CZK)になったと公表 |
| 2011年1月30日 | ハンガリーがグリペンのリース契約を2026年まで延長 |
| 2011年2月14日 | グリペンはスイス空軍の要件を満たしていないという風評に対し、スイスの国防大臣ウエリ・マウラーが記者会見を実施 |
| 2012年3月 | スウェーデン軍のC-130からチェコ空軍のグリペンへの空中給油訓練 |
| 2012年4月19日 | タイ空軍のグリペンC/Dがチェンマイのウィング41航空ショーに参加 |
| 2012年5月 | スイス連邦防衛品調達機関armasuisseのテストパイロットと飛行テストエンジニアがグリペンE/Fのテスト飛行の為にスウェーデンのリンシェーピングを訪問 |
| 2012年5月 | ブラジル空軍F-X2計画へのグリペンNG提案に対しブラジルのAkaer社との協力を拡大 |
| 2012年5月8日 | ブラジル空軍F-X2計画へのグリペンNG提案に対しブラジルのAeroeletronicaリミターダ(AEL)社との協力を拡大 |
| 2012年7月9日 | 王立テストパイロット学校(ETPS)がグリペンの使用継続を決定 |
| 2012年7月9日 | グリペンNGのテスト機にSELEXガリレオ社のレイヴンES-05 AESAレーダーを搭載し試験を継続中 |
| 2012年7月10日 | 南アフリカの空軍基地ヘルマナスのグリペンパイロットのトレーニングセンターにサーブが投資 |
| 2012年8月 | 艦載型グリペンNGの設計研究を完了 |
| 2012年9月1日 | スロバキア国際航空フェスト2012にグリペンを飛行、地上展示。コックピットシミュレータも展示 |
| 2012年9月8日 | スイス空軍士官協会AVIAが次期主力戦闘機の評価と取得に関する説明会を開催。スウェーデン政府関係者とサーブなどのグリペン製造会社を招待 |
| 2012年10月5日 | Axalpイベント参加の為にグリペンE/Fテスト機がスウェーデンのリンシェーピングからスイスまでノンストップで飛行 |
| 2012年10月12日 | スイスで試験飛行中のグリペンE/Fテスト機がスイス国内のAxalpイベントで展示飛行 |
| 2012年12月13日 | スイスの評価チームがスウェーデンのリンシェーピングでスイス連邦防衛品調達機関armasuisseとスイス空軍のパイロット、エンジニアによるグリペンFの飛行試験を実施 |
| 2013年1月12日 | タイ王国空軍ドンムアン基地オープンハウスでJAS39Cがデモフライトを実施 |
| 2013年3月 | デンマーク空軍の次期主力戦闘機の候補機になる。他の候補はFA-18E/F、F-35、タイフーン |
| 2013年3月 | スイス全州議会(上院)がグリペンEの導入と資金調達を可決 |
| 2013年3月26-30日 | マレーシアで行われた「LIMA2013」ランカウイ国際海事航空宇宙展にタイ空軍のJAS39Cが参加 |
| 2013年4月2日 | E型の開発・生産へのスイス企業の参加を決定 |
| 2013年7月1日 | 6月にミーティアBVRAAAMの空中発射試験の成功を公表 |
| 2013年7月3日 | サーブ社によるグリペンEの先行量産型初号機「39-8」前部胴体の組立を開始を発表 |
| 2013年7月6日、7日 | 英空軍ワディントン基地で行われた「ワディントン・インターナショナル・エアショー2013」でチェコ空軍のJAS39Cグリペンが飛行展示を実施 |
| 2013年8月27日 | スイス国民議会国防委員会でグリペンEの調達が賛成多数で可決 |
| 2013年9月11日 | スイス国家評議会(下院)がグリペンE/F型の調達を承認 |
| 2013年9月16日〜26日 | 合同演習「アークティック・チャレンジ」に参加。参加航空機はノルウェー空軍のF-16、スウェーデン空軍のJAS-39、フィンランド空軍のF/A-18、英空軍のタイフーン、米空軍のF-15C/E、KC-135、NATOのE-3など60機以上 |
| 2013年9月18日 | スイス国家評議会(下院)がグリペンE/F型の購入資金のファンド設立を賛成多数で可決。全州議会(上院)がグリペンEの調達資金制限を撤廃する議案を賛成多数で可決 |
| 2013年12月18日 | スウェーデン国防資材局(FMV)からの受注でグリペンE/F型のFCSにミーティアBVRAAM運用の為のシステム統合を決定 |
