出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/18 22:00 UTC 版)
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USMC AAVP7A1 RAM/RS EAAK
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| 基礎データ | |
|---|---|
| 全長 | 8.161m |
| 全幅 | 3.269m |
| 全高 | 3.315m |
| 重量 | 25.652t |
| 乗員数 | 3名+兵員25名収容 または貨物4.5t |
| 装甲・武装 | |
| 装甲 | 44.45-7.4mm |
| 主武装 | 12.7mm重機関銃M85×1 40mm自動擲弾銃Mk.19×1 ※A1型改修車 |
| 副武装 | なし 12.7mm重機関銃M2×1 ※A1型改修車 |
| 機動力 | |
| 速度 | 72.42km/h(地上整地時) 13km/h(水上航行時) |
| エンジン | デトロイトディーゼル 8V-53T V型8気筒2ストローク液冷ターボチャージド・ディーゼル(出力=400hp) またはカミンズ VT400 V型8気筒4ストロークターボチャージド・ディーゼル(出力=525hp) |
| 行動距離 | 483km(地上整地時) 72km(水上航行時) 3.7kn/2海里(海上発進時) |
AAV7 もしくはAAVP7(Assault Amphibious Vehicle,personnel.model7:水陸両用強襲輸送車7型)は、アメリカ合衆国の軍用車両メーカー、FMC Corporation社(その後のUnited Defense Industries社、現BAEシステムズ社)で開発された水陸両用車としての能力を有する装甲兵員輸送車である。
公式の愛称はないが、アメリカ海兵隊では水陸両用装甲車に用いる伝統的な名称であるアムトラック(Amtrak)の愛称で呼ばれている[注釈 1]。
地上だけでなく、水上を浮上航行する能力を持つ水陸両用装軌車両で、水上での推進力は主にウォータージェット推進を利用するが、履帯の回転だけでも7.2km/hの推進力を有する。
元はLVTP-7(Landing Vehicle, Tracked, Personnel-7の略称)の名称でアメリカ海兵隊における上陸強襲作戦用に開発されたが、実戦投入された湾岸戦争・イラク戦争では、陸上にて通常の装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車として使用されることが多く、対戦車ミサイル対策として増加装甲キットが開発されて装備されている。
1964年、アメリカ海兵隊は新型水陸両用強襲車両の開発を各メーカーに要請、FMC社の案が採用された。1966年-1969年にかけて研究開発、試作が行われ、LVTP5(LVT5)を発展させたLVTP7(Landing Vehicle, Tracked, Personnel, model 7)が1970年6月に採用された。1971年より配備が始まり、1974年には発注されたLVTP7の生産が完了した。
LVTP7は、地上で72km/h、水上で13km/hの速度を出し、海兵隊員25名を収容できた。当時の武装は、M85機関銃1丁を装備した銃塔のみで、NBCに対する防護措置もとられていなかった。
1970年代後半、海兵隊は新型水陸両用強襲車両の取得計画を中止し、1977年にLVTP7を改修した車両を開発するようFMC社に求めた。14輌の試作車両が製作され、重量増加に対応したサスペンションの強化により車高を短縮、発電機や電子機器の更新、銃塔へ発煙弾発射機を装備、各乗員用の暗視装置もパッシブ式に変更されるなどの改修がなされた。海兵隊ではこの車両をLVTP7A1として採用すると共に、生産をA1型に切り替えて続行することを決定した。
1985年には制式名を「LVTP7A1」からAAV7A1(Assault Amphibian Vehicle,personnel, model7 Advanced1)に変更した。
海兵隊では1980年代後期に入り、12.7mm重機関銃(M85に替えてM2重機関銃を装備)、Mk19 自動擲弾銃および発煙弾発射機を装備したキャデラック・ゲージ製新型銃塔(UGWS 、Up-Gunned Weapon Stationの略)に換装し、車体前面に折畳式の波切板を装備、耐弾能力を7.62mmレベルから14.5mmレベルへ引き上げる強化型増着装甲キット(EAAK 、Enhanced Applique Armor Kitsの略)の装着を可能にする改修を行っている。湾岸戦争時点では、EAAKの追加装備が間に合っておらず、一部の車両はパンチングメタル状の金属板をスペーサーを介して車体に取り付けて、即席の中空増加装甲として運用していた。その後、エンジンをM2ブラッドレー歩兵戦闘車が使用している強力なカミンズ V903水冷ディーゼルエンジン(525馬力)へ換装し、サスペンション・ホイールなどもM2 ブラッドレーと共通化する二次改修(RAM/RS、Reliability, Availability, Maintainability/Rebuild to Standard の略)が1998年に承認され、順次実行されている。2003年のイラク戦争時には、RAM/RS改修済みの車両と未改修の車両が混在していた。
アメリカ海兵隊はAAV7の後継車種としてEFV (Expeditionary Fighting Vehicle:遠征戦闘車)の開発を進めていたが、2011年にキャンセルとなった。このため海兵隊はAAV7の運用を引き続き継続する事となったが、その一方でイラク戦争、およびこれに続くアフガニスタン紛争において、AAV7のアルミ製車体の防御力の低さが明らかとなっていた。こういった事情を背景に、AAV7の生存製を高め運用年数を増やす改修計画がサイエンス・アプリケーションズ・インターナショナルによって進められ、2016年にAAV7 SU (AAV7 Survivability Upgrade) として公開された[1]。AAV7 SUの車体周囲にはセラミック製追加装甲が装着され、車体内側には飛散防止ライナーが装着される。また兵員用座席にも対地雷防護が施されている。アメリカ海兵隊は今後、AAV7 SUを2035年まで運用する予定である[1]。
