AN/APG-68 は、アメリカ合衆国 のウェスティングハウス 社(現 ノースロップ・グラマン )が開発したレーダー 。
概要
本機は、F-16 戦闘機 の初期型(Block 15以前)に搭載されていたAN/APG-66 レーダー の改良型として開発された。AN/APG-66よりも優れた探知性能や多彩な動作モードを備えるほか、特に連続波パルス照射に対応して、AIM-120 AMRAAM のような中射程空対空ミサイル の運用を可能にしたことが特長とされている。また、信頼性も向上しており、平均故障間隔 (MTBF)は150時間、(v)5ではさらに300時間に延長された。
開発は1980年 より開始され、1984年 7月より就役を開始した。1986年 ごろより、いくつかの問題点が指摘されたが、これらは1987年 までにおおむね解決された。
AN/APG-68は継続的な改良を受けており、多数のバージョンが存在する。その概要は下記のとおりである。
APG-68(V)1
アメリカ空軍 で、F-16C/D Block 40 より搭載された改良型。初期のモデルで使用されていたブランク本意メモリ(BORAM)に代わってEPROM が採用された。
APG-68(V)2, 3
輸出型であり、おおむね、(V)2が初期型、(V)3が(V)1に相当する。(V)2と(V)3を合わせて833セットが、バーレーン 、エジプト 、ギリシャ 、イスラエル 、シンガポール 、韓国 、トルコ など、海外でF-16 を運用する国々に売却された。
APG-68(V)4
Block 40に搭載されたとされているが、詳細は不明である。
APG-68(V)5
アメリカ空軍 で、F-16C/D Block 50 より搭載された改良型。超高速集積回路(VHSIC : Very High Speed Integrated Circuit)を導入した新しいプログラム可能デジタルシグナルプロセッサ (PSP)を採用しており、MTBFも300時間以上に延長された。また、改良型データ・モデム (IDM)も組み込まれており、データ通信が可能となっている。1991年 より製造され始めており、(v)1および(V)5は合計で1,444セットが生産された。
APG-68(V)7
(V)5をもとにした改良型。探知距離が多少延長されているほか、コスト低減と信頼性向上のため、受信機 やプロセッサ が変更されている。アメリカ空軍 向けのほか、韓国 とシンガポール もそれぞれ20セットを導入した。
APG-68(V)8
輸出型であり、おおむね(V)7に相当する。エジプト とギリシャ によって発注された。
APG-68(V)9
当初は(V)XMとも呼ばれていた。探知能力が30%向上、処理能力は5倍、記憶容量は10倍に増加している。また、分解能0.6mの合成開口レーダー モードが追加され、高精細な地上マッピングにより、昼夜を問わず全天候において精密対地攻撃が可能とされた。2004年 8月、アメリカ空軍 は、既存の機体に搭載するために280セットを導入することを決定した。また、輸出にも供され、チリ 、ギリシャ 、イスラエル 、オマーン 、パキスタン 、ポーランド 、トルコ が発注しており、合計430基が生産される。
APG-68(V)10
(V)5を(V)9相当まで増強するためのアップグレード計画。2005年 7月、アメリカ空軍 は、240機のF-16 に(V)10改修を行うことを決定したが、2007年 度計画においてキャンセルされた。
APG-68ABR
現在ではAN/APG-80 と改名されている。フロントエンドを固定型のアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ (AESAアンテナ)に変更しており、(V)9をさらに上回る性能を持つ。現在、アラブ首長国連邦 のF-16 Block 60 の後期型に搭載されている。
参考文献
関連項目
外部リンク