| 2013年12月18日 | ブラジル政府が次期戦闘機にグリペンNGを選定。36機調達予定 |
| 2014年2月11日 | スイス国防省が国民にグリペンを購入する場合のみパトルイユ・スイスが継続出来るとグリペンE購入の必要性を訴求 |
| 2014年4月1日 | NATO指揮下の米空軍戦闘機2機(48FW/493FS所属のF-15Cと思われる)とスウェーデン空軍のグリペン2機がバルト海で共同訓練を実施 |
| 2014年4月4日 | グリペンにIRSTを搭載して複数の目標に対して探知、追跡、識別を完璧に行った試験飛行を実施 |
| 2014年4月29日 | サーブ社が順調な製造をアピールするため、グリペンEの主翼接続フレームの画像を発表 |
| 2014年5月16日 | スウェーデン政府とチェコ政府の間で14機のC/D型を2027年までチェコ空軍が運用するためのリース契約を締結 |
| 2014年5月18日 | スイス国民投票において反対票53.4%で導入を否決 |
| 2014年7月7日 | グリペンからのミーティアBVRAAMの発射実験を完了[9][10]。 |
| 2014年7月12日 | サーブ社と王立テストパイロット学校(ETPS)が2015年から2018年においての協力協定に合意し署名した。 |
| 2014年10月16日 | サーブ社がスウェーデン国防資材局(FMV)からグリペンEのサポートとメンテナンス機器を受注。 |
| 2014年10月27日 | ブラジルがグリペンNG(単座28機、複座8機)、関連システムおよび機器の開発、生産の為の契約をサーブ社と結んだ。総額約393億SEK(約5895億円)。 |
| 2014年12月19日 | サーブ社とブラジル防衛省は、空軍航空コマンド(COMAER)を介して、グリペンNGの請負業者の物流をサポートする契約(CLS)を締結した。 |
| 2015年2月25日 | AEL SISTEMAS社がブラジル向けグリペンNGの広域表示装置(WAD)、HUD提供メーカーに選ばれた。 |
| 2015年4月14日 | サーブ社とエンブラエル社がブラジル空軍FX-2計画の共同管理の為のパートナーシップ契約を締結した。 |
| 2015年4月24日 | サーブ社とブラジル防衛省は、空軍航空コマンド(COMAER)を介して、グリペンNGの兵器取得の為の契約を締結した。総発注額は約2.45億USドル(約303億円)。ブラジル空軍への配送は2019年から2024年の予定。 |
| 2016年5月18日 | スウェーデンのリンシェーピング空港内にあるサーブ社施設内でスウェーデン防衛大臣ピーター・フルトクビスト、スウェーデン空軍司令官マット・ヘルゲソン、ブラジル空軍司令官ニヴァル・ルイス・ロサット、サーブ社会長マーカス・ウォーレンバーグらが出席してE型完成披露除幕式が行われた。年末に初飛行を軍納入は2019年を予定している。 |
| 2016年7月8日 | スウェーデン空軍のグリペンC/Dがミーティア(MS20)の運用を開始。通信機器を能力向上しリンク16データリンクが使用可能になりSDBが運用可能になった。整備、故障診断を簡素化し、長期任務に対応。ミーティアの運用はグリペンが初[11][12]。 |
| 2016年11月7日 | スウェーデン国防資材局(FMV)がグリペンE用としてブラジルAEL SISTEMAS社に予定額1億1900万クローナ(SEK)でタルゴHMDを発注した。入荷予定は2022年 - 2026年。 |
| 2016年11月23日 | ブラジルのサンパウロ州のエンブラエル敷地内にGripen Design and Development Network(GDDN)がオープンした。この施設はブラジルでのグリペンNG技術開発の中心的な拠点となり、最終組立と飛行試験も行う。 |
| 2017年4月4日 | バイオ燃料100 %による飛行試験を行った。単発エンジンの戦闘機がバイオ燃料100 %による飛行を行ったのは世界で初めて。使用された機体はグリペンD。使われた試験燃料(CHCJ-5)は菜種油で出来ているもの。システムテスト、地上試験、飛行試験はリンシェーピングのサーブの飛行場で行われた。 |
| 2017年4月5日 | サーブがグリペンNGの複座型がブラジルのGripen Design and Development Network(GDDN)で開発されている事を発表。グリペンの空力構造プラントSaab Aeronautica Montagens(SAM)がサンパウロ市に建設された。 |
