ComicStudioとは、株式会社セルシスのマンガ制作ソフトである。2001年にバージョン1.0が発売された。
ComicStudioはネームの描き起こしからスクリーントーンの貼り付けといった、マンガの制作における大抵の作業を行える機能を搭載しているソフトウェアとして知られる。プロの漫画家にも多くの愛用者がいるとされる。
ComicStudioの姉妹品として、イラスト制作に特化したドローソフト「IllustStudio」がある。
2015年にセルシスはComicStudioおよびIllustStudioの販売を終了すると発表した。ソフトウェアの基本構造が10年以上前の古い仕様であり、今日のPC環境にそぐわなくなってきているためと説明されている。販売終了後もユーザーサポートは引き続き提供される。また、セルシスはComicStudioおよびIllustStudioの後継製品として「CLIP STUDIO」シリーズを発売している。
| ソフトウェア: | Adobe Reader Adobe InDesign Adobe Acrobat ComicStudio dpi DTP Display PostScript |
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 01:51 UTC 版)
| 開発元 | セルシス |
|---|---|
| 初版 | 1.0 / 2001年8月10日[1] |
| 最新版 | |
| 対応OS | OS X、Windows |
| 種別 | Bitmap graphics editor |
| ライセンス | プロプライエタリ |
| 公式サイト | ComicStudio.net |
ComicStudio(コミックスタジオ)は、株式会社セルシスの漫画原稿制作ソフトで同社の登録商標。略称はコミスタ。
2001年に販売開始。PhotoshopおよびPainterや、デリーターの「COMICWORKS」(コミワク)とともに、2000年代の代表的な漫画制作アプリケーションの一つとなった。リリース当初は不評だったが[2]、継続的なバージョンアップを重ね、最終的に、2012年時点で、デジタルのモノクロ原稿の製作において66%のシェアを持つ(Photoshopの30%をはるかに上回る)[3]、デジタル漫画制作の標準ソフトとなった(なおコミスタはver.3までモノクロ専用で、その後もカラーは弱かったため、カラー原稿ではほとんど使用されなかった)。2013年時点で、世界累計出荷本数160万本[4]。
ネーム、ペン入れ、スクリーントーン貼り、セリフやふきだしの入力など、漫画制作の工程をすべてデジタル環境で再現できるのが特徴。フォントやスクリーントーンなどのプラグインも豊富にある。アナログの原稿をスキャンしてマウスでトーンを貼るためのソフトではなく、ペンタブレットを使ってパソコンで作画作業を進める前提のソフトである。
バージョン1からバージョン3までは立て続けにバージョンアップが図られ、幾度か大胆な機能強化や仕様変更がおこなわれた。バージョン4で、創作活動支援サイト「CLIP」に対応。後継ソフトの「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)にユーザーを引き継ぐ形で、2015年に販売を終了した。
海外でも「Manga Studio」の名で発売された。なおトータルの累計出荷本数は「MANGA STUDIO」のほうが多いという[2]。
セルシスは、1993年よりアニメ制作ソフトウェアスイート「RETAS」(レタス)を展開しており、1990年代後半にはアニメ業界のデジタル化に伴い、東映動画をはじめとして日本のアニメスタジオの9割で採用されるデファクトスタンダードとなった。「レタス」は当初、鉛筆で描いたアナログの原動画をスキャンしてデジタル化する方式だったため、アナログからの移行がしやすく、これが普及につながることになった。
次に、セルシスは原動画のデジタル作画への移行(すなわち、アニメ制作の全工程のデジタル化)を目論み、東映動画の協力のもと、「レタス」スイートの一員として、2000年にデジタル作画ツールの「PencilMan(ペンシルマン)」を開発した。しかし、当時のアニメーターはデジタルで描くということに抵抗があり、これは失敗に終わった。(なお、この「ペンシルマン」は、後に「Stylos(スタイロス)」と名前を変え、「レタス」の展開終了まで搭載された)
