出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/13 19:36 UTC 版)
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ATA over Ethernet(ATAoE、AoE)は、Brantley Coile Company[1] が開発した通信プロトコルであり、ATAストレージ装置にイーサネット経由でアクセスするもの。ストレージエリアネットワーク (SAN) を低価格の標準技術を使って構築できる。
ATAoEはイーサネット上の一般の上位プロトコル(IP、UDP、TCPなど)を使わない。つまり、ATAoEは複数のLANをまたがることはできず、SANとしてのみ利用可能である。SANの別の方式であるiSCSIは仕様書が257ページにも及ぶが、ATAoE の仕様書はわずか12ページである。
ATAoEをサポートしているオペレーティングシステム (OS) として以下のものがある。
| OS名 | 対応日付 | 対応リリース |
|---|---|---|
| Linuxカーネル [2] | 2005年3月1日-- | 2.6.11 |
| Solaris [3] | 2007年8月20日 | 1.4 |
| Plan 9 [4] | 2007年8月12日 | N/A |
| OpenBSD [5] | 2007年11月25日 | 4.3 |
サードパーティー製品でのATAoEサポートとしては、以下のものがある。
Coraid [11]は、ATAoE用ハードディスクドライブEtherDriveを販売している。
LayerWalker [12]はATAoEを中心とした miniSAN と呼ぶソリューションを2007年に発表した。
また、vbladeプログラムを使うと、Linuxが動作するコンピュータのハードディスクをイーサネットで接続された他のコンピュータにATAoE用ドライブ(ターゲット)であるかのように見せることができる。vbladeの実装は、ユーザー空間で実装されたものとLinuxカーネルモジュールとして実装されたものの2種類がある。
ATAoEは単純なプロトコルだが、その可能性は大きい。それには、以下のような概念が関係してくる。
ATAoEは、ATAコマンド群をサポートした補助記憶装置のセッション層プロトコルである。ディスクの読み書きはブロックと呼ばれる固定サイズのデータ単位で行われる。ブロックサイズは512バイトで固定されている。
ATAoEは ATAコマンドと(もしあれば)データがイーサネットのフレーム内でどのようにフォーマットされるかを指定している。従って、イーサネットとATAoE用補助記憶装置の組合せは、通常のホストバスアダプタとディスク装置とケーブルの置換となる。
一般に、ハードディスクはその上でファイルシステムを構築して利用される。つまり、ハードディスクから見た唯一のユーザーはファイルシステムになる。ext3、XFS、HFS+、NTFSといったファイルシステムは、そのような前提で設計されている。
ATAoEを使うと、イーサネットには複数のコンピュータが接続されているため、この前提が崩れる可能性が生じる。従来型のファイルシステムではこれは危険であり、ファイルシステムの中身が壊れたり、OSがダウンする事態を引き起こす。
クラスターファイルシステムは、あるブロックデバイスにアクセスできるコンピュータを1台に制限することで、これを回避する。複数のコンピュータが協調動作して安全にブロックデバイスを共有することを可能にする。
このようなクラスターファイルシステムの例としてGFSやOCFS2がある。
ストレージエリアネットワーク (SAN) のファイルシステムではこれとは異なった回避方法をとっているものもある。Tiger Technology Sarl[13]のMetaSANでは、NTFSなどの通常のファイルシステムを構築したディスクドライブを複数のコンピュータで共有可能であり、ATAoE もサポートしている。
ATAoEのターゲットデバイスは、ハードディスクドライブまたはホスト側からハードディスクのように見えるものである。これについては、以下の点が重要である。
ATAoE ではイーサネットについての以下の点が重要である。
イーサネットを使ってブロックストレージにアクセスすると、以下のような利点がある。
ATAoEターゲット(ストレージ)には、Config String と呼ばれる情報が付与される。これはディスクドライブそのものに格納される情報ではなく、インタフェース部にある不揮発性メモリに格納される。Config String は初期状態では長さゼロであり、その状態のときだけATAoEイニシエータが Config String を設定できる。これを使って、簡単な調停が行える。