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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/05 18:14 UTC 版)
| トヨタ・カローラレビン(4代目) トヨタ・スプリンタートレノ(4代目) AE85 / AE86型 |
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カローラレビン 2ドア前期型 GT-APEX
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スプリンタートレノ 3ドア前期型 GT-APEX
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| 概要 | |
| 別名 | 北米:カローラスポーツ 欧州:カローラクーペGT |
| 製造国 | |
| 販売期間 | 1983年5月 - 1987年5月 ※北米市場は1988年1月まで販売 |
| 設計統括 | 揚妻文夫 |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 5名 |
| ボディタイプ | 2ドアノッチバッククーペ 2ドアコンバーチブル 3ドアハッチバッククーペ |
| エンジン位置 | フロント |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| パワートレイン | |
| エンジン | AE86 4A-GEU型 1,587 cc 直列4気筒DOHC 4A-GEC型 1,587 cc 直列4気筒DOHC(北米のみ) 4A-C型 1,587 cc 直列4気筒SOHC(北米のみ) AE85 3A-U型:1,452 cc 直列4気筒SOHC |
| 最高出力 | 4A-GEU: 128PS/6,600 rpm 4A-C: 90 PS/4,800 rpm 3A-U: 83 PS/5,600 rpm(前期型) 85 PS/5,600 rpm(後期型) ※数値は全てグロス値 |
| 変速機 | 5速MT 4速AT(AE86は後期型のみ) |
| サスペンション | |
| 前 | ストラット |
| 後 | 5リンクリジッド |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,400 mm |
| 全長 | 4,180 - 4,215 mm |
| 全幅 | 1,625 mm |
| 全高 | 1,335 mm |
| 車両重量 | 900 - 925 kg(2ドア) 935 - 940 kg(3ドア) |
| その他 | |
| 総生産台数 | トレノ 3万5949台[1] レビン 約6万6000台 |
| 系譜 | |
| 先代 | カローラレビン/スプリンタートレノ(TE71型) |
| 後継 | カローラレビン/スプリンタートレノ(AE9#型) |
AE86(エーイーハチロク)とは、1983年(昭和58年)にトヨタ自動車が発売した4代目[注釈 1]カローラレビン/スプリンタートレノの共通車両型式番号。俗にハチロクという通称で知られる。設計と生産は関東自動車工業が担当した。
本項目では、同系列の1.5 L SOHC・シングルキャブレター仕様の3A-U型エンジンを搭載したAE85型(通称:ハチゴー)についても便宜上記述する。
2009年(平成21年)の第41回東京モーターショーに先立ち、AE86を最後にトヨタのラインナップから途絶えていたFRライトウェイトスポーツクーペとして「FT-86」というコンセプトカーが発表され、2012年(平成24年)2月に「86」の車名で市販化された。
発売当時の1980年代は、過給機(ターボチャージャー・スーパーチャージャー)等による高出力化[注釈 2]や、軽自動車 - リッターカー程度の小型車で一般的だった前輪駆動(FF)の普通乗用車への適用[注釈 3]による居住性等の向上といった指向が日本車のトレンドであり、基幹車種のカローラ/スプリンターも、1983年(昭和58年)発売のE80系でセダン・リフトバックが前輪駆動に移行した。
そのような中で、レビン/トレノは従来と同じ自然吸気(NA)の1.6 Lエンジンと後輪駆動(FR)の組み合わせ、足回りも先代のTE71型から流用した[注釈 4]旧態的なフロントストラット、リヤラテラルロッド付きの5リンクリジッドアクスルサスペンションを採用しており、当時のレベルからしても単純な構造であったことから、同時期に発売された他の国産スポーツカーと比較して見劣りした。しかし、TE71型から流用されたサスペンションは改造が容易であったほか、新規開発の4A-GEUエンジンはチューニング志向の強い層から絶大な支持を受け、その後も人気が長続きする理由となった。