| 2017年6月15日 | グリペンEが初飛行に成功。操縦したのはサーブのテストパイロットのマーカス・ワンド。リンシェーピングのサーブの飛行場を10時32分に離陸し、そこからオスターゴトランド東部を約40分間飛行。その間に着陸脚の引き込みなどの試験を行った。 |
グリペンはビゲン同様のカナードとデルタ翼の組み合わせであるクロースカップルドデルタ形式としている。カナード全体が昇降舵のように可動する全浮遊動式となっており、これは戦闘機タイプの機体では通常の水平尾翼でも主流となっている形式である。着陸時には最大前傾によりカナードを「直立」状態とすることで、エアブレーキとして機能する。
機体の構成素材はアルミ 59 %、CFRP 20 %、チタン 8 %、鋼材 8 %、その他 5%となっている。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は主にカナード、主翼、尾翼に使用している。その他素材の主なものとしては、レーダーカバーのGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、尾翼先端のAFRP(アラミド繊維強化プラスチック)、キャノピーのアクリル樹脂がある。バードストライク対策としてキャノピーは厚さ9 mm、前方のウィンドシールドは厚さ26.5 mmを確保しており、重さ1kgの鳥が相対時速1,000 kmで衝突する衝撃に耐えられる。キャノピーは左側にヒンジを有する横開き式が採用された。
操縦系統は3重のデジタル・フライ・バイ・ワイヤとアナログの1系統の計4系統。操縦データは32bitマイクロプロセッサ 68040が処理し、テキサス・インスツルメンツのDSP TMS320C30が入出力とバックアップを行う[13]。
運動性を高めるためにピッチ方向の静安定性をあえて弱めた空力設計の機体を、飛行制御装置 (FCS) により制御して安定飛行を可能とするCCVとなっている。FCSの操縦への介入度合いは荷重制限(G)と運動制限(迎え角と横転率)から6段階のパフォーマンスグループ(PG)に分かれている。A(荷重制限無し、運動制限無し。軽戦闘)。B(荷重制限無し、運動制限緩和。重戦闘)。C(荷重制限無し、運動制限有り。軽攻撃)。D(荷重制限有り、運動制限有り。通常)。E(荷重制限やや強い、運動制限有り。重攻撃)。F(荷重制限最大、運動制限最大。戦闘損傷など)。飛行中に任務と荷重の変化に応じてパフォーマンスグループを自動的に切り替えて常に安全で最高の性能を発揮出来るようにしている。一方でFCSによる制御を前提とした機体であるため、試作機においてソフトウエアのバグによる複数回の事故を起こしている。
前任機のビゲン同様、有事には高速道路の直線部分を滑走路として使用する前提として設計された。逆噴射装置を持つビゲンに対し、それを持たない本機は、短距離離着陸能力では多少とも劣っている。しかしながらビゲンは山中の低いシェルターに収めるため垂直尾翼を左に倒す機構も採用するなど運用手法に最適化した設計により重量が増加してしまい、その対策として降着装置の前部を並列2輪、後部を直列2輪とするなど構造を強化したことでビゲンの最大離陸重量は20,450 kgに達した。これにより滑走路として使用するには高速道路に補強が必要となり、実際にビゲンを運用できる区間は全国に44ヶ所ある特別に強化された部分に限られていた。これを教訓にグリペンでは、A/B型で最大離陸重量12,500 kgと、満載の中型トラックと大差ない重量に抑えることで強化工事を不要とし、結果として滑走路として利用できる高速道路区間は増加した。また軽量化に伴い後部の降着装置は1輪(E/F型の陸上運用タイプでは前部も1輪に変更)となり、これも重量の軽減に貢献している。また、ビゲンの後部降着装置は2輪のタイヤを収める関係上、降着装置を翼下中央付近に設置しタイヤを翼の付け根に引き込む方式のため翼部の重量が増加し、ハードポイントを設置できないスペースが存在したが、1輪となった本機では胴体引き込み式(E/F型では翼の付け根)に変更したことで翼部の重量が減少し、翼下のスペースを有効に活用することが可能となった。