この「ペンシルマン」開発で得られた知見をもとに、2001年8月、初代「ComicStudio(コミスタ)」が発売。価格は3万4800円。それまで企業向けビジネスを主体としてきたセルシスにとっては初のコンシューマ向けビジネスである。アニメ制作の全工程のデジタル化を目論んだ「レタス」と同様、「コミスタ」では漫画制作の全工程のデジタル化を目論んだ[2]。
640×480(SD画質)のアニメセルと比べて、B4判 600dpiの漫画原稿は巨大だった。当時のPCの性能では漫画原稿のサイズをそのまま扱うことは不可能だと考えたセルシスは、コミスタのver.1ではコマごとに分割して作業をするという仕様をとったが、これが不評だった。そのため、2003年リリースのver.2では1ページを丸ごと扱う(普通の画像編集ソフトと同じ)方式に変更した。
初代ComicStudioの発表会では、『ルパン三世』の原作者で、当時Photoshopを使用して漫画を描いているデジタル漫画の先駆者としても有名だったモンキー・パンチが登場した[5]。ソフトの評価は高かったが、Macで使えない、カラーも使えないという不満を述べた。漫画家からはMac版を待ち望まれていたため、2002年10月、Mac版の「ComicStudio Aqua」を発売した。
2003年5月、コミスタのver.2が発売。競合ソフトも出揃ったことにより、この辺りでデジタル漫画制作が実用段階に入った。2004年当時、デジタル漫画制作ソフトとして使われていたのは、コミスタと、ComicWorks、Photoshopである[6]。
Photoshopはコミスタの登場前から、標準的なデジタル漫画制作ソフトとして、Photoshopでスクリーントーンを貼るプラグイン「パワートーン」と組み合わせて使われていた。ただし、Photoshopは主線を引くのが難しいため、線を引くためにCorel Painterを併用している人も多かった。合わせて20万円近い、プロ用のソフトであった。セルシスがパワートーンの提供元と提携したことにより、2003年以降はパワートーンはコミスタの独占提供となったため、その後のPhotoshopではMAXON(ホルベイン画材)のデジタルトーン「コミックパターンDIGI」がオススメとされた[7]。一応Photoshopでの利用を前提としていたが、どのグラフィックソフトでも使えた。
ComicWorksは、2002年にアナログ漫画用画材大手のデリーター(エスイー)から発売された。イラストソフトのopenCanvasのOEMであり、Painterやアナログのペンに近い描線が引けた。デリーターのスクリーントーンを多数収録しており、カラーも使え、上位版のComicWorks1200でも16800円とコミスタより安く、1200dpiの作業が行えたので、アナログからの移行として人気があった。
上記の競合ソフトに対し、コミスタは、単体で漫画制作が行え、価格は最上位版でも45800円とそこそこで、ベクターペンの線がきれいなのが魅力だった。
2005年1月、第19回デジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞を受賞。
2005年12月、ComicStudio 3.0が北米で「Manga Studio」の名で発売された(販売元はイーフロンティアのアメリカ法人)。
コミスタのver.4がリリースされた2007年末の段階でも、漫画制作に使われる代表的なソフトとして、コミスタと、Photoshop CS3、Painter X、ComicWorks ver.2が並立していた[8]。しかしこの頃より、 ネットワーク対応や3D下描き機能など漫画制作に便利な機能が豊富なコミスタが頭一つ抜け出し、MAXONもコミスタ用にデジタルトーンを販売するようになった。ver.4では、25,200円のPro版でもEX版とほとんど変わらないほど高機能になり、またPro版以上で従来は別売りされていたデジタルトーンや漫画用書体を標準搭載したので、かなりお得になった。
2009年3月、ComicStudio 4.3のリリースに合わせ、クリエイターサポートプラットフォーム「CLIP」開設。コンビニプリントなどコミスタのネットワークサービスを順次これに統合していくことを表明した。合わせて、CLIPのサービスを利用するためのデスクトップアプリケーション「CLIP STUDIO」も公開された。
