出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/02 15:21 UTC 版)
i-Space(アイ・スペース)は、宇宙開発事業団 (NASDA)(現宇宙航空研究開発機構 (JAXA))が提唱していた、人工衛星を利用した宇宙インフラ構想である。
2001年に政府が策定したe-Japan戦略およびe-Japan重点計画において、2005年までに高速インターネット衛星を打ち上げ、2010年を目処に実用化することが掲げられた。 これを受けて、当時のNASDAは既存の人工衛星計画を再整理して、将来の宇宙インフラ構想i-Spaceとしてまとめ上げた。
i-Spaceでは、以下の3種類の衛星を用いて、実用化に向けての実験が行われる。
これらの衛星を利用し、山間部や海上、インフラの整っていない地域においても通信や測位を可能にし、災害時や・医療・教育へ貢献することを目的としている。
衛星の打ち上げに先立って、2001年から2002年にかけてi-Spaceパイロット実験が行われ、実際の利用現場を想定した実験や技術試験が行われた。
2003年のJAXA統合や、その前後に相次いだ人工衛星やロケットの失敗の影響で、計画は大幅に遅延した。
2006年12月に打ち上げられたが、受信側アンテナの増幅器電源の不具合により、小型携帯端末のみでの通信ができず、外部大型アンテナが必要な状態となっている。
きずなは2008年2月23日に打ち上げられた。既に日本国内の大半の地域ではADSLや光ファイバーを用いた高速通信が一般家庭で実現されており、主に災害時におけるバックアップや、アジア・太平洋地域における利用が想定されていた。
2011年の東日本大震災の際、JAXAは3月20日から4月24日までの間、災害対策支援として岩手県庁の災害対策本部と、釜石市及び大船渡市の現地対策本部との間に「きずな」を用いたブロードバンド環境を構築し、ハイビジョンTV会議や無線LANなどが利用できる環境を提供し、その実用性を示した[1]。
複数の衛星が必要な大掛かりなシステムであり、民間企業による資金が期待されていた。しかし、収益の低さが最後まで解決されず、2006年3月に事業化が断念された。その後は衛星測位技術の習得という観点から、2009年度に1号機のみが全額国費で打ち上げられることになった。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/05 14:43 UTC 版)
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| 種類 | 株式会社 |
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| 機関設計 | 監査役会設置会社[1] |
| 市場情報 | |
| 本社所在地 | 〒105-0014 東京都港区芝2-7-17 住友芝公園ビル10F |
| 設立 | 2010年9月10日 |
| 業種 | サービス業 |
| 法人番号 | 3030003001527 |
| 事業内容 | 航空宇宙産業 |
| 代表者 | 代表取締役 袴田武史 |
| 資本金 | 1000万円 |
| 売上高 | 連結:47.43億円 (2025/3月期) |
| 純利益 | ▲16億1466万4000円(2020年03月31日時点)[2] |
| 総資産 | 70億6487万8000円(2020年03月31日時点)[2] |
| 主要株主 | 袴田武史(19.12%) 株式会社INCJ(9.75%) インキュベイトファンド3号投資事業有限責任組合(9.55%) 小沼美和(7.82%) 株式会社日本政策投資銀行(5.57%) IF Growth Opportunity FundⅠ, L.P.(3.40%) 中村貴裕(3.19%) 株式会社TBSホールディングス(2.79%) IF SPV1号投資事業組合(1.87%) 株式会社SMBC信託銀行(1.87%) 吉田和哉(1.59%) ICJ1号ファンド投資事業有限責任組合(1.59%) 株式会社日ノ樹(1.43%) 清水建設株式会社(1.39%) 株式会社電通グループ(1.39%) コニカミノルタ株式会社(1.39%) スズキ株式会社(1.39%) スパークス・グループ株式会社(1.39%) |