コックピット内艤装にはHOTAS概念を採用している。操縦桿は左右に7度ずつ、手前に9度、奥に13度可動し、一般的な操縦で使う「通常レベル」と精密な火器操作を行う「低レベル」の2種類の感度に切り替えられる。また、内蔵するトルクモーターによりパイロットがシステム上出来ない操作を行うことのないように制限する。スロットルレバーには14の機能操作を集約しており、グリップ部のポインティング・スティックで多機能ディスプレイ(MFD)に表示されるカーソルを操作する。
ヒューズ社とエリクソン社共同開発の250×280 mm回折型HUD(D-HUD)、及び、A/B型では127×152 mmモノクロ・ブラウン管のEP-17Mk.1/2、C/D型では158×211 mmカラー液晶ディスプレイ(LCD)のEP-17Mk.3/4を搭載する。HUD下のメインモード選択・機体状態表示装置のボタンを押すだけで戦闘、攻撃、偵察の各任務に適した飛行モードを選択できる。
パイロットの加速度耐性を向上させる為に射出座席は27度後ろに傾けて取り付けられ、搭載されたマーチンベイカー社製Mk.10L Sタイプ(S10LS)射出座席はロケットモーターにより射出後0.19秒の間に18 - 20Gで加速。点火から0.25秒後にはキャノピーを破壊して外に飛び出し、2秒後には機体から約70 m離れる高度0、速度0からの脱出能力を発揮する。複座のB/D型では前席射出時の燃焼炎や破片への対処のために前後席の間のキャノピー枠からエアバッグを展張する。
A/B型およびC/D型のエンジンは、米海軍機F/A-18(レガシーホーネット)等が搭載するアメリカ製ゼネラル・エレクトリック F404-GE-400 ターボファンエンジンを、スウェーデン企業であるボルボ・エアロ(2012年から英国のGKN傘下)が改良したRM12を1基搭載している。機体とは3本のボルトで固定されている[14]。
双発機向けのエンジンを単発で運用するために、吸気流量を約10 %、排気流量を約15%増大することで推力を1万6,000ポンドから1万8,000ポンドに増強した。また単発機の弱点となりやすい生残性を極限まで高めるために、制御システムは機械油圧式と電子式を併用して、冗長性を50 %から90 %に向上した。整備性の向上のため、全13箇所中12箇所には機体に搭載したまま使用可能な内視鏡の覗き窓を追加し、個別交換可能な7つのモジュールでエンジン本体を構成している。また、内蔵する20個のセンサーで取得したデータを、飛行5回ごとに自動でダウンロードして整備や改良などに使用する。
C/D型から、米国国防総省が技術提供を許可しなかったためにボルボ社がGE社の協力のもとで自主開発した全自動デジタルエンジン制御(FADEC)を搭載した[15]。また、フレームホルダーを空冷式に換装して寿命を約3倍にしたり、エンジン排気温度を下げてノズルからの赤外線放射の抑制を図ったりしている。
E/F型からは、F404シリーズの発展型でF/A-18E/F(スーパーホーネット)が搭載するゼネラル・エレクトリック F414を、同じくグリペン向けに改良したF414-GE-39Eエンジンを搭載する。この改修によりミリタリー推力の20 %増大を達成し、アフターバーナーに頼らないマッハ1.1での超音速巡航が可能となった[16]。
当初からネットワーク中心の戦いが念頭に置かれていたが、コスト増を防ぐためにアップデートでの対応とした。このためアビオニクスの拡張性が高く、導入国は自国のニーズに合わせた製品を導入することが多い。
中央情報処理装置はエリクソン社が汎用コンピューターを航空機用にしたSDS-80 D80Eを搭載する。CPUはパスカルD80(駆動周波数266 MHz)3基、HDDは160 MB(320MBまで拡張可能)、メモリーは64MB、PROMは32MB、毎秒通信速度1MBのMIL-STD 1553Bデータバス3基で接続している。C/D型からは中央情報処理装置をMACS D96に換装した。これはPowerPCプロセッサ(駆動周波数266MHz)を使い、データバスを5基に増加することで処理速度を約10倍に向上している。