2009年4月、コミスタをベースとして、カラーのイラストソフト「IllustStudio」(イラスタ)がリリースされた。コミスタに手を入れすぎて、ほとんど別物になった。当時脚光を浴びていたイラストSNSのPixivにおいて、絶大な人気を持っていたペイントツールSAIのシェアを突き崩すべく、ユーザーの声を聞きながら継続的な改良がおこなわれ[9]、Pixivの使用ツールランキングで次第に人気を上げたが、それでもPhotoshop・SAI・Pixiaに次ぐ4位の時点で開発を終了し、最後までSAIのシェアを突き崩すことができなかった(PhotoshopとSAIのシェアがダントツで、Pixiaのシェアは数%のため、ほとんどシェアをとれなかった)。開発速度を上げるため、Mac版の開発を行わず、Windows版のみとなったが、それでもコミスタとイラスタを並行して開発するのは相当な負担だった。従来はモノクロ専用だったコミスタでも、ver.4より32bitカラーレイヤーに対応したが、重いうえにバグが多く、そもそもカラーを前提としたユーザーインターフェイスではなく、すごく使いづらいため、漫画の原稿でもカラー原稿はPhotoshopかSAIで仕上げる人が多く、コミスタでカラー原稿を仕上げる人はほとんどいなかった[3]。
2010年11月にはMac OS X版のイラスト制作ツール「CLIP PAINT Lab(仮称)」が発表され、使用感をテストするサポーターの募集が行われていたが、結局リリースされなかった。
2011年5月、次世代のイラスト制作ソフト「CLIP PAINT Lab」が創作活動応援サイト「CLIP」の会員向けに無償公開された。2011年12月、「CLIP PAINT Lab」が「CLIP STUDIO PAINT PRO」として2012年春に公開され、ComicStudioPro/EXの全ユーザーに無償で提供されることと、コミスタの開発終了が宣言された。
コミスタは設計が古く、64bitOSやマルチコアCPUなど、2010年代以降の時代に対応できていなかった。また、新しい技法や表現に対応する機能をコミスタに搭載するコストが増大したため、後継のイラスト・マンガ制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)シリーズに開発リソースを集約することになった。
2012年5月30日、「CLIP PAINT Lab」の公開終了。翌5月31日にはコミスタとイラスタの後継ソフトとして「CLIP STUDIO PAINT PRO」が発売された。2012年12月には漫画向けの機能を強化した上位グレード版の「CLIP STUDIO PAINT EX」も発売された。
2013年3月、2013年末をもってコミスタの販売を終了することを発表した。クリスタはリリース当初、コミスタの上位互換と言える機能を十分には搭載していなかったため、ユーザーから販売継続を求める声を受けてコミスタの販売終了を延期し[10]、しばらくコミスタとクリスタは併売されていた。その後の開発により、クリスタは多くの機能を搭載し、時は来たと判断され、セルシスは2015年4月30日、マンガ制作ソフト「ComicStudio」とイラスト制作ソフト「IllustStudio」の販売を6月30日で終了すると発表した。
ComicStudioシリーズの販売は2015年6月30日に終了した。サポートは販売終了以降も当面継続されるとのことだった(販売終了後にリリースするOSへは動作確認のみで、不具合発生時のアップデートはされない)[11]。
2015年当時のほとんどのデジタル漫画家がコミスタを使用していたため、クリスタへの移行期には混乱も見られた。ユーザーはクリスタへの移行を嫌がったため、「ComicStudio」および「IllustStudio」ユーザーにクリスタを無償提供する措置が取られた。また漫画家がアシスタントを増やした場合など、販売終了したコミスタの導入がどうしても必要となった場合、クリスタ購入者にコミスタを無償提供する、といった「移行支援」サポートが2017年12月末まで行われた。
