『IT'S A WONDERFUL WORLD 』(イッツ・ア・ワンダフル・ワールド)は、日本 のバンド ・Mr.Children の10枚目のオリジナルアルバム 。2002年5月10日にトイズファクトリー より発売された[ 1] 。
背景とリリース
通常盤のみの1形態で発売。オリジナルアルバム としては『Q 』から約1年半ぶりとなる。メジャーデビューからちょうど10年となる5月10日に発売された。
曲作りは2000年 の夏頃から開始され、収録曲の半分以上は同年の11月にはすでに完成していたとのこと。また本作のセッションも同時期から開始された[ 2] 。
22ndシングル『君が好き 』のカップリング曲「さよなら2001年」は未収録である。
リスナーと向き合い、歌に重きを置いた内容のアルバムになっている。桜井和寿 は「たとえばそれが街で流れたときに、聞いた人が聞く意識もなく聞こえてきて、それがその人の中で育っていくっていう、それがポップの素晴らしさだなと思った」と語っている[ 3] 。
また、「今までだったらバンド的でない曲ができてきたら、曲を完成させていく過程でバンド寄りになるようにしていったんですけど、今回はそういうのをいっさい度外視したんです」「僕がそういうフィルターをかけていることが、バンドの可能性を縮めているということもあるので、とにかく作家としていいものを出し切ることを優先しました」とも語っている[ 2] 。
仮タイトルは『この醜くも美しい世界 』であったが、鈴木英哉 が『Dear wonderful world 』の案を提案[ 4] 。そしてミーティング後の談笑にて、とある楽曲の制作で様々な民族楽器の音色を散りばめたのを「イッツ・ア・スモールワールドみたいだね」と表現したことから、最終的に『IT'S A WONDERFUL WORLD 』に決定した[ 5] 。 また、メンバーは『BLUE TO BLUE 』など複数のタイトル候補があったことを示唆している。
収録曲の作曲に関してはピアノを使用することが多く、桜井は「最初はひらめきがあって、それをピアノでなぞりながら甘い部分を詰めていく感じです」と語っている[ 2] 。
歌詞カードにはメンバーそれぞれが動物と触れ合っている写真があり、撮影時はスタジオに早く来たメンバーから動物を選べるようになっていたため、最も遅く来た中川敬輔 が残されていたヘビと一緒に写真を撮ることになったとのこと。アートディレクターは信藤三雄 。
本作発売後にアルバムを引っ提げて、21か所を巡るホールツアー『Mr.Children TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD』、全5か所を巡るアリーナツアー『Mr.Children TOUR 2002 IT'S A WONDERFUL WORLD』を開催する予定だったが、直前に桜井が小脳梗塞 を発症。治療の為に入院したことにより全公演が急遽中止となった。約半年の療養期間を経て、2002年12月21日に一夜限りの復活ライブ『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD IT'S A WONDERFUL WORLD ON DEC 21 』を横浜アリーナ で開催した。
配信 版では『It's a wonderful world 』と表記されている。
オリジナルアルバムでは、7thアルバム「DISCOVERY 」以来、アルバムでは通算8作目のミリオンセラーを達成した。初週64.0万枚、累計売上は122.8万枚。
収録内容
全作詞: 桜井和寿(#1を除く)、全編曲: 小林武史 & Mr.Children、弦編曲: 小林武史 & 四家卯大、管編曲: 小林武史 & 山本拓夫 。
#
タイトル
作詞
作曲
時間
1.
「overture」
小林武史
1:55
2.
「蘇生」
桜井和寿
6:08
3.
「Dear wonderful world」
桜井和寿
2:17
4.
「one two three」
桜井和寿
5:00
5.
「渇いたkiss」
桜井和寿
5:14
6.
「youthful days 」
桜井和寿
5:18
7.
「ファスナー」
桜井和寿
4:53
8.
「Bird Cage」
桜井和寿
6:33
9.
「LOVE はじめました」
桜井和寿
5:22
10.
「UFO」
桜井和寿
5:07
11.
「Drawing」
桜井和寿
5:44
12.
「君が好き 」
桜井和寿
4:32
13.