プログラムは初期は「Ada83」、2002年以降は「Ada95」で記述されており、プログラムサイズはグリペンNGで300万行以上になっている。交信記録や飛行データの記録はA/B型でのHi8アナログビデオレコーダーからC/D型で「DiRECT」デジタル記録方式によるマルチメディアカードに更新された。データは飛行中でもデータリンクによりTCP/IP形式で地上に送信され、万が一墜落したとしても墜落直前まで地上で受信、記録出来る。マルチメディアカードは埃や水に対し耐性があるものの墜落時の衝撃には耐えられない。C/D型からユーロファイター タイフーンで採用しているヘルメット搭載表示器(HMD)「ストライカー」の発展型「コブラ」に対応している。「コブラ」は「ストライカー」より軽量化されており、両眼に視野40度の表示領域を映し、対地、対空兵装の照準や速度、高度など飛行諸元を表示する。ヘルメットの凹凸には頭部の位置を感知する為の磁気センサが内蔵されている。2007年より南アフリカ空軍で運用が開始され、同年スウェーデン空軍でも発注された。
ブラジル空軍はブラジルのAEL SISTEMAS(AEL)社のタルゴ HMDを採用し、スウェーデン防衛素材管理局(FMV)もE型用として同様に発注、2022〜2026年に配備運用される予定[17]。
レーダーは、エリクソン社が開発したPS-05/Aを搭載する[18]。探知距離はスウェーデン空軍発表でF/A-18C/D搭載のAN/APG-65よりは短いものの、ミラージュ2000のRDYより20%、F-16のAN/APG-68より40%長い。空対空で8モード、空対地で7モードあり、空対空では毎秒60度の走査が可能となっている。C/D型からは信号処理装置をASIC社がパスカルで組んだD80からマーキュリーコンピューター社のPowerPCを使ったレース(RACE)に変更したMk.3となりデータの処理速度が向上、Mk.4は探知距離を約30%向上し合成開口(SAR)モードが追加された。また、フロントエンドのアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ(AESAアンテナ)への変更も志向された。まず2008年、タレス社のRBE2-AA(ラファール搭載のレーダー)のアンテナをPS-05に統合したモデルがグリペンDemoに搭載されたが性能に満足できず[19]、またラファールとグリペンが輸出市場で競合していることから、これは量産に移行しなかった。その後、SELEXガリレオ・アヴィオニカ社のブルーヴィクセン・レーダーのAESA試作機の成果を反映したPS-05 AESA(後にES-05「レイブン」と改称)が開発された[20]。約1,000個の窒化ガリウム(GaN)送受信素子で構成され、同社が開発したCAPTOR-E(ユーロファイター タイフーン搭載のレーダー)同様アンテナ部の間にあるスワッシュプレートが機械的に可動することで、上下左右約100度という非常に広い視野を有している[21]
E/F型からは、内装式のSELEXガリレオ・アヴィオニカ社(フィンメッカーニカ・グループの企業。現在は社名をレオナルド S.p.Aに変更したフィンメッカーニカによりスカイワード-Gが販売されている)のスカイワード-GIRSTが搭載される。スカイワード-Gはユーロファイター タイフーンが装備するPIRATE(赤外線捜索追跡装置)やSELEX製の陸上および船舶用IRSTを参考に開発されたもので機首のコックピット前方にやや右側にオフセットされる形で装備される。左右に160°上下に 60°の視野をもっており、200目標の追跡が可能である[22][23]。スカイワード-Gは2014年3月31日、グリペンEデモンストレーターに載され試験が実施された[24][25]。
電子戦装備はエリクソン・サーブ社製EWS-39で4基のWing Tip Unit (WTU) と1基の電子戦管制装置(EWC)で構成される[26]。Wing Tip Unitはレーダー警報受信機(RWR)を含む。レーダー警報受信機は初期の広域帯受信型のAR830から、1999年以降より広い帯域に素早く対応出来る狭域帯受信アンテナを追加したBOW-21に変更された。BOW-21は対象周波数帯域2〜20GHzのデジタルRWRで、リアルタイムでレーダパルス列分離を行いデータベースから発信源を特定する機能を持つ。RWRコンピューターは民生用パーツを使い、またリアルタイムオペレーティングシステムも民生にも使用されるVxWorksを使っている。また、WTUはECM機能も持っている。EWCUはECM機能を持たないがデータバスを介してチャフ/フレアの射出を制御する。オプションでデジタル周波数記憶機能、妨害波発振器、反復妨害波発振器、出力ステージモジュールを追加出来る。 EWCUの制御する対抗手段としては、BOL(マルチミサイルランチャー(MML)後端に内蔵しチャフ/フレアを160発搭載)。BOP/B(BOY402。主翼下面の外舷側パイロン後端に内蔵した直径55 mmのチューブ6本にチャフ/フレアを12 - 18発や曳航式デコイBO2Dを搭載)。BOP/C (BOY403。右舷胴体後部の主翼と繋がる張り出し部に3基、下面に1基内蔵しチャフ/フレアを各20〜40発収納)がある。
