00000JAPANとは、大規模災害が発生した際に通信事業者が公衆無線LANを無料解放する取り決めにおいて、統一的に使用されるSSID(ネットワークID)である。「災害用統一SSID」とも呼ばれる。
00000JAPANは「無線LANビジネス推進連絡会」が策定した「大規模災害発生時における公衆無線LANの無料解放に関するガイドライン」において取り決められている。大規模災害が発生した際には通信事業者各社がWi-Fiを無償で解放し、利用者はWi-Fi設定をオンにしてSSID「00000JAPAN」を選択すれば、事業者との契約の有無にかかわらずWi-Fiが利用できるようになる。
「00000JAPAN」は先頭に「0」が連なる文字列が採用されていることで、端末が検出する「接続可能なSSID」の一覧の先頭にほぼ常に表示される。
00000JAPANは東日本大震災における通信手段の状況や反省を踏まえて策定された。2016年4月14日に熊本県周辺で最大震度7を観測する大規模な地震が発生した際には被災地域での00000JAPAN解放が開始されている。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/25 04:03 UTC 版)
00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)とは、日本における大規模災害や通信障害時に、情報収集や安否確認などを支援するために無料で提供される公衆無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイントのサービスセット識別子(SSID)[1][2]。日本国内の無線LANに関係する企業で構成される「無線LANビジネス推進連絡会」が主導となってサービスを提供している。キャッチフレーズは「いのちをつなぐ 00000JAPAN」。
東日本大震災発生時、4Gを始めとする通信回線の復旧が遅れたことを契機に取り組みが始まった[3]。原則としてdocomo Wi-Fiやau Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiスポットといった通常時は利用者が契約者に限定されるアクセスポイントを臨時で認証なしに利用可能にするものである[3]が、必要に応じて避難所などに臨時で設置されるアクセスポイントもこのSSIDにて接続可能となる。
2016年4月に発生した熊本地震で初めて実運用され、九州全域で55,000箇所のアクセスポイントが提供された[4]。
名称の先頭に「00000」が付いているのは、SSID一覧の中で探しやすいようにするためである[1]。また、「JAPAN」は海外からの救援者にも理解しやすいように配慮したものである[5]。
アルファベットのJと電波をかたどったロゴマークが用意されており、無線LANビジネス推進連絡会の会員のみ利用できる[6]。
当初は大規模災害時にのみこの無料Wi-Fiが開放されてきたが、キャッシュレス決済やSNSの利用が普及してきたことから、2023年5月から通信障害時でも利用できるようになった[2]。
スマートフォンやパソコンなどの無線LAN接続画面から「00000JAPAN」を選択するだけで利用できる[7]。利用登録は必要なく、IDやパスワードの入力も不要である[7]。
緊急時の利便性確保を優先しており、暗号化を施されずに無料開放されているため、接続しやすい反面で第三者に通信内容を傍受される恐れがある[5]。そのため、ログインIDやパスワード、個人情報などを含む通信は控えるか、HTTPS通信やVPNなどを利用してセキュリティを確保する必要があるとされている[8][1]。
ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供するアプリ「ギガぞう」には、00000JAPAN利用時に無償でVPN接続を利用できる機能が存在する[9]。
ただし、2024年現在では多くのWebサイトやアプリケーションでHTTPS通信が導入されている。そのため、情報セキュリティ研究者の高木浩光は「10年前と違い、WebのHTTPS化がほぼ完了し、アプリのHTTPS通信もマストになっている現在、それ(クレジットカード情報やパスワードなどの入力)を避ける必要はありません」と見解を述べている[10]。
「00000JAPAN」を騙る偽のアクセスポイントが登場する可能性を指摘する声もあり、利用者が注意する必要がある[11]。対策として、避難所運営者による告知の有無や周囲にキャリア3社のWi-Fiスポット(d Wi-Fi、au Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiスポット)のステッカーなどが掲示されているか確認することが挙げられる[11]。また、偽のアクセスポイントに意図せず接続してしまうことを避けるため、00000JAPANへの自動接続をオフにすることも推奨されている[7]。
「00000JAPAN」の開放を計画する事業者等は、あらかじめ申請書を無線LANビジネス推進連絡会に提出し、そのチェックを受けなければならない[12]とされている。
また、公衆無線LANを00000JAPANとして一般開放する事業者や個人等に向けて、公衆無線LANの無料開放に関するガイドラインや災害用統一 SSID「00000JAPAN」参加資格などが公開されている。参加(提供)基準は、連絡会の会員と非会員によって基準が異なる。
参加資格(第2.2版)では、技術要件が以下のように定められている[13]。無線LANビジネス推進連絡会の会員については「努力」レベルの事項も適用することが望ましいとされている。
| 項目番号 | 必須 | 対応事項 |
|---|---|---|
| 1 | 必須 | パスワードを設定せず「Open」なネットワークとして設定する |
| 2 | 必須 | SSID を隠微せず、どの機器からも識別可能とする |
| 3 | 必須 | 利用時間の制限を持たせないようにする |
| 4 | 必須 | 利用者認証の機能を利用せず、だれでも自由にアクセスできるようにする |
| 5 | 必須 | 接続元の通信機器を問わず、だれでも利用できるようにする |
| 6 | 努力 | Wi-Fi の通信規格(IEEE802.11a/b/g/n/ac/その他、左記と同等である Wi-Fi の通信規格)のうち、対応可能な通信規格すべてで通信できるようにする |
| 7 | 努力 | 2.4GHz 帯・5GHz 帯、両周波数帯で通信できるようにする |
| 8 | 努力 | 同ネットワーク内に接続する端末間の通信ができないようにする |
| 9 | 努力 | 通信元の回線が切断された場合、SSID の送出を停止する |
| 10 | 努力 | 通信速度の公平性を保てるよう、接続端末ごとの利用可能な帯域を公平に配分する |
参加資格(第2.2版)では、無線LANビジネス推進連絡会の会員以外が提供する場合に関して、以下のような要件が定められている[13]。
バッファローのAirStation Proシリーズ[14]など、一部のWi-Fiアクセスポイント製品では緊急時にパスワードなしでアクセスポイントを開放する機能を備えた製品もあるが、この機能を利用して開放する際には、開放された無線LANからはインターネット(WAN)のみが利用可能であり社内LANへの部外者のアクセスができないことを事前に確認しておく必要がある。
2024年8月現在、以下の事業者が参加している[15][16]。