(Addition から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/08 02:22 UTC 版)
加法(かほう、英: addition)とは、二つ以上の対象を合わせて一つの結果を得る二項演算または多項演算であり、四則演算の一つである。数に対する加法は日常的には足し算とも呼ばれ、記号 を用いて表す。加法の結果は和(わ、sum)という。
数 と に対して
と表される演算を加法という。ここで , は加数(addend)と呼ばれ、結果 が和である。
自然数の加法は、しばしば「個数を合わせること」によって理解される。たとえば
は 2 個のものと 3 個のものを合わせると 5 個になることを表す。
数の加法は、通常次の基本性質をもつ。
が成り立つ。これは加える順序を入れ替えても和が変わらないことを意味する。
が成り立つ。したがって、3 個以上の数の加法では括弧の付け方によらず同じ和が得られる。
数の加法には
を満たす元 があり、これを加法単位元という。
整数・有理数・実数・複素数では、各元 に対して
を満たす元 が存在する。これを の加法逆元という。
自然数の加法は、個数を数える直観から導入される。整数では負の数が導入され、加法は減法を含むより広い演算となる。さらに有理数、実数、複素数へと数の体系が拡張されても、加法は基本演算として保たれる。
これらの数体系では、加法は可換法則・結合法則を満たし、0 を単位元とし、各元が逆元をもつ。そのため、整数・有理数・実数・複素数は加法についてアーベル群をなす。
加法は数に限らず、加え合わせる構造をもつ多くの数学的対象に定義される。
ベクトルでは、成分ごとに数を加えることで加法が定義される。たとえば
である。
行列でも、同じ型の行列に対して成分ごとに加法を定義する。行列の加法は可換であり、零行列が加法単位元となる。
多項式の加法は、同じ次数の項どうしの係数を加えることによって定義される。たとえば
である。
抽象代数学では、加法は必ずしも数の足し算に限られず、ある集合の上に定義された二項演算を「加法」と呼ぶことがある。特に、その演算が可換で、単位元と逆元をもち、結合法則を満たすとき、その集合は加法についてアーベル群をなす。
たとえば環では、加法についてアーベル群をなし、そこにさらに乗法が定義される。線型空間や加群でも、加法は基本構造の一部である。したがって加法は、初等算術だけでなく、現代代数学における基本概念の一つである。
| 演算の結果 |
|---|
| 加法 (+) |
| 項 + 項 = 和 加法因子 + 加法因子 = 和 被加数 + 加数 = 和 |
| 減法 (-) |
| 被減数 − 減数 = 差 |
| 乗法 (×) |
| 因数 × 因数 = 積 被乗数 × 乗数 = 積 被乗数 × 倍率 = 積 |
| 除法 (÷) |
| 被除数 ÷ 除数 = 商 被約数 ÷ 約数 = 商 実 ÷ 法 = 商 分子/分母 = 商 |
| 剰余算 (mod) |
| 被除数 mod 除数 = 剰余 被除数 mod 法 = 剰余 |
| 冪 (^) |
| 底冪指数 = 冪 |
| 冪根 (√) |
| 次数√被開方数 = 冪根 |
| 対数 (log) |
| log底(真数) = 対数 |
加法は通常、記号 で表される。複数個の項の和は
のように書くほか、総和記法を用いて
と表すこともある。