セルシウス・テック社製曳航式デコイBO2Dは重量は2 kg以下で約100 m伸縮するワイヤーにより超音速飛行時も曳航可能となっている。EWS39と双方向通信を行い射出後も発振モードを変更できる。BO2Dは1997年3月に開発を完了しており、E/F型からSELEX-ES製の新型デコイ(Brite Cloud expendable active decoy)を装備する。
ソフトウェアをアップデートすることで電子戦能力を維持し、ステルス性能の低さを補っている[27]。
維持・運用経費の削減にも注力された結果、先代のビゲンと比較によると、空軍の整備拠点に搬送しての整備を1段階減らしている。平均故障間隔(MTBF)約7.6時間、平均復旧時間(MTTR)約2.5時間となり、48時間の作戦行動における稼働時間が約38時間と約54.5%運用効率が向上している。従来の第4世代戦闘機と比べると、平均故障間隔(MTBF)で30 - 50 %優れ、飛行時間あたりの必要整備人員が半分から三分の一、作戦運用効率は25 - 30 %高くなっている[4]。
整備機材一式はコンパクトに纏められ、整備機材、兵装、整備要員を近距離では大型トラック3台、遠距離ではC-130 輸送機に搭載可能となっている[4]。
空対空装備は10分以内、空対地装備は20分以内でエンジン稼動状態のままでの再装備と給油が可能となっている。エンジン交換は設備が整っていれば取り外しに30分、取り付けに30分で終了する[14]。また小型のホイストと台車があれば3人程度で作業が可能である[4]。
搭載された自己診断装置『Health and Usage Monitoring Systems (HUMS)』を用いることで、検査の省力化が図られている[4]。
1機の整備要員は正規の技術士官または整備兵1名をリーダーに召集兵5名からなる小チームにより、エンジンの完全なオーバーホールや制御プログラムの書き換えなど専門性が非常に高い作業を除きほぼ全ての整備が可能。また臨時召集された者でも機械整備の経験者ならば短時間で理解できる設計とするなど、緊急時の整備性に重点が置かれている[4]。ユーザー側で出来ない整備はエンジンオイルの成分検査、射出座席のパラシュートの梱包などごく僅かである[14]。
再出撃までの時間を短くすることが設計段階から考慮されており、同世代機が2~3時間ほどかかるところを10~20分程で終了するため整備員に負担がかからず結果として少ない数での運用が可能となっている[6]。
前任のビゲンの輸出がゼロだった結果を反省し、イギリスのBAEシステムズと提携して輸出にも積極的である。
同世代機に比べ格闘戦・ステルス性能・航続距離は劣るものの、電子戦能力が高いため地対空ミサイル部隊の支援がある領空内ではSu-35にも劣らないとしている[27]。また機体価格はF-35Aの約半分[42]、多目的戦闘機ながら小型軽量、整備性が良好で維持整備に関わるコストも低いという特徴を生かし、主にブラジルや南アフリカ共和国のような中進国・発展途上国や、開発国のスウェーデン自身も含めた経済規模の小さい先進国・準先進国、雪の影響を受けやすい東欧を中心に次期主力戦闘機候補として売り込みを行っている。ノルウェーでは30年間使用し続けた全運用期間中のライフサイクルコストはF-35Aのほうが30億ドルほど安くなると試算しており、運用形態によってはコストがかかることもある[42]。しかしF-35は操縦系統が高度にデジタル化されているため、T-7などの操作がよりF-35に近い練習機を新たに導入しなければ訓練不足となることが指摘されている[43] が、グリペンは複座型があるためこのような高価な練習専用機を導入せずに済むという利点がある。またF-35は開発終了後も技術的問題により維持コストが高騰すると指摘されているが、グリペンは運用コストが安定しており、予算の都合で倍近いイニシャルコストを負担できない国もあるため、スウェーデン政府の支援を受けリースの更新や中古機の再整備による価格の低減、導入国の産業界に利益をもたらすオフセット契約を設定するなど官民で連携した販売戦略を展開している。
