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死刑囚のパラドックス(抜き打ちテストのパラドックス)の議論を蒸し返したくなった(その1)

王様と7人の大臣と不貞なその配偶者」と題した一連の拙記事に対して、ROYGB さんと ネギ さんから言及を頂きました。ありがとうございます。通知お騒がせします。

それをきっかけに「死刑囚のパラドックス(抜き打ちテストのパラドックス)」の議論を蒸し返したくなった。全2回の予定だが、またぞろ書いているうちに新しいことを思いつくかも知れないので、つかそれを期待して、今回は「その1」としてみた。

 

ROYGB さんは、タネ本『詭弁論理学』にはあるが拙過去記事では触れたことなかった「死刑囚のパラドックス」のバリエーションの一つ「赤い帽子の問題」を論じていらっしゃいました。

roygb.hatenablog.com

 

ネギ さんは、パラドックスに対する態度を

・パラドックスは成立する。(抜き打ちテストは出来ない)
・パラドックスは成立しない。ただし、最終日にテストは出来ない。
・パラドックスは成立しない。最終日にもテストは出来る。

の3通りに分類しておられました。

ad2217.hatenablog.com

 

いずれも大変興味深いご指摘ですが、拙記事はそれぞれのテーマを精密に論じるのではなく、失礼ながらつまみ食い的に言及して自分の言いたいことを言うだけの内容になります。

 

赤い帽子の問題を再話する。タネ本ではプレイヤー10人、ROYGB さんの記事ではプレイヤー5人だが、拙記事では図示の都合上4人まで減らす。

3人のプレイヤーが前向きに並んでいる。それぞれ前にいるプレイヤーのかぶっている帽子は見えるが、自分と後ろの帽子は見えない。

ゲームマスターがプレイヤーの1人に、赤い帽子1つと白い帽子2つを渡し、こう命じる。

「自分の被っている帽子の色が誰にもわからないように、これらの帽子をかぶせなさい」

 

不可能である。

3人のプレイヤーを前から1、2、3とすると、1または2に赤い帽子をかぶせれば、3は誰にかぶせたか見える。

 

かといって1番後ろの3にかぶせれば、1、2が白い帽子をかぶっているので赤い帽子をかぶるのは自分だとわかってしまうからだ。

どうでもいいけど、私ってばこのピンクのキャラを、しいたげてるなぁ。

追記:

いや、可能だ!

逆に言ってみよう。プレイヤー1(一番前のプレイヤー)は、自分の帽子の色を確率的にしか当てることができない。

プレイヤー2も微妙だが、やはり確率1/2でしか当てられないとすべきだろう。

このあたり、もう一度論じなければ。

追記おわり

 

いっぽう、やはり死刑囚のパラドックスのバリエーションとして成立するのではないかとしばしば拙過去記事で述べた「伏せたトランプ」も再話してみる。

やはりカードの枚数は3枚まで減らす。

3枚のカードのうち1枚がジョーカーである。これらのカードを、どれがジョーカーかわからないように重ねて伏せることは可能か?

 

不可能なはずない。

ただし、もしカードが1枚であれば不可能だ。そのカードがジョーカーだとわかってしまうからだ。

 

しかしカードが2枚ないし3枚であれば、可能である。

2枚の場合、もし1枚をめくってそれがジョーカーでなければ、最後の1枚がジョーカーであり…

 

3枚の場合、1枚めくってそれがジョーカーでなければ、残り2枚のうち1枚がジョーカーであるというだけだ。

素材は いらすとや さん トランプ | かわいいフリー素材集 からお借りしました。

 

いずれもパラドックスは成立しない。

してみると ネギ さんの分類によると…

赤い帽子の問題は「パラドックスは成立しない。ただし、最終日にテストは出来ない。」に

伏せたトランプは「パラドックスは成立しない。最終日にもテストは出来る。」に

それぞれ分類されるのではないか?

えっ、なんで??

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タネ本『詭弁論理学』をあたってみた。赤い帽子の問題は旧版P179~180に載っていた。必要があるので当該箇所の全文を引用する。

②あるクラブで、先輩が新入りを十人、タテに一列に並ばせて、こういった。
「これから諸君の思考力テストを行なう。まず諸君に、白い帽子と赤い帽子をかぶせる。誰も、自分より前の人の帽子は見えるが、自分と自分より後の人の帽子は見えないはずである。注意しておくが、赤い帽子はひとつだけしかない。帽子をかぶせるのは、一番うしろの遠藤君にやってもらおう」
 遠藤君は列をはなれ、一個の赤い帽子と、八個の白い帽子を受けとった。
「さあ、みんな目をつぶりたまえ。遠藤君は、誰が赤い帽子をかぶせられたかが、本人にわからないようにしなければならない。あとで目をあけてから、赤い帽子をかぶせられた者が、そのことをインチキなしに、推理によって証明できたら、諸君の勝ちである。誰にも絶対にわからないようなかぶせ方ができたら、遠藤君の勝ちである」
 ところが遠藤君は泣きそうになっていった。
「先輩、そんなかぶせ方はできません」
「どうしてだね。できないというなら、その理由をいってみたまえ。筋の通った理由であれば、君の勝ち、私の負けということにしよう」
 遠藤君は、どんな理由を説明したであろうか?

読み返してみると、ずいぶん偉そうな先輩だな。

というのは措いといて、この先輩の言っていることの前半と後半には、内容的な違いがありはしないか。

前半は、赤い帽子をかぶせられた本人が申し出れば「諸君」(遠藤君以外)の勝ちだと言っている。

後半は、赤い帽子をかぶせられたのが誰にもわからなければ遠藤君の勝ちだと言っている。

後半に基づけば、さきに図解したように遠藤君は必ず負ける。いちばん後ろに並んだプレイヤーは、必ず誰が赤い帽子をかぶっているかわかるからだ。

しかし前半に基づけば、いちばん後ろ以外のプレイヤーにかぶせれば、なんらかのヒントがないと確率2分の1以下のヤマカン以外では当てられない。

 

なんらかのヒントというのは、具体的には1月20日付拙記事に書いたものが、ここでも利用できるはずだ。

watto.hatenablog.com

ということで先輩、キミの負けだ!

 

直近のいくつかのエントリーを書いて、しみじみ感じたことは、ある問題と別の問題の等価性や類似性を論じるのは、意外なほど難しいということである。

赤い帽子の問題に関して言えば、本人が申し出る方のルールを採用し、さらに一定時間ごとにベルを鳴らすと、ようやく死刑囚のパラドックスや抜き打ちテストのパラドックスの状況に近づいたように見える。

しかしその場合もやはり、パラドックスは成立しない。今度は赤い帽子をかぶせられた当人が、必ずそれを申し出ることができるからだ。

死刑囚のパラドックス、抜き打ちテストのパラドックスでは、最終日以外が執行日、試験日だったらそれを当てられないというのがキモだった。

 

それでは死刑囚のパラドックスや抜き打ちテストのパラドックスは、なぜパラドックスが成立しているのか? 少なくともパラドックスが成立しているように見えるのか?

「最終日が死刑執行日である⇒最終日には死刑が執行できない」や「最終日がテスト実施日である⇒最終日にはテストが実施できない」すなわち「命題A⇒命題notA」という趣旨はすでに書いたことがあるが、それ以外の解釈ができないか試みてみる。

 

ちなみに赤い帽子の問題や伏せたトランプにおいて「命題A⇒命題notA」は成立しない。

(この項つづく)

追記:続きです。

watto.hatenablog.com

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