1987年(昭和62年)5月、レビン/トレノが次代のAE92型へとモデルチェンジして前輪駆動に移行したことで、AE86は日本車では希少となった軽量な後輪駆動車としてその存在が再認識され、新車販売当時以上にモータースポーツ関係者やドリフト走行愛好者の間で注目されるようになった。
またプロレーサーの土屋圭市が、当時から現在に至るまで所有し取り上げ続けたことで注目を集めるようになる。土屋は「ドリフトを極められたのはAE86のおかげ」と語っており、その理由にボディ剛性の高さと応答性の良さを挙げている。土屋の『ドリフトキング(ドリキン)』という異名は、雨の富士フレッシュマンレースにおいて100RをAE86でドリフト走行していた様子からつけられたという[2]。
かつての中古車市場におけるAE86の人気は2ドアレビンが圧倒的であり、その後に3ドアレビン、2ドアトレノと続き、3ドアトレノが最も人気のないモデルであった。しかし、1995年(平成7年)に連載が開始された漫画『頭文字D』(作・しげの秀一)が人気を集めると、同作の主人公である藤原拓海の搭乗車種[注釈 5]という理由から、3ドアトレノの人気が急上昇する逆転現象が生じた[3]。トレノは新車時の販売台数も中古車としての流通も少なかったため、漫画での紹介以降、旧式のメカニズムを持つ中古車としては異常なまでのプレミアム価格で取引され、カルト的な人気を博すことになった。『頭文字D』のテレビアニメ版における主人公藤原拓海の担当声優である三木眞一郎が愛車にしている。
長きにわたる人気のため、多くの中古車販売店や整備工場でレストア技術が確立されており、その様子がインターネット上に動画で公開されるといったことも人気が続く理由のひとつと考えられている。
生産終了から年月を経た現在も、他の国産スポーツカーと同様に日本国内のみならず海外でも需要があるため、中古車価格は高騰し続けている。車齢が高いこと、スポーツ走行で使われることが多いため疲弊や事故などによって損傷した個体が非常に多いこと、上記の人気ゆえに絶版後も需要が相当数あったことで状態の良い個体は軒並み数を減らしたこと、車両の性格やその人気と年式ゆえにワンオーナーの個体が少ないことなどが重なり、極めて状態の良い個体には新車並み、場合(フルレストア車や、実走行で修復歴無し等)によっては500万円といった超プレミアム価格がつけられることもある。2022年現在でも国産車としては極めて任意保険料率の高い車種でもある。
長年培った様々なノウハウや社外パーツでのチューニングに加え、後に登場したAE92/101/111型に搭載されるスーパーチャージャー、4連スロットルボディ、20バルブ4A-GEエンジン等を流用する純正品でのチューニングメニューも多い。
これらの事情が絡み合って、2024年現在では所謂チューニングパーツのみならずリプロダクションパーツも純正品(GRヘリテージパーツ)・社外品ともども供給が行われ始めてており、ボディパネルすらAピラー以前やサイドシル、3ドアのクォーターパネル等に関しては社外リプロパーツが存在[4]するなど長期維持に向けた環境が整いつつある。
なお、当時トヨタと提携関係のあった英国ロータス社の「エスプリ」には、AE86前期型レビンのリアコンビネーションランプが使用されていた。
4代目カローラレビン/スプリンタートレノのうち、3A-U型 1.5L 直列4気筒SOHCエンジンを搭載する車両はAE85という型式が与えられ、通称「ハチゴー」と呼ばれる。
最高出力が83 PS(グロス値。後期モデルは85 PS)と非力で、スポーツ走行に不向きであることからAE86ほどの人気はないが、その分車両価格が安価であることや、AE86より軽量であることなどから、改造や「ハコ替え」[注釈 6]用のベース車両として重宝される。4A-Gを搭載して「85改86」なるエンジンスワップ車を制作する改造が主流である。前述の『頭文字D』では、主人公の友人である武内樹がAE86を購入しようとして誤ってAE85を購入してしまうエピソードが描かれた。
なお、AE85にも当時流行した「黒人奴隷」なるものが存在し、タコメーター非装着・ピンク等明るい色のシート・AT仕様を選びやすくした「ライム」「リセ」(それぞれレビン/トレノ)と呼ばれるグレードもあった。これらのグレードは同時期に販売されていたトヨタの小型乗用車(カローラセダンやスターレット等)にも設定されており、仕様もほぼ共通していた。
同一車種のグレード違いであるため外観上はほとんど差異がなく、グレードのステッカー程度でしか見分けがつかない。補修・リペイント等で失われていたり色が変わったりしている場合、外観のみで見分けるのは極めて困難となる。
もっとも、型式名に関しては車検証や、モノコックに打刻された車体番号やコーションプレートといったもので簡単に区別がつく。