E/F型は価格が従来型より上昇しているため、サーブは要望があればC/D型の新規製造や余剰機の譲渡・リースにも応じる方針を明らかにしている[40]。
競合はF-16、ミラージュ2000、ラファールなどローコストが売りの軽量戦闘機であるが、アップデートによる能力向上と柔軟な契約によりF/A-18E/F、ユーロファイター タイフーン、Su-27、F-35など高価格な高性能機とも比較されている。
サーブ社では、グリペンの海外顧客はダウングレードのないフルスペック仕様を使用でき、その上で各国の事情に合わせたカスタマイズを行うことができるとしている[44]。
などに提案されている。
| 機体名 | JAS-39 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 形式 | A型 | B型 | C型 | D型 | E型 | F型 |
| 乗員 | 1名 | 2名 | 1名 | 2名 | 1名 | 2名 |
| 全長 | 14.1 m | 14.76 m | 14.1 m | 14.76 m | 15.2 m | 15.9 m |
| 全幅 | 8.4 m | 8.6 m | ||||
| ホイールベース | 5.2 m | 5.9 m | 5.2 m | |||
| 全高 | 4.5 m | |||||
| 翼面積 | 30.0 m2 | |||||
| 空虚重量 | 6,622 kg(13,000 lbs) | 7,000 kg | 6,800 kg | 7,100 kg | 7,100 kg(15,800 lbs) | |
| 離陸重量 | 12,500 kg | 14,000 kg(31,000 lbs) | 16,500 kg(36,700 lbs) | |||
| 燃料 (外部) |
3,000 L (3,500 L) |
2,850 L(3,500 L) | 3,000 L (3,500 L) |
4,360 L (4,535 L) |
||
| 兵装搭載量 | 5,300 kg | 7,200 kg(15,900 lbs) | ||||
| ハードポイント | 8ヶ所 | 10ヶ所 | ||||
| 対応重量 | ステーション1(翼端左右各1箇所):110 kg ステーション2(翼下外側左右各1箇所):600 kg ステーション3(翼下内側左右各1箇所):1,400 kg~ (タウルスKEPD350) |
相違点 ステーション2:850 kg ステーション6(胴体下2か所):950 kg×2 |
||||
| エンジン | BFM社製RM12(F404-GEベース)×1基 | F414-GE-39E ×1基 | ||||
| 最高速度 | マッハ2.0(E型はマッハ1.2で超音速巡航可能) | |||||
| ミリタリー出力 | 54 kN(12,100 lbs) | 64.0 kN(14,400 lbs) | ||||
| A/B出力 | 80.07 kN(18,100 lbs) | 98 kN(22,000 lbs以上) | ||||
| 航続距離 | 約3,000 km(増槽有り) | 2,500 km(増槽無し) 4,070 km(増槽有り) |
||||
| 戦闘行動半径 | 800 km | 1,300 km(30分間の戦闘を含む) | 800 km | |||
| 実用上昇限度 | 15,240 m | |||||
| G-リミット | +9G、-3G | |||||
| 離陸滑走距離 | 7×400 m | |||||
| 着陸滑走距離 | 7×500 m(制動傘無し) | |||||
{{cite news}}: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ) 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:27 UTC 版)
「ソニックウィングス」の記事における「JAS-39(ティービー(初代))」の解説
特徴として、ショットのフルパワーアップ状態は30秒間保てる。
※この「JAS-39(ティービー(初代))」の解説は、「ソニックウィングス」の解説の一部です。
「JAS-39(ティービー(初代))」を含む「ソニックウィングス」の記事については、「ソニックウィングス」の概要を参照ください。