「いつでも微笑みを」
桜井和寿
3:32
14.
「優しい歌 」
桜井和寿
3:35
15.
「It's a wonderful world」
桜井和寿
4:13
合計時間:
69:23
楽曲解説
overture
次曲「蘇生」の一部であり、本作では唯一、小林武史 が作曲を行っている。ホテルを押さえ、「蘇生」のプリプロを行っている際に「長いイントロみたいなものがあるといいよね」という話になり作られたとのこと[ 2] 。
小林が何パターンか完成させた後に桜井和寿 が選んだものが本曲であるとのこと。また、ストリングスは生音源の他に一部シンセサイザー が使用されている[ 2] 。
蘇生
Dear wonderful world
15曲目「It's a wonderful world」のサビがないバージョンで、演奏時間は2分余りと「overture」に次いで短い楽曲。
当初はテンポがもっと速く、ソウル風の打ち込みが成されたアレンジだったという[ 2] 。
桜井は「テンポを落とすためにタイム・エクスパンションしたら、歌もギターも荒れた音になって、結果的にそれがいい感じになりました」と語っている[ 2] 。
アルバム最終段階で完成した曲。ある日の朝に思い浮かび、桜井も「すごいいい曲」と感じたものの、当初は次のアルバムに収録することを考えていたという。しかし、同日に小林が「『蘇生』が終わって『one two three』が始まる前に、短くていいから曲があるといいよね」と発言、その後レコーディングされた[ 9] 。
最後の部分は実際に桜井が近所のカフェで録音しに行ったもの。アウトロに「あの、カプチーノ のお客様。お待たせ致しました」というウェイトレス の声が入っている。店内に流れていたBGMはそのままでは使えないため編集でカットされ、小林がBGM風にピアノ を弾いたものになっている[ 2] 。
one two three
タイトルはアントニオ猪木 が引退試合時のマイクパフォーマンスで残した言葉「道」に基づいており、アウトロでは実際に猪木の引退試合時の語りを許可を得てビデオから入れているとのこと[ 2] 。
2000年から2001年にかけて行われたアリーナツアー『Mr.Children Concert Tour Q 2000-2001 』中に完成した曲で[ 9] 、2000年の11月のセッション時に録音した鈴木のドラムスと桜井が演奏したエレクトリック・ギター の音源をそのまま使用している[ 2] 。
2014年に開催されたファンクラブ限定ツアー『Mr.Children FATHER & MOTHER 21周年ファンクラブツアー』の直前に行われた「会員が最もライブで聴きたい曲」アンケートでは7位に選ばれた[ 10] 。
途中のホンキートンク風のピアノは小林がYAMAHA MOTIF で演奏したものである[ 2] 。
ライブでは2015年に行なわれた『Mr.Children 2マンLIVE』で初披露となった。
渇いたkiss
仮タイトルは、「秋 〜オーギュメント〜 」。
『Mr.Children Concert Tour Q 2000-2001』中に完成した曲[ 9] 。
男女の別れについて描かれており、絵空事ではなく、艶めかしさを出すために桜井自身もブレスをかなり入れているという。
タイトルの漢字は「乾いた」を用いるべきだと鈴木が提案したが、女性としては愛情が無くなり乾いた唇かもしれないが、主人公の男にとっては、唇に飢えて欲しがってる「渇望」の意味だと考え、「渇いた」を使用することになった。
最後の転調や間奏のコード進行などは小林のアイデア[ 2] 。
前述の「会員が最もライブで聴きたい曲」アンケートでは9位に選ばれた[ 10] 。
youthful days
ファスナー
Mr.Childrenとミュージック・ビデオ やライブ映像などで関わりの深い映像作家の丹下紘希 は、この楽曲をモチーフに劇場用中篇映画『FASTENER 』を撮影している。
スガシカオ の作風を意識して作られている。スガ本人もこの楽曲を気に入っており、ドキュメンタリー映画『Mr.Children / Split The Difference 』やスガ主催の音楽イベント『スガフェス! 〜20年に一度のミラクルフェス〜』ではスガと共演して披露されているほか、桜井とスガとのセッションによる新録版がスガのベスト・アルバム『SugarlessII 』に収録された。
歌詞に「ウルトラマン 」「仮面ライダー 」が登場する。
当初はシングルのカップリング曲候補として制作されていた[ 2] 。しかし桜井は本曲の制作時に風邪を患っており、スタジオに向かうタクシーの車内で熱で朦朧としながら、「カップリング作んなきゃなあ…」とメロディーから歌詞までを1時間ほどで完成させたという[ 11] 。