一方で、機構面では一般に知られるエンジンの差異以外にもかなり異なっている。AE85をベースにAE86と同等の車両を製作する場合は、前述の理由からエンジン、駆動系、足回りを総移植し、改造車としての公認を取得しなければならない。
1985年から始まったグループA規定のJTC(全日本ツーリングカー選手権)に参戦し、2.0 L以上の排気量を持つライバルの三菱・スタリオンや日産・スカイラインらを相手に善戦、1985年と1986年にスポーツランドSUGOで総合優勝を飾った。
1986年と1987年のBTCC(イギリスツーリングカー選手権)ではフォード・シエラやBMW・635CSiらを破り、クリス・ホジェッツがドライバーズチャンピオンを獲得している。またETC(ヨーロッパツーリングカー選手権)でもほぼ唯一の日本車勢として複数のエントラントから人気を集め、1983年スパ・フランコルシャン24時間レースのグループA・Div.1でクラス優勝を果たすなど、海外でも大きな戦果を挙げている。
サーキットのみならずラリーやジムカーナでも人気を集め、現在でも様々な競技で活躍が見られる。国内ラリーにおいては、扱いやすく丈夫で安価な車体やバリエーションに富んだ安価なパーツが大量に供給されていた等の理由により、全日本ラリー選手権からローカルイベントまでプライベーターを中心に大量のAE86がエントリーしていた。そのためシェアは圧倒的であったが、トップカテゴリーである全日本ラリー選手権においては一部の有力チームが使用していた1.8 Lターボ車の三菱・ランサーターボ(タスカ・エンジニアリング=ADVANラリーチーム)や、3.0 Lターボ車の日産・フェアレディZ(NISMO)の後塵を拝すことも多く、タイトル獲得には至らなかった。
また1985年と1986年に、市販車無改造の二輪駆動車でパリ・ダカール・ラリーへの挑戦を続けていた横田紀一郎が3代目カリーナの後継車として2ドアレビンを選択するも、結果はリタイアに終わっている。
その他、全日本GT選手権(JGTC)のGT300クラスにおいてKRAFTが改造したAE86(3ドアトレノ)が参戦していた。エンジンはGT500クラス用の3S-GTE型をデチューンしたユニットが搭載され、足回りは規定上ノーマルのサスペンションを型式名の上では踏襲していたが、原形を留めないほどの改造が施されていた。最高5位で表彰台には手が届かなかったが、折からの『頭文字D』による人気もあって大きな注目を集めた。しかし、2001年にスポーツランドSUGOで行われた引退レースで炎上し、リタイアという形で終わった。
ホモロゲーションが切れた現在においてもJAF公式戦として岡山国際サーキットで行われているチャレンジカップレース等、AE86を使用したレースが行われている。生産終了から30年以上経過した車両が公式レースでのベース車として使用されることは稀なケースである。なお、ベース車は車体の構造上レビンが圧倒的[注釈 7]だったが、2000年代以降は『頭文字D』による人気もあり、トレノベースの車両も増えつつある。
D1グランプリ(D1GP)では、シリーズ黎明期の2000年代には車重の軽さを活かした走りを見せていた。多くの選手が使用する日産・シルビアや日産・180SXとの大きな馬力差を埋めるため、エンジンのターボ化やナイトラス・オキサイド・システム(NOS)の搭載、AE101型やAE111型のエンジン、もしくは日産・SRエンジンへの換装など、様々なチューニングを施したAE86が参戦していた。2002年には植尾勝浩のAE86がシリーズチャンピオンを獲得。2004年には日比野哲也が第3戦で2位入賞を果たし、2005年には吉岡稔記が第4戦で優勝を果たしている。2009年には、日比野哲也が5バルブエンジンには珍しい排気量アップ仕様のエンジン(俗に言う5A-G)にNOSを搭載した最高出力370 PSのトレノ(2ドア)を駆り参戦、シリーズ5位に入賞した。しかし、2010年代以降は馬力差の拡大や、NOSの搭載がレギュレーションで禁止された[5]こともあり、AE86で参戦する選手は少なくなっている。2023年現在は、初年度からAE86で参戦を続ける田所義文のみがAE86を使用している[6]。
しかしAE86の功績はレースの結果以上に、土屋圭市、谷口信輝、織戸学、勝田範彦、飯田章、ヤリ=マティ・ラトバラ、ケン・グシ(具志健士郎、en:Ken Gushi)といった古今東西の多数のドライバーの初期のモータースポーツキャリアを支えたり、四輪レースを始めるきっかけを作ったところが大きい。特に1984年の富士フレッシュマンレースでは、土屋はトレノで6連勝(全勝)を果たしてシリーズチャンピオンを獲得し、翌年のグループAへのステップアップに繋がっている。またこの時、AE86で日産・スカイラインを追い回すドリフト走法を見せたことが、現在に至るまでの土屋の異名である「ドリフトキング(ドリキン)」の由来となっている[7]。