| 関係する人物 | 袴田武史(創業者) 吉田和哉(初代CTO・主要株主) 中田華寿子(取締役) |
| 外部リンク | ispace-inc |
ispace(アイスペース)は、日本の宇宙ベンチャー企業。月面へのペイロード輸送サービス等を提供することを目指している[3]。
これまでのミッションでは、2018年までGoogle Lunar X Prizeに参加し月面走行ローバーHAKUTOを開発。2023年に自社の月着陸船RESILIENCEにより民間初の月面着陸(ミッション1)を目指したが失敗。2025年6月に再び月着陸(ミッション2)を目指していたが、再び失敗した。次回ミッションを2026年に予定していたが、開発の遅れ等により2027年に延期することを発表している。2025年12月現在において、成功で終えたミッションは一つもなく、設立以来黒字を計上したことも一度もない。
ispaceの前身、ホワイトレーベルスペース・ジャパンの誕生に至った契機として、2007年にピーター・ディアマンディスが月面での賞金レースGoogle Lunar X Prize (GLXP) を発表したことが挙げられる。2010年12月31日にGLXPの参加登録が締め切られた時点ではレースに日本を拠点とするチームは参加していなかったものの、東北大学教授の吉田和哉の宇宙ロボット研究室がオランダを拠点とするチーム「ホワイトレーベルスペース」に加わっていた。メディア業界で活動していたスティーブ・アレンが代表を務めるこのチームは[4]、開発拠点が欧州と日本に分かれており、欧州側が月着陸機、日本側が月面車(ローバー)の開発を行うこととなっていた。
ispaceの最初の2回の月探査ミッションはHAKUTO-Rというプログラムを構成している。HAKUTO-Rでは地球から月面への輸送技術の実証に加え、月面調査が行われる予定だったが未だ成功には至っていない。「R」にはReboot(再起動)の意味が込められている[24]。
最初に行われるHAKUTO-R ミッション1 (M1) は、アラブ首長国連邦の月面車ラシッドなどを載せ[25]、2022年12月に打ち上げられた[26]。M1は宇宙空間を4カ月半航行して2023年4月26日に月に到着、民間企業として世界初の月面着陸を目指したが、月面への軟着陸に失敗。ランダーとの通信が途絶えた[27]。
次の「HAKUTO-R」の打ち上げを2024年冬頃に行うと発表(その後、打ち上げは延期され、2025年1月となった)。ソフトウェアの改良などを行った次回の月着陸船の名称を「再起」や「復活」の意味を込めた「RESILIENCE」としたと発表した[28]。
「日本を失敗できない国にしない」のキャッチフレーズの下、HAKUTO-R ミッション2 (M2) は2025年1月にFalcon9ロケットで打ち上げられた[29]。同ミッションではispace Europeが開発した月面車による月探査が行われるとともに、月の縦穴の探査も検討されていた[24]。
2025年6月6日に「アジアの民間企業として初めて」月面着陸を予定していたが[30]、着陸予定時刻に猛スピードで月面に激突したため、通信が途絶えミッションは失敗した[31][32]。結果的に宣言通り、2度目のミッションも失敗に成功。
2025年12月、自社ホームページにて突然「堂々のフィナーレ」と称して、HAKUTO-Rプログラムの終了を一方的に宣言した。なお、プログラムは一度も成功することのないまま、終了することとなった。
ispaceの3番目のミッションは月の裏側への着陸を目指す。同ミッションはドレイパー研究所が主導しており[19]、ispaceは月着陸機の設計を行う予定。月の裏側では地球と直接通信することができないため、着陸機と一緒に2機の通信衛星が打ち上げられ、これらは月周回軌道へ投入される予定[33]。2026年内の打ち上げが予定されていた[20]が、ミッション2の失敗後に、開発の遅れ等を理由に2027年への延期が発表された。
成功したミッションはないため月面において性能を発揮した技術はないが、ispaceは将来を見据えた多種多様な技術の研究開発を行っている。
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