プリプロルームで作り上げ、デモ音源の素材がそのまま活きているとのこと[ 2] 。
歌詞は「ウルトラマンショーで見たウルトラマンの着ぐるみのファスナーが壊れていた」というラジオ番組でのエピソードを記憶していた桜井が書き上げたもの[ 12] 。
曲中のストリングスは生ではなくシンセサイザーの音源を使用している[ 2] 。
37thシングル『himawari 』には『スガシカオ 20th Anniversary スガフェス! 〜20年に一度のミラクルフェス〜』で録音されたライブ音源がカップリングされている。
Bird Cage
なかなかうまくいかない恋人同士を鳥の番(つがい)に例えて歌った楽曲。
『Mr.Children Concert Tour Q 2000-2001』中に完成した曲[ 9] 。
元々はシンプルなアレンジの楽曲であったが、サビを派手にしたことをきっかけにイントロも派手なアレンジに仕上げたとのこと[ 2] 。
LOVE はじめました
打ち込み を多用した社会風刺の楽曲で、イントロが1分以上ある。
タイトルは、本アルバムのキャッチコピーを考えている際に思い付いたという。桜井は「それはなんかミスター・チルドレンというバンドにもともとメニューとしてあったんだけどお休みさせていたものを、また世の中に出すということが冷やし中華のイメージと重なってたのかもしれない」と語っている[ 9] 。
本作発売時のCMでは本曲と「蘇生」がCM曲として使われた。
テレビ朝日 系で放送されているバラエティ番組『あざとくて何が悪いの? 』のエンディング曲に使用されている[ 13] 。
イントロ部分で聞こえる音は、サンプリングCDから持ってきた物をリバースしたものだという[ 2] 。
歌詞の「中田」は、元サッカー選手 の中田英寿 のこと[ 14] 。
エレクトリック・ギターは桜井が弾いている[ 2] 。
デモの時点からベースが入っておらず、桜井は「どうせ誰かが弾き直すだろうってことでそのままにしておいたら、そのベースのない感じがすごくいいってことになりました」と語っている[ 2] 。
随所に入る「LOVEはじめました」という機械合成のような声は、桜井の仮歌をエフェクト処理したもの[ 2] 。
UFO
本作に収録される予定ではなく、桜井は「『冷めかけたスパゲティー』というフレーズ を歌いたかっただけ」とのこと。
小林がイニシアティブをとった曲であり、桜井は本作について「もともとはオアシス 的なものだったんですけど、小林さんがそれを8ビートな…スネアが4拍目だけっていうポリス 的なものをAメロに使って、サビでドラムが暴れるっていうふうにアイディアを出してきました」と語っている[ 2] 。
ギターソロを担当しているのは田原で、桜井の「最初は飛行機の地響きの音でソロの出口はUFOになっていてくれ」という要望で演奏しているとのこと[ 2] 。
ライブで演奏されたことは一度もなく、前述の「会員が最もライブで聴きたい曲」アンケートでは10位に選ばれた[ 10] 。
Drawing
君が好き
いつでも微笑みを
2007年に損保ジャパン CMソングとして起用された[ 15] 。
冒頭や間奏に聴こえるトランペット の口真似はタック&パティ のパティ・キャスカートによるステージから着想し、その旋律からは「歌の中にもうひとつ架空の楽曲を鳴らす」というアイデアも生まれていった[ 8] 。
ちなみにトランペットの口真似は車内でICレコーダーにて録音されたものであり、恵比寿近辺で録音されたとのこと[ 2] 。
曲中の口笛の構想とAメロの部分は1999年のアルバム『DISCOVERY 』のセッションの頃から存在していたがメンバーも知らず、鈴木も「初耳だった」と語っている。桜井は当時「そこにどう歌詞をつけていいのかわからなくて」放置していたという[ 16] 。
タイトルの読みについては「いつでもほほえみを 」と「いつでもえみを 」とでどちらが正しいのか、ファンの間でも議論が交わされている。前者の根拠としては、歌詞の中で「微笑みを」を「ほほえみを」、「微笑を」を「えみを」と読み方で表記が使い分けられていること、野外音楽イベント『ap bank fes '11 Fund for Japan 』でのMCで桜井自身が「いつでもほほえみを」と発言していること、音楽配信 サービスへの英語での登記が"Itsudemohohoemiwo"[ 17] [ 18] となっていることが挙げられる。後者の根拠としては、JASRAC に正題の読み方が「イツデモ エミオ(ITSUDEMO EMIO)」と登録されていること、ベスト・アルバムのライナーノーツ に読み方が「いつでもえみを」であると明記されている(ただし桜井が書いたわけではない)ことが挙げられる。