アメリカをはじめとした北米市場では、カローラスポーツ(COROLLA SPORT)[注釈 8]の車名で販売された。ボディタイプは2ドアと3ドアの2種類で日本仕様と同一だが、当時の北米ではSAE規格型のシールドビームヘッドライトを装着することが義務づけられていたため、リトラクタブル・ヘッドライトを採用したトレノに似たフロントマスク[注釈 9]しか存在しない。テールライトは全モデルでレビンと同一である。グレードはSOHCエンジン搭載の下位グレード「SR5」と、DOHCエンジン搭載の上位グレード「GT-S」の2種類で、型式呼称は「SR5」がAE86、「GT-S」がAE88である(但し、これはVINコードでの型式で、エンジンルームのビルドプレートにはAE86と刻印されており、SR5にはAE85の刻印が打刻されているものもある)。
北米仕様車の注意点は、カローラ/スプリンターが実用車であるという性格上、足車として使われていたため中古車市場では過走行の個体が多い点や、EGR(排気ガス還流装置)を備えるため日本仕様や欧州仕様よりも不具合を起こしやすい点などである。
現地においても、JDMブームや『頭文字D』の影響で人気が再燃し、アメリカにおけるパワーアップの常套手段ともいえる、V型8気筒エンジンへのエンジンスワップが行われている車両もある。シボレー・コルベットに搭載されるLS1型エンジンや、セルシオ(レクサス・LS)に搭載される1UZ型エンジンが主に用いられる。
東京都江東区の臨海副都心にあるトヨタ自動車のショールームスペースMEGAWEBでは2005年10月18日から2006年2月19日まで、ヒストリーガレージにて「レビン&トレノ展」を開催し、頭文字D仕様のレプリカ等が展示していた。
また、2007年11月14日から2008年2月17日まで、同じくMEGAWEBのヒストリーガレージで「劇中車展」が開催されており、カーランドの頭文字D仕様のスプリンタートレノが展示されていた。
東京オートサロン2023(2023年1月13日 - 1月15日)では、AE86を水素自動車およびBEVに改造したコンセプトカー「AE86 H2 Concept(トレノ)」および「AE86 BEV Concept(レビン)」がトヨタから出展された[8][9]。両者ともAE86のオリジナルの状態を極力そのまま残しており、MTとクラッチも存置されているほか、「AE86 H2 Concept」では元の4A-G型を水素エンジンに改造したユニットを搭載する。また、サイドドアには『頭文字D』を彷彿とさせる「水素エンジン(実験用)」および「電気じどう車(実験用)」という文字が書かれている[10]。
トレノ・レビン共に2ドアと3ドア車ではボディ後半部の形状が大きく異なり、互換性はない。 さらに2ドア車に至っては前期・後期間でバックパネルの形状が異なり、テールランプがそれぞれ専用設計となっている。 フロント部分は全てのモデルで共通である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:11 UTC 版)
GT-APEX 1.6リッターモデルの最上級グレードで、リアワイパーやパワーステアリング(前期型3ドアのみパワーステアリング無しが選択できた)、デジタルメーターが標準装備(2ドア、後期型はオプション)され、2ドア3ドアのレビン・トレノに存在する。また前期型では2トーンカラーはこのモデルのみとなる。トランスミッションは前期型は5速MTのみだったが、後期型では5速MTのほか、電子制御(ECT-S)4速ATが設定されるようになった。 GTV 1.6リッターモデルの競技ベース車両で、パワーステアリングとリアワイパーは非装備、メーターもアナログのみとなる。ステアリングギアのロックトゥロックが3.0回転となっており、ノンアシストであることも含め、他のグレードに比してダイレクトでクイックな操舵が可能。3ドアのレビン・トレノに存在する。トランスミッションは5速MTのみ。 GT 1.6リッターの競技ベースモデルでGT-Vよりさらに装備が簡略化され、リアブレーキが自己サーボ機能で拘束力に優れるリーディング・トレーリング式ドラムとなり、ステアリングホイール、およびシート表皮などが後述するAE85の2ドアレビン・トレノの各SE系グレードにほぼ準拠したものとなる。2ドアレビン・トレノに存在する。トランスミッションは先述のGT-APEX同様、前期型は5速MTのみだったが、こちらも後期型では5速MTのほか、電子制御4速ATが設定されるようになった。
※この「AE86」の解説は、「トヨタ・AE86」の解説の一部です。
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