派生型として、指揮車両型AAVC7と回収車両型AAVR7がある。1970年代にはLVTP7をベースにXM723が試作され、M2ブラッドレー歩兵戦闘車に発展している。
※2021年11月、ギリシャ海兵隊がアメリカ海兵隊の中古のAAV7 75両をFMSで導入することをギリシャのニュースサイトが報じた。[8]
離島防衛強化のため陸上自衛隊に新編された水陸機動団に「AAV7A1 RAM/RS」[9]が『水陸両用車(AAV7)』として配備された。
参考品として2013年(平成25年)度防衛予算で『水陸両用車(AAVP7A1 RAM/RS)人員輸送型』4両を25億円で調達。この参考品については、新古品でありメーカーが保管していた車両を陸上自衛隊向け仕様にしたもの[10]。陸上自衛隊独自の仕様として航海灯(戦闘時は外す)とサイレンを装備。オプションとしてサイドミラー付き方向指示器も用意されている。EAAKを装備した車両も存在。1号車・2号車は陸上自衛隊開発実験団隷下の装備実験隊(第1実験科)に研究開発用として、3号車は第4戦車大隊に部隊訓練用として、4号車は陸上自衛隊武器学校に整備練習用として配備されていたが、のちにすべての車両が第4戦車大隊に配備されていた。
参考品として2014年(平成26年)度防衛予算で『水陸両用車(AAVC7A1 RAM/RS)指揮通信型』1両と、『水陸両用車(AAVR7A1 RAM/RS)回収型』1両の計2両を17億円で調達。
参考品の各種検証が行われた後、2015年(平成27年)度防衛予算で『水陸両用車(AAVP7A1 RAM/RS)人員輸送型』24両、『水陸両用車(AAVC7A1 RAM/RS)指揮通信型』3両、『水陸両用車(AAVR7A1 RAM/RS)回収型』3両の計30両を203億円で調達。2016年(平成28年)度防衛予算で『水陸両用車(AAVP7A1 RAM/RS)人員輸送型』9両、『水陸両用車(AAVC7A1 RAM/RS)指揮通信型』1両、『水陸両用車(AAVR7A1 RAM/RS)回収型』1両の計11両を78億円で調達。2017年(平成29年)度防衛予算で『水陸両用車(AAVP7A1 RAM/RS)人員輸送型』9両、『水陸両用車(AAVC7A1 RAM/RS)指揮通信型』1両、『水陸両用車(AAVR7A1 RAM/RS)回収型』1両の計11両を85億円で調達。
2018年(平成30年)3月27日に水陸機動団が新編された後は、整備教育用として武器学校に少数が配備されるものを除き、隷下の戦闘上陸大隊・水陸機動教育隊に集中配備された。
なお、2017年(平成29年)6月2日の防衛省設置法等の一部を改正する法律(平成29年第42号)[11]の公布により「船舶法などの適用除外」を定めた自衛隊法第109条・第110条が改正された。これによると陸上自衛隊の使用する船舶(水陸両用車両を含む)が「船舶法」・「小型船舶の登録等に関する法律」の対象外となったほか、これに乗船して操縦に従事する隊員が「船舶職員及び小型船舶操縦者法」の対象外となった。
2018年(平成30年)5月8日から24日、九州西方海域、鹿児島県種子島および同周辺海域において海上自衛隊と合同で行われた「水陸機動団演習」にて、陸上自衛隊水陸機動団のAAV7が発進・収容訓練を行った[12]。
2018年(平成30年)10月、アメリカ海兵隊やフィリピン海兵隊との共同訓練「カマンダグ2」にて、陸上自衛隊水陸機動団のAAV7が着上陸訓練を行った[13]。
2019年(平成31年)1月7日から2月16日、アメリカ海兵隊との実動訓練「アイアン・フィスト」にて、陸上自衛隊水陸機動団のAAV7が着上陸訓練を行った[14]
2021年(令和3年)11月19日から11月30日、「令和3年度自衛隊統合演習」にて、陸上自衛隊水陸機動団のAAV7が着上陸訓練を行った[15][16]。
| 予算計上年度 | 人員輸送型 | 指揮通信型 | 回収型 | 総数 |
|---|---|---|---|---|
| 平成25年度(2013年) | 4両 | - | - | 4両 |
| 平成26年度(2014年) | - | 1両 | 1両 | 2両 |
| 平成27年度(2015年) | 24両 | 3両 | 3両 | 30両 |
| 平成28年度(2016年) | 9両 | 1両 | 1両 | 11両 |
| 平成29年度(2017年) | 9両 | 1両 | 1両 | 11両 |
| 合計 | 46両 | 6両 | 6両 | 58両 |
2020年7月30日、アメリカ海兵隊の第1海兵遠征軍第15海兵遠征部隊所属のAAV7 1両が、演習中に沈没し、搭乗員の内8名の海兵隊員と1名の海軍船員が死亡した。海兵隊第1海兵遠征軍と海軍安全センターはそれぞれ個別に事故調査を実施し、維持整備や緊急時の脱出訓練が十分に行われていなかった事、及び人為的ミス等が原因であるとする報告書を公表した[17][18][19]。
2015年を目処に後継車両となる予定だったEFV(Expeditionary Fighting Vehicle)は、2011年1月にロバート・ゲーツ国防長官の軍事予算削減の方針により開発中止になったため、AAV7は今後もしばらくの期間は海兵隊の主力水陸両用装甲車として使用される。
2018年6月20日、アメリカ海兵隊はBAEシステムズの「ACV」の採用を決定。30両分の低率初期生産を開始し、さらにオプションとして204両分の発注が行われた[20]。
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