桜井は「橋幸夫 さんと吉永小百合 さんの「いつでも夢を 」をイメージして作った楽曲」と語っており、それは詞の中でも明確に指している[ 8] 。冒頭のシンセサイザー は小林ではなく、桜井の演奏によるもの[ 8] 。
ベスト・アルバム『Mr.Children 2001-2005 <micro>』へ収録された。
優しい歌
20thシングル表題曲。
このアルバムの中でどう進化させるか考え、アルバムバージョンとしてアレンジを変更したり再録する案も出たが、結局シングルバージョンのままの収録となった。
あえてこの曲を終盤に置いている。本曲からこのアルバムまでの道筋、時の流れが見えてくるのではないかということからだという。
It's a wonderful world
仮タイトルは「醜くも美しい世界 」。
表記は異なるもののアルバムタイトル曲であり、3曲目「Dear wonderful world」の続編。
セッションでは最後の最後の方に完成した曲であり、「Dear wonderful world」のサビがあったもともとの形で完成させたものだという[ 2] 。
途中からドラムやストリングスが入っており、これについて桜井は「大きなことを歌っているので、それに見合うスケール感が欲しかったんです。結果的に最後はすごく壮大なものになりましたね」と語っている[ 2] 。
本作のツアー以外では、「ap bank fes '05」「ap bank fes '08 」(初日のみ)にて披露された。
参加ミュージシャン
Mr.Children
小林武史 :Keyboards
吉田誠:Computer Programing
四家卯大ストリングス:Strings
山本拓夫 :Sax, Flute
松本治 :Trombone
広原正典:Trombone
西村浩二:Trumpet
菅坂雅彦:Trumpet
村田陽一 :Trombone
平沼浩司: recording , Mixing (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,13)
今井邦彦:Mixing (11,12,14)
テレビ出演
ライブ映像作品
脚注
注釈
^ a b スガシカオ がゲストボーカルとして参加。
^ 『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス - 2022.6.19 YANMAR STADIUM NAGAI – 完全版』に収録。
^ 弾き語りで演奏された。
出典
外部リンク
桜井和寿 - 田原健一 - 中川敬輔 - 鈴木英哉
シングル
CD
1990年代
92年
93年
94年
95年
96年
97年
98年
99年
2000年代
00年
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02年
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04年
05年
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2010年代
10年
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13年
14年
15年
16年
17年
18年
19年
2020年代
コラボレーション
配信限定
アルバム
CD
オリジナル
1990年代
92年
93年
94年
95年
96年
97年
98年
99年
2000年代
00年
01年
02年
03年
04年
05年
06年
07年
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09年
2010年代
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16年
17年
18年
19年
2020年代
20年
21年
22年
23年
24年
25年
26年
ベスト
企画盤
配信限定
映像作品
映画
書籍
【es】 Mr. Children in 370 DAYS
Mr.Children 詩集 優しい歌
Mr.Children全曲詩集 『Your Song』
Mr.Children 道標の歌
歌々の棲家 named Mr.Children
関連項目
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