なお「CLIP STUDIO PAINT」は、本来「CLIP STUDIO」に収録されたソフト群の1つに過ぎない。なので、「クリペ」という略称も提唱された。セルシスの「CLIP STUDIO」は、2012年の時点では「CLIP STUDIO PAINT」「CLIP STUDIO TABMATE」「CLIP STUDIO ACTION」「CLIP STUDIO MODELER」「CLIP STUDIO QUMARION」などかなりの仲間を抱えたが、「CLIP STUDIO PAINT」以外は早期に展開を終了し、「クリスタ」というと基本的に「CLIP STUDIO PAINT」のことを指すようになった。アニメ機能や3D機能など、コミスタ・イラスタの後継ソフトは思えないほど機能を抱え、ユーザー数も膨れ上がった。
2001年8月、初代「ComicStudio(コミスタ)」が発売。
2002年4月、競合するデジタルマンガ制作支援ソフト「PowerTone(パワートーン)」を展開する株式会社モードと提携[12]。
2002年8月、コミスタのエントリーモデルである「ComicStudioDebut Ver.1.0」(11,500 円)が発売。
2003年5月、「ComicStudioDebut Ver.2.0」(11,500 円)が発売。コマごとの編集は廃止され、1ページを一気に扱うことができるようになった。1200dpi の高解像度への対応、「PowerTone」の柄トーン 320 種類を含む 850 種類のトーンの収録、複数の解像度を同時に扱うことができるマルチレゾリューション機能、アナログ原稿をスキャナから直接読み込むことができる TWAIN への対応、などが盛り込まれた[13]。「通常版」とは別に、漫画家の松本青がパッケージを手掛ける「サークルモデル版」が発売された。
2003年8月、コミスタのスタンダード版の「ComicStudioPro Ver.2.0」(2万3800円)発売。ネットワークサービスを介してデータをやり取りできる機能の追加、描画した線をリアルタイムでベクトルデータ化するベクターペン機能の向上、繊細なトーンワークを実現するグレートーンレイヤーの追加などが行われた。また、最上位版の「ComicStudioEX Ver.2.0」(4万5800円)も発売[14]。Pro版の全機能に加え、ジャギーから元のイメージを再構築しラスター画像の解像度を高める「SHD(スーパー・ハイデンシティ)テクノロジー」、写真や画像データを線画とトーンに自動変換する「2DLTレンダリング機能」、3Dのモデリングデータを読み込み、線画とトーンに自動変換する「3DLTレンダリング機能」、などが搭載された。
2003年11月、『ComicStudioEX Ver.2.0 for Mac OS X』(49,800円)、『ComicStudioPro Ver.2.0 for Mac OS X』(27,800円)、『ComicStudioDebut Ver.2.0 for Mac OS X』(14,800円)が発売[15]。
2004年10月、スタンダードモデルの『ComicStudioPro Ver.3.0』(25,200 円 税込)、ハイエンドモデルの『ComicStudioEX Ver.3.0』(48,300 円 税込)、エントリーモデルの『ComicStudioDebut Ver.3.0』(12,600 円 税込)、同じくエントリーモデルで「魔探偵ロキ RAGNAROK」や「tactics」などを手がける人気漫画家 木下さくら氏がパッケージイラストを担当し、特典内容が異なる『ComicStudioDebut Ver.3.0 サークルモデル』(12,600 円 税込)が発売された[16]。「Pro」版では、グレーで描いた絵を出力の際に「トーン」や「擬似諧調」など出力方法を設定できる『ラスターレイヤーの出力設定機能』、ペン先の形状を自由に作成・登録し描画することができる『パターンブラシ』、ベクターで描いた線の太さを修正できる『線太さ修正フィルタ』などの機能を搭載した。「EX」版では、「Pro」版及び従来の「EX」版の機能に加え、ラスターデータを解像度に依存しないベクターデータに変換する『ラスターベクター変換機能』、繰り返し行われる作業を登録しておき同じ作業を行う際に自動的に処理する『アクション機能』、大量の紙原稿をすばやく読み込むことができる『連続スキャン機能』を搭載。また『3DLT レンダリング機能』では、「Shade」で作成された「Shade/ComicStudio エクスポートファイル」の読み込みに対応し、レンダリングデータをベクターデータに変換する機能を搭載した。
2007年には初のユーザーによるクローズドベータテストを行い、9月28日にWindows版バージョン4を発売[17]。Macintosh版は2008年9月26日の発売であった。